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【子ども】

2026年2月19日 (木)

【子ども】 「紛争性が高い当事者間の面会交流に係る定めの変更において、従来の面会交流の実施状況等を踏まえ、その実施要領において、①間接強制決定を想定した定めをする必要性を否定し、②宿泊付きの面会交流を求めた事例」札幌高決令和4年3月18日

 「家庭の法と裁判」No60で紹介された裁判例です。

 最近のご相談者からは、親子交流について、相手方が信用できないから間接強制ができるようにして欲しいと言われることも増えたように思います。

 間接強制決定を想定した必要性については、以下のとおり解説されています。

 まず、監護親に対して非監護親が子との面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判に基づき間接強制を決定することができるかについては、肯定されています(最決平成25年3月28日)。

                        ⇓

 もっとも、同最高裁決定は、どのような事情があるときに面会交流を実現することが相当であるかや、どのような場合に間接強制により面会交流を実現することが適切であるかについて示したものではない。

                        ⇓

 中野晴行論文では、原則的に間接強制を視野に入れるべき場合として、①既に、調停、和解又は審判において面会交流が認められたものの、それらの条件では面会交流が実施できず、改めて調停が申し立てられた場合、②面会交流を禁止・制限すべき事由が認められないのに監護親が面会の実施を強く拒否している場合、③監護親が調停に出頭せずまた家裁調査官の調査に応じない場合、などの場面が一応問題となる指摘がある。

 また、畠山新論文では、間接強制は、一たち発令するとその是正が容易でないことから、間接強制はあくまで最後の手段であり、これが可能な審判をすべき場合は厳選されるべきであるとして、①債務者が理由なく第三者機関の介入を伴う面会交流や家裁の調査を拒むなど、不誠実性が顕著で、間接強制金を課さなければあるべき面会交流が実現できないなどが考えられるとする。

                        ⇓

 本件抗告審は、間接強制決定を想定した定めをすることが相当とはいえない理由の1つとして、実施開始が令和3年6月と原審決定後の時点ではあるものの、当事者双方が代理人を介して協議を行い、面会交流の実施のため問題の解消に向けた相当の努力を払っており、実際に月1会の頻度で面会交流が実施されていることをあげており、上記の間接強制を視野に入れるべき場合の例と比較しても、そのような場合に当たらないと判断をしたことは妥当と考えられる。

 詳しくは、家庭の法と裁判60号を参照してみて下さい。

 



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2026年1月11日 (日)

【子ども】 少年法実務講義案(四訂版)を購読しました

 昨年6月に司法協会から出版された「少年法実務講義案」(4訂版)を購読しました。

 本書は、少年事件を少しでも取り扱う弁護士にとっては、必ず備えておかなければならない書籍の1つだと思います。

 田舎弁護士自身は、少年事件に関連した案件を取り扱うのは、数年に1回程度ですが、それでも、良質なリーガルサービスが提供できるよう、良書については日頃から購読して、できる範囲で目を通すようにしております。

 弁護士としては、付添人として対応させていただくということが多いかと思いますが、相当数の付添人が国選付添人という形で選任されているように思います。

 相当多くの国選付添人の先生方は少年法の理念にそった付添人活動をされていおられると思います。

 ただ、他方で、大変残念ながら、国選付添人の中には、刑事事件の国選弁護人のような感覚で付添人活動されるような方も側聞することがあります。

 国選付添人は、付添人活動に必ずしも専門的な知見を有する弁護士が選ばれているわけではなくて、法テラスと国選付添人契約している弁護士の中から選ばれているに過ぎません。

 後日ステークホルダーからお話をうかがうと残念な対応をされているような方も中にはおられるようですので、法テラスも候補者を指名するのであれば、国選付添人としての資質があるのかどうか、例えば、義務的な研修会を実施する等して、国選であっても付添人活動の充実を図るべきではないかと思います。 

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(今治城)
 社会の変化が激しい中、弁護士が必ずしも最新の法令等に精通しているとはいえない状況となっております。少年事件についても、日弁連eラーニング等ではコンパクトでありながら充実した内容のセミナーが提供されています。弁護士である以上、研修を怠るということは絶対にあってはならないと考えております。

2025年12月 7日 (日)

【子ども】Q 子どもが高校・大学へ進学したことを理由とする養育費について

 Q&A養育費婚姻費用の事後対応(新日本法規)によれば、私立高校進学や大学進学を理由とする養育費の増額については、算定表において考慮されている学校教育費は、公立の幼稚園から高校までのものであるため、私立高校進学や大学の学費等は考慮されていませんので、私立高校や大学への進学については養育費の増額事由に該当する可能性があると解説されています。

 また、例えば養育費の金額が小学生のころに決めているのであれば、0歳から14歳と、15歳以上の子の生活費指数が異なるために、子が15歳以上になった場合には、養育費増額についての事情の変更が認められることになります。

 これを踏まえると、公立の高校に進学した場合には、基本的な養育費の金額が増加される可能性があるということになります。

 これに対して、私立の高校や大学に進学した場合には、特別な費用として、別途加算計算されることになろうかと思います。

 もっとも、特別な費用として別途加算計算されるためには、義務者の推定的承諾が必要です。

 また、費用加算される対象としては、入学金、授業料等の学納金のほか、交通費、部活動費がありますが、後者によっては、他の書籍の記載をみても、考え方がわかれており、本書においても、事案に応じて裁判所の裁量によりますと説明されています。

 具体的な負担割合については、義務者が負担すべき学費不足額については、①公立学校教育費相当額を控除する方法、②子の生活費指数のうち教育費が占める割合を用いる方法等が紹介されています。

 学費不足額についての父母の負担割合についても、①父母それぞれの基礎収入に応じて超過教育関係費を負担する方法や、②父母が超過教育関係費を2分の1ずつ負担する方法などがあり、いずれも、事案に応じて裁判所の裁量によりますと解説されています。

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(横倉山・杉原神社)

 結局、大まかな方向性はわかるが、裁判官次第ということのようですね

2025年11月20日 (木)

【子ども】 審理の過程を踏まえた随時の主張や活動報告

 裁判所における少年事件の実務P316以下です。

第2 審理の過程を踏まえた随時の主張や活動報告

 付添人活動の結果については、裁判所の審理の過程を踏まえ、審判期日を待たずに、随時、主張や活動報告をし、裁判所と協議していくことが重要です。

 初期は、非行事実(犯情)の評価に関する事情(被害弁償等も含む)や調査対象の範囲に関する情報提供をすることが有益である。例えば、被害弁償の対応中であることや、社会資源として重要な親族の調査が必要である旨を申し出ることが考えられます。

 中間期においては、調査だけでなく付添人活動も進んでいる段階であるため、調査官との間で、双方の情報共有とともに、要保護性上の問題について意見交換することが考えられる。付添人の提案する社会資源を利用した在宅試験観察や、身柄付き補導委託を求める場合には、審判前に検討や準備を要するため、遅くともこの時期には申し出る必要がある。審判直前の申出では間に合わず、付添人の提案を採用することは困難になります。

 審判前は、意見書の提出を前提に、裁判官との間で、少年や保護者のこれまでの変化や直前の状況も踏まえた処遇に対する意見を述べたり、審判進行についての協議をすることが多い。審判進行に関し、少年の特性や心情等に配慮するように要望されることもある。

 情報提供や協議の方法としては、報告書等の書面提出、調査官との面談や電話連絡、裁判官との面談が考えられる。書面提出は、明確に記録化でき、裁判所の三職種に共有される利点があるが、意見交換はできない。調査官との面談等は、調査情報を共有し、意見交換ができる。裁判官との面談は、調査情報は共有できないが、手続、審理方針、事実認定、犯情等について議論ができる。付添人は、これらを踏まえて使い分けることが望ましく、裁判官や調査官に面談を申し入れる場合には、その趣旨目的を明らかにする必要があります。

 

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(富士山)

 

2025年11月19日 (水)

【子ども】 要保護性の審理に当たり、裁判所は、付添人にどのような連携を期待するのか 

 裁判所における少年事件の実務P314以下は、自白事件を例にとり、要保護性の連携について解説しております。

第1 少年に対する働きかけや環境調整活動

 付添人の基本的な活動として、非行事実(犯情)の評価を軽減する主張立証活動(被害弁償を含む)だけでなく、要保護性の解消に向けた少年に対する働きかけや環境整備活動をすることも必要です。その際には、少年の要保護性上の問題を把握し、それを解決していくというアプローチが有効であり、その考え方は裁判所と異なるところはありません。

 付添人の立場からの健全育成に向けた教育的働きかけは、少年の内省と要保護性の減少に当たり、特に有効です。例えば、共犯者との不良交友が問題である場合、調査官からだけでなく、自分の味方である付添人からも、共犯者との交際がなぜ問題にされるかを問われることで、少年が問題意識を持ち始めることが多いです。付添人が、共犯者との交際を続けたいという少年の考えを積極的に支持する関わり方をしてしまうと、少年の問題が解消されず、少年の要保護性を高めることになりかねません。

 少年の主張を代弁するだけでなく、健全育成に向けて、時に少年に考えを改めさせるような教育的な関わり方が必要です。付添人から提出される謝罪文や反省文も参考になり、内省の程度が把握できるだけでなく、審判采井においても参考になります。

 また、処遇の見込みについて、少年に安易な見通しを伝えるべきではない。少年が、付添人から、保護観察決定となって帰宅できると聞いたとして、緊張感が薄れかえって内省が妨げらえることや、その後少年院送致決定となった場合、それを受け入れられず、少年院での指導に意欲的に取り組めないことにもつながる。少年にとって事故の処遇は最も関心が高い事柄であるから、十分な配慮を要します。

 少年の外部環境(保護者、就労先、帰住先、被害者等)の調整について、裁判所は、調査官の調査の範囲で、保護者や参考人の調査、被害者調査をしており、中立性の観点から制約がある。例えば、就労先に雇用を継続するよう促すことや、被害者との間で被害弁償することなどは、少年の権利利益を守る付添人において活動することが期待される。そして、外部環境の調整の結果を少年にフィードバックして的確に認識させることも忘れてはなりません。

 第2sン里の過程を踏まえた随時の主張や活動報告は、明日の続きです😅

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(眉山)

2025年11月18日 (火)

【子ども】 裁判所における少年審判の審理過程 続き

 裁判所における少年事件の実務の続きです。

第3 審判運営と処遇選択

 調査官が少年調査票を提出すると、裁判官は少年調査票を含む社会記録を精読する。裁判官は、社会記録によって判明した事実を前提に、非行メカニズムを把握するとともに、非行事実と要保護性を評価し、審判期日の運営の準備と少年に対する処遇を検討する。

 そして、審判期日において、少年に対して非行事実を確認するとともに、少年や保護者に対する質問を通じて、要保護性の事実に関する確認を行いながら、非行メカニズムや少年の問題点を明らかにし、最終的な心証を形成した上で、少年に対する処遇を選択する。

 以上が、裁判所における少年審判の審理過程です😅

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 次が、裁判所が期待する付添人活動の視点です。3つの視点が必要としております。

 1つ目は、付添人は、少年側から裁判官及び調査官の双方の活動を検証するという視点です。

 ①裁判官の活動の検証として、非行事実の事実認定の審理に対して少年の言い分を前提とした主張立証活動を行い、②調査官の活動の検証として、付添人としても非行メカニズムを把握し、要保護性に関する事実の収集や環境調整活動を行い、③再び裁判官の活動の検証として、要保護性の評価や処遇に関する意見を述べる。

 刑事事件と同様に考えると、①③についての活動は想定しやすいが、②の視点も必要である。

 2つ目は、審判時の活動だけではなく、審判前の活動も重要であるという視点である。

 少年審判は職権主義的構造により、刑事裁判における予断排除の原則はなく、裁判官は、一件記録を取り調べ、調査官から報告を受けるなどして、臨時心証を形成している。したがって、その心証形成に関して、付添人も積極的に関与していくことが必要である。

 3つ目は、少年審判において、裁判所も付添人も、ともに少年の健全な育成(少年法1条)を目的に活動するという視点です。立場の違いはあるが、同じ目的に向かうために、少年審判の充実を図り、協働していく必要があります。

 


2025年11月17日 (月)

【子ども】 裁判所における少年審判の審理の過程  (裁判所における少年事件の実務)

 先月に日本加除出版から出版されたばかりの「裁判所における少年事件の実務」を購入しました。

 まずは、おさらいとして、裁判所における少年審判の審理の過程について検討したいと思います。

 少年側から依頼を受ける弁護士としても、裁判所の流れを知っておくことは有益だと思います。

第1 事件受理時の検討

 事件が裁判所に送致されると、裁判官は、書記官の事前チェックによる補助を踏まえて法律記録を検討して、調査命令を発する(少年法8条2項)。

 裁判官は、まず、非行事実を検討し、法律記録に基づき非行事実が認定できるか、その証拠が足りているか、補充捜査依頼や証人尋問等の証拠調べが必要かについて検討し、非行事実の蓋然的心証が得られれば、調査命令を発する。非行事実に争いがあり、証人尋問が必要になるなどして、1回の審判期日で終局することが難しい場合には、この時点で審理計画を策定し、場合により検察官関与を検討する。

 要保護性については、法律記録に基づき、本件非行に関する動機や経緯、結果等の事情、被害者の被害状況や心情、少年の前歴を含めた身上経歴、生活状況や保護環境、保護者の監護状況等の要保護性に関する事情を確認し、今後の調査計画や審判運営に当たって留意すべき点について検討する。

第2 調査進行中の調査官との連携とカンファレンス

 裁判官の調査命令により、調査官は、法律記録を受け取り、社会調査を開始する。調査官の役割は、心理学、教育学、社会学等の行動科学の知見に基づく、事実の調査と調整である(少年法9条、少年審判規則11条参照)。

 調査官は、法律記録や従前の社会記録を検討した上、少年、保護者、関係者等の面接、関係機関への照会、少年鑑別所等との協議を行いながら、事実の調査を実施していく。また、少年に対して内省や改善を促し、必要な教育的措置を行い、さらに保護者等とも関係を調整するなどの働きかけを行う。そして、少年の非行メカニズムを解明し、非行に至った少年の問題を明らかにして、要保護性の程度を評価して、処遇についての意見を提出する。

 この社会調査の期間は、主に調査官に情報が集約されていき、調査官は、必要に応じて、即時、裁判官に報告し、裁判官や書記官と協議を重ねる。この協議のことをカンファレンスと呼ぶ。その実施の時期や頻度は事件によって異なるが、各時期において協議すべき事項を整理すると、次のように考えられる。

 初期(送致から数日程度)は、非行事実(犯情)の評価、調査対象の範囲、被害者対応、保護者等の呼び出しなどについて意見交換をする。

 中間期(送致から2週間程度。通常、少年調査が1~2回、保護者調査が1回なされている時期。遅くとも審判の1週間前まで)においては、調査官の調査が進捗している基本的な情報が集約されてきている段階であるため、その調査状況と調査仮説・非行メカニズムを簡潔に報告してもらい、少年の要保護性上の問題点の整理や、処遇選択上のあい路は何かについて意見交換をする。その上で、更に調査すべき事項や働きかけの対象などを確認する。在宅試験観察や身柄付き補導委託については、この段階で見込みの有無を検討する。

 審判前(少年調査票提出後。審判前日であることが多い)においては、少年調査票を前提にして、その補足説明や、非行メカニズムと働きかけの結果の確認、それを踏まえた処遇選択の意見交換、審判運営上の留意点の確認等を行い、審判準備を行う。

 このうち、裁判官と調査官との連携にあたっては、特に中間期でのカンファレンスが重要である。これを中間カンファレンスと呼ぶ。裁判官と調査官との間で見立てや調査仮説の違い、調査不足があった場合、審判前ではその後の修正や追加調査の機会がほぼない。裁判官としても、中間期に報告を受けることで、追加の調査指示等ができ、事案の理解が深まり、要保護性について心証を形成できる。

第3 審判運営と処遇の選択は、明日の続きへ😅 

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2025年11月13日 (木)

【子ども】 義務者である夫が勤務先を退職してしまった事案 福岡高裁令和5年5月8日決定

 判例時報2631号で掲載された福岡高裁令和5年5月8日決定です。 

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(高縄山)
 妻が別居中の夫に対して婚姻費用分担金の支払いを求めたところ、夫が抑うつ症状との診断を受け勤務先を退職したとしてその支払いを拒絶した事案において、
 
 夫の就労が不可能な程度かは疑いが残るとして、退職後も退職前収入の約4割の収入があるものとして扱い、起訴収入額をその43%と認めた上で、夫に婚姻費用分担金の支払いを命じた原審判が維持された事例
 このようなケースで、たまに、会社等を退職する方がおられますね。
 本件では、別居前には特に症状はなかったこと、別居後の面会交流を巡って発症し悪化したというもので受診や退職の経緯、調停への対応状況を考えると就労不可能な程度に重篤であるかについては疑問が残ること、症状の具体的な内容及び程度、通院の頻度、投薬内容も不明であることなどから、基礎収入を0円とは計算しておりません。
 無職になったからといって、婚姻費用分担義務を免れるわけではないということです。
 但し、強制執行は大変そうな気がします。回収できるのかな?

2025年11月 7日 (金)

【子ども】 日弁連総合研修サイト 少年事件における付添人活動~捜査段階から審判までを、WEBで受講しました😅

 日弁連総合研修サイトの講座を最近受講することが増えました。今回は、少年事件における付き添人活動~捜査段階から審判まで(2024年)です。

 講師は、井原綾子弁護士と川村百合弁護士です。

第1 少年事件における付添人活動~捜査段階から審判まで

 1 少年事件における弁護士の役割

  ⇒少年法の目的(少年法第1条) 少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う。

  ⇒少年に寄り添いながら非行の原因を探り、立ち直りに向けた方策を少年と共に考え、その手助けをしていくのが弁護士の役割

 2 2021年少年法改正の概要

  ★特定少年における検察官送致の特例 

   ⇒少年法第62条2項2号 いわゆる「原則逆送」対象事件の拡大(強盗、不同意性交、建造物等以外放火など)

    原則逆送の例外 「調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。」

    ※原則逆送事件において例外的に保護処分とするかどうかにあたって、犯行の「結果」も考慮要素に含まれることになった。犯情の幅が大きい事件において、犯情をどのように評価するかが、逆送するか否かの判断に影響すると考えられる

 3 捜査段階における弁護活動

①接見での注意事項及びポイント

  ※被疑事実の確認 ※要保護性を基礎づける事実の確認(少年の資質面、環境面) ※黙秘するかどうか ※少年との信頼関係をどう構築するか

②全件送致主義との関係

  ※不起訴という概念がなく、いずれにしても家裁送致され審判を受けることになる

  ※審判における処分の見通しや、要保護性との関係で調整が必要な事項など早期に判断して必要な活動の整理をしなくてはならない

伝聞法則が適用されないこととの関係

  ※成人の刑事事件と異なり、すべての記録が家裁送致後に裁判所の目に触れることとなる

  ※一方で、こちらで取得・作成した証拠についても、家裁送致後に特に制限なく裁判所に提出することができる。

④家裁送致日の確認、上申書要望書もしくは付添人選任届の準備

  ※検察官に家裁送致日を確認する

  ※(国選付添人対象事件の場合)上申書及び要望書の提出

  ※(国選付添人非対象事件の場合)付添人選任届及び日弁連少年保護事件援助申入書の準備

⑤観護措置回避活動について

  ※観護措置を回避すべき事案かの見極め

  ※家裁送致時における意見書提出の準備、裁判官面談など

 4 審判段階における付添人活動

①早期の記録閲覧及び謄写(前件がある場合は前件の社会記録の閲覧)

  ※事案の早期の把握と、見通しを正確に立てるため、家裁送致後は早急に法律記録を閲覧、謄写する(謄写は裁判所の許可が必要)

  ※前件の非行がある場合には、その際の社会記録も閲覧して情報収集する

②審判期日の調整、鑑別所での面会日程を調査官と調整

  ※家裁での少年審判の開廷日は固定されていることが多いので、家裁送致後すぐに審判期日の調整を行う必要がある。

  ※鑑別所での少年との面会につき調査官とタイミングが重ならないよう、双方の予定を調整しておくとよい

③非行事実に争いがある場合等は、非行事実に関する意見書の提出を検討

  ※非行事実に争いがある場合等(一部争っている場合や、犯情の評価が問題になる場合も含む)には、争点の明確化及び証拠調べの要否の検討のために、非行事実に関する意見書を早期に裁判所に提出することが多い。

④非行事実に争いがある場合等、審判の進行について裁判所と協議が必要な事件の場合は、早期に裁判所とカンファレンスの機会を持つ

  ※証拠調べが必要な事案等では、どのような証拠調べをするかや証拠調べ期日をいつにするかなどの調整が必要なので、早期に裁判所とカンファレンスが必要である

⑤調査官と早期に情報を共有し、裁判所の問題意識を把握する

  ※被疑者段階でこちらが得た情報についても、積極的に情報共有することで問題意識を共通のものにすることが重要

  ※調査官の問題意識や、少年の課題を聞くことで、環境調整などの活動に活かす

⑥記録の内容や調査官との情報共有の内容をもとに、審判結果の見通しを再度立てる

  ※逆送可能性はあるか、在宅か施設収容どちらの可能性が高いか、逆送可能性がある場合逆送回避のためには何が必要か、施設収容の可能性がある場合、保護観察や試験観察とするためには何が必要か、等の方針を整理する

⑦鑑別所での少年との面会

  ※非行の原因等を一緒に考え、これまでの生活やこれからの立て直しについて一緒に考えていく

  ※捜査段階で黙秘していた場合でも、家裁送致後は基本的には黙秘を解除することでよい

  ※審判結果の見通しをどこまで伝えるか(伝えないのか)

⑧事案に応じた環境調整活動

  ※社会復帰に向けた環境調整活動

  ※保護者(親)との関係調整、帰住先の確保、就業先の確保、学校との調整、通院先やカウンセリング先の確保など

  ※被害弁償、謝罪等の被害者対応  ⇐犯情を軽減する

⑨社会記録の閲覧

  ※鑑別結果通知書、少年調査票

  ※社会記録は閲覧のみ可能であり、謄写はできないのでメモを取る必要がある(特に逆送は詳細に)

  ※社会記録内の情報の中に、少年には知らせるべきでない情報があることもあるので慎重な対応が必要

⑩意見書作成及び提出

  ※大きく分けて、非行事実についての項目要保護性についての項目を記載する  ★犯情も忘れずに

  ※付添人なりの視点や、少年が付添人にのみ話した内容など、調査票には記載されないであろう内容を記載することを意識すると良い

  ※提出時期は、調査票が提出される前が望ましいが、場合によっては調査票提出後の提出となることもあり得る 

⑪審判への出席

  ※審判前に、審判の進行について裁判官とカンファレンスをして協議しておくとよい

  ※付添人からも必ず少年に質問し、少年が裁判官に伝えたいことが十分に話せる状況を作る

⑫抗告意思の確認

  ※審判後(場合によっては審判前にでも)に、早急に抗告意思を確認する(できれば施設に移送される前がよい)

  ※抗告する場合には、早急に決定書謄本の申請をする(1日でも早くとりつける)

  ※抗告申立書は、趣旨を明示して提出する必要があることに注意  ★2週間しかないので負担が大きい

 5 処分の種類

  ★不処分

  ★保護処分(保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設送致、少年院送致)

    特定少年が保護観察になる場合には、6ヶ月か2年(遵守事項違反は上限1年の範囲で少年院収容の期間を定める)を明示して意見書を作成

  ★児童福祉法の措置(児童相談所長送致)

  ★試験観察 ⇐少年に対する最終的な処分を留保して、相当の期間、少年の生活態度や行動等を調査官の観察に付する中間処分

     在宅試験観察と補導委託  ※試験観察中の調査官との役割分担

     ※試験観察中の再非行 どうするのか

 (補遺) 非行少年の特徴

     自尊感情が低い 自己評価が低い 成功体験がない 目標がない 意見表明の経験がない 仲間への依存

第2 活動にあたって悩ましいポイントについてのパネルディスカッション

 1 非行の背景、非行少年の特徴

 2 社会資源の開拓と試験観察

 3 裁判官と調査官とのカンファレンスのあり方

 4 原則黙秘

 5 特定少年の原則逆送 

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(燧灘)

2025年11月 5日 (水)

【子ども】 新少年事件実務ガイド(第4版) 続き

 昨日の続きです。付添人を依頼された弁護士は、「新少年事件実務ガイド(第4版)」は必ず読んでおかないといけない書籍の1つだと思います。

 P174 「保護者の審判出席は権利でもあり、調査官調査や審判への出頭は保護者の義務でもあります。いずれも、裁判所が保護者の監督意思・監督能力の有無および程度を見極める重要な場面です。付添人は、事前に調査官調査や審判が行われること、おおよその時期、それらの場で質問される事項、それに対する回答が持つ意味・効果などを説明しておきます」

 p229 「抗告する場合には2週間以内に具体的な抗告理由を明記した抗告申立書面を提出する必要があります。そのため、そのことも説明し、抗告するのであれば早めに付添人に連絡するように伝えます。また、施設収容保護処分の場合には、保護処分の決定後、数日中に少年が施設へ収容されてしまいますその際には、遠方の収容施設での面会になることもありますので、早めの結論と準備が求められます」

 P229 「とくに、抗告を検討している場合で示談が未成立のとkには、抗告にむけての示談を成立させておくことが考えられます」

 P230 「保護処分決定は、確定を待たずに執行されます。また、抗告申立てには執行停止効はありません。そのため、施設収容保護処分の審判決定がなされた場合には、抗告の有無にかかわらず、少年は、いつでも処遇施設へ収容される可能性があります」

 P233 「審判期日に決定書の交付申請書も用意しておき、決定後直ちに書記官に提出しましょう。とくに抗告について検討するときは、決定書を詳しく分析しなければなりません。そのため、書記官に対しその旨を伝えて早急に作成・交付するよう申入をします」

 P243「少年院は、従前、初等・中等・特別・医療の4種類に分類されていました。2014年に全面改定された新少年院法において、従来の初等中等が統合されて第1種少年院、特別が第2種少年院、医療が第3種少年院に変更されました。これらの少年院の標準的な矯正教育は2年以内ですが、第1種少年院では6ヶ月以内の期間で行う短期課程も実施されています。また、少年院で刑の執行を受ける16歳未満の少年受刑者の収容施設として、第4種少年院が加わりました。さらに、18歳以上の特定少年のうち2年間の保護観察に付された者に観察中の重大な遵守事項違反があった場合に、少年院に収容することができる制度が開始されたことから、遵守事項違反のあった特定少年を一定期間収容し、その特性に応じた処遇を行う第5種少年院が新たに設けられました。」

 P245「まず、第1種少年院には、6ヶ月以内の短期間の処遇とそれ以外の長期間の処遇があり、前者には6ヶ月以内の短期間処遇と4か月以内の特別短期期間処遇があります。6ヶ月以内の短期間処遇は、短期義務教育課程と短期社会適応過程に対応したもので、指導を実施するうえで基準期間は11周囲内です。」

 P247 「家庭裁判所は、保護処分として少年院送致を選択する場合には、送致すべき少年院の種類を指定して決定を行います。その際に、家庭裁判所は、少年の処遇に関し、少年院に勧告をすることができます。実務上、家庭裁判所は、収容すべき期間や処遇上の留意点などについて、少年鑑別所との事前協議を行った上で勧告しているようです」

 P283 「通常の刑事事件の控訴申立てと同様の対応をしてしまうと不適法になるからです。例えば、抗告申立書は、理由を具体的に記載して、2週間以内に提出しなければなりません。そのため、成人の刑事事件における控訴と同じ感覚で、抗告申立書に抗告の理由は追って申述すると記載したままで抗告期間を経過すると棄却されます。その他、審判時点では決定書が作成されていない場合が多いこと、施設収容保護処分の場合、少年との十分な時間回数の面会が困難になることなど、抗告申立書の作成に支障となる事情にも留意しなければ弁護活動が不十分なものになります」

 P285 「実務上、裁判官は決定をする時点では、まだ決定書を作成していないのが大半です。決定書が作成されるのは、決定からしばらく経ってからということも少なくありません。そこで、付添人としては、早急に決定書を作成するように求めるとともに、決定書の入手を待たずに、速やかに抗告申立書の作成に着手します」「少年と保護者から詳しく事情を聴くことも必要です。また、すぐに記録を閲覧謄写し、特に社会記録の閲覧では、少年調査票や鑑別結果通知書の処遇意見欄等の分析に着目して、保護処分の理由の把握に努めます」「少年事件の保護処分決定は、刑事事件と異なり、告知によって直ちに執行力を生じます。抗告を申し立てても、執行停止の効力はありません。そのため、例えば少年院送致決定の場合は、決定から2~4日程度で少年院に送致されてしまうことが通例です」

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(楢原山山頂)

 

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