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【建築・不動産】

2026年2月10日 (火)

【建築・不動産】取得時効ー所有の意思(自主占有)

 取得時効の所有の意思(自主占有)が気になりましたので、少し勉強しました(以前もブログで執筆したような気がします。老体のためにご容赦願いたいです。)。

 日本加除出版から出た「不動産登記請求訴訟」P144以下です。

 「取得時効においては、所有の意思をもった占有の継続に、所有権の取得という効果が結びつけられており、取得時効の成否は、所有の意思の存否にかかる。所有の意思とは、事実上所有者と同様の排他的支配を行う意思である。

 所有の意思をもった占有を、自主占有という。自主占有か否か(所有の意思の有無)は、占有者が真実の所有者の所有権を否定するような態様で目的物を支配しているかどうかで判断される。例えば、売買契約を締結したうえで占有する買主は代表的な自主占有者であり、ほかに、境界線を越えて隣地を占有する者などが自主占有者となる。他方、賃借人や受寄者の占有は、自主占有ではなく、所有の意思のない他主占有である。

 訴訟における主張立証の観点からみると、「占有者は所有の意思で占有するものと推定されるのであるから(民法186条1項)、占有者の占有が自主占有にあたらないことを理由に取得時効の成立を争う者は右占有が他主占有にあたることについての立証責任を負う」(最判昭和54年7月31日)。」

 「もっとも、裁判実務の上では、単に占有があるだけで所有の意思が推定されることはない。自主占有か否かは権原(占有するに至った原因)によって判断される。

 最判昭和44年5月22日は、「取得時効の要件としての所有の意思の有無は、占有の根拠となった客観的事実によって決定されるべきであると述べられ、そのうえで、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかったなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情が証明されるときは、占有者の内心の意思のいかんを問わず、その所有の意思を否定し、時効による所有権取得の主張は排斥されるものとされている(最判昭和58年3月24日)」と解説されています。

 

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(楢原山・四国の道)

 

2026年2月 3日 (火)

【建築・不動産】 取得時効による所有権取得の登記 

 取得時効による所有権取得の登記については、法務局長を務められた方による「判決による登記」という書籍がわかりやすく解説されていましたので、勉強を兼ねて少し紹介させていただきます。

 不思議なもので1度勉強してもそこから時間が経過するとその理解が薄れてきます。残念ですが、仕方がありません。

 「民法は、20年間占有の意思をもって、平穏かつ公然に他人の不動産を占有した者は、その所有権を取得するとし(民法162条1項)、また、10年間所有の意思をもって、平穏かつ公然に他人の不動産を占有した者が、その占有の開始の時に善意かつ無過失であったときは、その所有権を取得すると規定しています(同条2項)。

 時効により不動産の所有権を取得した場合において、時効完成の時期における所有者以外の第三者に対抗するためには、登記が必要です。」

 「設問46 不動産について時効による所有権取得登記は、どのような形式によるべきか。

  回答 登記実務上、時効による所有権取得の登記は、移転登記の形式によるべきものとされていますので、時効取得者が登記権利者、前所有者(現所有権登記名義人)が登記義務者となって、共同して「時効取得」を登記原因とする所有権移転の登記を申請することになります。

  前所有者の協力が得られないときは、時効取得者は、前所有者に対し、時効取得による所有権移転登記手続を命ずる確定判決を得て、不動産登記法63条1項の規定に基づき、単独で所有権移転の登記を申請することができます。」

 ここで疑問に思ったのは、現所有権登記名義人も死亡している場合です。

 これについてはP159にてわかりやすい解説がされています。

 「時効取得の起算日後に所有権登記名義人である前所有者甲が死亡し、その相続登記が未了の場合には、甲の相続人を被告として訴えを提起し、請求認容の確定判決を得て、法63条1項及び62条の規定に基づき、時効取得を原因とする甲からの所有権移転の登記を申請すれば足りると考えられます」

 「時効の起算日前に当該不動産の登記名義人が死亡しており、かつ、その相続登記が未了であるときは、登記実務上、時効による所有権移転の登記の前提として、相続による所有権移転の登記を要するものとされています。この相続登記は、時効取得者が相続人に代位して申請することができます。」

 「登記名義者である前所有者の相続人が申請人となる場合には、一般承継証明情報として、あるいは相続人に代位して時効取得者から相続登記を申請する場合は、相続証明情報として、それぞれ戸籍・除籍謄本等の提供を要しますが、当該確定判決の理由中において、相続人は当該相続人(被告)らのみである旨の認定があるなど当該訴訟に相続人全員が参加していることが明らかなときは、その正本をもって一般承継証明情報または相続証明情報とすることができるとされています。」 

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(フジグラン今治の感謝ボード)

 

 

 

2026年1月19日 (月)

【建築・不動産】登記官からみた表題部所有者不明土地解消の実務

 新日本法規から昨年10月に出版された「登記官からみた表題部所有者不明土地解消の実務」を購入しました。

 おそらく将来においてもほとんど相談はないと思いますが、万が一、相談があった場合に本書は有益な参考となるでしょうし、言葉は悪いですが、かなりマイナーな書籍なので入手することが困難になると思って、購入することにしました。

 ですので、内容についてはほとんど読んでおりません😅

 全国の法務局及び地方法務局では、

 平成30年から所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に基づき、長期相続登記等未了土地解消作業を、

 令和元年から表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律に基づき表題部所有者不明土地解消作業を実施して、所有者不明土地等の解消を図っております。

 確かに、長期相続登記等未了土地解消作業の一端には目に触れたことがあります。

 話を戻します。表題部所有者不明土地解消作業については、申請や申出に基づき登記の可否を判断するという従来の登記事務処理とは異なり、登記官が、自ら収集した資料や現地での調査結果に基づき所有者として登記すべき者について、その有無を含めて特定する作業であり、ノウハウが必要な作業であるといえます。

 本書は、その作業においてマニュアル的な使用方法として活用してもらうために出版されたようです。

 

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(今治城)

 

2026年1月 7日 (水)

【建築・不動産】 建築確認処分が建築審査会の裁決によって取り消されて大事になった事案

 判例タイムズNo1538号で掲載された東京地裁令和6年6月28日付判決です。

 原告は、大規模建物(本件建物)の建築計画を策定し、指定確認検査機関である被告センターから建築確認処分(本件建築確認)を得たが、本件建築確認に対しては、近隣住民から審査請求が申し立てられ、東京都建築審査会の裁決によってその処分が取り消された。本件は、原告が、被告らの職員が本件建築確認の審査等に当たって、必要な手続を採らず、その権限を行使しなかったことは違法であるなどと主張して、被告らに対して、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めるとともに、本件建築確認を取り消した東京都建築審査会の裁決は、原告の財産である建築途上の本件建物の価値を喪失されるものであり、原告に特別の犠牲を課するものであるなどと主張して、被告東京都に対し、憲法29条3項に基づく損失補償を求めたというケースです。

 裁決では、本件確認申請及び本件変更確認申請が安全条例32条6号等の建築基準関係規定に適合するか否か(本件駐車場が避難階に該当するか否か等)が問題になつたようです。

 争点は多岐にわかっておりますが、主要な争点は、3つに整理されています。

 第1の争点は、被告東京都が、指定確認検査機関である被告センターの職員(確認検査員)が行った建築確認等の行為について、国賠法1条1河野責任種多雨になるかという点です。

 これについては、被告センターの職員(確認検査員)は、被告東京都の公権力の公私に当たる公務員に該当し、被告東京都は、当該職員が行った建築確認等の行為について、国賠法1条1項の責任の主体となると判断しました。

 第2の争点は、当該指定確認検査機関の職員(確認検査員)や被告東京都の職員の行為が、国賠法1条1項の適用上違法と評価されるかです。

 これについては、被告センターの職員が、被告東京都に対する建築基準関係規定の解釈・適用等の必要な照会を怠ったとはいえず、また、被告東京都の職員が、指定確認検査機関(被告センター)に対する報告要求、立入検査・質問権等の必要な規制・監督権限の行使を怠ったともいえないとして、それらの行為は、いずれも国賠法1条1項の適用上違法とは認められないと判断しました。

 第3の争点は、被告東京都が、本件建築確認が取り消されたことについて、憲法29条3項の損失補償義務を負うかという点です。

 これについても、本件建築確認を取り消した東京都建築確認審査会の裁決は、原告に対して特別の犠牲を課したものではなく、被告東京都は、同裁決によって本件建築確認が取り消されたことについて憲法29条3項の損失補償義務を負わないと判断しました。

 原告は、100億円を超える損害賠償をしております。

 建築確認処分がとおつても、住民の反対により裁決で取り消されるリスクがあるという点は注意をしなければなりませんね。

 

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(冬の楢原山)

2025年12月20日 (土)

【建築・不動産】 (公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の令和7年度紛争処理実務研修会に参加しました😁

 毎年恒例のといえばですが、(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催の「令和7年度紛争処理実務研修会」に参加しました。 

 住宅の紛争は取り扱う案件としては、田舎弁護士にとっては、数年に1回程度であるにもかかわらず、専門性を有する訴訟であり難易度が高く、訴訟においても数年に及ぶことが少なくないために、住宅紛争審査会のような専門のADR機関、しかも、紛争処理委員であれば無料で住宅についての専門的知見を得られる機会をいただけるのは大変ありがたいことです😇

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(名古屋)

 メインは、第3部の「参考判例についてのパネルディスカッション」です。

 第1例が、「不同沈下による損害賠償請求」を例にとっております。

 戸建分譲住宅の売買契約における建物の不同沈下です。

 ポイントについては、次のとおり説明されていました。

 「①建物の基礎は、地盤の沈下等に対して構造耐力上安全であることが大原則(建築基準法施行令第38条第Ⅰ項)。そのため、(1)第一段階として、まず地盤調査をした上で、地盤の許容応力度及び基礎杭の許容支持力を定め(建築基準法施行令第93条、国土交通省告示第1113号)、②第2段階として、第1段階の結果を踏まえて、基礎構造を選定し設計する(建築基準法施行令第38条第3項、国土交通省告示第1347号)という手順で、構造耐力上の安全性を確認する。

 ②土地の履歴や地形を事前調査し、元々造成地なのか、元田・畑なのか、水路であったか等、地歴・地形を調べて、その取りの沈下などの危険性を予測することも有用である。

 ③住宅建築のための地盤調査には、SWS試験が広く用いられるが、限界があり、自沈層の分布等に問題がある場合は、必要に応じボーリング・動的貫入試験等で、土質の確認等、SWS試験だけでは分からない点を補う必要がある。

 ④地盤調査を踏まえ、建築基準法施行令第38条の性能要件(荷重の安全な伝達、沈下・変形に対する安全)を満たすことを前提に基礎を設計する。基礎形式・地盤改良工法の選定は国土交通省告示第1347号に定めがあるが、最低の基準であり、地耐力に問題がなくとも、沈下量等に問題が生じる可能性があるため、地質や軟弱層に厚さや深さ、孔内推移、有機質土の有無、N値などを確認して総合的に検討を重ね基礎を設計する必要がある。」

 第2例は、中古マンション浴室リフォームの例です。

 ポイントについては、次のとおり説明されていました。

 「①注文者の指図が認められると、請負人の契約不適合責任が免除されるという大きな効果が生じる。このため、容易には認めない方向で制限的に解釈されている。

 ②建築の瑕疵について慰謝料が認められるためには、瑕疵修補によって財産的損害が賠償されてもなお填補されない精神的苦痛を被ったというような特段の事情が必要と解されている。」

 第3例は、新築住宅における基礎及び換気システム等の瑕疵の例です。

 ポイントについては、次のとおり説明されていました。

 「①本件建物引渡し後の点検・検査により基礎の一部にかぶり厚さ不足は発見されたが、既に補修がされているので、瑕疵ではない。

 ②本件建物内に想定されていたどおりの空気の流れが存在しないことが認められ、当該換気システムの採用自体に設計上の瑕疵が存在する。損害は当該換気システムの設置費用である。

 ③注文主と請負業者との間に本件建物引渡し後のメンテナンスの合意はなく、建物完成後、請負業者に本件建物の基礎におけるかぶり厚等の定期的な検査義務はない」

 今回は、日程の都合上で、名古屋会場を利用しました。

 WEBの研修会だとみに入らないこともあるので、このような専門的な研修会は対面の方がいいですね😇

 

2025年11月12日 (水)

【建築・不動産】 地方公共団体に対して土地を寄付した被相続人が寄付当時意思能力を有していなかった場合において、その相続人の一人が当該地方公共団体に対して当該土地についての所有権移転登記の抹消登記手続を求めることが権利の濫用に当たるとされた事例 札幌地判令和6年11月1日

 判例時報2631号で紹介された札幌地判令和6年11月1日です。

 裁判所は、

 ①本件寄付を無効とするならば、当事者間にとどまらず、その他の亡A(被相続人)の法定相続人や周辺住民等を含め、全体として不利益が非常に大きいこと

 ②本件寄付を受けた被告には何らかの落ち度があったとは言い難いこと

 ③本件寄付の無効原因となった亡Aの意向に反していたとはいえないこと

 ④本件寄付から既に長時間が経過していること

 ⑤本件寄付を明らかに問題視しているのは原告のみであり、その原告には、本件寄付の無効を主張するに至るまでに相当長期間が経過していることについて一定の落ち度があるといえること

 から、本件請求は権利の濫用に当たり許されないと判断しました。 

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                             (木漏れ日の橋)

 伝家の宝刀を抜いたんですね。

 17年前の寄付が問題視された事案のようで、結論としては妥当だと思います。

2025年11月10日 (月)

【建築・不動産】「マイホームづくりの強い味方」住宅品確法の軌跡と展望をWEBで受講しました😅

 住宅の品質確保の促進等に関する法律施行25周年記念事業実行委員会会主催・国土交通省後援のシンポジウム・「マイホームづくりの強い味方」住宅品確法の軌跡と展望にWEBで受講しました。 

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(高縄山登山道)
 まずは、記念講演として、和泉洋人東京大学特任教授です。
 2000年の住宅品確法施行から今年で25周年を迎えるところ、本法律は、欠陥住宅問題をはじめとする住宅トラブルが増加する中で、安心して良質な住宅を取得できるような住宅市場の条件整備が住宅政策上の重要な課題として挙げられたことを踏まえ、(1)新築住宅瑕疵担保期間10年の義務付け、(2)住宅性能表示制度の創設、(3)住宅紛争処理体制整備の3つを柱として制定されたものです。
 欠陥住宅問題への対策としては、1建築基準法による対応、これは主として事前担保措置になりますが、①中間検査制度の創設と強化(1998年、2006年改正)、②建築確認・検査体制の強化と厳格化(1998年、2006年改正)、③建築士等の業務の適正化と罰則の大幅な強化等(2006年改正)、そして、2住宅品確法による対応(1999年制定)、さらには、3特定住宅瑕疵担保責任履行法による対応(2007年制定)が挙げられます。
 そして、有識者によるパネルディスカッションが開催されました。
 品確法の役割、現状の評価、将来の展望等について議論されました。
(中澤芳樹氏)
 住宅性能評価25年の意義
 (1)画期的な視点
   ●住宅を建築物としてだけでなく、社会的な財産=商品として把握
   ●事業者と消費者の間の契約で瑕疵担保責任を位置付けた
 (2)消費者から高く評価されている点
   ●施工期間中の現場検査の実施
 (高木佳子氏)
 品確法の概要として3点があげられている。
 ①瑕疵担保責任の特例
 ②住宅性能表示制度の創設
 ③住宅にかかる紛争処理体制の整備
  この中でもっとも重要なものは、住宅性能表示制度の創設と考えている
   (1)建物の性能に関し、建物を構成する重要な項目を取り上げ、性能表示項目を設け、建物を消費者に見える化したこと(構造安全性、耐火性、断熱性等) 消費者教育の側面
   (2)住宅供給者(販売業者)にとっても、表示項目により建物を説明しやすくした
   (3)表示項目に等級を加えることにより、住宅を比較できるようにし、購入するときの目安を提示したこと
   (4)これらにより住宅マーケットに、住宅取得者と供給者双方に共通の尺度ができ、健全な市場の形成に役立つことになったこと

2025年10月 6日 (月)

【建築・不動産】不動産登記の困難要因と実務対応

 新日本法規の担当者から購入した「不動産登記の困難要因と実務対応」です。

 稀にご相談やご対応させていただくケースについてもいくつか取り上げられており、参考になります。

 ケース1は、時効により取得した所有権の相続登記をしたいが、登記名義人及び時効完成時点の占有者も既に死亡している場合です。

 これについては、原告(時効援用権者)から被告(登記名義人)への訴状送達をもって、時効援用の意思表示となるため、訴訟の当事者となる相続人を特定する必要があります。

 被告に相続が生じている場合、時効援用権の行使である意思表示は、相続人全員に対して行う必要があります。

 債務名義(確定判決の内容)には、時効による所有権移転の原因日付となる「起算点」及び「登記権利者」「登記義務者」が明確にされている必要があり、また、時効の登記の前提として、被告(登記名義人)の相続登記が必要であるため、相続登記を原告が代位して行える内容(登記手続を命じる給付判決)とすることにも留意が必要です。

 なお、「実務では、原告又は訴訟代理人から被告に対し、訴訟提起前に「本件土地について時効取得した事情」「共同申請により登記を行うことが難しく訴訟手続を行いたい理由」「そのため訴状が送られてくること」「訴状の内容に異議がない場合は、答弁書を提出する等一切の手続は不要であること」といった、訴訟手続及び登記手続を説明するための通知を行うことが重要とされています」(P127)ですが、1回結審のためにはこのような手紙は不可欠です。

 ケース2は、相続人が不存在の共有者の持分を他の共有者へ移転させる場合です。

 民法255条(共有者の一人が死亡して相続人がいないときは、その持分は、他の共有者に帰属する)との関係で問題となります。

 共有者が死亡した場合、一般的には相続人が当該共有持分を相続しますが、相続人がいない場合には相続財産は法人となり、相続財産清算人による相続財産の清算をすることになります。清算後に残った残余財産については、特別縁故者は財産分与請求をすることができますが、財産分与の請求がなかった場合等に、ようやく他の共有者に帰属することになります。また、相続財産清算人は、「相続人のあることが明らかでない場合」に裁判所により選任されますが、戸籍上相続人が存在しているが、その者が行方不明である場合又は生死不明である場合は、民法951条でいう「相続人の不存在」に該当せず、不在者の財産管理手続や失踪宣告手続によることになります。

 相続財産清算人の選任手続までが必要とうことですね。相続人が不存在の死亡した共有者の持分を他の共有者へ移転する登記申請書もひながたが収録されています。

 ケース3は、解散した法人が登記名義人である土地の所有権を移転する場合です。

 会社の解散により、当該会社は清算事業のみを行う清算会社となり、取締役はその地位を失い、代わって清算人が就任し会社を代表することになります。

 ケース4は、遺言書作成後に一部の相続人が所在不明である場合です。

 平成30年の民法改正により従前の遺言執行者は相続人の代理人とみなすとされていた規定が変わり、遺言執行者に法的に明確な権限が与えられ、その地位において相続手続を進めることができるようになりました。 

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(リーガロイヤルホテル広島)

 

 

2025年7月25日 (金)

【建築・不動産】 通行地役権のおさらい

 通行地役権は、他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の通行の用に供することができる物権としての通行権(民法280条)です。

 物権ではあるものの、他人の土地を直接支配できるというものではなく、承役地所有者の利用も全面的に排除せず、また重複して設定することも可能であるとされています。

 通行地役権の設定は、要役地所有者と承役地所有者との設定契約による場合と、取得時効による場合とがあります。前者は、黙示の契約による設定も多くみられるところです。

 もっとも、取得した通行地役権は、登記をしておかないと、原則としてその後承役地を取得した第三者に対抗することができません。

 黙示の設定契約については、分譲地に関するものが多そうです。

 自動車通行が可能かについては、肯定したもの、否定したもの、その他、多数の裁判例があるようです。

 対価については、判例は、無償に限るとしています。

 通行地役権の取得時効のための要件の1つとして、要役地所有者による通路の開設が必要ですが、砂利を敷いたり、舗装をしたりすることが例として挙げられています。

 なお、新聞や郵便の配達人や出入りの商人などが通行するのは、通行権者の権利の反射的効果によるものであると、安藤一郎先生の第7版私道の法律問題P10にて説明がされていました。 

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(大月山山頂)

2025年7月 4日 (金)

【建築・不動産】 リフォーム・改修工事トラブルの解決ポイント

 ぎょうせいから令和2年に出版された「リフォーム・改修工事トラブルの解決ポイント」です。

 先日、日本弁護士連合会の住宅紛争処理機関検討委員会の全体会議が日弁連会館で開催されましたので、東京の行き帰りでななめ読みをしました。

 ここ数年、負担が大きい不動産や建築を巡る紛争は断っているために、感覚を取り戻すために購読しました。

 瑕疵担保責任・契約不適合責任と一般的な債務不履行責任という基本的な区別について整理できていない弁護士に当たったことがありますが、P2でも、冒頭からきれいな形で整理がされています。

 「リフォーム・改修工事契約は、一般的には民法632条以下において規定されている請負契約と理解されている。請負契約は、仕事の完成を目的とした契約であり(同法632条)、請負人は、仕事完成義務を負い、もしもその仕事の目的物に瑕疵ないし契約不適合があったときには、令和2年4月施行の改正前民法では634条以下の瑕疵担保責任を負い、改正民法では559条により売買の規定が準用され562条以下の契約不適合責任を負う。

 この請負人の瑕疵担保責任・契約不適合責任の法的性格については、債務不履行責任であると理解されており、瑕疵担保責任・契約不適合責任の規定は、一般的な債務不履行責任に関する規定(損害賠償に関する民法415条等)の特則であると理解されている。

 請負人の負う主たる債務は仕事完成義務であるが、状況によっては、これにとどまらず、仕事に付随して仕事完成義務とは異なる債務(付随義務)を負うこともある。この付随義務の位置づけについては、仕事完成義務の一部と理解することもあり得るが、本書では、わかりやすく整理する観点から、仕事完成義務とは別の付随義務であると整理し、その不履行については、瑕疵担保責任・契約不履行責任の問題ではなく、一般的な債務不履行責任の問題であると整理したいと考えている。」

 仕事完成義務違反以外の債務不履行責任(付随義務違反)については、P16以下で解説されていますが、報告や説明義務違反のようなケースを想定されているように読めました。

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                             (奥木地林道)

 2020年に同じ本を購入していました。トホホ。どうりで見たような気がしていたんです"(-""-)"

 

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