【行政】災害によらない水道施設の損傷による断水について、水道法15条2項ただし書の「正当な理由があってやむを得ない場合」に該当せず、水道事業者において給水契約上の給水義務があるとして債務不履行に基づく損害賠償請求を認めた事例 福岡高裁令和5年12月21日判決
判例時報No2644号で掲載された福岡高裁令和5年12月21日判決です。
事案は、水道事業者であるYとの間で給水契約を締結しているXらが、給水区域内において生じた断水によりXらの経営する宿泊施設における営業利益の喪失等の損害が生じた旨主張して、Yに対し、本件給水契約の債務不履行等に基づく損害賠償を求めたものです。
水道法15条2項は、本文において、水道事業者は当該水道により給水を受ける者に対し常時水を供給しなければならないとして、水道事業者が常時給水の義務を負う旨を定め、ただし書において、「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」には給水を停止することができる旨を定めている。
また、水道法14条1項に基づいて制定された宮古島市水道事業給水条例16条1項は、給水は、非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事業及び法令又はこの条例の規定による場合のほか、制限又は停止することはない旨規定し、同条3項は、同条1項の規定による給水の制限又は停止のため損害を生ずることがあっても、市はその責めを負わない旨規定している。
第1審及び差戻前第2進判決は、本件条例16条3項は、水道事業の安定的かつ継続的な運営を維持するため、給水の制限又は停止の原因となった水道施設の損傷がYの故意又は重過失によるものである場合を除き、Yの給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定であり、このように解する限りにおいて、同項の規定は、正当な目的のために必要やむを得ない制約を設けるものとして憲法29条に違反するものではなく、本件断水に至る事情を考慮すると、本件破損についてYに故意又は重過失があるとはいえないから、Yの本件断水による給水義務の不履行に基づく損害賠償責任は、本件条例16条3項により免除されるとして、Xらの請求を棄却しました。
これに対して、最高裁令和4年7月19日判決は、本件条例16条3項は、Yが水道法15条2項ただし書により水道の使用者に対して給水義務を負わない場合において、当該使用者との関係で給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負わない旨を確認した規定に過ぎず、Yが給水義務を負う場合において同義務の不履行に基づく損害賠償責任を免除した規定ではないと判示して、原判決を破棄し、Yの損害賠償責任の有無については、本件断水につき、水道法15条2項ただし書の「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」に当たるか否かなどについて更に審理を尽くした上で、判断すべきであるとして、本件を福岡高裁に差し戻ししました。
差戻後第2審は、本件断水の原因が「正当な事由があってやむを得ない場合」があるとはいえない、本件断水の時点に立って考えてもYに本件破損の予見可能性や結果回避可能性があったと認めるのが相当であること、さらには、ポータルタップを含めた配水池への流入量の正確な把握や相当期間経過後の取り換え等本件破損及び断水を回避する義務を認めるのが相当である旨判断して、Yの責任を認めました。
水道法15条2項ただし書の趣旨は、水道設備(水道管)が地中に多数存在し、その修繕も簡単ではないから、免責が認められないと水道事業者に酷に過ぎるというところにあるところ、近年のライフラインに関連する社会的インフラの経年劣化
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