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【相続】

2026年4月 5日 (日)

【相続】 配偶者居住権

 必携実務家のための法律相談ハンドブック107問「配偶者居住権」です。このタイプの書籍は、深掘りをしていないために、広く、浅く、知識の整理をするのに適しているといえます。

 今回は、配偶者居住権です。

 配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合に、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益できる権利という賃借権類似の法定債権です。配偶者居住権の第三者対抗要件は、登記です。

 成立要件は、①被相続人の配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していたこと、②配偶者居住権を取得させる遺産分割又は遺贈があったこと、③被相続人の相続開始時に配偶者以外の者と居住建物を共有していないことになります。

 配偶者は、終身にわたり、無償で居住建物を使用収益できます。

 また、配偶者は、必要に応じて居住建物を修繕することができます。配偶者は、通常の必要費を負担するため、修繕費、固定資産税相当額などを負担することになります。

 一度、検討してみるのもいいと思います。


 

2026年1月23日 (金)

【相続】被相続人Aが死亡し、法定相続人はXYZの3名である。しかし、Zは10年程前から、長期旅行に出ると言って自宅を出たまま行方不明となっていて、Aの遺産分割ができない状態にある。

 新日本法規から昨年10月に出版されたケース別未分割遺産の管理と処分をめぐる実務と書P43のケースです。

 Zは、「不在者」であることから、家裁に不在者財産管理人を選任するという方法があります。不在者財産管理人は、不在者の法定代理人として、家裁の許可を得て、遺産分割協議や調停を成立させることができます。

 次に、「失踪宣告」の申立てにより解決することができます。普通失踪であれば、不在者の制止が7年以上明らかでないときに、不在者を死亡したとみなす制度で、7年間の期間満了時に不在者が死亡したものとみなすことができます。これにより当該不在者について相続が開始されますので、遺産分割の当事者が変わり、遺産分割手続を進めることが可能です。

 なお、普通執行の場合、不在者が7年以上制し不明であることを具体的に説明する必要があります。不在者の最後の痕跡、警察への捜索願い、親戚等への問い合わせの手紙などを証拠とします。

 また、認定死亡制度というものもあります。水難、火災その他の事変により、死亡したことは確実だが、遺体未発見の場合に戸籍に死亡の記載をするための制度です。この認定死亡制度により、相続手続を進めることが可能となります。

 失踪宣告は、法律上、死亡したものとみなす制度ですが、認定死亡制度は、死亡を推定するに過ぎません。したがって、後日生存が確認されたり、死亡日時が明らかになった場合には戸籍の訂正が行われ、失踪宣告のように取消の手続は必要ありません。この場合は、相続手続に瑕疵が生じることになります。 

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(水ケ峠)

 ところで、国道317号線の松山市と今治市の境に、水ヶ峠トンネルという長いトンネルがあります。水ケ峠は、そのトンネルから少し北側に入ったところにあります。今治と松山の昔の街道となっていたようです。丁石地蔵が点在しているところでもあります。四国の道に認定されており、眺望は期待できませんが、静かに散策できる場所です。

2026年1月22日 (木)

【相続】 高齢の親の囲い込み

 時折、高齢者である親の囲い込みの相談を受けることがあります。高齢者の囲い込みとは、認知機能の衰えた高齢者を一部親族等が管理下に置き、他の親族等との交流や接触を断たせることを言います。

 このような場合のアドバイスについては、新日本法規の「遺産分割における介護の取扱い」についても詳しく解説がされています。

 この解説については、概ね田舎弁護士の見解と一致しております。

 まずは、高齢者の囲い込みに対する解決策としては、親族間調整調停等の手段を試みるところからはじまります。

 そして、なお解決しない場合には、面会妨害禁止の仮処分申立てを行うということが考えられます。

 裁判例としても、「親族間関係調整調停等の手続を経ても両親との面会が実現しなかった子からの申立てに対し、今後も当該状況が改善する課の姓は乏しく両親と面会する権利が侵害されるおそれがあるとして、両親を老人ホームに入所させ入所先を秘匿していた他の子及び当該老人ホームに対する面会妨害禁止の仮処分を発令した」ものが存在します(横浜地決平成30年7月20日)。

 また、囲い込みを直接解決する手段ではありませんが、囲い込みを理由とする慰謝料の請求を行うことで、間接的に囲い込みの解消を促すという方法もあります。

 裁判例としても、「姉妹の内一部の者らが母親を自身らの自宅で生活をさせ、または施設に入所させて、他の姉妹が当該母親と面会交流する機会を6年間以上にわたって奪ってきたというケースで、親と面会交流するという法的保護に値する利益を合理的な理由なく侵害するものとして、当該姉妹らに対する慰謝料請求を認めた事例」が存在します(東京地判令和元年11月22日)。

 なお、囲い込みをしている親族の意思に反して高齢者の居住する住居に立ち入ることは、刑法上の住居侵入罪に該当する可能性があることからやめておいた方がいいでしょう。 

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(北三方ケ森山頂)

2026年1月10日 (土)

【相続】 新日本法規 Q&A 相続財産の管理と処分

 昨年6月に新日本法規から出版されたQ&A相続財産の管理と処分です。

 この種の書籍はかなり多数出版されているので、むやみに買わないようにしなければなりませんね。この書籍も5170円と5000円を超えておりますので😅

 この中で、「内縁配偶者による建物の無償使用」、具体的なケースとしては、「被相続人Aは、生前、Bと内縁関係にあり、A所有の自宅建物で同居していました。Aの法定相続人は子であるCのみです。Aの死亡後も、Bは、自宅建物に住み続けています。CはBに対して、自宅の明渡や賃料相当額の支払いを求めることはできますか」という質問です。

 内縁の配偶者には相続権がないために建物明渡請求には合理的な理由があるように一見思えそうです。

 しかしながら、所有者となった相続人からの内縁配偶者に対する建物明渡請求に対しては、権利濫用あるいは使用貸借の成立を認めて、請求を否定した判例は少なくありませんと解説あれています。

 例えば、内縁配偶者に対する建物明渡請求が権利濫用にあたると判断したケース(神戸地判平成22年4月23日)、被相続人と内縁配偶者との間に使用貸借の成立を認めると共に、仮に成立が認められないとしても権利濫用に当たると判断したケース(名古屋地判平成23年2月25日)、さらに、内縁の妻が死亡するまでの間、無償使用させる意思があったとして、黙示の使用貸借を認めた事例(東京地判平成27年4月10日)などが紹介されています。

 田舎弁護士がまだ駆け出し弁護士のころですが、類似のご相談をいただき、どうなるかわからないという回答をしたことがあり、高齢の相談者の方ががっかりされたという苦い思い出があります。

 当時はこれらの裁判例はありませんが、今思うと、強力にサポートさしあげるべきだったと後悔することがあります。 

 ご相談者様の方のあの寂しそうな表情が今も忘れられません。 

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(楢原山)
 さて、みなさん、書籍の購入どうされていますか?
 経費節減のために電子書籍の導入も考えているのですが、他方で、電子版にすると、読まない可能性も多々あり、悩んでいます。
 とはいえ、田舎弁護士が駆け出し弁護士のころは、上京した際に大型の本屋さんを訪ねて大量購入するか、あるいは、松山の官報販売所や弁護士会を通じて購読することが多かったです。
 
 今は、大半がネット注文です。
 
 

2025年10月30日 (木)

【相続】 死亡前の預金口座からの出金

 判例タイムズNo1536号で掲載された東京高裁令和5年8月3日判決です。

 高裁は、夫Yが、亡妻Aの生前に、妻が管理していた妻名義の預金を引き出したことについて、当該預金の出捐者は専ら夫であり、口座名義及び管理状況のみをもって当該預金が妻に帰属していたものと認めることは困難であるとして、妻の子Xが相続したと主張する妻の夫に対する不当利得返還請求を認めませんでした。

 これに対して、原審は、本件預金は、YとAとの婚姻生活の中で、AがYからYの給与収入や自営業の利益を預かり、これを家計等に充てたりした後、余剰を自らの名義で貯蓄してきたものであり、Yの包括的な同意のもとで、A名義で形成されたものであるから、名義どおりAに帰属しているとして、Xの請求を認めました。

 高裁は、前記事情の下で、他方、Aは自営業を手伝うほかには就労等をしていなかったことから、本件預金出捐者は専らYと認定しました。

 

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(松山地裁今治支部)
 第1審と第2審とが大きく判断を異にしました。

2025年9月27日 (土)

【相続】 相続における使途不明金をめぐる実務

 新日本法規から出版された「相続における使途不明金をめぐる実務」です。 

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(湿地植物園)
 相続における使途不明金をめぐるケースですが、両親の面倒をほとんど見ていない兄弟姉妹から、両親の面倒を主として担当していた兄弟姉妹に対して、請求がされるケースが大半のように思います。
 多くは、献身的な介護をしていたにもかかわらず、領収書等を紛失してしまっているために説明に窮しているというケースです。
 ただ、中には、50万円、100万円と不定期に連続して大きな出金をしているという怪しい案件もあるように思います。
 本書を読んでおけば大きな間違いはなしに、裁判は進めることができるのではないかと思います。
 よく問題となるのが、被相続人から包括的な財産管理の委任があったことについて、委任契約書等の書面が残されていない場合、包括的な委任の有無はどのような事情を基に判断されるのかという点です。
 この点については、①被相続人が相続人に対して通帳等の財産を委託した経緯、②被相続人が相続人に対して通帳等の財産を委託した状況、③相続人による被相続人の財産管理の状況を踏まえつつ、包括的な委任の存在の有無が判断されることになると解説されています。
 また、次に、客観的な証拠がなくても被相続人のための支出があったと認められる使途にはどのようなものがあるのかという点です。
 これについては、従前の生活費相当額、被相続人の医療費、介護費、公租公課等の費用は、領収書がなくても認定される可能性があります。
 依頼を受けた時には、再度読み直そうと思いました。

2025年7月 9日 (水)

【相続】 遺産分割に関する改正

 弁護士専門研修講座・改正相続法の実務に収録された「遺産分割に関する改正」です。

 第1は、持戻し免除の意思表示の推定(民法903条4項)です。同法903条4項は、「婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。」と定めています。

 第2は、遺産分割前における預貯金の払い戻しです。2本立てです。1つめが、家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払い戻しを認める方策、もう1つめが、家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する方策です。

 第3は、一部分割の明文化です。

 第4は、遺産分割前になされた遺産に関する財産の処分ですが、処分をした相続人以外の相続人の同意が得られる場合には、遺産として存在するものとしてみなされることになりました。 

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(世田山) 

2025年7月 8日 (火)

【相続】 配偶者短期居住権・配偶者居住権

 ぎょうせいから出版された「弁護士専門研修講座」改正相続法の実務を、東京出張の行き帰りの時間帯で斜め読みしました😅

 ①配偶者居住権・配偶者短期居住権、②遺産分割に関する改正、③自筆証書遺言の方式緩和・遺言書保管方法等、④遺言執行者の権限の明確化等、⑤遺留分、⑥特別の寄与料と残された問題の、6つのテーマでした。

 本日は、①のテーマに沿って、配偶者短期居住権、配偶者居住権を見ていきたいと思います。 

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(世田山・笠松山)
 第1に、配偶者短期居住権のポイントとして、4つに整理されていました。
 (1)被相続人の所有建物に居住してきた配偶者が、被相続人の死後も最低6か月間、無償で居住し続けられる、暫定的な権利。
 
    なお、「配偶者」は法律上の配偶者を指すと言われているとのことです。
 (2)(高齢)配偶者の、当面の生活を(短期的に)保護するための制度。
 (3)自動的に発生する権利であり、設定行為は不要。対価も不要。
 (4)相続人に使用貸借権を推認する判例(最判平成8年12月17日)を参考にして、創設された。
 第2に、 配偶者居住権のポイントとして、5つに整理されていました。
(1) 被相続人の所有建物に居住してきた配偶者が、被相続人の死後も、自分が亡くなるまで無償で居住し続けられる権利。
(2) 遺産分割または遺言等によって設定することができる(しないこともできる)。
    なお、裁判所に審判における遺産分割の場合において、配偶者居住権の取得につき反対する相続人がいる場合には、要件が加重されています。
(3) 遺産をめぐる法律関係において、財産的価値を有する権利として計算される
(4) 賃借権に似た面もあるが、賃料支払義務はなく、配偶者が死亡すると消滅する
(5) 対第三者対抗要件として、登記が必要である。
 配偶者居住権の簡易な評価方法の計算式も紹介されています。
 一戸建て(築10年、木造、固定資産税評価額は建物1000万円、土地4000万円)を対象として存続期間15年の配偶者居住権を設定した場合
 ② 建物の配偶者居住権付小宇検の価額
   =0円(法定耐用年数を超過するので)※築10年で、15年後に期間満了したときは築25年になっていて、そのときには法定耐用年数(22年)を超過しているので、建物の将来価額は0円。従って、それを現在価値に引き直した配偶者居住権付所有権も現在価値は0円。
 ③ 敷地の配偶者居住権付所有権の価額
   =4000万円×0.642(存続期間15年、年利3%のライプニッツ係数)=2568万円
 ① 配偶者居住権の価額
   =(1000万円+4000万円)-(0円+2568万円)=2432万円
 もっとも、今のところ、この制度のご相談を受けたことはほとんどありませんね😅
  

2025年7月 1日 (火)

【相続】 遺留分の法律と実務

 ぎょうせいから出版された「遺留分の法律と実務」(第3次改訂版)を購読しました。

 遺留分ですが、田舎弁護士の事務所では、年に数件相談があり、数年に1,2つご依頼があるようなイメージですね。

 遺留分の具体的な計算の方法って、依頼を受けている時は理解しておりますが、依頼事件が終わるとすぐに忘れてしまいそうです。結構複雑ですよ。

 少し説明してみますね。

 ① 相続開始時に、被相続人が有した財産を確定し、評価額を出す(評価基準時は相続開始時)。

 ② 加算される生前贈与(ここでは、相続人に対すると、相続人でない第三者に対するとを問わない)を確定し、評価額を出す(評価基準時は相続開始時)。

 ③ 控除される債務額を確定し、評価額を出す。

 ④ 上記①+②-③により、遺留分算定の基礎となる財産の総額を確定する。

 ⑤ 上記④に遺留分の割合を乗じ、さらに各自の法定相続分を乗じて、各遺留分権利者の遺留分額を算出する。

 ⑥ 上記⑤の各個別の額から、当該遺留分権利者の生前贈与の額を控除する。

 ⑦ 上記⑥の各個別の額から、当該遺留分権利者の特定物遺贈及び相続させる遺言により取得した財産の額を控除する。

 ⑧ 上記⑦の各個別の額から、当該遺留分権利者が相続開始時の被相続人から取得し得る額を控除する。

 ⑨ 上記⑧の各個別の額から、各遺留分権利者が負担する債務の額を加算する。

 これを計算して、侵害されている遺留分の金額を算出することになります。 

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(深川江戸資料館)

 

 

2025年1月17日 (金)

【相続】 選任審判主文に掲げられた案文どおり遺産分割協議を成立させた特別代理人に、善管注意義務違反がないとされた事例 東京地裁令和5年9月22日判決

 このブログでも、昔、選任審判主文に掲げられた案文どおり遺産分割協議を成立させた特別代理人に賠償責任が求められた岡山地裁・広島高裁岡山支判の裁判例を紹介させていただいた記憶があります。

 今回は、特別代理人の責任を否定しました。

 裁判所は、まず、特定の遺産分割協議書案のとおり遺産分割協議をすることについての特別代理人を選任する旨の家庭裁判所の審判は、特定分割案のとおり遺産分割協議をすることが被後見人の利益を保護する観点から不相当ではないことを前提とすること、遺産分割は特別受益等を考慮して定められる具体的相続分を基準としてされるものであり、相続人である被後見人の死崇徳文がその法定相続分又は指定相続分に満たないような遺産分割協議であっても直ちに被後見人の利益を保護する観点から不相当であるとはいえないことからすると、

 特別代理人が特定分割案のとおり遺産分割協議をすることは、そのことが合理性を欠くと認めるべき特段の事情がない限り、特別代理人としての善管注意義務に違反するものではないと基準を示しました。

 そして、裁判所は、本件の特定分割案は、弁護士及び税理士が関与して作成され、Zの全ての遺産及びその分割方法が個別具体的に記載されていること、

 Xの法定相続分は25%であるのに対して特定分割案を前提とするXの取得割合は約19%であることを踏まえれば、

 特別代理人として選任され法律や会計に関し専門的な知識・知見を有しないYにおいて、Zの生前の事情などを考慮すれば遺産分割においてXの取得分が少なくなることも不当ではなく、特定分割案の内容は相当であると考えて特定分割案どおり遺産分割協議を成立させたことが合理性を欠くとうことはできないとして、Yには善管注意義務違反はないと判断しました。 

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(楢原山)
 岡山との事例の違いは、岡山は遺産の取得は約3%に取得に過ぎないこと、岡山の特別代理人は弁護士であったこと、岡山では遺産の漏れがあったこと、岡山では選任審判後に遺産分割協議が変更され再度の選任審判がされたことの違いがあるようです。

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