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【消費者法】

2025年12月23日 (火)

【消費者法】(速報)LPガス設置費用は、請求不可 最高裁

(事案の概要)

 LPガス販売事業者である原告は、住宅販売業者が販売する戸建て住宅にLPガスの配管等の設備(以下「本件ガス設備」という。裏面参照)を設置し、その後、上記住宅を購入した被告らとの間でLPガスの供給等に関する契約(以下「本件供給契約」という。)を締結した。本件供給契約には、LPガスの供給が開始された日から10年が経過する前に被告らによる解約等によって本件供給契約が終了した場合、被告らは、本件ガス設備の設置費用として、所定の算定式に基づいて算出される金額を原告に支払う旨の条項(以下「本件条項」という。)があったが、本件供給契約はいずれも10年以内に終了した。

 本件(6件)は、原告が、被告らに対し、本件条項に基づき、本件ガス設備の設置費用等の支払を求める事案である。

 これに対し、被告らは、本件条項は、消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの。以下同じ。)9条1号にいう「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」(以下「違約金等条項」という。)に当たる上、原告には同号にいう平均的な損害(以下「平均的な損害」という。)はないから、本件条項は、その全部が無効になるなどと主張して争っている。 

(原判決及び争点)

 ①原判決のうち3件は、本件条項は、本件ガス設備の設置費用の支払いについての合意であって、違約金等条項に当たらないなどとして原告の請求を認容した。他方、原判決のうち3件は、本件条項は違約金等条項に当たり平均的な損害はないなどとして原告の請求を棄却した。

 ② 本件の主な争点は、本件条項の解釈等である。 

(最高裁)

                   主文
原判決を破棄する。
被上告人の控訴を棄却する。
控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。

                   理由
上告代理人難波幸一の上告受理申立て理由(ただし、排除されたものを除く。)について
原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
⑴ 被上告人は、液化石油ガス(以下「LPガス」という。)の供給等を業とする株式会社である。
⑵ 被上告人は、令和元年頃、株式会社東栄住宅が販売する戸建て住宅(以下「本件住宅」という。)にLPガスの消費設備に係る配管及びガス栓(以下、併せて「本件消費設備」という。)を設置したが、本件消費設備の部品代金や設置費用、給湯器やそのリモコンの設置費用等(以下、本件消費設備と給湯器等を併せて「本件消費設備等」といい、本件消費設備等の設置費用等を「本件設置費用」という。)を東栄住宅に請求しなかった。
⑶ 上告人は、令和元年6月、東栄住宅から本件住宅を購入した。その際、東栄住宅は、上告人に対し、東栄住宅が指定するLPガス販売事業者である被上告人からLPガスの供給を受ける必要があるなどと説明した。
⑷ 上告人は、令和元年7月、被上告人との間でLPガスの供給等に関する契約(以下「本件供給契約」という。)を締結し、本件住宅へのLPガスの供給を受けるようになった。
⑸ 本件供給契約に係る契約書には、次のような条項がある。 
ア 被上告人が本件住宅にLPガスを供給する期間は、供給開始日から10年以上とする。
イ 被上告人が負担した本件設置費用は21万円(消費税込み)であり、上告人が被上告人から本件住宅へのLPガスの供給を受けている間、被上告人はこれを請求しない。
上告人は、供給開始日から10年経過前に本件住宅へのLPガスの供給を終了させる場合、本件設置費用に関し、被上告人に対し、次の算定式で得られた金額(以下、当該算定式で得られる金額を「本件算定額」という。)を、供給終了後、直ちに支払う(以下、この条項を「本件条項」という。)。
(算定式)
21万円-{21万円×0.9×(供給開始日から供給終了日までの経過月数/120)}
⑹ 本件消費設備は、本件住宅に付合しており、本件供給契約が締結される前から上告人がこれを所有している。
上告人は、令和3年6月、被上告人に代わって日本瓦斯株式会社から本件住宅へのLPガスの供給を受けることとし、被上告人からの供給は終了した。

本件は、被上告人が、本件条項は、本件設置費用に関し、上告人に本件算定額の支払義務があることを定めた合意である旨主張し、上告人に対し、本件算定額である17万3775円及び遅延損害金の支払を求める事案である。

 上告人は、本件条項は、消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの。以下同じ。)9条1号にいう「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」(以下「違約金等条項」という。)に当たり、本件供給契約と同種の消費者契約の解除に伴って被上告人に生ずべき平均的な損害は存せず、その全部が無効になるなどと主張して争っている

原審は、前記事実関係等の下、本件条項は、10年間にわたって上告人から被上告人に対して支払われるガス料金の中から回収することが予定されていた本件設置費用について、その未回収分を上告人において支払う旨の合意であって、違約金等条項に当たらないと判断し、被上告人の請求を認容した。

4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。 その理由は次のとおりである。

⑴ 被上告人は、本件住宅に本件消費設備等を設置しながら、東栄住宅に対して本件設置費用を請求しておらず、上告人は、本件住宅の購入に当たって東栄住宅より被上告人からLPガスの供給を受ける必要がある旨説明を受けていた。このことからすると、被上告人は、東栄住宅の協力の下に、本件住宅を購入した者との間で優先的にLPガスの供給契約の締結について交渉することができる事実上の地位を確保するため、自らの判断で本件設置費用を東栄住宅に請求しなかったということができる。また、被上告人は、上告人と本件供給契約を締結するに当たり、上告人が被上告人からLPガスの供給を受けている間は上告人に本件設置費用を請求しないこととするとともに、本件条項により、上告人が供給開始日から10年経過前に本件供給契約を終了させる場合は、経過期間に応じて本件設置費用に関して支払われるべき本件算定額を逓減させることとしていたが、これらは、本件供給契約を締結するように上告人を誘引し、併せて本件供給契約が短期間で解約されることを防止し、本件供給契約を長期間維持するためのものであったといえる。このような本件供給契約の締結に至るまでの経緯及び本件供給契約の内容からすると、本件設置費用は、本件供給契約を獲得し、これを長期間維持するために先行投資された費用ということができる。


 また、本件条項は、一見すると、本件消費設備等の設置の対価として本件算定額の支払義務を定め、上告人が10年間にわたって被上告人に支払うガス料金から本件設置費用を回収することを予定するものであったようにもみえる。 しかしながら、本件供給契約上、本件算定額は供給開始日から10年が経過するまでの間において1か月ごとに一定額ずつ減少するとされているものの、10年経過後には上告人が被上告人に支払うべきガス料金が減額されるという定めはなく、本件設置費用とガス料金との関係は明確にされておらず、本件設置費用がガス料金から回収されることになっていたのかも明らかではない。このような本件供給契約の内容に加え、被上告人が、本件供給契約と同種のLPガスの供給契約を多数締結しているLPガス販売事業者であることからすると、被上告人においては、既に消費設備の設置費用の回収が終わっている契約者に対し、従前と同様のガス料金を設定するなどし、他の契約者の消費設備の設置費用を負担させることができるような料金体系となっていて、実際には、上告人のみならず、契約者全体から得られるガス料金から本件設置費用を回収する仕組みとなっていたことがうかがわれる。これらのことからすると、本件算定額が本件消費設備等の設置の対価といえるものかどうかは明らかではないといわざるを得ない。
 

 以上からすると、本件条項は、本件消費設備等の設置の対価を定めたものではなく、本件供給契約が供給開始日から10年経過前に解約されるなどして被上告人がその後のガス料金を得られなくなった場合に本件算定額の支払義務を負わせることで、短期間の解約が生ずることを防止し、本件供給契約を長期間維持することを図るとともに、併せて先行投資された本件設置費用に関して被上告人が被る可能性のある損失を補てんすることも目的の一つとするものというべきであり、実質的にみると、解除に伴う損害賠償の額の予定又は違約金の定めとして機能するものということができる。したがって、本件条項は、違約金等条項に当たるというべきである。
以上と異なる見解の下に、本件条項が違約金等条項に当たらないとした原審の上記判断には法令の解釈適用を誤った違法がある。


本件条項が違約金等条項に当たることからすると、本件算定額の全部又は一部が、本件供給契約と同種の消費者契約の解除に伴い被上告人に生ずべき平均的な損害、すなわち、一人の消費者と被上告人との間で、本件供給契約と同種のLPガスの供給契約が解除されることによって被上告人に一般的、客観的に生ずると認められる損害の額を超えるものである場合、本件条項は当該超える部分について消費者契約法9条1号により無効となる。そして、この点について、本件条項の目的の一つが、先行投資された本件設置費用に関して被上告人が被る可能性のある損失を補てんすることにあることからすると、LPガスの供給契約が解除されてそれ以降のガス料金を得られなくなると、被上告人において先行投資費用として負担した消費設備に係る設置費用の未回収分の損害が生じたようにみえなくもない。
  

 しかしながら、上記のとおり、供給開始日から10年が経過しても上告人が被上告人に支払うべきガス料金が減額されることになっておらず、本件設置費用とガス料金との関係が不明確なものとされていたという本件供給契約の内容等からすると、被上告人において、ある契約者に係る消費設備の設置費用は、契約者全体から得られるガス料金から回収する仕組みとなっていたものというべきである。

 このことに加え、本件供給契約と同種のLPガスの供給契約においてLPガスの価格に法令上の規制がなく、LPガス販売事業者は自由にガス料金を設定することができることも併せて考慮すると、被上告人としては、解除時点では消費設備に係る設置費用の全部を回収できていない契約者が一定数生ずるという事態が起きることを見越し、利益が確保できるように契約者全体のガス料金を適宜設定し、設置費用が未回収となったことの負担を他の契約者に転嫁することが可能になっていたといわざるを得ない。そうすると、上記事態が起きたとしても、被上告人に上記未回収分の損害が生じたとはいえないというべきである。

 そして、他に、本件供給契約と同種の消費者契約の解除に伴い被上告人に生ずべき平均的な損害に当たり得るものは見当たらない。

 以上からすると、本件供給契約と同種の消費者契約の解除に伴い被上告人に生ずべき平均的な損害は存しないというべきである。
したがって、本件条項は、その全部について消費者契約法9条1号により無効となるというべきである。


5 以上によれば、原審の上記違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであって、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上に説示したところによれば、被上告人の請求は理由がなく、これを棄却した第1審判決は是認することができるから、被上告人の控訴を棄却すべきである。よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する

なお、裁判官林道晴の補足意見がある。
裁判官林道晴の補足意見は、次のとおりである。
 私は、法廷意見に賛同するものであるが、補足して若干意見を述べておきたい。本件は、かねてからLPガス販売事業において「無償配管」や「貸付配管」と呼ばれていた商慣行(以下「無償配管の商慣行」という。)に関する法的問題点のうち、消費者契約法に関するものについて判断を示したものである。無償配管の商慣行とは、戸建て住宅の建築の際、建設業者等が、提携しているLPガス販売事業者に当該住宅の消費設備に係る配管(以下「屋内配管」という。)の工事を無償で行わせ、当該LPガス販売事業者は、当該住宅の購入者等(以下「家主」という。)とLPガスの供給契約を締結する際に、屋内配管の設置費用を一括して請求せず、当該家主が所定の期間内に当該供給契約を解約するなどの場合に、当該設置費用の精算を求めるというものである。無償配管の商慣行については、本件のように、ガス料金と設置費用との関係が不明確なものとされていることが多く、そのことによってガス料金が不透明なものとなっている上、家主が短期間で解約しようとすると高額な設置費用を一挙に支払うことを余儀なくされるため、LPガス販売事業者を選択する自由を阻害するおそれがあるなどの問題点のあることが指摘されており、これまでその是正に向けた取組が経済産業省や公正取引委員会等によって種々行われてきた。そして、令和6年7月2日に改定された液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針において、今後、無償配管の商慣行を行わない方向で取り組んでいくことが望ましい旨が明記されるに至ったものの、本件条項と同種の条項の法的性質やその効力をはじめとする複数の重要な法的問題点(本件では、被上告人は、屋内配管が本件住宅に付合し、上告人がその所有権を有することについて争っていないが、屋内配管が戸建て住宅に付合するか否かなども上記法的問題点の一つといえる。)について、いまだその解釈等が定まっていなかった。
 本判決は、無償配管の商慣行を巡る上記現状に鑑み、本件条項が、違約金等条項に当たり、消費者契約法9条1号により全部無効となるとする判断を示したものである(なお、最高裁令和6年(受)第1373号同7年12月23日第三小法廷判決は、屋内配管が原則として戸建て住宅に付合するものであることなどについて判断を示している。)。もっとも、本判決が消費者契約法9条1号の平均的な損害について述べたところは、大量取引を前提とした継続的なLPガスの供給契約において、LPガス販売事業者が、供給契約全体で発生するリスクを計算してガス料金を適宜設定できる立場にあるということのみならず、屋内配管の設置費用とガス料金との関係をあえて不明確なものとすることで、ある契約者に係る設置費用を当該契約者からだけではなく、契約者全体から回収するという仕組みを構築していたことに着目してなされた判断である。そして、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則16条15号の7(令和6年経済産業省令第32号(令和7年4月2日施行)による改正後のもの)は、LPガス販売事業者に対し、基本料金、従量料金及び消費設備等に係る費用の三つに整理してガス料金等を請求するという、いわゆる三部料金制を採用することを義務付けているところ、LPガス販売事業者が、屋内配管の所有権が家主に帰属することを前提として、三部料金制の下、家主が月々負担すべき設置費用の額を基本料金及び従量料金と区別して請求するような場合には、本判決の射程は当然には及ばなくなるものと解される。LPガス販売事業者においては、今後、三部料金制を徹底するなどし、ガス料金の透明化を図ることが望まれるところである。
(裁判長裁判官 林 道晴 裁判官 渡辺惠理子 裁判官 石兼公博 裁判官平木正洋 裁判官 沖野眞已)

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(朝倉野々瀬古墳2号)

2025年11月 8日 (土)

【消費者法】日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座~基本法編~第2回割賦販売法(2018年)をWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座~基本法編~第2回割賦販売法(2018年収録)をWEBで受講しました。 講師は塩地陽介弁護士です。

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(カナメノタニ)
第1 本講義の概要
  ※本講義では、主に
    契約書型クレジット=個別クレジット
    クレジットカード=包括クレジット
    についての消費者保護規程=民事ルールを中心に概説。 
  ※割賦販売法の章立て
    第3章 信用購入あっせん
     第1節 包括信用購入あっせん クレジットカード
     第2節 個別信用購入あっせん 契約書型クレジット
第2 割賦販売法上の契約類型
  ★信用購入あっせん ~いわゆるクレジット
   (典型例)
     ①消費者と販売業者間で売買契約
     ②信販会社が販売業者に代金を立替払い
     ③消費者は信販会社に対して代金を後払い(2ヶ月を超えて後払いする場合) ※翌月一括払い(マンスリークリア)は対象外
第3 クレジット被害とクレジットの仕組み
 1 典型的なクレジット被害
  (1)ココ山岡事件(5年後買戻し商法) ダイヤモンド販売会社のココ山岡は、90万円以上のダイヤモンドを買えば、5年後にはその販売価格で買い戻すという特約によって販売
  (2)訪問勧誘による次々リフォーム被害 リフォーム業者が高齢者等をターゲットにして訪問勧誘で必要のない高額なリフォーム工事契約を次々に締結し、その代金をクレジットで支払わせていたため、被害が高額化した
  (3)いわゆるサクラサイト被害 サクラサイトとは、サイト業者に雇われたサクラが異性、芸能人、社長、弁護士、占い師などのキャラクターになりすまして、消費者のさまざまな気持ちを利用してサイトに誘導して、メール交換等の有料サービスを利用させ、その都度に支払いを続けさせるサイトの総称 
     インターネット、スマートフォンの普及により、被害が拡大。利用料の支払いにはクレジットカードも多く利用されている。
 2 クレジットの仕組み
 (1)個別クレジット(契約書型クレジット)
   法2条4項、35条の3の2以下
 (2)包括クレジット(クレジットカード)
   法2条3項1号、2号、30条以下
   ①オンアス取引 →クレジットカード発行会社(イシュア)と加盟店契約者(アクワイアラー)が同じ会社である場合の取引
   ②ノンオンアス取引(オフアス取引) →イシュアとアクワイアラーが異なる会社である場合の取引
   ③決済代行業者(PSP)
     ※零細な店舗などは直接D(アクワイアラー)の加盟店になれない場合がある。B(販売業者)は、Dの加盟店であるE(決済代行業者)を通じて、クレジット決済を利用できるようになる。EはBのような加盟店である包括加盟店という立場。
   ④国際ブランド(ビザ、マスター、JCB等)
第4 救済手段(割賦販売法上の民事ルール等)
 1 個別クレジット被害の救済手段
   平成20年改正で、個別クレジットに関する消費者保護のための民事ルールを強化
   訪問販売等、特定商取引法が適用される契約での、個別クレジットを利用した悪質商法による被害の増加に対応
   法改正後は、個別クレジットを利用した悪質消費者被害は減少
  ① クーリング・オフ 法35条の3の10・11
    (要件)
    販売契約等の代金支払いに個別クレジットを利用
    販売契約等が特商法の訪問販売等の5類型に該当
     特商法の訪問販売等の5類型
      訪問販売(訪販)  営業所以外、キャッチセールス、アポイントメントセールス等
      電話勧誘販売(電話)
      特定継続的役務提供(特役) エステ、英会話教室等
      連鎖販売取引(連鎖)    マルチ商法
      業務提供誘引販売(業提)  内職商法
       なお、通信販売、訪問購入は対象外
     (行使期間) ※特商法のクーリング・オフ期間と同様
      契約書面または申込書面交付日(≠契約日)のいずれか早いほうから起算して、以下の日数。
      8日間(訪販・電話・特役)
      20日間(連鎖・業提) ※お金が稼げることが内容なので慎重に
      ※個別クレジット業者に書面交付義務あり ⇒不交付や書面不備の場合は、クーリング・オフ期間は進行しない。いつまでもクーリング・オフを行使できる。
     (行使方法)書面による通知(クレジット会社のみで可) 
   
  ② 過量販売解除権 法35条の3の12
     (要件)
      訪問販売で、通常必要とする分量を著しく超える商品等の販売契約を締結 ※特商法で販売契約の解除可能
      当該訪問販売の代金支払に個別クレジットを利用 ※販売業者・クレジット会社に適量性の認識は不要
     (行使期間)
      契約締結の日から1年間
     (行使方法)
      クレジット会社と販売業者の双方に通知
  ③ 不実告知等取消権 法35条の3の13以下
     (要件)
      販売契約等の代金支払いに個別クレジットを利用
      販売契約等が特商法の訪問販売等の5類型に該当
      販売契約において不実告知等の特商法上の取消事由が存在
        ※三面契約のクレジット契約においては、販売契約の瑕疵がただちにクレジット契約の瑕疵とはなるわけではない
        ※個別クレジット契約は販売業者がクレジット契約の締結を媒介するので媒介者の法理(CF消契法5条)により取消権を認めた
     (効果) ※原状回復=契約関係の巻き戻し
      消費者 ⇒個別クレジット業者に対する既払金返還請求権
      販売業者 ⇒個別クレジット業者に対する代金返還義務
      クレジット業者 ⇒消費者に対する代金請求禁止
     (行使期間)
      追認できるときから1年間
      個別クレジット契約締結から5年間
  ④ 消契法4条3項による個別クレジット契約の取消
     (要件)
      販売契約が消費者契約法4条3項に該当
      当該販売契約の支払に個別クレジットを利用
       ※消契法4条3項は、販売業者の不退去または退去妨害によって消費者が困惑して契約した場合の取消権
       ※販売契約が不退去または退去妨害によって困惑して締結された場合は、その代金支払いのための個別クレジット契約も同様に困惑して契約したことになるから、消契法4条3項の適用により取り消すことができる
       ※特商法の5類型に限らない = 店舗販売等でも適用あり
2 個別・包括クレジット被害共通の救済手段
 ◎抗弁対応 ※法30条の4(包括)、法35条の3の19(個別)
   (要件)
    販売契約についての抗弁事由の存在
    当該販売契約の代金の支払に信用購入あっせんを利用(契約書型・カード型を問わない)
     ※販売契約は特商法の訪販等5類型に限られない(店舗販売や通信販売でも可)
     ※個別クレジットだけでなく包括クレジット(クレジットカード)の場合でも適用あり
   (効果)
    消費者は、未払クレジット代金の支払拒絶ができる
    ※抗弁対応では、不実告知等取消権のように、クレジット会社に対する既払い金返還請求が認められるわけではない
    ※既払クレジット代金相当額は、販売業者に対して請求する必要がある(販売業者が倒産しているような場合は回収できず、消費者が損害を負担することになる)
    ※クレジット代金完済後に詐欺等が分かった場合で、販売業者が逃げてしまっている場合には、抗弁対応では不十分
3 包括クレジット被害の救済手段
 ★チャージバック(※割賦販売法上野制度ではない)
  消費者の申出により、イシュアーが、アクワイアラーに対して売上の取消を請求する。チャージバックリーズンに該当すれば売上が取り消され、消費者が支払いを免れる
  ※チャージバックリーズンは、国際ブランドごとに定められている
  ※盗難や紛失、不正使用等の場合は該当するが、詐欺取消(サクラメント、ワンクリック詐欺等)の場合は具体的な事情により該当しないこともある
4 一般条項
 ① 信義則違反・公序良俗違反
    販売業者が違法・不当な販売契約
     ⇒クレジット会社が知り又は知ることができたのに、漫然とクレジット契約を締結
     ⇒その代金を消費者に請求することは信義に反する
             ↓
      クレジット代金の支払拒絶、損害賠償請求
    クレジット契約自体が公序良俗に反して無効
             ↓
      クレジット代金の支払拒絶、既払金返還請求
 ② 共同不法行為
    販売業者が違法・不当な販売契約
     ⇒クレジット会社が知りながら、または、容易に知ることができたのに、クレジット契約を締結
     ⇒消費者に損害を発生させたりこれを助長させた
      クレジット会社と販売業者の共同不法行為が成立
第5 割賦販売法の適用対象外の取引
 1 マンスリークリア(2ヶ月以内の後払い)
   ※クレジットカードの取引の多くは翌月一括回払い
   ※抗弁対応も使えないため消費者保護にとって不十分
 2 指定権利制
   ※平成20年改正で指定商品・指定役務制は廃止されたが、指定権利制は存続している(エステ等7種類のみ)
 3 営業のために若しくは営業として締結するもの
   ※個人事業主がクレジット被害にあった場合
   ※事業者向けクレジット Cf リース契約
 4 自動車、飲食店、マッサージ等
   ※クーリング・オフや書面交付義務が適用除外

2025年11月 6日 (木)

【消費者法】 日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座 分野別編 第3回 電子商取引における消費者トラブルについてをWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座分野別編第3回電子商取引における消費者トラブルについて(2022年)をWEBで受講しました。講師は、星源直子弁護士です。 

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(火災後の笠松山)

パート1 電子商取引とは

 1 電子商取引とは

 2 消費者向け電子商取引の特徴

 3 電子商取引に関する消費者事件での基本方針

    利用規約、補償制度の存在、交渉による解決が多い(判例が少ない)

     ⇒前例にとらわれず積極的な主張

パート2 総論ー各類型に共通のもの

 1 電子商取引及び情報財取引等に関する準則(経済産業省)

    ⇒全396頁 経済産業省が現行法の解釈についての1つの考え方を提示するもの 固い解釈であるが多様な論点が掲載されている

 2 契約の当事者

    ⇒相手方が事業者でないと、消費者保護のための法律は適用されない

    ⇒特定商取引法に基づく表記(同法11条)

    ⇒プロバイダ責任制限法の発信者情報の開示はできない

 3 契約の成立

    ⇒申込と申込の誘引(準則Ⅰ-1)

      インターネットのサイトは原則的には申込の誘引

      自動返信の注文受付メールも承諾に当たらない

    ⇒承諾通知の到達主義

      民法改正により一般の契約成立と同様になった

    ⇒規約の有効性(準則Ⅰー2-3)

     ①利用者がサイト利用規約の内容を事前に容易に確認できるよう適切にサイト利用規約のウェブサイドに掲載して開示されていること

     ②利用者が開示されているサイト利用規約に従い契約を締結することに同意していると認定できること

 4 未成年者

   準則(Ⅰー4)

    ⇒親権者の同意(民法5条1項)

      キャリア課金

    ⇒処分を許した財産(民法5条3項)

    ⇒詐術(民法21条)

      ※単に成年ですかとの問いにはいのボタンをクリックさせる場合 ⇒詐術に当たらない

      ※利用規約の一部に未成年者の場合は法定代理人の同意が必要ですと記載してあるのみである場合 ⇒詐術に当たらない

    ⇒取消後⇒現存利益の返還(データの消去)

    ⇒アップル、グーグル等との交渉 

 5 錯誤

   準則(Ⅰー1-2)

    ⇒民法95条

    ⇒電子消費者契約法3条(錯誤取消の特例措置)

      民法95条1項1号の錯誤(表示の錯誤。意図しない申込みや意図と異なる内容の申込み)の場合は、民法95条3項の重過失の規定が適用されず、消費者は重過失があったととしても、意思表示を取り消すことが出来る。操作ミス等による表示の錯誤を想定

    ⇒事業者側が、消費者の申込み内容等の意思を確認する措置を設けていない場合には、原則として、操作ミスによる契約は無効となる。

 6 消費者契約法・割賦販売法等

    ⇒最高裁平成29年1月24日判決 事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても、そのことから直ちにその働きかけが(消費者契約法)法12条12項1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできないというべきである。

パート3 各論ー紛争類型別の注意点

 1 ネット通販

   特商法取引の通信販売 ⇒ クーリングオフはできない

   ①法定返品権(特商法15条の3)

     ○広告上及び最終申込み画面における返品(不可)特約の表示が「容易に認識できる方法」でなされていれば特約は有効

     ○通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン

     ○商品、特定権利    ×役務は×(音楽配信、ゲームのアイテム)

     ○返品に関する送料は購入者負担

    詐欺的な定期購入

     ○定期購入でないと誤認させる表示によって申込をした場合に申込の取消が認められる(特商法15条の4)

     ○契約の解除の妨害に当たる行為の禁止(特商法13条の2)

   ②なりすまし(準則Ⅰ-3)

     原則 本人に効果帰属せず 例外 表見法理

     アカウントの無断利用 ID、パスワードが一致した場合には本人に効果帰属

    ※クレジットカード無断利用

       会員契約 ⇒以下の場合は補償されない ⅰ善管注意義務違反 ⅱ紛失盗難後速やかに届け出ない ⅲ家族同居人等の不正

            ⅳ 故意、重過失  等

       長崎地裁佐世保支部平成20年4月24日判決 会員に重過失がない場合は、責任を負わない

   ③インターネットショッピングモールの責任

     原則 責任を負わない 例外 名板貸、トラブル放置(準則Ⅰ-6)

     知財高裁平成24年2月14日判決 商標権侵害の事案

   ④補償制度

   ⑤取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(取引DPF法)

 2 ネットオークション・フリマサービス

   準則Ⅰー8-2、Ⅰー8-5

   ①消費者保護法規の適用の可否

      原則 消費者対消費者

      例外 営利の意思を持って反復継続して販売を行う場合は、法人個人を問わず事業者に該当

      インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン

   ②契約の成立時期

     ⇒利用契約による

         ヤフオク → お客様間の商品等の販売又は提供にかかる契約は、取引条件に関する双方の意思が合致したときに成立します

         メリカリ → 購入者が出品された特定の商品の購入完了手続をした時をもって当該商品の売買契約が成立したものとします

   ③ノークレーム・ノーリターン(準則Ⅰー84)

     担保責任免除特約(事業者であれば消費者契約法で無効)、返品(不可)特約

   ④サービス運営事業者の責任

     一定の注意義務がある 取引DPF法

   ⑤補償制度

     ヤフオク 決済完了から8日後~12日後の間に返金申請

     メルカリ 取引が完了するまで購入代金を預かる

 3 サクラメイト

   ⇒サイト業者に雇われたサクラが異性、芸能人、社長、弁護士、占い師などのキャラクターになりすまして、消費者のさまざま気持ちを利用し、サイトに誘導し、メール交換等の有料サービスを利用させ、その度に支払いを続けさせるサイト(国民生活センター)

   ⇒東京高裁平成25年6月19日判決 メールの不自然、不合理性からサイト業者の詐欺行為を認定

   ⇒直ちに交渉を開始する(※すぐにサイトが消える~)

   国際ロマンス詐欺

    SNSやマッチングアプリなどインターネットで知り合った外国人と親しく連絡をとりあううちに送金を迫られる(国民生活センタ-)

      送金の理由は渡航費や荷物を送る際の通関料など様々

      暗号資産で送金してしまった場合は、追跡が困難

 4 サススクリプション(サススク)

   ⇒サブスクリプションとは、定められた料金を定期的に支払うことにより、一定期間、商品やサービスを利用することができるサービスのこと

   ⇒解約しない限り、自動で更新される

   ⇒解約手続の際、登録情報が必要になる

 5 携帯電話・インターネット接続回線

   ⇒電気通信事業法の初期契約解除制度 書面での申し出が必要

   ⇒確認措置

 6 越境(海外)取引

   ⇒日本の消費者保護法規が適用される

   ⇒日本が管轄

   ⇒本当に海外の業者か?

   ⇒真に海外の業者であった場合 

 

2025年10月28日 (火)

【消費者法】 日弁連総合研修サイト消費者契約法第3次改正の概要(2022年5月改正)をWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト消費者契約法第3次改正の概要(2022年5月改正)をWEBで受講しました。講師は、平野嘉晃弁護士です。

第1 改正の経緯

 2000年 消費者契約法成立

 2016年 改正法(第1次)

 2018年 改正法(第2次) 附帯決議

 2022年 改正法(第3次)

第2 第3次改正の内容

1 契約の取消権の追加

(1)勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘する(第4条第3項第3号)

  【要件】

   ①当該消費者契約の締結について勧誘することを告げずに

    ※契約類型毎にみて、事前に(移動前に)不意打ち的な事態が解消される程度に勧誘を受ける契約の内容の詳細が明らかにされていることが必要である

   ②当該消費者が任意に退去することが困難な場所であること

    ※物理的だけでなく、心理的にみても退去困難である場合も考えられる

   ③②を知りながら    

   ④当該消費者をその場所に同行し

    ※消費者を移動させるという事業者の行為態様があれば、この要件に該当する

    ※同行しについては、移動先への案内行為があれば足りる

   ⑤その場所において当該消費者契約の締結について勧誘すること

(2)威迫する言動を交え相談の連絡を妨害する

   ※検討会報告書では、心理状態に着目した規定について、消費者に慎重な検討をさせないように仕向ける等の問題に着目した方向性が示された。検討会報告書を基礎として、威迫する言動を交えて相談の連絡を妨害した場合の取消権を困惑類型として追加することとした。

 【要件】

  「当該消費者が当該消費者契約の締結の勧誘を受けている場所において、当該消費者が当該消費契約を締結するか否かについて相談を行うために電話その他の内閣府令で定める方法によって当該事業者以外の者連絡する旨の意思を示した

   ※消費者を移動させることは本号では予定されていないんだね

   ※相談を行う方法は、連絡する方法として通常想定されるものでいいんだね

   ※連絡をする旨の意思を示したとは、黙示的な示し方でもいいんだね

  ②「にもかかわらず、威迫する言動を交えて、当該消費者が当該方法によって連絡することを妨げる」

   ※威迫する言動とは、畏怖、恐怖心を生じさせる強迫(民96条1項)とは異なり、不安や戸惑いを感じさせる言動で足りる

(3)契約前に目的物の現状を変更し原状回復を著しく困難にする

   ※債務の履行以外でも、取り消しができるように修正したものである

2 解約料の説明に関する規定

(1)消費者に対し算定根拠の概要の説明

   第9条第2項

  【要件】

   ①当該消費者から説明を求められたとき

   ②算定根拠の概要

    ⇒具体的数字を用いた説明がどこまで必要かについては、一般消費者が主体の場合は、適格消費者団体が主体となる場合と比較して、秘密保持義務の有無、具体的数字を理解する相応の専門性等の専門性等の相違があることから必ずしも必須とはしていない。その意味で、本項では概要としている。しかし、算定の根拠の説明は、数字を抜きにしてはなしえない場合もあり、その場合には数字の説明も求められる。

(2)適格消費者団体に対し算定根拠の説明

   第12条の4  

 検討会報告書では、利用主体を、適格消費者団体等に限定する代わりに、粗利益、原価、再販率等といった類型の営業秘密については、それが平均的な損害の額を算出するにあたって必要であれば、適格消費者団体に開示されることが予定されている

 【要件】

 ①平均的な損害の額を超えると疑うに足りる相当な理由があるとき

  ※例として、当該事業者の同業他社と比較して違約金等が高額である場合

 ②内閣府令で定めるところにより、当該条項を定める事業者に対し、その理由を示して

  ※内閣府令第1条の4

 ③損害賠償の額の予定又は違約金の算定の根拠

 1.違約金等の算定の根拠とは、事業者が算定に際して、①考慮した事項・要素、②これらを考慮したことの合理的根拠、③使用した算定式、④その算定式の合理的根拠、⑤金額が適正であると考えた合理的理由等を意味する

 2.①の考慮した事項・要素としては、当該消費者契約における承認・権利・役務等の性質、解除の時期、解除の事由・事情、消費者契約の代替可能性、費用の回復可能性などがある。

 3.①考慮した事項・要素あるいは③使用した算定式の内容や合理的根拠の説明に際して、粗利率、原価、再販率等の具体的数字が必要な場合には、その数字についても説明することが、合理的理由の説明のために必要になると考えられる。

 【例外要件】 営業秘密が含まれる場合その他の正当な理由がある場合

 ※粗利率、原価、再販率等と言った類型の営業秘密については、形式上営業秘密には該当するとしても、違約金の算定の根拠にした以上は、正当な理由がある場合に該当しないと考えるべきである。

3 免責の範囲が不明な条項の無効

 法第8条第3項 

 ※平成30年改正によって、事業者は、消費者にとって消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ消費者にとって平易な契約条項を作成するよう配慮する努力義務を負うこととされた(第3条第1項第1号)。しかし、事業者の損害賠償責任に関して「法律上許される限り賠償限度額を10万円とする」のように、いわゆるサルベージ条項の使用例が後が絶たない。そこで、第3条第1項第1号の内容を、事業者の損害賠償責任に限定してではあるが、禁止規定として、格上げしたものが本規定である。

 ※軽過失の場合に限定した条項であることが、読み取れない条項が、本項で無効となる。

4 事業者の努力義務の追加

 ※努力義務であっても法的義務であるため、努力すらせず放置している場合には、法的義務違反となり、民法の信義則あるいは709条の不法行為を媒介して、義務違反に対して法的効果を認めることは可能 ※なるほど

(1)一般(①契約締結の勧誘時に関するもの、②解除時に関するもの

①契約締結の勧誘時に関するもの

 ※第3条第1項第2号

 ⇒ 事業者が知ることができた  年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮

 ※第3条第1項第3号

  定型約款の表示請求権に関する情報提供の努力義務

②解除時に関するもの

 ※第3条第1項第4号

  解除権の行使に必要な必要情報提供の努力義務

 【要件】

 ①消費者の求めに応じて

 ②消費者契約により定められた当該消費者が有する解除権

 ③解除権の行使に関して必要な情報

(2)差止請求等に係るもの(①消費者契約の条項の開示要請、②差止請求に係る講じた措置の開示請求

 ①消費者契約の条項の開示要請 第12条の3

 ②差止請求に係る講じた措置の開示請求 第12条の5

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(剣山)

第3 検討会報告書の内容(上記以外の法制化に至らなかったもの

 1 消費者の判断力に着目した規定

 2 不当条項の追加

 (1)所有権等を放棄するものとみなす条項

   ※建物賃貸借契約において所有権等を放棄するものとみなす条項については、10条に該当すると判示する最高裁判例がある(最判令和4年12月12日) ※しらなかった。。。

 (2)消費者の解除権に行使を制限する条項

2025年10月27日 (月)

【消費者法】日弁連総合研修サイト 消費者契約法改正の概要(2016年改正+2018年改正)をWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト消費者契約法改正の概要(2016年改正+2018年改正)をWEBで受講しました。講師は、山本健司弁護士です。講義を聴講する度ごとに、講師の先生との知見の差がありすぎる点についていつも反省しております。また、これまで日弁連総合研修サイトはボチボチしか受講しておりませんでしたが、いきなり書籍を読むことよりも、講義をきいてから読む方が理解度も深まるので、今は、日弁連総合研修サイトと書籍のハイブリッドで学習を進めることが多くなりました😅 

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(西条鉄道記念館)
第1 消費者契約法の意義と改正経緯
   ※2016年改正前の消契法の問題点(適用範囲・救済範囲が狭い、要件が限定的、立証責任が難しい)
第2 法改正の具体的内容(★2016年改正、☆2018年改正)
 1 誤認取消の要件緩和
 (1)「重要事項」の範囲の拡大(★)
    第4条5項3号 不実告知の対象である「重要事項」に、「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情」を追加
    ※文言から救済対象が「積極損害の回避の事案」に限定されているかのようにみえるが、得られるはずの利益を逃さないように当該契約を締結している事案(消極損害の回避の事案)も損害又は危険を回避するためにの要件を満たすとされている(消費者庁の国会答弁、逐条解説)
    ※特商法の不実告知の方が適用範囲が広いんだね 
 (2)不利益事実の不告知の要件緩和(☆)
    第4条第2項 重要事実について当該消費者の不利益となる事実を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし
    ※先行行為要件を維持したうえで、重過失を付加して要件を緩和した。
    ※比較的緩やかな形で重過失が認定されているんだね
 2 困惑取消の類型追加(☆)
    ※威迫、執拗な勧誘など非身体高速型の困惑惹起行為も取消の対象にすべし
    ⇒威迫・執拗勧誘のうち「契約の全部または一部の履行を先に行ったこと」や「準備行為や説明行為をしたこと」の代償として契約の締結を迫る場合について困惑取消を認める規定
 3 合理的判断ができない事情を利用した不当勧誘に関する取消権の創設
 (1)適量契約(★)
    ※適量性の判断基準  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(分量等)が、当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであること
            ↓
    当該消費者にとって通常の分量等
     (ア)下記①~④の要素を総合的に考慮したうえで、一般的・平均的な消費者を基準として社会通念を基に規範的に判断 それを著しく超える場合に過量性を肯定できる
       ①消費者契約の目的となるものの内容
       ②消費者契約の目的となるものの取引条件
       ③消費者の生活の状況
       ④当該消費者の認識
     (イ)「③消費者の生活の状況」の考え方
 1人暮らしの高齢者が多数の布団を購入したという事案は、一般的には適量性が肯定される。しかし、夏休みに孫達が大勢帰省してくるので足りない布団を購入したという事情(一時的な生活の状況)が存在する場合は適量性を否定されうる。逆に、一般的・平均的な消費者を基準とした場合には適量性を否定されるるような分量等の契約でも、生活資金にも事欠くような生活状態の消費者事案などでは一般的平均的な消費者よりも経済的に苦しい生活をしているといった当該消費者の生活の状況に鑑みて過量に該当する分量等の契約と評価できる場合がありえる(本条の適用範囲を考えるうえで重要) 
     ※過去に類似の契約を締結していた場合の考え方は、既存契約と新たな契約に同種性が肯定できる(4条4項後段)かできない(4条4項後段は×、4条4項前段の適用を検討する)かで区別がされる
 (2)不安を煽る告知(☆)
 社会生活上の経験が乏しいことから、願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること  +  社会生活上の重要な事項
 ※社会生活上の経験が乏しいことから
 ⇒当該消費者の社会生活上の経験の積み重ねが当該消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていなかったか否かを個別具体的に検討する
 中高年であっても、問題の事案において当該消費者の社会生活上の経験の積み重ねが当該消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていなかったと認められる場合には該当する 勧誘の態様に特殊性のある消費者被害については、通常の社会生活上の経験を積んできただけの消費者は通常は対応が困難であるから、一般的に本要件に該当する
  高齢者への不安を煽る告知 
  霊感商法により不安を煽る告知
 (3)人間関係の濫用(☆)
 社会生活上の経験が乏しいことから、恋愛感情その他の好意の感情を抱き 勧誘を行う者も同様の感情を抱いているものと誤信を知りながらこれに乗じ、契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること
 4 不当条項リストの追加(★☆)
  (1)事業者に債務不履行がある場合にも消費者の解除権を放棄させる条項(法定解除権排除条項)(8条の2)
  (2)消費者の不作為を意思表示とみなす条項を例示として付加(10条前段)
  (3)事業者が自分の責任を自ら決定できる条項(8条、8条の2)
  (4)消費者の後見等を理由とした解除条項(8条の3)
 5 その他の改正点
 (1)取消期間の伸長(★)
    短期消滅時効の時効期間を6か月から1年に伸長した    
 (2)取消の効果(★)
    現存利益の返還に限定した
 (3)努力義務の追加(☆)
  ①条項の作成に関する努力義務 ②情報の提供に関する努力義務
 ★改正が続く法律なんで大変です😅

2025年10月26日 (日)

【消費者法】 日弁連総合研修サイト 消費者問題に関する連続講座 基本法編 第1回消費者契約法 (2018年)

 少し古い収録(2018年)ですが、日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座基本法編第1回消費者契約法(山本健司弁護士)をWEB受講しました。

 以前はこの研修サイトを受講するのは有料でしたが、現在は日弁連会員であれば無料で開放されています。実務的な視点での解説ですので、田舎弁護士にとっても勉強になります。 

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(清澄庭園)

第1 消費者契約法とは

 Ⅰ 消費者契約法に関する民事ルールの構造

  1 消費者契約に関する民事ルールの構造

    【1階】 民法(錯誤、詐欺、公序良俗、不法行為等)   全ての契約に適用

    【2階】 消費者契約法(不当勧誘規制、不当条項規制)  全ての消費者契約に適用

    【3階】 業法の私法実体規定(特商法のクーリング・オフ規定、中途解約権規定など)  一部の消費者契約に適用

 Ⅱ 制定と改正の経緯(実体法部分)(※2018年まで)

   2000年4月 消費者契約法の成立 ⇒2001年4月施行

   2016年   平成28年改正

   2018年   平成30年改正

第2 消費者契約法の内容

 Ⅰ 総論

   1 適用対象  消費者契約=事業者・消費者間の契約(2条3項)

   2 努力義務 (1)事業者の努力義務(3条1項) (2)消費者の努力義務(3条2項)

 Ⅱ 不当勧誘行為規制 平成30年9月時点

   1 消費者取消権の概要  ※取消は3つ(誤認、困惑、過量)あるんだね

    (1)誤認取消 ①不実告知(4条1項1号、5項)、②断定的判断の提供(4条1項2号)、③不利益事実の不告知(4条2項、5項)

    (2)困惑取消 ①不退去(4条3項1号)、②退去妨害(4条3項2号)

    (3)適量契約取消(4条4項)

    (4)その余の規定

   2 誤認取消(4条1項、2項、5項)  ※ケースが3つ(不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知)あるんだね

    (1)不実告知(4条1項1号、5項)

       【要件】①消費者契約の勧誘をするに際して ②事業者の重要事実に関する不実告知※民法上の詐欺とは異なり、故意等は不要なんだね) ③消費者の誤認+意思表示

       【論点】

       (ア)勧誘に際しの意義 個々の消費者に向けられた個別勧誘行為でなければならないか、不特定多数に向けられた行為(広告、チラシ等)も含まれるか

          ⇒最判平成29年1月24日は後者の見解で判示

       (イ)重要事項(4条5項)

         ①契約目的の質や内容(1号)

         ②契約目的の対価や取引条件(2号)

         ③契約目的が当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要と判断される事情(3号)(※動機部分に関する不実告知なんだね シロアリがいないのにシロアリがいると言った場合)(※不利益事実の不告知は、③は除かれているよ)(※消費者が得られるはずの利益を逃がさないように契約を締結している事案も損害または危険を回避するためのという要件を満たすと消費者庁は解説しているんだね)

    (2)断定的判断の提供(4条1項2号)

      【要件】 ①消費者契約の勧誘をするに際し ②契約目的(権利等)に関し、将来におけるその価格、受け取るべき金額、その他の将来における変動が不確実な事項に関する断定的判断の提供※消費者の財産上の利得に関するもので将来を見通すことが困難なものと解説されているんだね。そのため、裁判例では、パチンコ攻略法は肯定したけど、有名校に合格できるという説明は否定しているんだね) ③消費者の誤認+意思表示

    (3)不利益事実の不告知(4条2項、5項)

      【要件】①消費者契約の勧誘をするに際し ②事業者の重要事項に関する利益の告知(先行行為) ③事業者に故意または重過失による不利益事実の不告知(※以前は故意のみだったんだけど、例えば日照良好と説明しつつ、隣地にマンションが建つことを故意に告げず、マンションを販売、その後、事業者は建築予定とは知らなかったと弁明した場合に、故意の立証が難しいため、平成30年改正で重過失も含むようになったんだね)④消費者の誤認+意思表示

   3 困惑取消(4条3項1号・2号)

      【要件】①消費者契約の勧誘をするに際して ②事業者の不退去または退去妨害(※平成30年改正で、非身体高速型の婚額惹起行為2類型を追加されたんだね) ③消費者の困惑+意思表示

   4 適量契約取消(4条4項)

      【要件】 ①消費者契約の勧誘をするに際し ②過量な内容の消費者契約であること※次々販売も含むんだね) ③事業者が過量性を認識しながら勧誘したこと ④消費者の意思表示

   5 平成30年改正で追加される6つの困惑取消

    (1)不安をあおる告知

       ※「社会生活上の経験が乏しいことから」の要件が問題となっているんだね 高齢者や中高年は?

    (2)高齢者等の不安をあおる告知

       ※(1)と重畳的に適用されるんだね

       ※「判断力の著しい低下」は、厳格には解釈運用されるべき要件ではないんだね

    (3)霊感等で不安をあおる告知

       ※(1)と重畳的に適用されるんだね

    (4)人間関係の濫用

       ※想定されていた典型事案は、被害者の中心が30~40代の女性という婚活サイトを悪用した投資用マンション販売事案 ま た、高齢者に対する依存関係の濫用(いわゆる親切事案)も救済対象として想定されていた。

       ※恋愛感情は例示 親子のような感情、友人関係など、恋愛感情に準じるような親密な感情であれば足りる

    (5)契約前の債務の実施

       ※具体例としては、事業者が、注文を受ける前に、消費者の自宅の物干し台の寸法に合わせてさお竹を切断し、代金を請求した、これにより困惑した消費者がさお竹を注文することにし、代金を支払った

    (6)契約前行為の損失補償請求等の告知

       ※具体例としては、電話勧誘で会って話だけでも聞いてというので、会って話を聞いて契約を断ったところ、わざわざ他県から来た、契約しないのなら交通費を支払え等と請求されたため消費者が困惑して契約してしまった

   6 その他の規定

    (1)媒介委託者による勧誘(5条)

    (2)消費者取消権の効果(6条の2) ※原状回復義務は現存利益に限られる

    (3)消費者取消権の行使期間(7条) ※追認出来るときから1年 契約締結時から5年

 Ⅲ 不当条項規制

   (平成30年9月時点)

   (1)事業者の損害賠償責任を免除する条項の無効(8条)

      ※具体的には5つあるんだね(今は、4つだけ 民法の改正で瑕疵担保責任がなくなったので、1号2号に吸収されるんだね)

      ※軽過失一部免責条項は、10条(一般規定)の審査の対象になるんだね

   (2)消費者の解除権を放棄させる条項の無効(8条の2)

   (3)消費者の過大な損害賠償責任を定める条項の無効(9条)

    ア 9条1号 平均的な損害  「同一事業者が締結する多数の同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額という趣旨(消費者庁解説)

    イ 9号2号 年14.6%を超えるのは無効

   (4)消費者の利益を一方的に害する条項の無効(10条)

      【判断基準】

      問題の条項が存在しない場合(=原則的な権利義務状態)と比較して、当該条項が当該消費者の権利を制限し、又は、義務を加重していること

      ②当該契約条項の規定内容が、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものと評価できること

       ②⇒当該条項によって消費者が受ける不利益とその条項が無効となることによって事業者が被る不利益とを衡量し、両者が均衡を失していると認められる場合に当該条項は無効となる

        効果 当該契約条項は無効 無効となった部分は任意規定など原則的な権利義務関係で充当される

   (平成30年改正)

   ア  消費者の後見等を理由とする解除条項の無効(8条の3)

       具体例 賃借人(消費者)が成年被後見人になつた場合、直ちに賃貸人(事業者)は賃貸借契約を解除できる

   イ  事業者が自分の責任を自ら決める条項の無効(8条、8条の2)

       具体例 当社が過失があることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとする

 Ⅳ 消費者団体訴訟制度

    内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者に代わって事業者に対して訴訟等をすることができる制度

     差止請求

     被害回復 ※消費者裁判手続特例法

 ★消費者契約法の全体がわかる解説でした😅 

2025年10月25日 (土)

【消費者法】日弁連総合研修サイト 消費者問題に関する連続講座 基本法編 第3回特定商取引法

 日弁連総合研修サイト 消費者問題に関する連続講座 基本法編 第3回特定商取引法を受講しました。講師は、澤田仁史弁護士です。

第1 特定商取引法とは(第2~第8の7つの類型が特定商取引)

 1 特定商取引7類型  ①民事効に関する規定(取消・解除・無効) ②行政処分に関する規定(禁止行為)

 2 差止請求権

 3 雑則(ネガティブオプション含む)

 4 罰則    

第2 訪問販売

 1 訪問販売とは(法2条1項)

  (1)営業所等以外での申込み・契約

    ①販売業者・役務提供事業者(販売業者等)が

    ②「営業所等」以外で売買契約・役務提供契約(売買契約等)の申込みを受け、若しくは、売買契約等の契約を締結して(申込み等受けて)

      ※「営業所等」とは?

         法2条1項1号 ⇒ 営業所、代理店、その他主務省令で定める場所

         省令1条(通達も参照)

          営業所(1号)、代理店(2号)、露店屋台その他これらに類する店(3号)

  (1~3号以外で)一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であって、店舗に類するもの(4号)

             ⇒展示会商法

  (1~3号以外で)一定の期間にわたり、購入する物品の種類を提示し、当該種類の物品を購入する場所であって、店舗に類するもの(5号)

         自動販売機その他の設備であって、当該設備により売買契約又は役務提供契約の締結が行われるものが設置されている場所(6号)

    ③行う商品の販売・役務提供(販売等)をいう。

  (2)キャッチセール

     販売業者等が「営業所等」において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者から売買契約等の申込み等を受けて行う商品の販売等をいう。

  (3)アポイントメントセールス

     販売業者等が「営業所等」において、政令で定める方法により営業所等に誘引した者から売買契約等の申込み等を受けて行う商品の販売等をいう

     政令で定める方法とは?

    ①販売目的隠匿型(政令1条1号) 販売目的を隠して、営業所その他の場所への来訪を要請すること

    ②有利条件型(政令1条2号) 他の者に比して著しく有利な条件で営業所その他の場所への来訪を要請すること

     来訪要請手段について(政令1条1号、2号)

     ①販売目的隠匿型(政令1条1号)

       電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ、法12条の3第1項の電磁的方法ビラ、パンフレット、拡声器で住居の外から呼びかける、住居を訪問する。

     ②有利条件型(政令1条2号)

       電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ、法12条の3第1項の電磁的方法、パンフレット、住居を訪問する

      ※法12条の3第1項の電磁的方法 

        ⇒省令11条の2

         ①ショートメール(SMS)(1号)

         ②電子メール(2号)

         ③「その受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信を送信する方法(SNS)(3号)   

 2 特定権利(法2条4項) ※電話勧誘販売、通信販売共通

   かっては、政令指定商品、指定役務、指定権利制

                ↓

   平成20年改正で、指定商品、指定役務制は廃止されたものの、指定権利制は残った

                ↓

   平成28年改正は、指定権利を特定権利として適用対象を広げるとともに、これまで権利か役務か疑義のあった取引(CO2排出権など)については、役務提供と解釈するとされた。これによって法適用の隙間は生じないとされる 

 3 書面交付義務(法4条、5条)

   (1)申込みを受けた時の書面交付義務(法4条) ⇒申込書面

   (2)契約締結時の書面交付義務(法5条) ⇒契約書面

     申込書面、契約書面を法定書面と言い、これが消費者に交付された時が後述のクーリング・オフの起算日とされる。法定書面の要件を満たさない書面は不備書面として、それが交付されてもクーリング・オフの起算日とはされない

 4 クーリング・オフ(法9条)

  (1)制度の概要

    ①特商法7類型では通信販売を除いてクーリング・オフの規定あり。

    ②理由不要、無条件の申込みの撤回又は契約の解除

    ③原状回復など消費者に有利な規定あり

  (2)要件

    訪問販売により、商品等の売買契約・役務提供契約の申込みを受け又は締結したこと

  (3)権利行使障害要件

    ①法定書面交付から8日間を経過したとき

     ※契約書面受領日の前に申込書面を受領していた場合は申込書面受領日が起算日

     ※要件を満たした法定書面の交付がない場合、8日間の起算日は進行しない

     ※初日参入

     ※クーリング・オフの通知は書面で(2021年改正で電子メールOK)

    ②クーリング・オフ妨害があったときは改めて告知書面を受領してから8日間経過したとき

     ※クーリング・オフ妨害があつたときは、8日間の起算日は進行しない

     ※事業者が、省令の規定に基づいて、クーリング・オフができる旨の書面を交付した場合は、その交付を受けた日から8日間を経過するとクーリング・オフはできない。

    ③法26条以下の適用除外

     ※営業のために若しくは営業として締結(1項1号) ※小規模零細事業者 名古屋高裁平成19年11月19日判決参照

     ※即時給付型役務(3号)

     ※自動車(4項1号、政令6条の2)

     ※消耗品(5項1号)

     ※3000円以下の現金売買(5項3号、政令7条)

  (4)効果

    ①書面発信時に効果発生(2項)

    ②事業者は、クーリング・オフに伴う損害賠償又は違約金の請求ができない(3項)

    ③引き渡された商品の引き取り、返還に関する必要は事業主負担(4項)

    ④事業者は、消費者が商品、役務によって得た利益の返還を求めることができない(5項)

    ⑤役務提供業者は、速やかに代金を返還しなければならない(6項)

    ⑥消費者は、事業者に対し、無償で原状回復を求めることができる(7項)

    ⑦強行規定(8項)

 5 過量販売解除(法9条の2)

   (1)事業者が、訪問販売によって、消費者の日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える(過量な)売買契約、役務提供契約(1項1号)

   (2)事業者が、訪問販売によって、過去の消費者の取引から、自分の契約を履行することによって過量となることを知っていた場合、または、既に過量となっていることを知っている場合の売買契約、役務提供契約(1項2号)

   ⇒これらについて、申し込みの撤回、契約の解除を認めた

   ⇒消費者の側に契約締結を必要とする特別の事情があったときは解除等をすることができない

   (3)行使期間(2項)   契約締結から1年以内 ※クーリング・オフとの違いに注意

   (4)効果(3項)     クーリング・オフの規定を準用

 6 取消権(法9条の3)

   (1)事業者が、法6条1項に違反して不実のことを告げ、消費者がそれが事実であると誤認した場合

   (2)事業者が、法6条2項に違反して故意に事実を告げず、消費者が当該事実が存在しないと誤認した場合

         ⇒消費者は、意思表示を取り消すことができる(1項)

   (3)取消は善意無過失の第三者には対応できない(2項)

   (4)取消権の時効は、追認できる時より1年、契約時より5年

第3 通信販売

 1 通信販売とは(法2条2項、省令2条)

    郵便、信書便、電話機、ファックスその他の通信機器又は情報処理の用に供する機器、電報、預金又は口座に対する振込による売買契約、役務提供契約で電話勧誘販売に該当しないもの

    ※通信販売にはクーリング・オフはない

 2 通信販売における契約の解除(法15条の3)  2021年改正で取消権

    購入者は、商品の引渡、特定権利の移転を受けてから8日間は申し込みの撤回又は契約の解除をすることができる(1項)

    引き取り、返還に関する費用は購入者負担(2項)

    ⇒広告で返品特約を表示すると特約が優先する

 

第4 電話勧誘販売

 1 電話勧誘販売とは(法2条4項)

    ⇒訪問販売とほぼ同じ

 2 書面交付義務(法18条、19条)

 3 クーリング・オフ(法24条)

 4 過量販売解除(法24条の2)

 5 取消権(法24条の3) 不実の告知等 禁止行為は法21条1項、2項

 6 適用除外(法26条)

第5 連鎖販売取引

 1 連鎖販売取引とは(法33条)

    ※無限連鎖講に防止に関する法律で禁止(刑事罰)

 2 書面交付義務(法37条)

  (1)契約締結前に「概要書面」の交付義務

  (2)契約締結後に「契約書面」の交付義務

 3 クーリング・オフ(法40条)  20日間  ※店舗等によらない個人に限る

 4 中途解約(法40条の2)

  (1)クーリング・オフ期間経過後でも中途解約は可能

  (2)損賠賠償額の制限(法40条の2第3項、4項)

 5 取消権(法40条の3)

    不実の告知等  禁止行為は法34条1項、2項に規定

第6 特定継続的役務提供

 1 特定継続的役務提供とは(法41条、政令11条)

    ※エステ、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パスコン教室、結婚紹介サービス

    ※期間+金額

 2 書面交付義務(法42条)

  (1)契約締結までに概要書面の交付義務(1項)

  (2)契約締結後は契約書面の交付義務(2項、3項)

 3 クーリング・オフ(法48条)

  (1)契約書面を受領してから8日間行使可能

  (2)本体の契約とともに関連商品(エステの化粧品等)もクーリング・オフが可能(政令14条、別表5)

  (3)推奨品とされていても、実態から本体の契約と一体といえる場合は関連商品と解するべき

 4 中途解約(法49条)

  (1)クーリング・オフ期間後でも中途解約は可能

  (2)損害賠償額の制限(法49条2項、4項)

 5 取消権(法49条の2)

    不実告知等 禁止行為は法44条1項、2項に規定

第7 業務提供誘引販売取引

 1 業務提供誘引販売取引とは(法51条)

    内職商法(在宅で書面を作成する内職に応募してきた消費者に対し、その書面を作成するのに必要だとの理由でパスコンやパソコンソフトを購入させる)が典型的

    提供した業務によって得られる利益(報酬)を「業務提供利益」といい、パスコンやパスコンソフトの購入代金を「特定負担」という。特定負担には取引料、登録料等も含まれる

 2 書面交付義務(法55条)

 (1)契約締結までに概要書面の交付義務(1項)

 (2)契約締結後は契約書面の交付義務(2項)

 3 クーリング・オフ(法58条)

   契約書面を受領した日から20日間行使可能 ※事業所等によらないで行う個人に限る

 4 取消権(法58条の2) 

   不実告知等 禁止行為は法52条1項に規定 ※中途解約権はない

第8 訪問購入

 1 訪問購入とは(法58条の4)

   物品の購入を業として営む者が営業所等以外の場所で行う物品の購入を訪問購入と定義

   貴金属の買取業者による高齢者等に対する被害(不当に安く買い取る)が多発したことから平成24年改正で導入

 2 書面交付義務

  (1)申込書面(法58条の7)

  (2)契約書面(法58条の8)

 3 クーリング・オフ(法58条の14)

  (1)法定書面受領日から8日間行使可能(1項)

  (2)クーリングオフは善意・無過失の第三者に対応できない(3項)

     クーリングオフ後の第三者は即時取得(民法192条)の問題

     ※訪問購入には取消権の規定はない

 4 第三者への引渡

  (1)購入業者は、クーリング・オフ期間内に購入した物品を第三者に引渡したときは遅滞なく売主に通知しなければならない(法58条の11) ※売主がクーリングオフをした際に誰に返還請求すればよいか分かるようにするため

  (2)購入業者がクーリングオフ期間内に購入した物品を第三者に引き渡すときは、訪問購入に関する売買契約がクーリングオフされたこと又はクーリングオフされる可能性があることをその第三者に通知しなければならない(法58条の11の2) ※これにより、第三者は善意無過失ではなくなる

第9 ネガティブオプション

 1 売買契約に基づかないで送付された商品(法59条)

  ⇒2021年改正されている。

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(笠松山・火災後)

2025年10月24日 (金)

【消費者法】 日弁連総合研修サイト 2021年改正特商法の概要(澤田仁史弁護士)を受講しました😅

 最近、特商法のお勉強をしております。本日は、日弁連研修サイト2021年改正特商法の概要をWEBで受講しました。

第1 通信販売における定期購入契約に対する規制について

 1 詐欺的な定期購入契約

 (1)法13条の2 消費者の契約解除等を妨げる為のの不実の告知の禁止

 (2)法11条4号 申込期間に定めがある場合は、その旨及びその内容を表示する義務

 (3)法11条5号 解除等に関する特約がある時はその内容を表示する義務。改正で役務提供を追加

 (4)法11条6号、省令8条7号 広告に定期購入であることを表示する義務

 (5)法12条の6 販売業者・役務提供事業者(販売業者等)が「特定申込み」を受ける際に書面・映像面に表示すべき事項

 (6)法15条の4 法12条の6に違反した場合、契約の意思表示の「取消し」を認めた

 2 法13条の2(不実の告知の禁止) 

 通信販売で契約の申込みの撤回又は解除が可能であるにも拘わらず、不実のことを告げてそれを妨げる行為を禁止した。

 違反した場合は行政処分の対象(法14、15条)、刑事罰(70条1号)

 3 法11条(通信販売の広告表示に関する条項)4号 

 売買契約等に申込期間がある場合はその旨及びその内容を表示する義務を課した。 申込期間について不実の表示をして当該商品が期間経過後に購入できなくなると消費者に誤認させるような不当表示を防止する規定

 4 法11条5号 

 申込みの撤回、契約の解除に関する特約がある場合はその内容を表示しなければならない。2021年改正前は商品、特定権利の売買のみを対象としていたが、改正により役務提供契約が加えられた。表示された解約方法(電話)が機能しない(なかなか電話がつながらない)場合は、この表示義務違反に反する可能性がある

 5 法11条6号 ⇒ 省令8条7号 

 当該通信販売が定期購入契約である場合は、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件、提供条件を広告に表示しなければならない

 法11条に違反した場合は行政処分の対象(法14、15条)

 6 法12条の6 

 販売業者等(委託を受けた者も含む)が消費者から「特定申込み」を受ける場合は、当該特定申込みに係る「書面」又は手続が表示される「映像面」に表示しなければならない事項、表示してはならない事項を列挙した規定。

 違反した場合は刑事罰(法70条2号、72条1項4号)、行政処分の対象となるとともに(法14条、15条)、消費者には意思表示の取消しが認められる(法15条の4)

 ★ 「特定申込み」とは、以下の2つをいう

 (1)販売業者等が定める要式の書面によって消費者が行う契約の申込み 

  例)カタログやチラシで行われる通信販売の申込み

 (2)いわゆるネット通販

 ★ 法12条の6は、(1)の「書面」(2)の「映像面」に表示しなければならない事項、表示してはならない事項を列挙した規定

(法12条の6)

 (1)1項1号(分量の表示義務)

 販売業者等は、書面、映像面にその商品・特定権利・役務の分量を表示しなければならない

 (2)1項2号(法11条1~5号の表示義務) 

 販売業者等は、書面、映像面に法11条1~5号に掲げる事項を表示しなければならない。

 価格(1号)、代金支払時期(2号)、商品の引渡時期(3号)、申込期間の定め(4号)、解除に関する事項(5号)

 (3)2項1号(契約申込みになることの誤認表示の禁止)

 販売業者等は、書面の送付や映像に従った操作が契約の申込みになることについて、消費者を誤認させる表示をしてはならない。

 (4)2項2号(分量、法11条1~5号の誤認表示の禁止)

 商品・権利・役務の分量、法11条1~5号に掲げる事項について、消費者を誤認させる表示をしてはならない

7 法15条の4 

 販売業者等に法12条の6の各規定に違反する表示・非表示があり、それによって消費者に誤認が生じた場合、それに基づく意思表示を取り消す権利を認めた(1項)。

 取消の効果は、法9条の3第2項~5項の規定(訪問販売の取消権)を準用する(2項)

8 法15条の4

 (1)1項1号(分量、法11条1~5号について不実表示)

   具体例 実際には解約できない契約で、広告にもその旨の記載があるのに、最終確認画面には解約可能との記載があり、消費者がこの契約はいつでも解約できると誤認した場合

 (2)1項2号(分量、法11条1~5号についての事実の非表示)

   具体例 実際には定期購入契約であるにもかかわらず、最終確認画面には1回分の販売価格や分量のみ表示し、2回目以降の販売価格や引渡し回数を表示していないため、消費者が「これは1回限りの契約である」と誤認した場合

 (3)1項3号(契約申込みになることについて誤認表示の禁止違反)

   具体例 次の頁に進むと申込が完了するにも拘わらず、送信するとのボタンがあり、消費者がこれにクリックしても申込の完了とはならないと誤認した場合

 (4)1項4号(分量、法11条1~5号の誤認表示の禁止違反)

   具体例 実際には定期購入契約であるにも拘わらず、最終確認画面には1回分の販売価格や分量が強調されて表示し、2回目以降の販売価格や引渡し回数については小さい文字で表示されていたため、消費者が「これは1回限りの契約である」と誤認した場合

9 ガイドライン

  通信販売の申込段階における表示についてのガイドライン

第2 送りつけ商法(ネガティブオプション)に関する改正

 1 送りつけ商法とは

 2 改正の内容 

 改正法では、一方的に商品を送りつけた場合は直ちに返還請求権を失うとされた(法59条1項)

 販売業者は、一方的に送りつけた商品の返還請求権を直ちに失う結果、消費者は当該商品を直ちに処分することができる

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(石鎚山連峰) 

2025年10月22日 (水)

【消費者法】 60分でわかる 特定商取引法超入門

 60分でわかる 特定商取引法超入門を購入しました。8月に出版された書籍です。

 主な消費者保護法って5つ程思いつきますが、思いつく順番で述べるならば、消費者契約法、特定商取引法、景品表示法、割賦販売法、貸金業法が挙げられます。

 10数年前の過払い最盛期は、貸金業法がマチ弁でも習熟しておく必要がありますが、今は、消費者契約法が中心的になりますかね。昔、金融機関の方から割賦販売法の業法部分の質問を受けたことがありますが、さすがにまともに回答できませんでしたね。

 本書は、特定諸取引法に限定はされているものの、なんと、60分でわかるとのことです。

001 消費者保護法における特定商取引法の位置付け

 ⇒特定商取引法は、消費者トラブルが生じやすい7つの取引類型について、事業者が守るべきルールと消費者保護のためのルールを定める法律

 ⇒事業者のルール違反は、行政処分や刑事罰の対象となる 

002 特定商取引法の目的とあらまし

 ⇒訪問販売等における紛争増加や悪質マルチ商法の社会問題化を背景として訪問販売等に関する法律が制定された

 ⇒取引の複雑化や悪質な取引の手口巧妙化等を踏まえた改正が行われ、現在の特定商取引法に至っている

003 令和3年の法改正のポイント

 ⇒詐欺的定期購入商法等への対策として通信販売規制が強化された

 ⇒クーリングオフ通知、契約書面等交付も電子メールで可能に

 ⇒送り付け商法の商品の即時処分が可能とされた

004 違反に対する措置

 ⇒事業者の違反行為は、指示処分や業務(取引)停止命令等の行政処分及び刑事罰の対象となり、事業者名等が公表される

 ⇒契約の取消権の行使により、契約の効力が否定されることがある

 ⇒不特定多数に対する不当な行為等は、適格消費者団体による差止請求の対象となる

005 当局の調査権限と昨今の取締りの動向

 ⇒当局には報告徴収、立入検査等の調査権限がある

 ⇒通信販売(特に定期購入商法)についての規制・執行は近年強化傾向にある

 ⇒行政処分への違反行為は厳格に対処されている。

006 各取引類型に共通する事項

 ⇒特定商取引法の各規定の適用は契約ごとに判断される

 ⇒ある契約が複数の取引類型に該当する場合は、各取引類型に係る規定が重複適用される

 ⇒適用対象は、購入者等と事業者

035 訪問販売とは

 ⇒消費者宅等、事業者の店舗や営業所以外で行われる取引は、訪問販売

 ⇒キャッチセールスはやアポイントメントセールスも訪問販売

 ⇒サービス提供も訪問販売に当たり得る

036 自宅訪問しない場合でも訪問販売にあたるケース

 ⇒キャッチセールスは強引な勧誘方法で店舗等に来訪させることから訪問販売に当たる

 ⇒アポイントメントセールスは消費者に不意打ちを与えたり、特に強く誘引したりすることから訪問販売に当たる

037 訪問販売① 氏名等明示義務と再勧誘の禁止

 ⇒事業者は、勧誘を始める前に、氏名等、勧誘目的、商品等の種類を明らかにする必要がある

 ⇒訪問販売に係る契約を断った相手に再勧誘してはならない

038 訪問販売② 書面交付義務

 ⇒訪問販売の契約申込みを受けたとき、契約を締結したときは、それぞれ書面交付義務がある

 ⇒申込者または購入者等の承諾があれば電子交付も可能

 ⇒書面交付に不備があると罰則の対象となり、クーリングオフ期間も進行しない場合がある

039 訪問販売③ 不当な行為の禁止

 ⇒消費者の意思決定を歪める不実告知、重要事項不告知、威圧困惑行為などの行為は禁止されている

 ⇒禁止行為は行政処分や罰則の対象

040 訪問販売④ 行政処分

 ⇒事業者が義務に違反した場合、禁止行為に及んだ場合、不当な行為に及んだ場合は行政処分の対象となり、刑罰が科せられることがある

 ⇒行政処分には行政庁の指示等、業務停止命令、役員等に対する業務禁止命令があり、企業名も公表される

041 訪問販売⑤ クーリングオフ

 ⇒契約書面等交付日から起算して8日間経過するまではクーリングオフ可能

 ⇒クーリングオフは書面または電子メール等によって行う

 ⇒クーリングオフが行われた場合、事業者の費用負担により商品や権利が返還され、支払済みの代金等も返金される

042 訪問販売⑥ その他のルール

 ⇒過量販売契約や不実告知等により契約に至った場合にも申込み撤回・解除や、申込みの意思表示の取消しが可能

 ⇒訪問販売に係る売買契約等の解除等に伴う損害賠償額等には上限がある

043 訪問販売⑦ 適用除外

 ⇒営業のためにまたは営業として契約を締結する場合や国外の事例などは訪問販売の規制が全面的に適用除外となる

 ⇒いわゆる来訪要請等の場合には、訪問販売の規制が一部適用除外となる

044 訪問販売⑧ 近年の行政処分事例

 ⇒訪問販売における違反行為について業務停止命令、指示処分、代表取締役に対する業務禁止命令が発令されている

 

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(今治・宮ヶ崎)

2025年10月21日 (火)

【消費者法】 特商法改正による契約書面等の電子化について

 特定商取引法について詳細な書籍ということになりますと、やはり民事法研究会の詳解特定商取引法の理論と実務第5版が筆頭にあげられると思います。

 本書においては、P144以下において、書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供についての詳細な解説があります。

 書面記載事項の電磁的方法による提供には、11段階があります。以下、その段階ごとにコメントしたいと思います。

第1段階 消費者が、書面記載事項の電磁的方法による提供を希望する。

⇒政令4条1項は、あらかじめ、電磁的方法による提供を受ける「承諾に係る申込みをした者に対し」手続を進めると定め、消費者の申込み(すなわち希望)に基づいて電磁的方法による提供の手続を進めることを明らかにしています。

第2段階 事業者が、電磁的方法の種類と内容を提示する。

⇒政令4条1項は、事業者が「電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類及び内容を示したうえで」手続を進めると定めています。

第3段階 事業者が、消費者の承諾を取得する前に重要事項を説明する。

⇒重要事項として、4項目を説明しなければなりません。

第4段階 事業者が、消費者のデジタル適合性を確認する

⇒自ら操作等の確認+サイバーセキュリティ確保の確認

第5段階 事業者が、消費者が指定した第三者に書面記載事項を提供する意思の有無を確認する

(ここまでが、消費者から承諾を得る前の手続です)

第6段階 消費者が、電磁的方法による提供を承諾する意思を示す

⇒第6段階は、第5段階までの手続を経たうえで、消費者が、電磁的方法による提供を承諾する意思を、具体的な記入によって示す

第7段階 事業者が、消費者の承諾を得たことを証する、紙の書面を交付する

⇒第7段階は、事業者が、消費者に対して、その契約について電磁的方法による提供をする承諾を得たことを証する紙の書面を交付する。

(書面記載事項の電磁的方法による提供を実施)

第8段階 事業者が、書面記載事項の電磁的方法による提供を実施する。

第9段階 事業者が、第三者にも電子メールにより提供することを求められた場合は、消費者に対する提供と同時に第三者にも送信する

第10段階 消費者に、電磁的方法による提供が到達する

(到達後)

第11段階 事業者が、電磁的方法により提供した書面記載事項が、消費者の電子計算機に記録され、閲覧することができることを確認する

20251012_131418
(霊仙山のカミキリムシ)

 

 

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