全国倒産処理弁護士ネットワーク(全倒ネット)から「私的整理特別清算の実務Q&A115問」が届きました。
大型の倒産案件の管財事件を受けることがあった大昔に、全倒ネットに加入して、倒産法についてかなり一生懸命勉強した記憶があります。銀行の法律顧問に就任してから利益相反の関係もあり、企業関係の管財事件の依頼はほぼなくなりました。
そのため、全倒ネットも辞めてしまい、倒産法関係の知見も次第に薄れているところです。
他方で、破産ではありませんが、事情承継の一環として、廃業型清算というのはボツボツ相談にこられる方が増えたように思います。
数は多くはありませんが、実際に対応したこともあります。
(世田山)
最近も、株式会社が解散した場合に開始する通常の清算手続(しかも途中で終わっている)についての相談がありました。
知識の整理のために、通常の清算手続の流れをおさえておきたいと思います。115問では、Q84となります。
1 株式会社が解散した場合の手続
(1) 株式会社の解散
株式会社が解散(株主総会における解散決議は特別決議)した場合、株式会社の清算手続が開始されます。清算株式会社は、清算の目的の範囲内で存続し、清算人がその業務を遂行します。
(2)清算人の選任・就任
清算人には、定款で定める者又は株主総会の決議(普通決議)によって選任された者がある場合を除き、解散時の取締役が就任します。
清算人は、清算株式会社の本店所在地において、解散の日から2週間以内に解散の登記をし、解散又は清算人の選任の日から2週間以内に清算人の登記をします。また、解散後遅滞なく、納税地の所轄税務署長に対し、解散及び清算人に就任・選任につき異動届出書を提出します。地方税については各地方公共団体の定めに従い、都道府県税事務所及び市町村に廃業届を提出します。その他、許認可がある場合には所轄庁に届出等を行います。
2 解散から、特別清算までの手続、流れ
(1)債権申出の官報公告・個別催告
清算株式会社は、清算の開始原因に該当することとなったのち(通常は解散後)、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、格別に催告しなければなりません。
催告期間内は、原則として債務の弁済をすることができませんが、少額債権、別除権を有する債権その他債権者を害するおそれがない債権にかかる債務については、裁判所の許可を得て、弁済することができます。
知れている債権者以外の債権者で、債権申出期間内に債権の申出をしなかった債権者は清算から除斥され、分配がされていない残余財産に対してのみ弁済をすることができます。
(2) 清算事務の遂行
清算人の職務は、現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の分配であり、それらに先立ち、清算株式会社の財産の現況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成して株主総会に提出して承認を受けなければなりません。
ア 財産目録等の作成等
→清算人は、就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、清算の開始原因に該当することとなった日(通常は解散の日)における財産目録等を作成します。その後、清算人は、財産目録等を株主総会に提出し、又は提供し、その承認(普通決議)を受ける必要があります。
清算株式会社は、清算事務年度(解散の日の翌日から1年間)ごとに貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成します。これらの書類について、監査役設置会社において監査役の監査を受け、清算人会設置会社においては清算人会の承認を受ける必要があります。
貸借対照表及び事務報告については定時株主総会に提出し、又は提供し、貸借対照表についてはその承認(普通決議)を受け、事務報告の内容を定時株主総会に報告する必要があります。
また、解散に伴って税務申告をする必要もあります。法人税については、解散により事業年度が終了するので(解散事業年度)、解散の日の翌日から2か月以内に確定申告をし、法人税を納付する必要があります。その後、1年ごとに清算事業年度の確定申告・納税をします。
イ 現務の結了
→現務の結了とは、解散時に未了の状態にある現在の事務を整理し、終了させることをいい、清算人は清算株式会社が解散前から行ってきた事務を終了し、雇用関係や取引関係等を終了させます。従業員の雇用関係終了に伴い、各種社会保険について、離職に関する手続を行うとともに、解散した旨を届け出る必要があります。なお、特別清算手続を予定している事案においては、解散前にこれらの事務が完了していることが通常です。
ウ 債権の取り立て及び債務の弁済
→清算人は、清算事務として清算株式会社の財産を処分し、債権を回収します。清算人は、債権の取り立て及び財産の処分が終了し、債権申出期間が経過したのちにすべての債権者に対して債権の弁済を行い、残余財産を確定させます。
通常清算ではすべての債務を弁済する必要があります。債務超過となることが判明した場合には通常清算の手続を結了することはできず、特別清算又は破産の申し立てを検討しなければなりません。
なお、特別清算手続を予定している事案においては解散前に債権の取り立て等の財産処分は完了していることが多いと思われます。
エ 残余財産の分配
→清算人は、すべての債務を弁済したあと、残余財産がある場合には、清算人の決定により、株式の種類、数に応じて株主に残余財産を分配します。
(3) 清算事務の終了
→清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、決算報告を作成し、清算人は、これを株主総会に提出し、又は提供し、その承認(普通決議)を受けなければなりません。
清算が結了したときは、清算株式会社は、株主総会における決算報告の承認の日から2週間以内に、清算株式会社の本店所在地において、清算結了の登記をします。また、清算株式会社は、遅滞なく、所轄税務署長に清算の結了に関する異動届出書を提出します。
清算人は、清算株式会社の本店所在地における清算結了の登記の時から10年の間、帳簿並びにその事業及び清算に関する重要な資料を保存しなければなりません
(4) 特別清算開始の申立て
→清算株式会社に債務超過の疑いがある場合には、特別清算開始の申し立てを検討することになります。
(世田山)
とりあえず、通常の清算手続きのおさらいでした。
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