朝日新書から出版された「なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる」を購読しました。
最先端で且つ深いお話がわかりやすく解説されていました。
(はじめに)「世界的な人口増加や新興国の中間層拡大が進んだ結果、食料資源の不足が懸念されている。地球温暖化防止やSDGs(持続可能な開発目標)の達成、ESG(環境・社会・統治)投資が叫ばれる中、スーパーマーケットにも持続可能性(サステナビリティ)経営が求められる。こうした課題に対応するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいる。AIを活用した在庫管理や需要予想の精度向上、セルフレジの普及により、スーパーマーケットの運営効率は飛躍的に改善している。人手不足が深刻化する中、技術革新は生産性を向上させるカギであると東寺に、来店客に新たな購買体験を提供する。本書では、筆者の取材経験を基にスーパーマーケットの売り場が映し出す社会的・経済的な課題を描きつつ、食と健康、地域社会が抱える課題、生活者に求められる役割を考察する。特に、サステナビリティやDXの重要性を踏まえ、未来のスーパーマーケットが果たすべき課題解決の方向性を提言している。」P8
(スーパーマーケットの売り場の秘密)「生活者の心理や行動を反映し、売り場作りを工夫することをインストアマーチャンダイジングと呼ぶ。たとえば、売れ筋商品や買ってもらいたい商品はゴールデンゾーンに並べるのが鉄則だ。ゴールデンゾーンとは、消費者の目線の高さに配置された陳列線のこと。」「ゴールデンゾーンにどんな商品を並べているかを見るだけで、その店の雛揃えレベルがわかる。繁盛店ではトレンドを抑えた新商品や人気商品、売れ筋商品などがならぶ」P40
「店の中をくまなく巡ってもらえれば、商品に触れる機会が増え、売上につながりやすい。来店客を店の奥へ奥へと誘導するためのカギとなるのは、マグネット(磁石)と呼ばれる商品や戦略だ。特にインストアマーチャンダイジングではワンウェイコントロール(店内動線を管理することで来店客を効果的に誘導する)という考え方を重んじる。スムーズに来店客を誘導するために、各売り場にマグネットを配置するのだ。」P42
(現代人の食生活6つのニーズ)「現在の生活者は、ライフスタイルや価値観の多様性に伴い、食生活に対するニーズも多様化している。これらのニーズに的確に応え、幅広い商品ラインナップを提供できなければ、これkらのスーパーマーケットが生き残るのは難しいだろう。現代の生活者の食生活ニーズの特徴は6つに分類できる。」「即食ニーズ」「準即食ニーズ」「買い足しニーズ」「簡単ニーズ」「手作りニーズ」「プチご褒美ニーズ」P46
(スーパーのライバルとしてのドラックストア)「ピーター・ドラッカーは、構造変化はその産業の外にいる者に例外的というべき機会を与えるが、産業内にいる者には同じ変化が驚異と映る(イノベーションと企業家精神)。と指摘した。業界というものは、そこで長年働いている者には安定していて不変のように見える。だが、産業構造は意外にもろい。日本の電機業界を語るまでもなく、ときにあっけなく崩壊するのだ。スーパーマーケットが担っていた食品販売の主要チャンネルという役割を維持するためには、業態化の競争に品揃えやサービスで勝っていかなければならない」P131
(2割のお得意客で利益の8割を稼ぎ出す)「価格だけではなく、ターゲットの顧客をどう設定するかも重要な要素だ。特売商品だけを買いに来るチェリーピッカーと呼ばれる客を相手にしていては、利益は上がらない。ドロシーレーンの法則のように価格や商品構成を上手にミックスする戦略が生き残りには欠かせない。こてと並行して注目したいのがパレートの法則だ。全体の20%の顧客で利益の80%を稼ぐという考え方だ。優良顧客に対して手厚いサービスをすることで、価格に関係なく幅広い商品を継続的に買ってくれるファンを育てる。それによって収益を確保することが生き残り戦略に必要なのだ」、「利益貢献度が高い上位20%の優良顧客に対し、それ相当のサービスを還元し、他店に流れないようにするための手段として、小売業ではFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)という手法が知られる。」P147
(選択肢は多すぎると逆効果)「選択の科学で有名なコロンビア大学教授のシーナーアイエンガー氏は、選択肢が多いければ多いほど、顧客の購買意欲は低下するという研究成果を発表している」、「人間には自分の経験や記憶を基に、深く考えずにパパッと判断してしまう傾向がある。これは行動経済学でヒューリックティクスという決定行動だ」、「何か一点秀でたものがあったり、目立つ特徴があったりすると、それに意識が引きつけられて全体的な判断に影響してしまうこともある。心理学の世界ではこれをハロー効果」と呼ぶ。P149
(高級化で差をつけるライフ)「岩崎社長によれば、1953年に紀ノ国屋がセルフサービス方式を導入して始まった日本のスーパーマーケットの歴史は、2000年に西友が日本初のネットスーパを開業して第2世代を迎え、ビオラルのようなオーガニック系スーパーマケットが台頭して第3世代に突入した。恵比寿ガーデンプライス店は、第1世代から第3世代をシームレスにつないだ第4世代の確立を目指している」P197
まさにスーパーは、日本社会の縮図ともいえると思います。
さて、我が弁護士業界においてはどのような状態でしょうか。
明治時代に出来た代言人制度が第一世代とすると、弁護士自治を獲得した戦後の弁護士業界が第2世代、長らくの間広告が禁止され、また、司法試験合格者も極端に少なかったことから、第2世代が長く続きました。ところが、30年近く前に司法改革の名の下で、広告が解禁となり、司法試験合格者の数も増加され、弁護士が市場競争の中に放り込まれることになりました。これが、第3世代でしょう。
そして、今月からは、民事訴訟のITが完全実施され、デジタルを使いこなせない古いタイプの弁護士はそもそも法廷業務を取り扱うことはできなくなりました。いよいよ第4世代の到来です。
このような状況で、地方のマチ弁が生き残り、それなりに発展するためには、何が必要かが問われています。
裁判所の期日掲示板を見ても、代理人弁護士の名前が今治支部の弁護士ではないことが多くなっております。
利用者のニーズとしては、①手軽さ、②誠実な対応、③希望している内容での解決、④費用の安価、⑤処理の速さであろうと思います。
ただ、他方で、弁護士を依頼する方も、人生に1回か2回くらいしかないので、このニーズについては、体験知として得ることが困難だろうと思います。
そうすると、これらのニーズについては、(1)HP等で広告で表示、(2)初回打合せでの雰囲気などで想像するしかありません。
しかしながら、利用者の思いと実際は異なることが少なくないというのは言わずもがなです。
そうなると、他の利用者が依頼した弁護士にどうだったのかということになると、グーグルの口コミなどが今後は大いに参考にされることになると思います。そこには他の利用者の体験知を得ることができますから。
もっとも、弁護士の場合も医師と同じで、誠実に対応しても、評価が低い口コミを入れる方はいます。これについては、その口コミの内容や弁護士の説明等を見て判断することになろうと思います。
田舎弁護士の場合は、ニーズのうち、④費用の安価は対応難しいですね。 交通事故、離婚、相続は、1件1件手作り案件となりますので。

最近のコメント