【子ども】 裁判所における少年審判の審理の過程 (裁判所における少年事件の実務)
先月に日本加除出版から出版されたばかりの「裁判所における少年事件の実務」を購入しました。
まずは、おさらいとして、裁判所における少年審判の審理の過程について検討したいと思います。
少年側から依頼を受ける弁護士としても、裁判所の流れを知っておくことは有益だと思います。
第1 事件受理時の検討
事件が裁判所に送致されると、裁判官は、書記官の事前チェックによる補助を踏まえて法律記録を検討して、調査命令を発する(少年法8条2項)。
裁判官は、まず、非行事実を検討し、法律記録に基づき非行事実が認定できるか、その証拠が足りているか、補充捜査依頼や証人尋問等の証拠調べが必要かについて検討し、非行事実の蓋然的心証が得られれば、調査命令を発する。非行事実に争いがあり、証人尋問が必要になるなどして、1回の審判期日で終局することが難しい場合には、この時点で審理計画を策定し、場合により検察官関与を検討する。
要保護性については、法律記録に基づき、本件非行に関する動機や経緯、結果等の事情、被害者の被害状況や心情、少年の前歴を含めた身上経歴、生活状況や保護環境、保護者の監護状況等の要保護性に関する事情を確認し、今後の調査計画や審判運営に当たって留意すべき点について検討する。
第2 調査進行中の調査官との連携とカンファレンス
裁判官の調査命令により、調査官は、法律記録を受け取り、社会調査を開始する。調査官の役割は、心理学、教育学、社会学等の行動科学の知見に基づく、事実の調査と調整である(少年法9条、少年審判規則11条参照)。
調査官は、法律記録や従前の社会記録を検討した上、少年、保護者、関係者等の面接、関係機関への照会、少年鑑別所等との協議を行いながら、事実の調査を実施していく。また、少年に対して内省や改善を促し、必要な教育的措置を行い、さらに保護者等とも関係を調整するなどの働きかけを行う。そして、少年の非行メカニズムを解明し、非行に至った少年の問題を明らかにして、要保護性の程度を評価して、処遇についての意見を提出する。
この社会調査の期間は、主に調査官に情報が集約されていき、調査官は、必要に応じて、即時、裁判官に報告し、裁判官や書記官と協議を重ねる。この協議のことをカンファレンスと呼ぶ。その実施の時期や頻度は事件によって異なるが、各時期において協議すべき事項を整理すると、次のように考えられる。
初期(送致から数日程度)は、非行事実(犯情)の評価、調査対象の範囲、被害者対応、保護者等の呼び出しなどについて意見交換をする。
中間期(送致から2週間程度。通常、少年調査が1~2回、保護者調査が1回なされている時期。遅くとも審判の1週間前まで)においては、調査官の調査が進捗している基本的な情報が集約されてきている段階であるため、その調査状況と調査仮説・非行メカニズムを簡潔に報告してもらい、少年の要保護性上の問題点の整理や、処遇選択上のあい路は何かについて意見交換をする。その上で、更に調査すべき事項や働きかけの対象などを確認する。在宅試験観察や身柄付き補導委託については、この段階で見込みの有無を検討する。
審判前(少年調査票提出後。審判前日であることが多い)においては、少年調査票を前提にして、その補足説明や、非行メカニズムと働きかけの結果の確認、それを踏まえた処遇選択の意見交換、審判運営上の留意点の確認等を行い、審判準備を行う。
このうち、裁判官と調査官との連携にあたっては、特に中間期でのカンファレンスが重要である。これを中間カンファレンスと呼ぶ。裁判官と調査官との間で見立てや調査仮説の違い、調査不足があった場合、審判前ではその後の修正や追加調査の機会がほぼない。裁判官としても、中間期に報告を受けることで、追加の調査指示等ができ、事案の理解が深まり、要保護性について心証を形成できる。
第3 審判運営と処遇の選択は、明日の続きへ😅









































































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