まず前提として、車両が全損のときは、時価が賠償の上限となります。
以下は、ぎょうせいの「速解交通事故判例調査 物件損害の算定」P2以下から一部引用しながら説明をしたいと思います。
(桑瀬街道)
時価をどのように認定するかについては、最高裁昭和49年4月15日判決は、以下のとおり述べています。
「いわゆる中古車が損傷を受けた場合、当該自動車の事故当時における取引価格は、原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額によって定めるべきであり、右価格を課税又は企業会計上の減価償却の方法である定率法又は定額法によって定めることは、加害者及び被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のない限り、許されないと判示しております。
中古車市場において取得しうるに要する価額によると判示し、中古車市場価格がない場合には特段の事情があるとされています。
次に、問題になるのが、中古車市場において取得しうるに要する価額です。
一般的には、レッドブック(オートガイド自動車価格月報)を参照にされています。
例えば、東京地裁令和3年1月8日判決は、被告車両(普通乗用自動車)の損害(全損)について、走行距離(1万9076キロメートル)を考慮して、レッドブック価格の170万円に消費税分を加算した183万6000円を時価相当と認めています。
問題は、レッドブックに価格がないような限定車等の場合です。
まず、限定車の例です。
名古屋地裁令和3年7月28日判決は、限定車である原告車(トミー海良M20)の時価につき、ベース車(日産スカイラインR31)の販売価格に大きな幅がある状況を踏まえ、初年度登録時~の経過時間(30年)や走行距離(23キロメートル)を過大視するべきではないとし、市場における価格の設定状況、ベース車がクラクションカーとして認識されていること、販売当初に比して希少性の高まりが推認されること等を踏まえて、原告車購入時(事故約20年前)の価格に20%を加え、120万円と認めました。
次に、希少車の例です。
東京地裁平成30年12月20日判決は、被害者(平成8年式ポルシェ911ターボ)の損傷による損害につき、同車の発売当時の価格は1680万円であるが、インターネット上の中古車販売サイトの日米両国による価格(1680万円~2474万円)等及び同車の走行距離(3万7878キロメートル)を考慮して、事故当時の時価額は2000万円を下らないとし、被害車の修理に要する部品の一部は生産が中止されていること等によって、物理的にも経済的にも修理することができない状態になったとして、時価2000万円をもつて車両損害額と認めました。
最近では、インターネット上の中古車販売価格も参考にされているようですね。
最近のコメント