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2026年6月

2026年6月17日 (水)

【行政】 「政教分離の判断基準」について

 判例時報No2646号に、市長が市の管理する都市公園内に孔子等を祀る施設を設置することを一般社団法人に許可し、これに基づき市が上記公園内の土地を上記施設の敷地としての利用に供していることが憲法上の政教分離原則及び憲法20条、89条に違反しないとされた最高裁令和7年3月17日判決が紹介されていました。 

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(朝倉ダムと竜門山)
 政教分離に関する憲法適合性判断の枠組みですが、田舎弁護士のような弁護士だと、昭和52年の津地鎮祭訴訟の最高裁判決(大法廷)の目的効果基準という判断の枠組みを思い出します。
 
 宗教との関わり合いをもたらす行為の目的及び効果に鑑み、その関わり合いが我が国の社会的、文化的諸条件に照らし相当とされる限度を超えると認められる場合にこれを許さないとする判断基準です。
 
                           ↓ しかし
 平成22年の空知太神社訴訟の最高裁判決は、限度を超えるか否かを判断するに当たっては、必ずしも目的及び効果という硬直的な着眼点に拘泥することなく、当該事案に即した多様な着眼点を抽出し、これらを総合的に検討すべきことを前提に判断しております。
     
                           ↓
 この久米至聖廟事件においても、判断枠組みを具体的に明示していないものの、その例示に照らすと、総合判断の枠組みを前提とした上で、事案に即して、ア本件施設の性格、イ本件設置許可に至る経緯 ウ本件設置許可による本件土地の提供の態様、エこれらに対する一般人の評価等を考慮して、本件対象行為の政教分離規定違反の有無を判断したものと考えられています。
 

2026年6月16日 (火)

【行政】 「容器包装リサイクル」について

 容器包装リサイクル法(容リ法)について、「いちからわかる廃棄物処理法」にて少し勉強をしました。

 P228以下の説明から拾っていきたいと思います。

 一般廃棄物の処理は市町村が総括的な責任を負っています。

           ↓ しかし

 ①その排出量が増大 ②焼却施設や最終処分場の立地が周辺住民の反対等で困難 ③リサイクルもほとんど行われていない  

           ↓

 一般廃棄物中、容積で6割近くを占める容器包装をターゲットに1995年に容器包装リサイクル法が制定

 ⇒市町村が全面的に責任を負っていたこれまでの制度を改め、メーカー側にも一定の責任を負わせた。

 ⇒消費者、市町村、事業者がそれぞれの役割の下、リサイクル制度を構築

  具体的には、容器包装廃棄物については消費者が分別排出し、市町村が分別収集し、事業者が再商品化(リサイクル)するという内容。

          ↓ しかし

 ①レジ袋は増大、②紙容器包装について取り組んでいる市町村は2割程度、③市町村からは分別収集に多額の費用がかかることから事業者の負担をさらに求めていた

          ↓ 2006年 容リ法改正

 (1)新たに排出抑制を促進する制度

   ⇒一定の小売り事業者を指定容器包装利用事業者として指定し、「容器包装の使用の合理化の判断の基準」を示して、排出抑制する

    例 レジ袋の有償化

 (2)市町村への資金供与

   ⇒リサイクルに見込まれている費用総額の想定額から、リサイクルした実績額を控除して、その差額を「費用効率化分」として、その2分の1を市町村による貢献分として合理化拠出金として事業者側から市町村側に支払う

 

 ★容リ法は、これまで市町村責任の下で処理されてきた一般廃棄物である容器包装について、事業者にも一定の責任を負わせるものです。拡大生産者責任を一般廃棄物処理に取り入れたという意味で画期的な制度と評価ができます。

 

                           

2026年6月15日 (月)

【行政】 「リサイクルの推進」に関連する法律

 「リサイクルの推進」に関する法律をざっと調べてみました。ぎょうせいが出版している「いちからわかる廃棄物処理法」です。

 P220以下に次のとおりの記載があります。

 「循環型社会への最初の取組み1991年の廃棄物処理法の改正です。その目的に廃棄物の排出抑制と分別再生が規定され、廃棄物の処理についてリサイクルの考え方が導入されます。再生資源利用促進法も新たに制定されます。当時廃棄物処理施設の立地が困難となる中、行き場のない廃棄物の不法投棄も増えていましたので、廃棄物となるものの量を減らすこと、廃棄物の排出抑制のみならずリサイクルの推進が社会的に大きな課題とされました。いわゆる「大量生産、大量消費、大量廃棄」型の経済社会から脱却し、「循環型社会」を形成することです。

 個別のリサイクル法として容器包装が1995年に、家電が1998年に制定されます。しかし、静脈側の物の廃棄・処分については廃棄物処理法、動脈側の製造・流通については再生資源利用促進法ということになると一貫したリサイクルにつながらない、静脈側と動脈側を分断しているように見えます。循環型社会への取組みは、個別のリサイクル対策のみならず動脈側、静脈側を含め総合的かつ計画的に対応できるように基本的考え方を整理して進められることを望まれました。循環型社会形成推進基本法(循環基本法)が2000年に制定されます。この年はリサイクル元年とも言います。この年に、建設廃棄物や食品廃棄物のリサイクル法、リサイクル品の利用を進めるためのグリーン購入法が制定されます。各種リサイクル法と相まって循環型社会形成に向けた様々な取組が進められていくことになります。」

  循環型社会を形成するための体系については、P225に記載があります。

  環境基本法が基本法であり、環境基本計画を定めています。

             ↓

  循環型社会形成推進基本法では、循環型社会形成推進基本計画を定めています。

  ※2018年6月の第4次計画では、持続可能な社会づくりへの環境・経済・社会の統合的な取組みや地域循環共生圏形成による地域の活性化等に重点を置いています。この計画では循環利用率について入口側と出口側に分けた数値目標を示しています。従来の循環利用率は入口側ですが、出口側の循環利用率は循環利用量を廃棄物等発生量で除した数値としています。P224~P225」

             ↓

  A 廃棄物処理法  ●廃棄物の発生抑制 ●廃棄物の適正処理 ●廃棄物の処理施設の設置規制 ●廃棄物処理基準の設定等

 

  B 資源有効利用促進法 ●再生資源のリサイクル ●リサイクル容易な設計・材質等の工夫 ●分別回収のための表示 ●副産物の有効利用の促進

             ↓

  容器包装リサイクル法(1995年) 家電リサイクル法(1998念) 食品リサイクル法(2000年) 自動車リサイクル法(2002念) 建設リサイクル法(2000年) 小型家電リサイクル法(2012年) 船舶リサイクル法(2018年)

  グリーン購入法(国が率先して再生品等の調達を推進)(2000年) プラスチック資源循環促進法(2021年)

 

 

 

2026年6月14日 (日)

【行政】地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針について NO4

 昨日の続きです。

第10 報告

1 調査の結果を得たときは,速やかに報告書を作成し,調査に当たって定められた者に対し提出するものとする。

2 事実関係が判明しないなど調査の結果を得がたいときは,いたずらに調査を繰り返して日時を浪費せず,第三者調査委員会設置者と協議して,今後の方針を立て直すものとする。

3 認定事実と証拠資料の関係を認定するに際して推測・推論を踏まえた場合は,報告書には,第三者の検証に耐えその了解を得られる程度に簡潔かつ明瞭に記載し,判断の前提となった知識・学識経験等も明示するものとする。

4 報告書には,原則として次に掲げる事項その他必要と認められる事項を記載するものとする。
(1) 本指針に準拠して調査を実施したものである旨
(2) 第三者調査委員会の趣旨・目的
(3) 調査対象事案の概要
(4) 調査に当たった第三者調査委員会の委員の地位,氏名及び役職
(5) 委員の利害関係の有無
(6) 調査の経過
(7) 調査の結果
(8) 意見

5 調査に当たって非協力・妨害があったときは,その旨を調査の経過において特記するものとする。

6 第三者調査委員会の委員は,その報告書にそれぞれ署名(記名)押印するものとする

7 報告書案の作成等を含めて事務局が報告書の内容に実質上の関与をするものであってはならない。

8 報告書の作成に先立ち,又は作成中において,第三者調査委員会の設置者との間で報告書の実質上の内容に関して協議してはならない。

9 第三者調査委員会は,必要と認めるときは,調査に当たって報告書を提出すべき者と定められた者と協議したうえで,自ら調査の結果を公表することができる。

 →2010年ガイドラインは、「1.起案権の専属調査報告書の起案権は第三者委員会に専属する。2.調査報告書の記載内容 第三者委員会は、調査により判明した事実とその評価を、企業等の現在の経営陣に不利となる場合であっても、調査報告書に記載する。3.調査報告書の事前非開示 第三者委員会は、調査報告書提出前に、その全部又は一部を企業等に開示しない 」と記載されています。

 ⇒ここは違いがないように思います。

第11 事務局
1 調査対象事案に係る事務を司る者として定められた者に対し調査の実施に当たって必要な事務の実施を依頼することができる。
2 第三者調査委員会の公平中立の観点から,地方公共団体内に設置される事務局は,調査対象に利害関係のない部署に所属する職員をもってあてることが望ましい

 →2010年ガイドラインには、「③企業等は、第三者委員会の求めがある場合には、第三者委員会の調査を補助するために適切な人数の従業員等による事務局を設置すること。当該事務局は第三者委員会に直属するものとし、事務局担当者と企業等の間で、厳格な情報隔壁を設けること。」と記載されています。


第12 守秘義務
1 委員は,調査に当たって得た対象事案の関係者に関する秘密を調査終了後も秘匿しなければならない。
2 合議体が構成された場合において,合議の内容を秘匿すべき秘密とするかどうかは,その合議体の判断による

 ⇒当然の規定でしょう。

20260531_133555130                            (えひめ森林公園)

2026年6月13日 (土)

【行政】地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針について No3

昨日の続きです。

第6 合議体
1 合議体を形成する場合は,会長,委員長等の合議体による調査等を統轄する者を定めるものとする。
2 可能な限り,事実関係の調査・分析等の専門家であり見識と良識のある弁護士をもって調査等を統轄する者に充てるのが望ましい。
3 合議体の構成員が調査すべき事項等を分担し,調査を実施することは妨げられない

 ⇒2010年ガイドラインには記載がないように思えます。

第7 記録
1 第三者調査委員会は,会合を開催した場合は,委員相互間で議論経過を把握するため,その都度,的確な議事録を作成し,配布資料とともに保存し,第三者調査委員会の目的・性質に反しない限り,公表することを考えるべきである。
2 議事録には,出席者,日時,場所,内容等を記載し,会合に当たって定められた議事録署名者が署名(記名)押印するなどして作成者を明らかにする。なお,議事内容の書面化が困難な場合には,委員相互間で議論経過を把握するため,会議内容を録音した音声を機械的に反訳したもの(データを含む。以下,同じ。)を添付するなどの方法によるものとする。
3 第三者調査委員会は,調査を実施した場合は,その都度,的確な調書等の調査内容が分かる書面を作成し,保存することが望ましい。特に,事情聴取をした場合は,反訳書,事情聴取記録書等を作成するよう努め,その様子を録音した場合は,録音記録とともに保存するものとする。
4 反訳書,事情聴取記録書等には,出席者,日時,場所等を記載し,作成者又は事情聴取に当たった者が署名押印することが望ましい。調査内容を委員相互間で共通理解を得て報告書作成の資料とするため,事情聴取の音声録音記録と機械的に反訳したものを作成して委員間で共有すべきである。
5 議事録,調書等又は収集した証拠資料は,あらかじめ取り決めたところに従って,調査終了後速やかに,その目録を調製し,的確な関係部局に引き渡すものとする。

 →2010年ガイドラインには、「資料等の処分権 第三者委員会が調査の過程で収集した資料等については、原則として、第三者委員会が
処分権を専有する。」と記載されています。

 ⇒ここは大きく異なっております。

 第8 事実の認定

1 予断と偏見を排し,各種証拠資料を総合勘案し多様な視点をもって合理的判断過程を経て事実を認定するものとする。なお,必ずしも証拠の優越をもって足りるとする見解を排除しないが,この場合は,第三者調査委員会が収集することのできた証拠資料の限りにおいて,どのような証拠を対比し,いずれが優越すると判断したかなどを明示するなどして事実を認定するに至った詳細な経緯を記すことが望ましい。

2 合議体が構成された場合において合議体の構成員の事実認定が分かれたときは,個別の事実ごとに多数決をもって事実認定をしたうえ,結論も多数決をもって得るものとする。この場合において,合議体の構成員は,報告書においてそれぞれの事実認定に関する補足意見又は反対意見を述べることができる。

3 ただし,合議体において多数決を排し合議体の構成員の一致を得られなければ事実認定の結論を得ないものとする旨をあらかじめ取り決めておくことを妨げない。けっして合議体の構成員の一人又は複数の者に結論を委ねてはならない。

4 多数決によって結論を出す場合においても,事実認定の結論を得られない場合は,その旨を記して結論とすることを妨げない。この場合において,合議体の構成員は,報告書においてそれぞれの認定すべきとした認定事実を述べることができる。

 →2010年ガイドラインでは、「(2)事実認定調査に基づく事実認定の権限は第三者委員会のみに属する。第三者委員会は、証拠に基づいた客観的な事実認定を行う。」、「(2)事実認定に関する指針 ①第三者委員会は、各種証拠を十分に吟味して、自由心証により事実認定を行う。
②第三者委員会は、不祥事の実態を明らかにするために、法律上の証明による厳格な事実認定に止まらず、疑いの程度を明示した灰色認定や疫学的認定を行うことができる。」と記載されています。

 ⇒灰色認定などについては説明がありません。

第9 意見
意見を述べるときは,認定した事実明確に区分することのできるようにするものとする。
2 合議体が構成された場合において合議体の構成員の意見が分かれた場合は,合議体の構成員ごとに意見を述べることができる。
3 合議体が構成された場合において合議体の構成員の意見が分かれたときは,多数決をもって意見を得るものとする。この場合において,合議体の構成員は,報告書においてそれぞれ補足意見又は反対意見を述べることができる。
4 多数決をもってしても意見の得られない場合は,その旨を記して結論とすることを妨げない。この場合においても,合議体の構成員は,報告書においてそれぞれの意見を述べることができる。

→2010年ガイドラインでは、「提言 第三者委員会は、調査結果に基づいて、再発防止策等の提言を行う。」と説明されています。

2026年6月12日 (金)

【行政】 地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針について NO2

 昨日の続きです。

 第2 第三者調査委員会の設置,委員の地位
1 地方自治法第138条の4第3項及び第202条の3第1項の附属機関として第三者調査委員会を設置する場合

(1) 地方公共団体が地方自治法第138条の4第3項及び第202条の3第1項の附属機関として第三者調査委員会を設置する場合,調査の主体は第三者調査委員会であり,その委員会を構成する委員は地方公共団体の長等から任命された非常勤特別職公務員である。
(2) 地方自治法第138条の4第3項及び第202条の3第1項の附属機関として第三者調査委員会を設置する場合は,条例の根拠が必要であるが,第三者調査委員会の趣旨を全うするために最も適した形態である。
(3) 委員の報酬は条例の定めによるが,会議以外の調査,報告書作成等に要すると見込まれる時間を含む総時間数と時間あたりの報酬単価を踏まえるなどして,第三者調査委員会の委員が十分に調査,報告書作成等を実施することのできるものとする。

 ⇒報酬については、2010年ガイドラインと違いはないように見えます。

第3 委員のあり方
1 第三者調査委員会の委員(調査の委託を受ける場合における受託者及びその補助者を含む。以下,同じ。)は,適法かつ適正な行政の執行を確保するため,公正・中立な立場から,対象事案につき事実関係を把握・認定し,必要に応じて意見等を形成し,これを報告することを目的とするという趣旨にふさわしい識見を持ち,予断と偏見を排することができる者であり,かつ,利害関係を有しない者でなければならない。
2 利害関係を例示すれば,次のとおりである。
(1) 対象事案に関して対象事案の関係当事者から相談,意見照会等を受け,助言し又は自己の認識・見解等を述べたこと。
(2) 対象事案の関係当事者との間に近い親族関係にあること。
(3) 対象事案の関係当事者及び関係当事者が密接に関係する企業等の団体との間に取引関係(軽微なものを除く。)を持っていること。
(4) 第三者調査委員会を設置した地方公共団体との間に顧問契約又はこれに類する継続的契約関係を取り結んでいる場合7。
(5) 第三者調査委員会を設置した地方公共団体において職員(非常勤特別職員を除く。)や議員の職にある場合。
3 次のような場合は,特に配慮すること。
(1) 第三者調査委員会を設置した地方公共団体の非常勤特別職員(行政委員等)に就いている場合や個別案件を受託している場合。
(2) かつて,第三者調査委員会を設置した地方公共団体との間で顧問契約又は継続的契約関係を取り結んでいた場合。
(3) かつて,第三者調査委員会の調査対象の職務に従事していたほか,一定の利害関係を有していた場合。

 ⇒2010年ガイドラインでは、「利害関係 企業等と利害関係を有する者0は、委員に就任することができない」、「第三者委員会の委員となる弁護士は、当該事案に関連する法令の素養があり、内部統制、コンプライアンス、ガバナンス等、企業組織論に精通した者でなければならない
第三者委員会の委員には、事案の性質により、学識経験者、ジャーナリスト、公認会計士などの有識者が委員として加わることが望ましい場合も多い。この場合、委員である弁護士は、これらの有識者と協力して、多様な視点で調査を行う。」と説明されており、大きな違いはないように思います。

第4 調査の範囲・方法
1 委員は,調査を開始するに先立って調査計画を作成し,可能な限り調査を終了すべき期限を定めるものとする。

2 委員は,調査計画に基づき,対象事案につき事実関係を究明・把握・認定等するために必要と考える事柄について広く調査するものとする。

  第三者調査委員会の設置者,調査の委託者等の意向に配慮し,調査の範囲を狭め,必要な調査を怠るようなことがあってはならない。

3 委員は,第三者調査委員会による調査の趣旨等を踏まえて,自ら主導して実施すべき調査方法を選択し,的確な証拠を収集するものとする。合議体が構成された場合は,合議体において闊達な討議を行い十分な検討を加えるものとする。

4 委員は,可能な限り自ら,関係者に対する事情聴取・質問紙法調査(アンケート調査),関係書類の閲読,検証等を適宜組み合わせて実施するものとする。なお,やむをえず委員以外の者(地方公共団体の職員等を含む。)に,これらの一部を行わせる場合には,第三者調査委員会の十分な管理・統制下に実施するものとする。

5 委員は,調査において特定の事項について関係者に対し意見を求めることはできるが,その意見は証拠資料として参考とされるにとどまり,これに拘束されてはならない。

 →調査スコープ等に関する指針 ①第三者委員会は、企業等と協議の上、調査対象とする事実の範囲(調査スコープ)を決定する。調査スコープは、第三者委員会設置の目的を達成するために必要十分なものでなければならない。②第三者委員会は、企業等と協議の上、調査手法を決定する。調査手法は、第三者委員会設置の目的を達成するために必要十分なものでなければならない。

 →調査の手法など 第三者委員会は、次に例示する各種の手法等を用いて、事実をより正確、多角的にとらえるための努力を尽くさなければならない。

 →この点についても大きな違いがあるようには見えません。

第5 配慮

1 委員は,調査,特に対象事案の関係者に対する事情聴取に当たって事案関係者の正当な権利利益を侵害しないよう細心の注意を払うとともに,いわゆる二次被害を防ぐためにも,言動に注意し,事情聴取等の調査の対象となることによる物心両面にわたる負担にも相応に配慮するものとする。また,事案によっては事案関係者の対象者名秘匿を条件に事情聴取することも検討すべきである。

2 委員は,予断や偏見をもって調査に当たらないよう十分注意するものとする

3 委員は,第三者調査委員会の趣旨・目的等を離れて,対象事案の関係者の倫理上,民事上,刑事上,行政上の責任の有無を追及し,又は対象事案の関係者をことさらに批判しないものとする。

4 委員は,調査の結果が民事上の責任等の根拠とされるおそれのあることを念頭に置きつつも,関係者の経済的救済等を慮ったり,関係者の利害のいずれかに偏ってはならない。

→2010年ガイドラインでは1についての説明はなかったように思います。

⇒2~4はいわば当然のことだと思います。

2026年6月11日 (木)

【行政】 地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針について NO1

 地方公共団体における第三者調査委員会の行う調査についても、2010年策定の日弁連「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」が対象となる組織に地方公共団体も含んでいることから、これに準拠しての調査がなされていました。

 しかし、2010年ガイドラインは、主に上場企業を念頭に置いた内容となっていること、地方公共団体においては上場企業と異なるステークホルダーを抱えており公共性が極めて高いことから調査の目的、方法、調査に当たって収集した資料の取扱い等も上場企業と同一に取り扱うことはできず、また、報酬の定め方にも違いが認められています。また、第三者調査委員会と称されるもののなかでも、設置形態が異なるものがあるなど、地方自治法等の法令その他地方公共団体に特有の論点も少なくありません。

 そのため、2010年ガイドラインを参考にしつつも、委員に選任されたものは、その都度、先行事例を収集し、模索しつつ調査等を実施する事例が少なくありませんでした。

 そこで、日弁連において、地方公共団体における第三者調査委員会に弁護士が委員等として関与しその調査等を実施する場合において参考となる指針、すなわち、「地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針」(地方公共団体調査等指針)を策定しました。

 この記事では、2010年ガイドライン地方公共団体調査等指針の違いをみていきたいと思います。

 第1 第三者調査委員会による調査の趣旨等


1 第三者調査委員会による調査は,適法かつ適正な行政の執行を確保するため,公正・中立な立場から,関係法令等を踏まえ,対象事案につき原因を含む事実関係を究明・把握・認定し,必要に応じて再発防止策等に関する意見を形成し,これを報告することを目的とする

 →第三者委員会は、不祥事を起こした企業等が、企業の社会的責任(CSR)の観点から、ステークホルダーに対する説明責任を果たす目的で設置する委員会である。

 ⇒2010年ガイドラインは、企業の社会的責任が強調されているのに対して、地方公共団体調査等指針は、適法かつ適切な行政の執行の確保と、目的に違いがあるように見えます。


2 第三者調査委員会が組織される場合は,第三者調査委員会の設置の趣旨・目的対象事案調査の範囲調査の予定期間等が可能な限り明確にされるものとする

 →企業等は、第三者委員会の設置にあたり、調査スコープ、開示先となるステークホルダーの範囲、調査結果を開示する時期を開示すること。

 ⇒ここは、あまり変わらないように見えます。


3 第三者調査委員会は,誠実に,公正・中立な立場を堅持し,予断・偏見を排し,証拠に基づいてその知識・経験を活かして事実関係を把握・認定し,十分な見識と健全な良識をもって意見等を形成するものとする

 →事実認定に関する指針 ①第三者委員会は、各種証拠を十分に吟味して、自由心証により事実認定を行う。②第三者委員会は、不祥事の実態を明らかにするために、法律上の証明による厳格な事実認定に止まらず、疑いの程度を明示した灰色認定や疫学的認定を行うことができる

 →提言 第三者委員会は、調査結果に基づいて、再発防止策等の提言を行う

 ⇒事実認定については、書きぶりがかなり異なるように思います。やはり、目的に違いがあるからでしょうか。


4 第三者調査委員会による調査は,適法かつ適正な行政の執行を確保するために行われるものであり,第三者調査委員会の趣旨・目的等を離れて民事上,刑事上の責任の有無又は所在を追及すること自体を目的とするものではない

 →第三者委員会は関係者の法的責任追及を直接の目的にする委員会ではない。関係者の法的責任追及を目的とする委員会とは別組織とすべき場合が多いであろう。

 ⇒ここは同一の書きぶりです。

2026年6月10日 (水)

【金融・企業法務】 企業不祥事における第三者委員会ガイドライン NO2

 昨日の続きです。

Ⅱ 事実認定です。 

(基本原則)

(2)事実認定
調査に基づく事実認定の権限は第三者委員会のみに属する。第三者委員会は、証拠に基づいた客観的な事実認定を行う。

(指針)

(2)事実認定に関する指針
①第三者委員会は、各種証拠を十分に吟味して、自由心証により事実認定を行う。
②第三者委員会は、不祥事の実態を明らかにするために、法律上の証明による厳格な事実認定に止まらず、疑いの程度を明示した灰色認定疫学的認定を行うことができる

 →調査に基づく事実認定の権限は第三者委員会のみに属するが、これは、事実認定の側面から第三者委員会の独立性を明らかにしたものである。

 →第三者委員会は司法権や行政権を行使する国家権力ではなく、不祥事の実態をステークホルダーに説明するために調査を行う任意の機関であるから、疑いは疑いとしてありのままの事実認定を行うことができる。但し、単なる印象や思い込みでの認定が許されるわけではない。

 →調査報告書の開示が名誉毀損に該当するかについては、第三者委員会が、対象者のヒアリングや書証の検証等、徹底的な調査を実施し、その結果を委員の合議により精査をすることが真実性の証明につながることになるうえに、仮に証明できなかった場合においても真実と信ずるについての相当の理由がある場合に該当することになろう。

Ⅲ 認定事実の評価、原因分析

基本原則)

(3)事実の評価、原因分析
第三者委員会は、認定された事実の評価を行い、不祥事の原因を分析する。事実の評価と原因分析は、法的責任の観点に限定されず、自主規制機関の規則やガイドライン、企業の社会的責任(CSR)、企業倫理等の観点から行われる

(指針)

(3)評価、原因分析に関する指針
①第三者委員会は、法的評価のみにとらわれることなく5、自主規制機関の規則やガイドライン等も参考にしつつ、ステークホルダーの視点に立った事実評価、原因分析を行う。
②第三者委員会は、不祥事に関する事実の認定、評価と、企業等の内部統制、コンプライアンス、ガバナンス上の問題点、企業風土にかかわる状況の認定、評価を総合的に考慮して、不祥事の原因分析を行う

→不祥事の原因は、当該厚意を阻止する仕組みが不備であったという直接的な原因から、内部統制、コンプライアンス、コーポレートガバナンスの機能不全などの組織的要因、企業風土(統制環境)の問題、さらには企業理念の変質・喪失というように重層的に存在する。従って、第三者委員会には、不祥事に関する事実の認定、評価と、企業等の内部統制、コンプラアンス、ガバナンス上の問題点、企業風土にかかわる状況の認定、評価を総合的に考慮して不祥事の原因分析を行うことが認められている。

Ⅳ ステークホルダーに対する説明責任(調査報告書の開示)

(基本原則)

2.説明責任
第三者委員会は、不祥事を起こした企業等が、企業の社会的責任(CSR)の観点から、ステークホルダーに対する説明責任を果たす目的で設置する委員会である。

(指針)

2.説明責任についての指針(調査報告書の開示に関する指針)
第三者委員会は、受任に際して、企業等と、調査結果(調査報告書)のステークホルダーへの開示に関連して、下記の事項につき定めるものとする。
①企業等は、第三者委員会から提出された調査報告書を、原則として、遅滞なく、不祥事に関係するステークホルダーに対して開示すること。

②企業等は、第三者委員会の設置にあたり、調査スコープ、開示先となるステークホルダーの範囲、調査結果を開示する時期を開示すること。

③企業等が調査報告書の全部又は一部を開示しない場合には、企業等はその理由を開示すること。また、全部又は一部を非公表とする理由は、公的機関による捜査・調査に支障を与える可能性、関係者のプライバシー、営業秘密の保護等、具体的なものでなければならないこと

→不祥事は、企業や組織(企業等)がステークホルダーにマイナスの影響を与えている状態であるから、企業等は不祥事の原因を自ら調査し、原因を究明し、これを克服するプロセスをステークホルダーに説明する社会的責任がある。そして、第三者委員会は企業等がこの社会的責任を果たす目的で設置する委員会であるから、調査結果(調査報告書)はステークホルダーに対して開示・公表されることが原則となる。

 

2026年6月 9日 (火)

【金融・企業法務】 企業不祥事における第三者委員会ガイドライン NO1

 2010年に日弁連において企業不祥事における第三者委員会ガイドラインを策定しました。日弁連ガイドラインについてはこのブログでも紹介しましたが、策定した直後に日弁連ガイドラインにおいての研修会を日弁連において実施しています。

 その後、

 2017年には、日弁連において、「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン(スポーツ団体不祥事向けコメント付)

 2018年には、日弁連において、「いじめの重大事態の調査に係る第三者委員会委員等の推薦依頼ガイドライン

 2021年には、日弁連において、「地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針について

 2023年には、日弁連において、「事業者による高齢者・障害者に知する虐待検証のための第三者委員会ガイドライン

 が公表されています。もしかしたら、落としているものもあるかもしれませんが、その場合にはご教示下さい。

 元祖の2010年日弁連ガイドラインについては、商事法務から解説書が出ております。随分前に購入しましたが、久しぶりに読んでみました。

 復習を兼ねて、ガイドラインと解説をみていきたいと思います。

第1部 基本原則
 本ガイドラインが対象とする第三者委員会(以下、「第三者委員会」という)とは、企業や組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会である。
 第三者委員会は、すべてのステークホルダーのために調査を実施し、その結果をステークホルダーに公表することで、最終的には企業等の信頼と持続可能性を回復することを目的とする。

 →日弁連第三者委員会の定義が示されています。この定義に合致する委員会が日弁連第三者委員会と呼ぶに相応しいことになります。

 →第三者委員会は誰が依頼者なのかという論点があります。解説書では、本ガイドラインを策定する際の最大の論点であると述べています(P26)

  解説書では、実質的依頼者はステークホルダーであると説明しております。すべてのステークホルダーのために調査を実施し、公表し、それにより、企業等の信頼性と持続可能性を回復することを目的にとするものだと解説し、最も大切な視点と説明されています。P27

 

Ⅰ 調査対象とする事実(調査スコープ)

(基本原則)

第1.第三者委員会の活動
1.不祥事に関連する事実調査認定、評価

 第三者委員会は、企業等において、不祥事が発生した場合において、調査を実施し、事実認定を行い、これを評価して原因を分析する。

(1)調査対象とする事実(調査スコープ)
第三者委員会の調査対象は、第一次的には不祥事を構成する事実関係であるが、それに止まらず、不祥事の経緯、動機、背景及び類似案件の存否、さらに当該不祥事を生じさせた内部統制、コンプライアンス、ガバナンス上の問題点、企業風土等にも及ぶ。

(指針)

第1.第三者委員会の活動についての指針
1.不祥事に関連する事実の調査、認定、評価についての指針
(1)調査スコープ等に関する指針
①第三者委員会は、企業等と協議の上、調査対象とする事実の範囲(調査スコープ)を決定する。調査スコープは、第三者委員会設置の目的を達成するために必要十分なものでなければならない。
②第三者委員会は、企業等と協議の上、調査手法を決定する。調査手法は、第三者委員会設置の目的を達成するために必要十分なものでなければならない。

→第三者委員会の調査対象は、経営陣の直接、間接の関与、あるいは事件をもたらした組織的要因(内部統制あるいはコーポレートガバナンスの機能不全)、企業風土にまで遡ったものでなければならない。

→第三者委員会は、不祥事の経緯、動機、背景等を含む不祥事の実態、さらに不祥事をもたらした企業の組織的な問題点を明らかにするというその設置目的を達成するために必要十分な調査スコープを決定するという原則を貫き、企業等に対し理解を得るよう努めるべきである。

→どのような調査手法を用いるかは、第三者委員会が定めた調査スコープの調査を行うために必要十分かという観点から決定すべきである。

 



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2026年6月 8日 (月)

【金融・企業法務】月刊監査役 5月号 中堅企業等における監査役等と会計監査人とのコミュニケーション

 月刊監査役5月号の解説です。

 監査役等と会計監査人のコミュニケーションの事例として、まず、定期的な意見交換が不足していないかという課題があります。定例の報告会以外の会計監査人とのコミュニケーションは、非常勤社外監査役は難しいので、常勤監査役から情報提供で対応している会社が多いんじゃないかなと思います。

 次に、監査役等との十分なコミュニケーションを図る上での障害等はないかという課題があります。監査役等の独立性確保のため執務室が物理的に個室として独立していること、社外非常勤の監査役等が常駐していないことが指摘されています。

 さらに、KAMについて十分に深度あるコミュニケーションが図られているのかという課題があります。

 加えて、会計監査人の監査役等への報告が形式的なものに終始していないかという課題があります。

 そして、監査役等による会社の実態把握は十分か、監査役等の会計監査についての専門的知識や経験は十分かなどの監査役等の側の課題もあります。

 監査役等が会計監査人と連携することで、企業ガバナンスの健全性を確保し、財務報告の信頼性を高めることが求められていることはいうまでもありません。

 田舎弁護士もこれらを踏まえて、監査役としての職務の遂行を図りたいと思います

 

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(システム小屋の内部)

2026年6月 7日 (日)

【交通事故】 人身傷害条項と最高令和7年10月30日判決

 判例タイムズNo1543号で掲載された最高裁令和7年10月30日判決です。

 判決要旨を紹介いたします。

 1 自動車保険契約の人身傷害条項が、保険金請求権者について、同条項の適用対象となる事故によって損害を被った「被保険者。ただし、被保険者が死亡した場合はその法定相続人とする。」と定めている場合において、この定めによって保険金請求権者が定まる人身傷害保険金のうち、上記被保険者が上記事故により死亡したに生ずる保険金の請求権は、同人の相続財産に帰属する。

   →本件事案は、自損事故によりAが死亡したところ、Aの第1順位の法定相続人であるAの子らが相続放棄をしたため、Aの遺産は、Aの母親であるBが単独で相続したものです。

                   ↓

    死亡保険金が、被保険者の相続財産に属するという見解だと、Bが承継することになるのに対して、死亡保険金が、相続財産に属さず、法定相続人が原資的に取得するという見解では、Aの子らが取得することになります。

    なお、保険実務においては、保険会社の多くは原始取得説に立った処理をされていたようです。

 2 自動車保険契約の人身傷害条項が、(1)保険金請求者について、同条項の適用範囲となる事故によって損害を被った「被保険者」及び「被保険者の父母、配偶者又は子」と定め、(2)人身傷害保険金を支払うべき損害のうち、上記「被保険者」の死亡により「本人のほか、父母、配偶者、子等の遺族が受けた」精神的損害の額として、上記「被保険者」の属性にに応じた区分ごとに単一の金額を定めているが、(3)上記「被保険者」の保険金の額と上記「被保険者の父母、配偶者又は子」の保険金の額とを調整する旨の定め等を置いていない場合において、

  上記事故により死亡した上記「被保険者」が被った損害を填補するための人身傷害保険金の額は、人身傷害保険金を支払うべき同人の精神的損害の額が上記単一の金額であることを前提として算定されるべきであって、同人の死亡により精神的損害を受けた同人の父母、配偶者又は子が存在することは、上記人身傷害保険金の額に影響を及ぼすものではない。

   →保険金請求権者となる近親者が存在することによって、被保険者が受けた精神的苦痛等は減少するとはいえないし、また、被保険者の近親者が固有の精神的損害について保険金を請求する意思がない場合に死亡保険金の額が減額されるとすれば、本件精神的損害額の全額に満たない額しか支払われず、本件精神的損害額の定めとそぐわない結果となりますから妥当ではありませんね。

 

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(愛大・システム小屋)

           

 

2026年6月 6日 (土)

【流通】第145回労働政策フォーラム「物流における労働問題を考える-トラック業界の人手不足等を中心に」ー 改正物流法・トラック適正化二法の概要

 (独法)労働政策研究・研修機構(JILPT)の労働政策フォーラム「物流における労働問題を考える」を受講しました。

 その中で、「行政の取組について」で、国土交通省物流・自動車局の担当官による説明がありました。

 第2章として、改正物流法・トラック適正化二法の概要についての解説がありました。

 まずは、「流通業務総合効率化法」の概要です。令和7年4月1日施行。一部につき、令和8年4月1日から施行。

 〇①荷主(発荷主・着荷主)、②物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に対し、物流効率化のために取り組むべき努力義務を課し、当該措置について国が判断基準を策定。

 〇上記①②の取組状況について、国が当該判断基準に基づき指導・助言調査・公表を実施。

 〇上記①②のうち一定規模以上のもの(特定事業者)に対し、中長期計画の作成定期報告等を義務付け、中長期計画の実施状況が不十分な場合、国が勧告・命令を実施(令和8年4月1日施行)

 〇特定事業者のうち荷主には物流統括管理者(CLO)の選任を義務付(令和8年4月1日施行)。

 

 第2は、「貨物自動車運送事業法」の概要です。令和7年4月1日施行です。

 〇運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等を含む)等について記載した書面による交付等を義務付け

 〇元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付

 〇下請事業者への発注適正化について努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対し、当該適正化に関する管理規程の作成、責任者の選任を義務付

 

 第3は、「貨物自動車運送事業法」の概要です。

 〇軽トラック事業者に対し、①必要な法令等の知識を担保するための管理者選任と講習受講、②国交大臣への事故報告を義務付

 〇国交省HPにおける公表対象に、軽トラック事業者に係る事故報告・安全確保命令に関する情報等を追加

 

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(浅尾の沈下橋)

 

2026年6月 5日 (金)

【金融・企業法務】 日弁連特別研修 組織の不祥事における危機管理と企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインの考え方並びに調査のノウハウ

 日弁連特別研修 組織の不祥事における危機管理と企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインの考え方ならびに調査のノウハウを日弁連eラーニングで受講しました。

 録画は2012年で少し古くはなっておりますが、26年の現在でも参考になる視点が多かったように思います。

 まずは、久保利英明弁護士による「第三者委員会の趣旨と概要」です。従来型委任契約との落差が大きいことを指摘されています。

 第2は、東京証券取引所自主規制法人常任理事による「東証自主規制法人上場管理部の業務と第三者委員会」です。

 ここでは、投資家の声として、第三者委員会の法的位置づけがよくわからない、委員は会社法上の義務や責任を負っていない、調査報告書を完成させると速やかに解散してしまう、とすれば、責任ある活動が本当に期待できるのか そのような疑問に対応するためにも、日弁連ガイドラインに則った活動を積み重ね、ベストプラクティスを模索し続けることにより、信頼性を高める必要があると指摘されています。

 第3は、國廣正弁護士による「企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインの基本を理解する」です。

 ここでは、調査報告書の開示は、第三者委員会が危機管理機能と公益的機能を果たすためのカギとなると指摘されています。 

 第4は、梅林啓弁護士による「第三者委員会設置の基準」です。

 調査の手法として、社内調査、内部調査委員会、外部調査委員会、第三者委員会をあげています。そして、外部調査委員会と第三者委員会との区別について、調査委員会の構成員を全員外部の者にしてしまった場合で、さらに、第三者委員会ガイドラインに完全に依拠している設置した場合を指すと説明されています。

 第三者委員会を設置すべき不祥事とは、ステークホルダー、独立性、中立性、公正さ、客観的立場からの調査と事実認定、説明責任を踏まえて、第三者委員会の意義、特徴から考えるべきとなります。

 例えば、〇企業のトップが関与する会社ぐるみの不祥事、〇長年にわたって継続してきた不祥事で、関与者が退職・退職済みの役職員を含めて、多数に及ぶような企業の構造的な不祥事、〇企業が何を言っても、誰も何も信用されない不祥事(説明責任を果たせない)、〇粉飾決算、製品サービスの偽装、事故隠し、インサイダー関連の不祥事を挙げています。 

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(笠松山登山口)

 

2026年6月 4日 (木)

【法律その他】弁護士のための新法令紹介 ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律

 自由と正義5月号に、ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律(昨年9月25日から施行)が紹介されていました。

 2024年度に実施された警察庁の委託調査によれば、国内におけるオンラインカジノの利用経験者は推定で約337万人、国内における年間賭博額は推定1兆2423億円、オンラインカジノにアクセスした人の約75%がこれを利用していること、そのうち60%が依存症の自覚があること、オンラインカジノの違法性を認識していなかった人の割合が約44%となっているようです。

 もとより、オンラインカジノを国内から利用して賭博を行うことは、刑法上の賭博罪(単純賭博、常習賭博)に該当する犯罪であり、違法です。このことはオンラインカジノサイト自体が海外で合法的に運営されている場合であっても変わりがありません。

 オンライン上の賭博自判の検挙人数は、23年は107人、24年は279名と大幅に増加しており、緊急的に可能な立法措置として法律が改正されたものです。

 まずは、国内の不特定の者に対して、①オンラインカジノサイト・アプリを開設・運営する行為や、②オンラインカジノへの誘導情報を発信する行為を禁止することにしました。

 但し、現時点では、違反に対する罰則規定が設けられていません。

 次に、オンラインカジノ利用の違法性の周知徹底を図ることを国や地方公共団体に求めております。

 そういえば、ある簡裁の裁判官が、オンラインカジノを利用して在宅起訴されたことが最近報道されていましたね。 

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(北三方ケ森・アドベンチャーロード)
 裁判官までもが手を出してしまうほど深刻な状況に至っていることがショックです。この裁判官も50歳代前半ですが、安定した収入を失うことになります。この方の今後の経済的環境は、両親が資産家でもない限り、非常に厳しいことになるのではないかと思います。
 人間、途中でいろいろ苦労しても、亡くなる5年が平穏であれば、おそらくはその人の人生は悪くはなかったということになるのでしょう。ところが、人生の大半が平穏でも亡くなる5年が悲惨であれば、その人の人生は良いとはいえないでしょう。
 ハッピーリタイアして、その後の人生をどう平穏に生きるのか、難しい課題ですが、日頃から考えておく必要があります。 

2026年6月 3日 (水)

【金融・企業法務】日本商事仲介協会主催の企業法務セミナー「カスタマーハラスメント対策」を受講しました。

 先日、日本商事仲介協会主催の企業法務セミナー「カスタマーハラスメント対策」を受講しました。

 講義の内容は、オーソドックスな構成になっております。

 カスハラの法律上の定義の説明から始まります。

 その定義を受けて、カスハラの具体的事例についての説明があります。

 そして、なぜカスハラが問題とされるのか、その背景についての説明がされています。

 特に労災との関係、会社の安全配慮義務との関係、カスハラ対策の必要性、会社の責務・雇用管理上講ずべき措置についての説明、そして、祖機器対応の仕組みについての言及もあります。

 それとよくあるのが、通常のクレームと悪質クレームの区別、悪質なクレーマーに対する具体的な対応の仕方についての説明がありました。

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                            (北三方ケ森のしゃくなげ)

 これを機会に厚労省のHPを確認しました。

 なんと、カスタマーハラスメント防止指針が、令和8年2月26日に公布されていたんですね。

 また、令和8年4月24日には、ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項(令和8年10月1日適用)も公表されています。 

 ちなみに、厚労省の「職場におけるハラスメントの防止のために」は、ここから飛べますよ。 

2026年6月 2日 (火)

新田青雲中等教育学校が閉校へ😖

 新田青雲中等教育学校が閉校との報道が届きました。

 新田青雲は田舎弁護士も関わりがあります。

 実は田舎弁護士の子どもが新田青雲の在学生だったのです。

 昔のことになりますが、突然、当時小学6年生の子どもが松山の中学校に行きたいということを9月くらいに言い出して、急遽、受験勉強をすることになりました。

 親としては、そのまま市内の公立中学校に進学すると思っていたので驚きましたが、にわか受験勉強を始めることになりました。

 9月から12月ころの間だったのかなと思いますが、夜は毎日新田青雲の過去問を解いて勉強を教えていました。

 年表をカードにしたり、漢字チェックをしたり、小論文を書いて貰ったり、3時間程度一緒に学習していました。

 そのおかげで、小学校の成績もそれなりに良くなっていきました。

 そして、子どもの頑張りもあり、新田青雲に無事合格して入学しました。

 もっとも、平日の今治から三津浜までの電車通学は負担になったこともあるのか、高校進学時には、地元の公立高校を受験し、高校時代は今治で過ごしました。

 青雲時代の友人は今でも何人かいるようで、帰省の都度、松山に遊びに行っているようです😄

 令和4年には、学校創立20周年を迎えています。

 生徒数をみると、定員600名で、在籍数は270名ですので、定員充足率は半分をきっています。

 子どものことは3クラスあったと思うので、びっくりしました。

 5月21日のリリースでは、少子化に伴う志願者数減少を原因の1つとしてあげています。

 田舎弁護士の思うところ、最近の難関校への進学実績が余りパッとしないこと、また、青雲にしかない特徴を十分に活かしきれなかったことにあろうかと思います。

 子どもたちにとって、母校がなくなるというのは大きなショックです。

 開校したころはそれなりに人気があったと思います。 

 少人数教育で丁寧な指導、アットホームな雰囲気で子どもにとっても学校生活は居心地はよかったようです。

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(北三方ケ森のしゃくなげ)
 子どもの例でいうと、新田青雲で普通に勉強すれば、進学校の公立高校には普通に受かるくらいのレベルには当時はなっていたと思います。
 ですので、このようなことが起こるとは夢にも想定していませんでした。
 
 小規模の地元密着の学校が生き残るためには何が必要なのかを感じさせる報道でした。
 学校においても、経営戦略という視点が非常に重要だと感じました。 

2026年6月 1日 (月)

【行政】災害によらない水道施設の損傷による断水について、水道法15条2項ただし書の「正当な理由があってやむを得ない場合」に該当せず、水道事業者において給水契約上の給水義務があるとして債務不履行に基づく損害賠償請求を認めた事例 福岡高裁令和5年12月21日判決

 判例時報No2644号で掲載された福岡高裁令和5年12月21日判決です。

 事案は、水道事業者であるYとの間で給水契約を締結しているXらが、給水区域内において生じた断水によりXらの経営する宿泊施設における営業利益の喪失等の損害が生じた旨主張して、Yに対し、本件給水契約の債務不履行等に基づく損害賠償を求めたものです。

 水道法15条2項は、本文において、水道事業者は当該水道により給水を受ける者に対し常時水を供給しなければならないとして、水道事業者が常時給水の義務を負う旨を定め、ただし書において、「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」には給水を停止することができる旨を定めている。

 また、水道法14条1項に基づいて制定された宮古島市水道事業給水条例16条1項は、給水は、非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事業及び法令又はこの条例の規定による場合のほか、制限又は停止することはない旨規定し、同条3項は、同条1項の規定による給水の制限又は停止のため損害を生ずることがあっても、市はその責めを負わない旨規定している。

 第1審及び差戻前第2進判決は、本件条例16条3項は、水道事業の安定的かつ継続的な運営を維持するため、給水の制限又は停止の原因となった水道施設の損傷がYの故意又は重過失によるものである場合を除き、Yの給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定であり、このように解する限りにおいて、同項の規定は、正当な目的のために必要やむを得ない制約を設けるものとして憲法29条に違反するものではなく、本件断水に至る事情を考慮すると、本件破損についてYに故意又は重過失があるとはいえないから、Yの本件断水による給水義務の不履行に基づく損害賠償責任は、本件条例16条3項により免除されるとして、Xらの請求を棄却しました。

 これに対して、最高裁令和4年7月19日判決は、本件条例16条3項は、Yが水道法15条2項ただし書により水道の使用者に対して給水義務を負わない場合において、当該使用者との関係で給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負わない旨を確認した規定に過ぎず、Yが給水義務を負う場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではないと判示して、原判決を破棄し、Yの損害賠償責任の有無については、本件断水につき、水道法15条2項ただし書の「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」に当たるか否かなどについて更に審理を尽くした上で、判断すべきであるとして、本件を福岡高裁に差し戻ししました。

 差戻後第2審は、本件断水の原因が「正当な事由があってやむを得ない場合」があるとはいえない、本件断水の時点に立って考えてもYに本件破損の予見可能性や結果回避可能性があったと認めるのが相当であること、さらには、ポータルタップを含めた配水池への流入量の正確な把握や相当期間経過後の取り換え等本件破損及び断水を回避する義務を認めるのが相当である旨判断して、Yの責任を認めました。

 水道法15条2項ただし書の趣旨は、水道設備(水道管)が地中に多数存在し、その修繕も簡単ではないから、免責が認められないと水道事業者に酷に過ぎるというところにあるところ、近年のライフラインに関連する社会的インフラの経年劣化

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