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2026年3月

2026年3月31日 (火)

【金融・企業法務】 Q&A下請・業務委託の法律実務 

 ぎょうせいから今年2月に出版された「Q&A下請・業務委託の法律実務」を購入しました。

 令和8年1月1日から中小受託取引適正化法が施行されました。20年ぶりの大改正です。

 改正の目的は、不公正な商慣習を是正し、取引の適正化を確保することで、中小事業者の健全な発展を支えることにあります。これにより、法律の名称も変更され、従来親事業者と呼ばれていた側は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者と呼称も改められました。

 また、改正の具体的な内容としては、委託事業者と受託事業者との間の価格協議の義務化、支払方法の制限、適用範囲の拡大など、重要な改正が盛り込まれました。

 それと、「下請寺」の相談員をしておりますが、この制度は、受託中小企業振興法23条の、地方公共団体は国と共に中小受託事業者の進行に必要な取り組みの推進等に務め、密接な連携の確保に努める旨規定されていることに基づいて、実施されているものだったんですね。

 


 

 

2026年3月30日 (月)

【労働・労災】 実践労働法実務 外国人労働者の法律実務 を購入しました

 昨年12月に出版された実践労働法実務外国人労働者の法律実務を購入しました。

 外国人労働者に関連するご相談は過去振り返っても数件程しか対応したことがありません。

 今治市の外国人の統計データを紹介されているコンサルのHPがありましたので、リンクをはっておきます。

 昨年のデータで、総人口14万7702人のうち、在留外国人の数は4566人と、約3%を占めています。在留外国人としては、1670の自治体のうち、173位とかなり上位です。

 国別をみると、上位6つが、フィリピンが2044名、ベトナムが744名、中国が727名、インドネシアが386名、ミャンマーが173名、ネパールが122名となっております。

 在留資格としては、上位3つが、技能実習2号ロが、1301名、特定技能1号が、1196名、技能実習1号ロが648名となっております

 そもそも在留資格って、複雑でわかりにくいのですが、整理すると概ね以下のとおりです。

 在留資格の種類及び分類については、別表一が本邦において行うことができる活動、別表二が本邦において有する身分または地位となります。

 日本人の配偶者の場合は、別表二に属し、在留活動・就労活動に制限はありませんが、在留期限はあります。

 特定技能や技能実習は、別表第一に属します。

 技能実習ですが、技能実習1号、2号、3号の3種類があります。

 1号は、技能実習計画に基づき、入国後に講習を受け、及び技能、技術又は知識にかかる業務に従事する活動であって、在留期間は最大で1年です。なお、ロは、団体監理型を指します。2号及び3号は、技能実習計画に基づき技能等を要する業務に従事する活動であって、在留期間は最大で2年です。1号から2号、2号から3号に移行するには、技能実習計画において定めた技能検定または技能実習評価試験の合格に係る目標が達成されていることが必要です。

 特定技能は、2019年4月から施行された在留資格です。深刻な人手不足に対応するため生産性向上や国内人材確保のための取り組みを行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていくことを目標としてできた制度です。

 1号は、従事しようとする業務に必要な相当程度の知識又は経験を必要とする技能を有していることが試験その他の評価方法により証明されていることが必要です。2号は、熟練した技能ということになります。在留期間の上限が1号では5年、2号ではありません。

 今治市においては、

 技能実習1号ロ   648名

 技能実習2号ロ  1301名

       イ    2名

 技能実習3号ロ   167名

 特定技能1号   1196名

 特定技能2号    11名

となっています。

 本書ですが、視点1 即時介入の必要性(使用者に寮の退去や帰国を迫られている、在留期限が切迫している等)、視点2 在留資格制度による就労制限の有無、復職・転職の制限、視点3 手続き参加(在留継続)の可否、手続きのための再来日の可否の3つの視点から、①解雇、②配転無効・資格外活動業務指示、③労災、④未払賃金について、A入管法別表第二の在留資格、B就労目的の在留資格、C技能実習に分けて検討されています。

 今後も余り参考にすることは多分ないと思いますが、万が一の時に備えて購入することにしました。 


 

2026年3月29日 (日)

【IT関連】日弁連主催 法務省及び最高裁担当者による民訴法等改正法の全面施行(民事裁判手続デジタル化)に向けた説明を受講しました。

 3月27日、日弁連主催の法務省及び最高裁担当者による民訴法等改正法の全面施行(民事裁判手続デジタル化)に向けた説明会に参加しました。

 法務省民事局からは、民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する法律の概要についての説明でした。

 ①オンライン提出等、②WEB参加等、③記録の閲覧等について、民事訴訟法の根拠条文を示しながらの解説でした。

 最高裁事務総局民事局からは、基本的には、mintsの使い方についての説明でした。

 弁護士は電子申立て等が義務化されること

 弁護士アカウントは本人確認が不要な今が取得する負担が小さいこと

 手数料納付はペイジーであること

 被告の応訴は、送達後に代理人となった場合は招待キーから入ること

 証拠はPDF形式にすること

 各種申立て等の提出場所を確認しておくこと

 改正民訴法が適用されるかどうかは、令和8年5月21日以降に提訴されたかどうかでわかれること

 などについて説明がされました。

 後日、日弁連eラーニングでも、公開されるとのことです。

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                             (香川県・丸亀)

2026年3月28日 (土)

【金融・企業法務】 コア・コーポレートガバナンス研究機構 公開フォーラム 「カンパニーセクレタリーはなぜ必要か」

 先日、一般社団法人コア・コーポレートガバナンス研究機構公開フォーラム「カンパニーセクレタリーはなぜ必要か」に参加しました。

 背景として、実務上、取締役会事務局の所掌範囲は企業ごとで様々。取締役会等を支援する機能が複数部門に分散しているケースが多く、会議体の運営過程で電計が不足しているとの指摘を受けています。

 英国企業では、コーポレートガバナンスに係る事項を一元的に統括し、監督と執行に係る橋渡しを担うカンパニーセクレタリーの設置が会社法で義務付けられており、法務部門や専門家が務めるケースが多数。

 日本企業においても、取締役会を効果的に運営する取り組みとして、監督と執行をつなぎ、ガバナンス改革をけん引していくコーポレートセクレタリーとしての組織体制上の工夫が必要というお話でした。 

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(来島海峡大橋)
 要は、取締役会の実効性向上のために、カンパニーセクレタリーに期待される機能や役割を付与するという議論でした。
 
 この議論の背景としては、取締役会の監督機能がモニタリングボードとしての機能発揮するためには、それを構成する社外取締役への支援の変化が求められるということです。
 独立社外取締役の実効性向上のためには、取締役会での自由で建設的な議論の支援が必要であるところ、会社の重要な経営判断のための情報をどうやって独立社外取締役に伝えるかということが大切になります。
 牛島信弁護士からは、監査役会の常勤監査役がいるという制度は内部者から社外監査役に情報提供される仕組みなので、その意味では監査役会というのもメリットがあるとコメントされていました。
 また、ニデックの会計不正問題にも触れ、企業価値を大きく損ねてしまったわけであるが、その原因としてガバナンスに問題があったと指摘されています。ニデックの社外取締役については、第三者委員会での報告書では、「毎年、様々な拠点で会計不正が相次ぐというのは異常事態というほかないが、そこに違和感を覚えた社外役員は見当たらない」と指摘されています。牛島弁護士は認識しなければ責任を問われないというのは間違っているのではないかと、社外取締役に対する緊張感を与えるために責任を負うような仕組みが必要ではないかということを言われていたように思います。

 

2026年3月27日 (金)

【金融・企業法務】 役員のための株主総会運営法 第4版 中村直人弁護士 続き

 昨日の続きです。

P66~ 「総会運営の獲得目的は何か」「獲得目的の第1は、適法な総会運営をすることである。」「獲得目標の第2は、レピュテーションの向上である」「獲得目標の第3は、取締役会提出議案の可決である」「獲得目標の第4は、濫用型株主に蹂躙されないことである。」

P74 「過去の上場会社の総会をみると、実務的には問題となり得るのは次の3つと言ってももよい。説明義務違反と動議の処理のミスと質疑打ち切りのタイミングのミスである。

P80 「会議の進行役の職務は次の3つである。①適法に審議を進めること、②効率的に、合理的な時間内で必要な審議を行うこと、③総会の秩序を保つこと」

P81「議長はこの3つの観点から進行役を務めるのである。具体的には、この3つの観点に留意しながら、決議事項については、審議をし、最決をすること 報告事項については、それを報告・審議することが仕事である」

P136「動議には、①手続的な動議と、②議案の修正動議がある」、「①については、本来議事整理権を有しているのは議長であるから、基本的には議長の自由な采配で決めてよいことである。ただし、①調査者選任動議(316条)、②会計監査人出席要求動議(398条2項)、③延期・続行の動議(317条)、④議長不信任動議については、議場に諮って採否を決める」

P189 「監査役の説明義務の範囲もこれもまた全然異なる。まず決議事項についてはいえば、監査役は議案の提案者ではない。提案者は取締役である。だから監査役には提案者としての説明義務はない。また、計算書類・事業報告の報告事項についても、監査役は経営の受任者ではない。だから受任者としての説明義務はない。」「原則として、監査業務についての報告としては、この監査報告の内容を報告すれば足りる」「それについての説明義務の範囲というのも、監査報告の記載を補足する程度で十分ということになる」「いわば監査報告のコンメンタールである」

 本当はいろいろと紹介したいのですが、中身は購入されて読んで見てください。

 


 

 

 

2026年3月26日 (木)

【金融・企業法務】役員のための株主総会運営法 第4版 中村直人弁護士

 中村直人弁護士執筆の「役員のための株主総会運営法第4版」です。久しぶりに商事法務系の良い本に接することができました。その中から興味をいだいた部分を引用します。

 P6 「株主総会が通年の対話プロセスの一環であるという理解は広まっているのであるが、議長や答弁を担当する役員は注意が必要である。株主・投資家に対するほかの情報開示や対話と、株主総会の運営を同一視してはいけない」、「株主総会にはルールがある。そのルーツから逸脱してしまえば、法的効果をもって、不利益や制裁がなされる。ほかの対話とは、全く違う」

 P10「議長采配や役員の答弁・説明は、その「発言しない人たち」が聞いて、「なるほど」とか、「この人は優れた経営者だ」、「人柄が信頼できる」などと思ってもらえれば、総会運営としては成功である。これが総会運営の獲得目標」

 P38・39「監査の結果は重要であるが、その結果がどういう監査をしたことによって得られたのかということも報告することによって、その監査意見の信頼性を評価、確保するのである。したがって、株主に、監査役の監査の結果を理解してもらおうと思うならば、どういう監査をした結果、その監査意見にたどり着いたのか、ということをわかりやすく説明することである」、「監査役の仕事は何であるか、その枠組みは何であるか、具体的にはなにをみるのか、その結果監査意見が形成されたという流れである」

 P42「取締役選任議案の場合も、従前その理由についてたんに取締役8名全員任期満了のため・・・」などと説明していたが、それではあまりに意識が低い。本来であれば、①取締役会にどういう機能を持たせたいと考えたのか、②そのためには何人くらいでどいういう構成であることが適切であるか、③具体的な候補者としてはどういうスキルが必要と考えたのか、④個々の候補者についてどういう評価手続、審査手続を経たのか、⑤それらの手続は指名委員会がしたのか、それ以外かなどいうことを考えて提案すべきで、それをきちんと説明できると株主の納得感も違ってくる」

 P44「個人的なトラブルについての発言は、他の株主から不満をかう。そこで受付で注意事項として配布する以外に、議長から、質疑の開始に当たって、本日は会社の概況や決議事項について議論をする場でございまして、毎年多くの株主様からアンケートでご指摘をいただいていることもあり、個別の問題や個人的な事柄についてはご発言を控えていただき、会議の目的事項についてのご発言をいたただきますよう、お願い申し上げます」などということも考えられる。」

 

 P45「最近、昨年の総会出だされた質問や意見に対して、翌年の総会で、昨年ご質問いただきました〇〇の点につきましては、その後検討しまして、××のように対応しております」などと結果報告をする会社がある。これを聞いた株主はおそらく大変感動するであろう」

 P50「株主総会当日の所作については、逸脱してはいけないポイントとしては、まず、会社法の明文の規定があるものとして、①説明義務は果たすこと、②動議の処理は適切にすること、が必要である。また③総会が会議である以上、出席者が適切に発言できる機会があるとことは必須である」

 P52「招集の手続はルールどおりに行うこと、当日の説明義務や動議の処理、発言の機会の確保はきちんとすること以外は、基本的には私的自治の範囲内、議長の議事整理権の範囲内で、柔軟な対応が可能なのである。」

 

続き

 


 

2026年3月25日 (水)

愛媛大学医学部杉山隆教授 退任記念祝賀会に出席しました。

 3月22日、ANAクラウンプラザホテル松山で開催されました愛媛大学医学部杉山隆教授の退任祈念祝賀会に出席しました。

 杉山先生は、愛媛大学大学院医学系研究科 病因病態領域 産婦人科学講座を主催され、現在は、附属病院の病院長も兼務されておられます。

 前記講座については平成27年に就任され、診療・教育・研究の各分野において教室の運営に尽力されるとともに、愛媛県内外における医療の発展に寄与されてこられました。

 長い間、大変お疲れ様でした。

 

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(鈍川・千疋のサクラ)
 先日、鈍川の千疋のサクラを訪ねました。昔は、四国の吉野と評された名勝でした。今はかなり減りましたが、それでもサクラの名所です。この日のさくらはまだつぼみでした。
 
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2026年3月23日 (月)

【労働・労災】 判別要件の一部としての対価性要件 日本ケミカル事件最判

 最高裁平成30年7月19日判決(日本ケミカル事件)は、最高裁判所が対価性要件を定立したものであり、薬剤師に対して支払われていた月給制の手当型の固定残業代である「業務手当」について、最高裁が初めて個別事件で適法としたものです。

 最高裁は、まず、雇用契約において、ある手当が時間外労働等に対する対価として支払われているか否かは、①雇用契約に係る契約書等の記載のほか、具体的事案に応じ、②使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容、③労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を顧慮して判断すべきであると基準を定立しています。

 原審が示した対価性があると言えるためには、労基法37条が、④定額残業代を上回る金額の時間外手当が法律上発生した場合にその事実を労働者が認識してただちに支払いを請求することができる仕組み(発生していない場合にはそのことを労働者が認識することができる仕組み)が備わっており、⑤これらの仕組みが雇用主により誠実に実行され、⑥基本給と定額残業代の金額のバランスが適切であり、⑦法定の時間外手当の不払いや長時間労働による健康状態の悪化など労働者の福祉を損なう出来事の温床となる要因がない場合に限られる、というような事情が認められることを必須のものとしているとは解されないと判断しました。

 本件事案への当てはめです。

 第1は、以下の(ア)(イ)から、上告人の賃金体系においては、業務手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものと位置付けられていた。

 (ア)本件雇用契約に係る契約書及び採用条件確認書並びに上告人の賃金規程において、月々支払われる所定の賃金のうち業務手当が時間外労働に対する対価として支払われる旨が記載されていた。

 (イ)上告人と被上告人以外の各従業員との間で作成された確認書にも、業務手当が時間外労働に対する対価として支払われる旨の記載がされていた。

 第2は、業務手当は、1か月当たりの平均所定労働時間(157.3時間)を元に算定すると、約28時間分の時間外労働に対する割増賃金に相当するものであり、被上告人の実際の時間外労働等の状況と大きくかい離するものではない

 第3に、これらによれば、被上告人に支払われた業務手当は、本件雇用契約において、時間外労働に対する対価として支払われるものとされていたと認められる。

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(東陽町・おみたま)
 現在でも固定残業を採用する事業所は少なくありませんが、それを採用するに際しては十分な注意が必要だと思います

 

 

2026年3月22日 (日)

【労働・労災】 団体交渉の行き詰まりを理由とする団体交渉の拒否が「正当な理由」のあるものと認められた事例 東京地裁令和6年8月7日判決

 判例時報No2640号で掲載された東京地裁令和6年8月7日判決です。

 原告側には、労働で有名な弁護士がついています。

 労働組合法第7条2号の「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」に該当するか否かが問われました。

「2 本件交渉事項に関して合意に至る可能性がないとして本件団交申入れに応じなかった補助参加人の対応は、正当な理由のある団交拒否であるといえるか否かについて

  (1)本件A団交の経過に係る前提事実(前記第2の2(4))及び本件各証拠(乙A10~A14、A78)によれば、前記認定事実のとおり、原告らとAは、平成28年2月4日から同年4月13日までの間に5回にわたり成田ベースの閉鎖に伴う成田ベースのFAの雇用等に関する交渉を行ったものの、同交渉は行き詰まり、本件A団交⑤において、Aが、これ以上の交渉の進展は期待できないとして原告らとの交渉を打ち切ったことが認められるが、このような原告らとAとの間の交渉経過や、前記第2の2(4)のとおりのAの原告らに対する説明内容等を踏まえれば、本件A団交におけるAの交渉態度に不誠実な点は見当たらず、Aが交渉を打ち切った時期が不相当であったとか、Aの原告らに対する説明や資料の提示が不十分であったことを認めるに足りる証拠はない。


 そして、前記認定事実のとおり、原告らは、平成29年4月1日、補助参加人に対し、本件A団交終了後の平成28年5月31日にAに解雇された本件組合員らの復職を交渉事項とする本件団交申入れをしたものであるが、原告らが本件団交申入れの趣旨についてFAとしての復職を希望するものであると補助参加人に説明したことや、補助参加人が、原告らによる上記説明を受けて、原告らに対し、本件団交申入れには応じない旨のほか、FAとして復職する以外の解決策について話合いができるのであれば団交に応じる旨通知したものの、その後も、原告らは、本件団交申入書と同じ文面の団交申入書(乙A3)により、再度、補助参加人に対して団交申入れをしたにとどまり、FAとして復職する以外の解決策の提示等は何らしていないことからすれば、本件団交申入れは、本件A団交で行き詰まりとなったために交渉が打ち切られた事項である、Aの成田ベースの閉鎖に伴うFAの雇用等につき、原告らにおいて新たな解決策ないし妥協案を示さないまま、飽くまでFAとしての雇用継続ないし復職を求めて交渉を再開するよう補助参加人に要求するものであると認めるのが相当といえる。

 そうすると、補助参加人が本件団交申入れに応じて本件交渉事項につき改めて団交しても、原告らと補助参加人が合意に至る可能性はなかったものと認められるから、補助参加人において本件団交申入れによる交渉再開に応じる義務があるものとは認められない。
 

 したがって、本件交渉事項に関して合意に至る可能性はないとして本件団交申入れに応じなかった補助参加人の対応は、正当な理由のある団交拒否であると認めるのが相当である。」 

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(東陽町・おみたま)

2026年3月21日 (土)

【弁護士考】 3月19日、令和7年度第1回今治建築審査会に参加しました。

 3月19日、田舎弁護士が令和7年度の第1回今治市建築審査会に参加しました。

 議案については、第1は、会長・会長代理の互選でした。

 引き続き、会長代理を拝命しました。

 また、建築基準法第44条第1項第4号による許可の取り扱い基準について審議しました。

 報告事項としては、建築基準法第43条第2項第2号の規程による許可に関する件でした。

 約1時間程度の会議でした。 

 建築審査会の委員も、おそらく25年位は続けているような気がします。

 25年続けて、建築のプロになっているかというと、余り自信はありませんが、噂だと、建築には詳しい弁護士と思われているようです。

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(府中郵便局で)
 先日、学生時代を過ごした東京の府中を30数年ぶりに訪ねました。時々お世話になっていた府中郵便局は、昔と変わらずでした。駅周辺は見違えるほど変わっていました。可能であれば、もう一度大学1年生からやり直したいものです。
 

2026年3月20日 (金)

【金融・企業法務】 有価証券報告書の総会前提出の最新動向と監査役等の留意点

 月刊監査役3月号で掲載された「有価証券報告書の総会前提出の最新動向と監査役等の留意点」です。

 2025年3月28日に、有価証券報告書の総会前提出について、金融担当大臣が要請されたことに伴い、昨年シーズンに総会前提出を行った上場会社はなんと6割に達しました。

 株主総会前提出に伴う実務上の論点としては、(1)有価証券報告書の記載の変更対応、(2)関連プロセスの段取り等への影響、(3)総会前提出に伴う定時株主総会運営への影響が挙げられています。

 とりわけ(3)については総会前に有価証券報告書が入手されるために、①事業等のリスク、②政策保有株式の状況、③役員報酬の概要、➃サステナビリティに関する考え方や取り組みなど、会社法上の事業報告には記載が求められていない事項についても、株主から質問がされる可能性があります。

 また、監査役との関係では、「監査上の主要な検討事項」(KAM)についての記載が有価証券報告書に記載されていることから、KAMの選定に当たって行われた監査役等とのコミュニケーション等について、監査役等に対して説明を求められる可能性はあります。

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(東陽町・おみたま)
 最近の有価証券報告書は、非財務情報も含み幅広い情報が掲載されています。田舎弁護士も株式投資をしておりますが、なーちゃって投資家なので、投資先の有価証券報告書をしっかりと読むことまではできません。
 もったいナイことですので、今後はしっかり読むことにしますね😅

2026年3月19日 (木)

【金融・企業法務】 中堅企業等における監査役等と会計監査人とのコミュニケーションの向上

 月刊監査役3月号で掲載されていた「中堅企業等における監査役等と会計監査人とのコミュニケーションの向上」です。

 デジタル化と業務の複雑化、サステナビリティ等ESGへの対応、法制度の改正とガバナンス強化により、監査役の果たすべき役割も従来の枠組みを超えて拡張しつつあります。

 特に会計監査人との連携を通じた監査の実効性向上が強く求められています。

 しかしながら、非上場会社の場合、監査役は1名から3名までの割合が90%を超えており、単独監査役であるところも多いです。

 上場会社であれば、公認会計士・税理士が約30%、弁護士が約24%と専門家を起用する例が多いですが、中堅企業の場合は独立性や専門性が十分に確保されていないケースも見受けられます。

 他方で、監査役の責任は重たいものがあり、オリンパス事件や東芝事件においても、監査役の対応について厳しく批判されています。

 田舎弁護士も驚いたのは、最高裁令和3年7月19日判決で、「帳簿と計算書類の照合だけでは足りず、必要に応じて基礎資料の確認や取締役会への報告請求を行うべき」と判示しているところです。

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(東陽町・おみたま)
 出張の時には、積ん読状態の書籍を読める機会ですので、書籍を持参します。先日は、6冊持参しました。しかしながら、斜め読みできたのは、3冊でした。2泊3日の出張でしたが、3冊くらいがせいぜいかもしれませんね。
 それと、現在事務所の古い書籍を処分しています。20年くらい前に購入した書籍は全く読んでいないものも多数ありました。
 家内から、「お金がもったいない」と言われています。
 最近は、コンメンタール以外は、目を通して、感想をこのブログに書き込むようにしております。
 また、リーガルライブラリーとも契約をしました。
 田舎弁護士の能力と眼力(老眼😖)を考えながら、書籍を購入したいと思いますが、本日も、3冊注文してしまいました😴

2026年3月18日 (水)

【金融・企業法務】 弁護士専門研修講座 事業承継支援の基礎知識(ぎょうせい)

 久しぶりにほぼ積ん読状態でした「弁護士専門研修講座 事業承継支援の基礎知識」を開きました。

 第1は、事業承継の全体像、経営の承継です。

 事業承継の際には、資産の承継だけではなく、経営の承継も課題になります。また資産の承継についても、税務対策や資金調達が課題になることがあります。さらには、親族に承継させる場合だけではなく、M&Aだったり、事業再生が必要な場合があります。

 第2は、資産の承継(会社法編)~非上場会社の経営権・株式の承継に関する基本事項の確認~です。

 会社の現状についての把握として、(1)会社組織の状況その他の会社の基本情報としては、ァ会社の種類、イ機関構成、ウ公開会社か否か、エ定款に一般的ではない相対的記載事項、任意的記載事項がないか、オ役員の状況、カ会社の運営状況、キ会社の財務内容、(2)株式・株主の状況としては、ア株式の発行・自己株式の取得等の状況、イ株主構成を押さえておく必要があります。

 第3は、資産の承継(相続法編)~遺留分に関する民法の特例~です。

 ここでは、経営承継円滑化法のお話などがされています。

 第4は、相続税・贈与税、株価対策です。

 ここではやはり株価算定の手法を押さえる必要があります。「インカム・アプローチについてですが、一般的にいうDCF法がよく知られています。すなわち、会社のキャッシュフローあるいは損益というものに注目し、それが将来的にどういう価値を生み出すか財務的に計算して、それらの合計額が(割引された)現在価値として今いくらになっているか求めるというものになります。」「次に、マーケット・アプローチというのは、市場株価を用いて一定の評価を行う手法です。すなわち、上場している会社であれば、自分の株価がいくらかというのをまず基準にして、例えば自動車でいえば、トヨタの株に対して、日産の株、ホンダの株、スズキの株といった同業他社の株価を見比べ、だいたい、自社の株価が類似会社に対して高いのか安いのかを比較して、一定の株価水準を求めるものです。もちろん、上場していない会社であってもこの手法は使えます。」、{コストアプローチというのは自分のバランスシートの左側の資産の価値を見て、それから右側の負債の中身を見た上で、差し引かれた純資産の価値がいくらになるかを求めるものです。」

 第5は、事業引継き(M&A)、第6は、事業再生・廃業支援、経営者保証に関するガイドラインとなっております。


 

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2026年3月17日 (火)

【弁護士考】 司法修習生に評議内容聞き出し 弁護士を業務停止6か月

 びっくりするようなニュースが流れてきました。

 第二東京弁護士会は12日、自身が弁護人を務める被告の共犯者が審理された東京地裁の裁判員裁判で、刑事裁判修習をしていた司法修習生から評議の内容を聞き出そうとしたとして、〇〇弁護士(〇)を業務停止6カ月の懲戒処分としたと発表した。処分は11日付。同会では過去に同種の懲戒例はないとしている。

 地裁が懲戒請求して発覚。修習生が応じず実際に内容が漏れることはなかったが、二弁は「司法修習制度や裁判員制度、法曹教育にも危機をもたらす行為だ」と判断した。

 〇〇氏は修習生と話をしたこと自体は認めた上で「内容を聞き出そうとしたわけではない」と説明したという。

 この弁護士は刑事弁護の分野では著名な中堅弁護士のようです。 

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(木漏れ日の橋の上で)
 実害はなかったようですが、非常に厳しい処分となっております。
 御本人は否認されていますが、李下に冠を正さず でしょう。
 弁護士には監督官庁は存在しません。弁護士会の監督に委ねられています。最近の弁護士の非行例などをみると、弁護士の非行については罪一等重くして処分されるべきだと思います。

 

2026年3月16日 (月)

【交通事故】 遂に、交通事件の共通書式が公開されました。

 田舎弁護士の事務所でも、交通事故事件の場合には、東京地裁民事第27部(交通専門部)の書式を利用してきました。

 最高裁から、日弁連に対して、東京地裁民事第27部と大阪地裁民事第15部において両庁共通の基本書式・記載例・説明資料を作成した旨の連絡がありました。

 あ~。地方でも、この書式を利用しておかないと、「交通事故事件は余りされていないのかな?」と思われてしまいます。

 共通書式の特徴は、①基本的な主張や反論を簡単に網羅できること、②主張立証漏れの防止、③計算ミスの防止、④充実した審理手続の効率化を目的とするものです。

 共通書式は、A事案の概要 B損害額一覧表に区分され、さらに損害額一覧表は、治療費等主計表、相続等一覧表にわかれます。

 田舎弁護士の場合、最近は、訴訟案件は少なくて、示談交渉、あるいは、その延長の紛セン申立てで解決することが大半です。

 示談交渉の場合には、いつも、東京地裁民事第27部の書式を利用しておりました。

 具体的には、物損・人損の一覧表です。

 田舎弁護士を含めて、地方の弁護士一人事務所の老弁にはなかなかきついことばかりが続いております。

 日弁連の調査によれば、弁護士1人事務所は、全体の60%を超えております。

 24年のデータによれば、愛媛弁護士会は弁護士数160人いますが、うち85人が弁護士1人事務所です。まだ若い方であれば体力勝負でなんとかなるかもしれませんが、昨今のシステムの変更は老体にむち打ちながら対応しております😖 

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                             (笠松山・光明岩) 

2026年3月15日 (日)

【金融・企業法務】事業承継21のメソッド

 第一法規から1月28日に出版された「事業承継21のメソッド」を購入しました。

 そういえば、第一法規とか、新日本法規とかは、加除式の出版物で有名です。田舎弁護士が登録した30年近く前は、類似の訴状例はないかと、第一法規や新日本法規の加除式の様式を漁ったものです。

 いつのまにか加除式の書籍を参考にすることが次第に減少し、今では、加除式の書籍は全てとりやめました。

 最近は、これらの出版社もDXの方向のシステムを売りにされているようです。

 電子書籍でも必要なものは取付が可能ですし。

 話を元に戻します。

 最近は、事業承継関係の相談が増えており、入門的なものから深遠なものまで紙ベースの書籍を買いあさっています。

 今回は、事業承継21のメソッドです。

 執筆者は、若手から中堅の弁護士の手によるもので、入門的な位置付けです。

 体験談が豊富なのがいいですね。

 地方ですと、事業承継といっても、依頼の件数としてはそれほど多くはないので、参考になります。

 特に地方の中小企業ですと、会社法上要求されている書類がほとんどない~ということも散見されます。

 それと、M&Aの場面って、横文字が多用されますよね。

 DCF法、FA、LBO、MBO、NDA、PMI、SPA、SPC、クロージング、バリュエーション、ストラクチャーなどなどです。

 体調不良で病院に行ったところ、待合室で2時間程で読めました。

 


 

 

2026年3月14日 (土)

【法律その他】最高裁判所令和7年12月23日第3小法廷判決 消費者が液化石油ガスの供給等に関する契約を終了させる場合に消費設備に係る配管の説地費用等に関して所定の金額を液化石油ガス販売事業者に支払う旨を定めた条項が、消費者契約法9条1号にいう「当該消費契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」に当たるとされた事例

(最高裁判所判決文)

1 原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
 (1) 被上告人は、液化石油ガス(以下「LPガス」という。)の供給等を業とする株式会社である。
 (2) 被上告人は、令和元年頃、株式会社東栄住宅が販売する戸建て住宅(以下「本件住宅」という。)にLPガスの消費設備に係る配管及びガス栓(以下、併せて「本件消費設備」という。)を設置したが、本件消費設備の部品代金や設置費用、給湯器やそのリモコンの設置費用等(以下、本件消費設備と給湯器等を併せて「本件消費設備等」といい、本件消費設備等の設置費用等を「本件設置費用」という。)を東栄住宅に請求しなかった。
 (3) 上告人は、令和元年6月、東栄住宅から本件住宅を購入した。その際、東栄住宅は、上告人に対し、東栄住宅が指定するLPガス販売事業者である被上告人からLPガスの供給を受ける必要があるなどと説明した。
 (4) 上告人は、令和元年7月、被上告人との間でLPガスの供給等に関する契約(以下「本件供給契約」という。)を締結し、本件住宅へのLPガスの供給を受けるようになった。
 (5) 本件供給契約に係る契約書には、次のような条項がある
 ア 被上告人が本件住宅にLPガスを供給する期間は、供給開始日から10年以上とする。
 イ 被上告人が負担した本件設置費用は21万円(消費税込み)であり、上告人が被上告人から本件住宅へのLPガスの供給を受けている間、被上告人はこれを請求しない。
 ウ 上告人は、供給開始日から10年経過前に本件住宅へのLPガスの供給を終了させる場合、本件設置費用に関し、被上告人に対し、次の算定式で得られた金額(以下、当該算定式で得られる金額を「本件算定額」という。)を、供給終了後、直ちに支払う(以下、この条項を「本件条項」という。)。
 (算定式)
 21万円-{21万円×0.9×(供給開始日から供給終了日までの経過月数/120)}
 (6) 本件消費設備は、本件住宅に付合しており、本件供給契約が締結される前から上告人がこれを所有している
 (7) 上告人は、令和3年6月、被上告人に代わって日本瓦斯株式会社から本件住宅へのLPガスの供給を受けることとし、被上告人からの供給は終了した。
 2 本件は、被上告人が、本件条項は、本件設置費用に関し、上告人に本件算定額の支払義務があることを定めた合意である旨主張し、上告人に対し、本件算定額である17万3775円及び遅延損害金の支払を求める事案である。
 上告人は、本件条項は、消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの。以下同じ。)9条1号にいう「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」(以下「違約金等条項」という。)に当たり、本件供給契約と同種の消費者契約の解除に伴って被上告人に生ずべき平均的な損害は存せず、その全部が無効になるなどと主張して争っている。
 3 原審は、前記事実関係等の下、本件条項は、10年間にわたって上告人から被上告人に対して支払われるガス料金の中から回収することが予定されていた本件設置費用について、その未回収分を上告人において支払う旨の合意であって、違約金等条項に当たらないと判断し、被上告人の請求を認容した。
 4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は次のとおりである。
 (1) 被上告人は、本件住宅に本件消費設備等を設置しながら、東栄住宅に対して本件設置費用を請求しておらず、上告人は、本件住宅の購入に当たって東栄住宅より被上告人からLPガスの供給を受ける必要がある旨説明を受けていた。このことからすると、被上告人は、東栄住宅の協力の下に、本件住宅を購入した者との間で優先的にLPガスの供給契約の締結について交渉することができる事実上の地位を確保するため、自らの判断で本件設置費用を東栄住宅に請求しなかったということができる。また、被上告人は、上告人と本件供給契約を締結するに当たり、上告人が被上告人からLPガスの供給を受けている間は上告人に本件設置費用を請求しないこととするとともに、本件条項により、上告人が供給開始日から10年経過前に本件供給契約を終了させる場合は、経過期間に応じて本件設置費用に関して支払われるべき本件算定額を逓減させることとしていたが、これらは、本件供給契約を締結するように上告人を誘引し、併せて本件供給契約が短期間で解約されることを防止し、本件供給契約を長期間維持するためのものであったといえる。このような本件供給契約の締結に至るまでの経緯及び本件供給契約の内容からすると、本件設置費用は、本件供給契約を獲得し、これを長期間維持するために先行投資された費用ということができる。
 また、本件条項は、一見すると、本件消費設備等の設置の対価として本件算定額の支払義務を定め、上告人が10年間にわたって被上告人に支払うガス料金から本件設置費用を回収することを予定するものであったようにもみえる。しかしながら、本件供給契約上、本件算定額は供給開始日から10年が経過するまでの間において1か月ごとに一定額ずつ減少するとされているものの、10年経過後には上告人が被上告人に支払うべきガス料金が減額されるという定めはなく、本件設置費用とガス料金との関係は明確にされておらず、本件設置費用がガス料金から回収されることになっていたのかも明らかではない。このような本件供給契約の内容に加え、被上告人が、本件供給契約と同種のLPガスの供給契約を多数締結しているLPガス販売事業者であることからすると、被上告人においては、既に消費設備の設置費用の回収が終わっている契約者に対し、従前と同様のガス料金を設定するなどし、他の契約者の消費設備の設置費用を負担させることができるような料金体系となっていて、実際には、上告人のみならず、契約者全体から得られるガス料金から本件設置費用を回収する仕組みとなっていたことがうかがわれる。これらのことからすると、本件算定額が本件消費設備等の設置の対価といえるものかどうかは明らかではないといわざるを得ない。
 以上からすると、本件条項は、本件消費設備等の設置の対価を定めたものではなく本件供給契約が供給開始日から10年経過前に解約されるなどして被上告人がその後のガス料金を得られなくなった場合に本件算定額の支払義務を負わせることで、短期間の解約が生ずることを防止し、本件供給契約を長期間維持することを図るとともに、併せて先行投資された本件設置費用に関して被上告人が被る可能性のある損失を補てんすることも目的の一つとするものというべきであり、実質的にみると、解除に伴う損害賠償の額の予定又は違約金の定めとして機能するものということができる。したがって、本件条項は、違約金等条項に当たるというべきである。
 以上と異なる見解の下に、本件条項が違約金等条項に当たらないとした原審の上記判断には法令の解釈適用を誤った違法がある。


 (2) 本件条項が違約金等条項に当たることからすると、本件算定額の全部又は一部が、本件供給契約と同種の消費者契約の解除に伴い被上告人に生ずべき平均的な損害、すなわち、一人の消費者と被上告人との間で、本件供給契約と同種のLPガスの供給契約が解除されることによって被上告人に一般的、客観的に生ずると認められる損害の額を超えるものである場合、本件条項は当該超える部分について消費者契約法9条1号により無効となる。そして、この点について、本件条項の目的の一つが、先行投資された本件設置費用に関して被上告人が被る可能性のある損失を補てんすることにあることからすると、LPガスの供給契約が解除されてそれ以降のガス料金を得られなくなると、被上告人において先行投資費用として負担した消費設備に係る設置費用の未回収分の損害が生じたようにみえなくもない。
 しかしながら、上記のとおり、供給開始日から10年が経過しても上告人が被上告人に支払うべきガス料金が減額されることになっておらず、本件設置費用とガス料金との関係が不明確なものとされていたという本件供給契約の内容等からすると、被上告人において、ある契約者に係る消費設備の設置費用は、契約者全体から得られるガス料金から回収する仕組みとなっていたものというべきである。このことに加え、本件供給契約と同種のLPガスの供給契約においてLPガスの価格に法令上の規制がなく、LPガス販売事業者は自由にガス料金を設定することができることも併せて考慮すると、被上告人としては、解除時点では消費設備に係る設置費用の全部を回収できていない契約者が一定数生ずるという事態が起きることを見越し、利益が確保できるように契約者全体のガス料金を適宜設定し、設置費用が未回収となったことの負担を他の契約者に転嫁することが可能になっていたといわざるを得ない。そうすると、上記事態が起きたとしても、被上告人に上記未回収分の損害が生じたとはいえないというべきである。
 そして、他に、本件供給契約と同種の消費者契約の解除に伴い被上告人に生ずべき平均的な損害に当たり得るものは見当たらない。
 以上からすると、本件供給契約と同種の消費者契約の解除に伴い被上告人に生ずべき平均的な損害は存しないというべきである。
 したがって、本件条項は、その全部について消費者契約法9条1号により無効となるというべきである。
 5 以上によれば、原審の上記違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであって、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上に説示したところによれば、被上告人の請求は理由がなく、これを棄却した第1審判決は是認することができるから、被上告人の控訴を棄却すべきである。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

 なお、裁判官林道晴の補足意見がある。
 裁判官林道晴の補足意見は、次のとおりである。
 私は、法廷意見に賛同するものであるが、補足して若干意見を述べておきたい。
 本件は、かねてからLPガス販売事業において「無償配管」や「貸付配管」と呼ばれていた商慣行(以下「無償配管の商慣行」という。)に関する法的問題点のうち、消費者契約法に関するものについて判断を示したものである。
 無償配管の商慣行とは、戸建て住宅の建築の際、建設業者等が、提携しているLPガス販売事業者に当該住宅の消費設備に係る配管(以下「屋内配管」という。)の工事を無償で行わせ、当該LPガス販売事業者は、当該住宅の購入者等(以下「家主」という。)とLPガスの供給契約を締結する際に、屋内配管の設置費用を一括して請求せず、当該家主が所定の期間内に当該供給契約を解約するなどの場合に、当該設置費用の精算を求めるというものである。無償配管の商慣行については、本件のように、ガス料金と設置費用との関係が不明確なものとされていることが多く、そのことによってガス料金が不透明なものとなっている上、家主が短期間で解約しようとすると高額な設置費用を一挙に支払うことを余儀なくされるため、LPガス販売事業者を選択する自由を阻害するおそれがあるなどの問題点のあることが指摘されており、これまでその是正に向けた取組が経済産業省や公正取引委員会等によって種々行われてきた。そして、令和6年7月2日に改定された液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針において、今後、無償配管の商慣行を行わない方向で取り組んでいくことが望ましい旨が明記されるに至ったものの、本件条項と同種の条項の法的性質やその効力をはじめとする複数の重要な法的問題点(本件では、被上告人は、屋内配管が本件住宅に付合し、上告人がその所有権を有することについて争っていないが、屋内配管が戸建て住宅に付合するか否かなども上記法的問題点の一つといえる。)について、いまだその解釈等が定まっていなかった。
 本判決は、無償配管の商慣行を巡る上記現状に鑑み、本件条項が、違約金等条項に当たり、消費者契約法9条1号により全部無効となるとする判断を示したものである(なお、最高裁令和6年(受)第1373号同7年12月23日第三小法廷判決は、屋内配管が原則として戸建て住宅に付合するものであることなどについて判断を示している。)。もっとも、本判決が消費者契約法9条1号の平均的な損害について述べたところは、大量取引を前提とした継続的なLPガスの供給契約において、LPガス販売事業者が、供給契約全体で発生するリスクを計算してガス料金を適宜設定できる立場にあるということのみならず、屋内配管の設置費用とガス料金との関係をあえて不明確なものとすることで、ある契約者に係る設置費用を当該契約者からだけではなく、契約者全体から回収するという仕組みを構築していたことに着目してなされた判断である。そして、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則16条15号の7(令和6年経済産業省令第32号(令和7年4月2日施行)による改正後のもの)は、LPガス販売事業者に対し、基本料金、従量料金及び消費設備等に係る費用の三つに整理してガス料金等を請求するという、いわゆる三部料金制を採用することを義務付けているところ、LPガス販売事業者が、屋内配管の所有権が家主に帰属することを前提として、三部料金制の下、家主が月々負担すべき設置費用の額を基本料金及び従量料金と区別して請求するような場合には、本判決の射程は当然には及ばなくなるものと解される。LPガス販売事業者においては、今後、三部料金制を徹底するなどし、ガス料金の透明化を図ることが望まれるところである。
(裁判長裁判官 林 道晴 裁判官 渡辺惠理子 裁判官 石兼公博 裁判官 平木正洋 裁判官 沖野眞已)

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 ガス会社は、配管やガス設備を無償で設置する一方、契約書には一定期間内に解約した場合には、設備の未回収分を支払うという条項を設けています。そして、契約期間内の途中でガス会社を変更した家主に対しては、設備費用が請求されてきていました。

 この裁判では、設備費の請求が、実質的には違約金だと判断されたわけです。

 この点について、補足意見では、基本料金・重量料金・設備費を明確に分けて、設備費を月額でわかりやすく請求する三部料金制を採用している場合には、今回の判決の射程外となる可能性が示されています。

 

 

2026年3月13日 (金)

【法律その他】 最高裁判所令和7年12月23日第3小法廷判決 液化石油ガス供給のために戸建て住宅に設置された消費設備に係る配管等につき当該住宅に附合しており民法242条ただし書きの適用もないとされた事例

(最高裁の判決文)
 1 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
 (1) 上告人は、液化石油ガス(以下「LPガス」という。)の供給等を業とする株式会社である。
 (2) 上告人は、アイディホーム株式会社が販売する戸建て住宅(以下「本件建物」という。)にLPガスの消費設備に係る配管及びガス栓等(以下、併せて「本件配管」という。)を設置した
 (3) 本件建物へのLPガスの供給は、本件建物の外部に設置されている貯蔵設備からガスメーターまでの供給設備及び本件配管によって行われている。本件配管は、ガスメーターに接続され、本件建物の外壁を貫通して本件建物の内部に引き込まれていて外壁に固定されており、1階の床下において、システムキッチンのガスコンロに向かうものと本件建物の外部に設置されている給湯器に向かうものとに分岐している。前者は、本件建物の1階の床下断熱材及び床材を貫通し、システムキッチンの収納ボックスに開けられた穴から引き込まれてガスコンロに接続されており、後者は、本件建物の外壁を貫通して外部へと引き出され、コーキング材で外壁に固定された上で給湯器に接続されている。本件配管を本件建物から撤去するためには上記の断熱材や収納ボックス等を取り壊す必要がある。
 (4) 被上告人Yは、平成29年7月、アイディホームから本件建物を購入し、同年8月にその引渡しを受けた。
 (5) 被上告人Yは、平成29年9月、上告人との間で、本件建物に係るLPガスの供給契約(以下「本件供給契約」という。)を締結するとともに、「液化石油ガス供給・消費設備の売買予約と貸与契約書」と題する契約書(以下「本件契約書」という。)を用いて、次のような内容の契約(以下「本件契約」という。)を締結し、本件建物へのLPガスの供給を受けるようになった。
 ア 被上告人Yと上告人は、本件配管の所有権が上告人にあることを確認した上、本件配管について売買予約契約を締結する。
 イ 上告人は、被上告人Yが本件供給契約を解除したときは、上記売買予約契約の予約完結権(以下「本件予約完結権」という。)を行使することができる。
 ウ 本件予約完結権は、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律14条1項所定の書面が被上告人Yに交付された日の翌日から15年間存続する。
 エ 本件予約完結権の行使により成立する売買契約(以下「本件売買契約」という。)における本件配管の代金額は、以下の算定式により得られる本件配管の残存価値相当額とする(以下、この合意を「本件条項」という。)。
 (算定式)
 21万円-(21万円×0.9×0.066×上記書面の交付日の翌日から本件予約完結権の行使により本件売買契約が成立した日までの経過月数÷12)
 (6) 被上告人Yは、令和2年9月、上告人に対し、本件供給契約を解除する旨の意思表示をした。上告人は、その後、被上告人Yに対し、本件予約完結権を行使する旨の意思表示をした
 2 本件は、上告人が、①主位的請求として、被上告人Yは、上告人に対して本件売買契約に基づく売買代金債務を負っており、被上告人日本瓦斯株式会社は、被上告人Yの上告人に対する上記債務を併存的に引き受けたなどと主張し、被上告人らに対し、売買代金等の支払を求めるとともに、②予備的請求として、消費者契約法9条1号(令和4年法律第59号による改正前のもの。以下同じ。)により本件条項が無効となる場合には、本件売買契約は成立しないなどと主張し、被上告人Yに対し、本件配管の所有権に基づく本件配管の引渡し等を求める事案である。
 被上告人らは、本件配管は、本件建物に付合したものであって、民法242条ただし書の適用はなく、被上告人Yがその所有権を有していたものであるから、本件契約の法的性質を売買予約契約と解することはできず、本件売買契約は成立しない上、本件条項は、消費者契約法9条1号にいう「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」(以下「違約金等条項」という。)に当たり、同号により無効になるなどと主張してこれを争っている。
 3 所論は、本件契約を売買予約契約と解して本件売買契約の成立を肯定しながら、本件配管の代金額を定めた本件条項が、違約金等条項に当たり、その全部が無効となるとした原審の判断について、法令の解釈適用を誤った違法があるというものである。
 4 本件契約が売買予約契約であるとすると、所論のとおり、本件条項は、本件配管の所有権を上告人から被上告人Yに移転することの対価である代金額について定めたもので、違約金等条項に当たらないと解する余地がある。
 しかしながら、原審は、本件配管は本件建物に付合したものではないとして、本件契約を売買予約契約であると解したものであるが、本件配管について、本件建物に付合したものであり、民法242条ただし書の適用もないのであれば、本件契約が締結される以前から被上告人Yがその所有権を有していたこととなる。このような場合、上告人から被上告人Yへの本件配管の売買予約について定めた本件契約書をその文言どおりに理解することは相当ではなく、本件契約を売買予約契約と解することはできないというべきである。
 前記事実関係からすると、本件配管を撤去するためには本件建物及びその住宅設備を相当程度毀損する必要があり、その撤去や本件建物等の復旧には相応の手間や費用を要することが見込まれる。また、本件配管は、本件建物の構造に合わせて設置されているもので、本件建物と一体となって利用されることではじめてその経済的効用を発揮するものである上、撤去後の本件配管の経済的価値が乏しいものであるとうかがわれることからすると、相応の費用等をかけて本件配管を撤去する意義は見いだし難い。これに加え、戸建て住宅に設置されている状態のLPガスの消費設備に係る配管が、当該住宅と別個独立に公の市場において取引されるものであるとはうかがわれないことも考え併せると、本件配管について、本件建物とは別個に所有権の客体となるものと解すべき必然性は乏しいといわざるを得ない。
 以上の事情に照らせば、本件配管については、本件建物に付合したものと解される。また、民法242条ただし書は、不動産に付合した物が、なお当該不動産とは別個の存在を有する場合にのみ適用されるものであるが(最高裁昭和38年(オ)第489号同39年9月8日第三小法廷判決・集民75号181頁参照)、上記事情からすると、本件配管が本件建物と別個の存在を有するとはいえない。よって、本件配管について、民法242条ただし書の適用はないというべきである。
 以上からすると、被上告人Yは、本件契約締結以前から本件配管の所有権を有していたのであり、本件契約を本件契約書の文言どおりに売買予約契約と解することはできない。したがって、本件契約が売買予約契約であって本件売買契約が成立すること又は上告人が本件配管の所有権を有していることを前提とする上告人の主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないこととなる。
 5 以上によれば、上告人の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却した原審の判断は、結論において是認することができる。論旨は採用することができない。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 林 道晴 裁判官 渡辺惠理子 裁判官 石兼公博 裁判官 平木正洋 裁判官 沖野眞已) 

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(浅尾の沈下橋)
 最高裁は、問題となったガス配管については、建物に付随する設備ではなくて、建物の一部であると判断しました。確かに、配管は、外壁や床下を通り、建物の構造に合わせて設置されています。また、撤去するためには床材や断熱材を壊す必要があり、簡単にとりはずせるものではありません。このような事情から、配管は建物と一体となって機能するものであり、独立した設備とはいえません。
 配管が建物の所有者のものである以上、売買の予約完結権の行使の前提を欠くこととなります。
 また、今回の配管については、建物とは別個に存在するといえるほどの独立性はないと判断され、民法242条ただし書きが否定され、原則どおり、附合が成立すると判断されました。
 ガス配管ですが、配管や設備を自社所有として位置付け、解約時に費用を請求する運用は、法的に認められるとは限らないことになりました。
 

2026年3月12日 (木)

【弁護士考】 えひめ産業振興財団から「ビジネスアドバイザー」の委嘱を受けました(再任)。

(公益財団法人)えひめ産業振興財団((サンサポえひめ)大塚岩男理事長)の「新事業支援業務」「創業・経営基盤強化総合支援事業」の、ビジネスアドバイザーの委嘱を受けました(再任)。

 サンサポえひめのHPをみると、総合支援、経営相談、販路開拓商品開発、産学官連携、テクノプラザ愛媛、補助金・除籍金の項目で、整理されているようです。

 具体的には、おそらくは、「チームえびす」事業の、専門家派遣相談ではないのかな~と思います。

 

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(笠松山から四国山地を望む)

 また、下請け寺(取引かけこみ寺)の委嘱もありますね。最近は、チームえびすよりも、下請け寺(取引かけこみ寺)経由の相談の方が増えているように思います。

2026年3月11日 (水)

日本弁護士連合会の機関誌である「自由と正義」3月号に田舎弁護士が執筆した原稿が掲載されました😅

 日本弁護士連合会の機関誌に「自由と正義」という定期刊行物があります。 

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(自由と正義3月号)
 自由と正義3月号は、田舎弁護士が執筆した原稿が掲載されました。
 表紙をめくると、1ページ目に、しかも、カラーで掲載されています。
 
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(1頁め)
 「支部さん歩」という連載記事で、今回は、第50回目となります。
 タイトルは、「海事」「タオル」{FC今治」そしてサイクリストの街今治ー松山地方・家庭裁判所今治支部ーです。
 
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(支部さん歩)
 興味のある方は、「自由と正義」3月号を読んでみて下さいな。

2026年3月10日 (火)

【労働・労災】 労働者と使用者との間に当該労働者の職種及び業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合において、使用者が当該労働者に対してした異なる職種等への配置転換命令につき、配置転換命令権の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例 令和6年4月26日判決

 判例時報No2639号に掲載された最高裁令和6年4月26日判決です。

 上告人が技術職として雇用され、その際に技術職に限定する旨の合意がありました。その後、被上告人が、どの同意を得ることなく、総務課施設管理担当へ配置転換を命じました。

 裁判では、配置転換命令権の濫用に当たるか当たらないかが問題とされました。

 第1審と第2審は、配置転換権の濫用には当たらないと判断しました

 最高裁は、職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には、個別的合意なしに配置転換を命ずることはできないと判断しました。その結果、配置転換命令が無効と判断しました。 

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(小学生の息子)
 このような場合は、整理解雇として、解雇が可能かどうかを検討することになります。①人員削減の必要性(職種廃止の必要性)、②解雇回避努力義務の履践、③被解雇者選定の妥当性、④手続の妥当性という4要素を検討することになります。
 

2026年3月 9日 (月)

えひめ結婚支援センター 応援企業・協賛企業・ボランティア推進登録証等交付式(松前総合文化センター)にて、個人情報保護のセミナーを担当させていただきました💕

 例年の行事です。3月5日、松前総合文化センターで開催された「えひめ結婚支援センター」「応援企業・協賛企業・ボランティア推進員」登録証等交付式に参加しました。

 参加したのは、田舎弁護士が「えひめ結婚支援センター」の法律顧問を務めている関係上、毎年2月か3月に、個人情報保護についてのセミナーを担当させていただいております。 

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(会場)
 テーマは、第1部は、個人情報保護法とプライバシー権等の見解として、①個人情報保護法の概要、②プライバシー権の概要、③肖像権の概要、④プライバシー権と個人情報保護法との関係、第2部は結婚した場合に発生する4つの法的義務として、同居義務、協力義務、扶助義務、貞操義務についての説明を行いました。
 そのほか、今年度報告、来年度の取り組みのあと、エミフル松前のリトルイタリアンにて、交流会が開催され、助手の家内とともに参加させていただきました。

2026年3月 8日 (日)

【弁護士考】 愛媛では、後見人名簿に登録している弁護士が不足しているらしい😴

 愛媛では、後見人名簿に登録している弁護士が不足しているようで、弁護士会としては、後見人名簿に積極的に登録するよう呼びかけをされていました。

 令和6年1月~12月までの成年後見関係事件の概況によれば、約4万1000件の申立のうち、親族は約7000件、弁護士は約8700件、司法書士は約1万1000件、社会福祉士は約6800件となっています。

 親族が後見人になっている割合は、約17%程度です。親族の中で、後見人になっているのは「子」が最も多くて約52%です。

 親族外では、弁護士が約25%、司法書士が約34%、社会福祉士が約20%となつております。

 田舎弁護士の感覚(少し古くなっているとは思います)が、弁護士が後見人に選任されるケースとしては、(1)親族による管理に大きな問題があった場合、(2)親族間で深刻な対立が生じている場合、(3)交通事故の賠償や遺産分割等の手続が予定されている場合であるとの認識です。

 (1)については、後見人である弁護士と親族との間で深刻な対立が生じることが多く、(2)についても親族間での対立に巻き込まれるということも多いです。

 とはいえ、(1)や(2)においては、紛争の処理になれている弁護士の関与が必要であり、弁護士が後見人に就任することについての異論はないと思います。

 しかし、(3)交通事故の賠償や遺産分割等の手続が予定されている場合で、(1)や(2)のような事情がない場合には、親族後見を原則とすべきです。

 一旦弁護士が後見人に就任した場合には特別なことがない限り本人が死亡するまで継続します。つまり、終身、弁護士後見の報酬を負担しなければならないことになります。親族の中には、強く不満を抱かれる方もおられます。

 親族が後見を申し立てることが多いので、後見申立を躊躇するような事由は取り除かなければ、結局、本人の財産を護ることはできません。

 他方、弁護士側としても、交通事故の賠償や遺産分割等の手続を担当しても、後見人(法定代理)ではなくて、任意代理で依頼を受けた場合と弁護士費用を考えると、後見報酬についててはかなり低額な費用となります。

 弁護士にとっては、後見業務というのは、定期的な報酬が得られるというメリットはあるものの、仕事が大変なわりには報酬が低額であり、魅力がありません。

 しかも、現在は、弁護士会の後見人名簿に搭載されなければ後見人として推薦されません。高額でない後見報酬であるにもかかわらず、その一部を弁護士会に納める必要があります。

 田舎弁護士が弁護士に登録したころは、裁判所から後見打診が直接あったものです。

 地方であれば、弁護士の性格や得手不得手等を裁判所は認識しております。

 昔のように、裁判所から直接に後見打診されるシステムに変更し、また、さきほどの(1)や(2)の事情がなければ親族後見とするか、それが難しいとしても、家族が推薦する弁護士を後見人にすべきではないかと思っております。

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(ガメラ岩)
 親族後見の割合が20%を下回っているのは、後見申立てにとっての大きな障害です。そして、親族の意向に沿わない形での後見人選任は、(1)や(2)の場合に制限されるべきであると考えます。

2026年3月 7日 (土)

【弁護士考】 もはや、法律書は紙で買う時代ではないかなあ

 法律書ですが、1冊数千円はしますが、2~3年で買い換えが必要になるものがほとんどです。

 リーガルライブラリーといって、3500点以上収録されている書籍を電子データとして提供するサービスがあります。1ヶ月5720円程度です。

 1ヶ月単位で自動更新となります。

 先日、10日間無料トライアルが送られてきましたので、試しにトライアルすることにしました。

 有料会員は1万人を突破して、弁護士の7人に1人が利用中とのことです。

 このリーガルライブラリーにトライしようと思ったのは、AI検索をお試しに利用することができるからです。

 AIがリサーチを支援してくれるというのです。

 質問すると、AIが生成文書で参考文献付きで解説してくれます。

 但し、質問回数には上限があるようです。

 民事法研究会、ぎょうせい、真意本法規、中央経済社、有斐閣、信山社、三修社、司法協会、青林書院など田舎弁護士がよくお世話になっている出版会社は提携されているようです。

 但し、商事法務、保険毎日新聞社、旬報社などはないようです。

 交通事故民事裁判例集は掲載されています。要件事実マニュアルも掲載されていました。

 定款、取締役会規則等の社内規程という目線でも探すことができます。

 パプコメという切り口もあります。

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                             (野々瀬古墳と笠松山)

 話は戻ります。新版が出ると、旧版は用済みとなり、事実上ゴミとなってしまいます。

 紙媒体での書籍は、利用頻度の高いものに限定することにより、財布にも優しく、環境にも優しいことにつながります。

 無料トライアル期間は10日程ですが、いろいろと使ってみたいと思います。

2026年3月 6日 (金)

【金融・企業法務】 旬刊商事法務 2/25

 旬刊商事法務 No2415号が届きました。

 田舎弁護士にも多少読めるそうな記事としては、

 ①中小M&Aにおける株式譲渡契約書ひな形の改訂に係る条項等の解説

 ②コーポレートガバナンスの現在地 取締役役報酬に対する統制変化と報酬の多様化を踏まえた開示規制の強化

 ③近時の役員報酬制度の動向と任意の報酬委員会の運営実務

 ④日本の上場ファミリー企業における経営支配構造の分析

 ⑤公開買付制度

 でした。

 その中の④日本の上場ファミリー企業における経営支配構造の分析の中では、人的資本の拠出者としての創業家として、高学歴の比率を分析しているのですが、その卒業大学を、旧帝大+一橋大+神戸大+東工大(東京科学大)+早慶と定めています。これくらいの大学を卒業しないと、高学歴と経済界では評価してくれないのでしょうかね😅

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(朝倉・野々瀬)
 
 さて、旬刊商事法務も1年間とり続けてきました。大変勉強にはなるのですが、地方のマチ弁の業務内容からすると少し離れており、時間的な制約もあるために、2月をもって購読停止としました。
 また、書籍についても、これまでは紙媒体のものを手当たり次第購入してきましたが、「リーガルライブラリー」を導入して、紙ベースの書籍については必読書や基本書に限定していこうと思っております。
 
 先日、息子にお願いして、古本を処分しましたが、段ボール箱8箱でした。版が変わると、古い書籍は存在意義を失います。昨今の法令の改定の速さを考えると、書籍も紙で持つ時代ではなくなりつつあるなと感じております。

2026年3月 5日 (木)

【金融・企業法務】 非上場企業に事業承継における株主構成戦略(大蔵財務協会)

 大蔵財務協会から令和4年に出版された「非上場企業における事業承継における株主構成戦略」です。

 資産承継・事業承継の分野においては、承継の対象となる株式(自社株式)の保有形態が重要な関心事になつています。まずは、会社経営者にとっては、自身で自社株式をどの程度所有すべきか、分散した株式をどのような方法で集中させるか、経営支配権を維持することを条件に自社株株式を誰にどのようにして所有させるか、さらには、それらの自社株式移転において、株価を幾らにしたら当事者が納得し、課税上問題が生じさせないことができるか、等々は会社経営上あるいは自身の財産管理上無視できません。

 また、近年、企業の親族内承継が後継者不足等から大幅に減少していることもあって、M&A等による第三者承継を円滑に進めることも当事者のみならず社会的な問題になっております。しかも、この場合には、自社株式を誰にどのような方法で買い取って貰うか、その株価をどのように算定するか、従業員の雇用条件はいじされるかなどについても、親族内承継とは別の観点からの検討を要します。

 また、その自社株式を買い取る側においても、その企業の将来性、株価の妥当性、潜在している企業リスクの有無などは関心を持つことになります。これらの諸問題と解決するためには、会社法、各税法等に通じた幅広い知見を必要とします

 本書はこの知見を獲得するために最適な書籍だと思いました。

 なお、第1章は、事業承継における株主構成戦略が要領よく解説され、第2章の事業承継におけるM&Aの活用、第3章の従業員持株会の活用はかなりの頁をさいて解説されています。 


 

2026年3月 4日 (水)

【金融・企業法務】 新版 Q&A中小企業における「株式」の実務対応(清文社)

 清文社から2024年6月に出版された「新版Q&A 中小企業における株式の実務対応」です。

 第1章では、中小企業が直面する株式に関する課題について株主の属性ごとに論じています。

 第2章は、課題に取り組む際に必要な3つの視点について解説をします。

 第3章は、安定した経営権の確保、第4章は、経営者の保有株の円滑な承継、第5章は、親族外承継について、第6章は、株式の分散防止と集約化について解説されています。

 株式に関して日頃から備えておいた方がよいこととして、①定款の整備と、②株主名簿の作成・管理ですが、①定款の整備事項としては、株主譲渡制限、株券不発行、相続人への売渡請求、自己株式の取得における売主追加請求権の排除を挙げています。

 安定した経営権を確保するための選択肢としては、①株式の集中、②株式の設計を考える、③安定株主の導入があります。②株主の設計を変える例としては、配当優先無議決権株式の活用、拒否権付き株式の活用、属人的定めの活用を挙げています。

 また、経営者株式の移動の検討に際しての視点は、①移動方法の検討、②相続時に移動する場合は遺言の作成、③他の相続人への配慮(遺留分対策)となります。

 公認会計士による視点で、参考になりますよ。 

 


 

2026年3月 3日 (火)

【学校】アカデミックハラスメントって 🏫

 労働法実務パワハラの法律実務です。P214以下にアカデミックハラスメントの説明が掲載されています。

 その説明を参考にしつつ、解説を加えます。

 アカハラは、大学等学校内におけるハラスメントであり、教員間に加えて、教員から学生等へのハラスメントを含んでいます。

 アカハラに関しては、大学等の規則(ハラスメント防止規則等)において、いかなる行為がパワハラやセクハラ、アカハラにあたるのか、それらの定義や内容が記載されるとともに、相談窓口やハラスメント認定までの大学内における手続や懲戒処分を行うまでの手続等について定めれているところが多いです。従って、アカハラに関する相談があった場合には、事実関係について聴き取るとともに、大学等の規則を確認し、アカハラに該当する事実かどうか、相談窓口への相談後の流れなどの手続面を確認することになります。

 ①学校法人A事件 東京地判令5年2月22日

  個人への誹謗中傷等に対する厳重注意を受けた大学の男性準教授が注意から5か月経った頃から、

  学生Bの問題点を詳細に適示する内容の添付ファイルを含むメールをその学生の同意を得ずに研究活動のメンバーに一斉送信した行為

  女子学生Cを一定期間継続的に「デブコロ」とあだ名を付けて呼んだ行為

  Cにお前の家は土地もあるんだろう 銀座に住んでいるなら一坪よこせ お前と結婚して土地の名義を俺に変えて離婚してお前の土地を売り払うなどと言い、お土産よろしく、Cお土産は?と合計4回メッセージを送信した行為

  卒論指導の際に自分の提案を否定するなら今度アドバイスはできない旨述べるなどをした行為

  Cに説明も同意もなく、予定されていたインタビューについてCが病気になったと会社に連絡するよう指示してキャンセルさせた行為

  →停職2か月の懲戒処分は有効

 ②懲戒処分無効確認等請求事件 東京地判令4年5月26日

  大学教授がゼミ生に注意をする際に、座っていたゼミ生の胸元付近をつかんで起立させた行為

  慰安・親睦を行う授業時間外のイベントであるゼミの春合宿への全日参加をゼミ生に強制し、ゼミを辞めるか、合宿に参加するかの選択を迫り、ゼミを辞めざるを得ないとの判断に至らしめた行為

  就職合宿への参加を希望しているゼミ生に対しそれは、ほとんど却下だよな そんなに行ったってしゃあないんだよ 俺から言わせれば 就職なんとか合宿なんてやっても何も役に立たないよなどと言って頭ごなしに否定するなどした行為

  →3か月の出勤停止の懲戒処分は有効

 ③学校法人A大学事件  東京地判令和4年1月20日

  大学教授が教え子の女子学生に、深夜、2人しかいない室内で、同意なく身体接触を伴う性的行為を行った行為

  →懲戒解雇は有効

 ④国立大学法人愛知教育大学事件 名古屋地判令和3年1月27日

  ハラスメントに該当すると認められたものの、教育研究に係る事項について教育職員に対し懲戒処分をするには、教授会における議を経ることが就業規則上規定されているのに、教授会の議を経ることなく懲戒処分が行われ、手続上の重大な瑕疵があるとして、無効

 ④については、最近、愛媛の私立大学においても同様の理由で懲戒処分を無効にしていることが報道されましたね。 

 


 

2026年3月 2日 (月)

【労働・労災】 パワハラ行為者に対する懲戒処分

 労働法実務パワハラの法律実務の解説を読みました。

 パワハラ行為者に対する懲戒処分は、難しい判断に強いられることが多いです。

 まず、パワハラを理由とした懲戒処分については、就業規則に定める懲戒事由に該当する事実が存在するかどうか、存在するとしても、当該懲戒処分を科すことが相当かどうか(処分の重さや手続等)を検討しなければなりません。

 とりわけ、雇用や職の喪失を伴う場合には裁判所は慎重に判断しています

 P188以下は、パワハラ加害者に対する懲戒処分を有効と判断したものと、無効と判断した裁判例をいくつか紹介してます。

 同僚に対して威圧的言動をとったなどとして出勤停止5-7日の懲戒処分を受けた事案は、従前の懲戒処分事例と比較して明らかに重たすぎるとして無効と判示した長崎自動車事件(福岡高判令和2年11月19日)が紹介されています。

 また、消防職員に対する懲戒処分例もいくつか紹介されています。

 氷見市事件は、停職6ヶ月の懲戒処分がなされた事案ですが、最高裁は有効と判断しております。

 糸島市・市消防本部消防長事件は、懲戒免職事案で、懲戒免職処分を無効と判示した福岡高判を紹介されていますが、最高裁は懲戒免職処分を有効と判断しております。

 長門市・市消防長事件も、分限免職処分を有効と判断しています。

 最高裁は、公務員のハラスメントに対しては厳格な姿勢を示しているように思います。

 


 

2026年3月 1日 (日)

【労働・労災】 損害賠償の相手方ー加害者が国立大学法人の職員である場合

 労働法実務パワハラの法律実務(旬報社)を読みました。

 加害者が国立大学法人の職員である場合、加害者個人を被告にするかどうか悩むことがあります。

 国立大学法人と職員との関係は労働契約であるものの、公務員と同様に国賠法に基づき国立大学法人のみが責任を負い、職員個人は責任を負わないのか、若しくは、職員個人も民法に基づき不法行為責任を負うのかについては、個人の責任を否定する裁判例と肯定する裁判例があります。

(個人の責任を否定した例)

① 大阪地判令和3年2月18日

  看護師長から看護師へのパワハラ行為、退職強要、違法配転行為

② 高松高判平成31年4月19日

  教員が行う教育活動

③ 神戸地判平成27年6月12日

  保険学研研究科長のハラスメント行為

(個人の責任を肯定した例)

④ 病院部門副部長のパワハラ行為

  →国立大学法人と民法上の雇用関係にある職員間の指揮監督及び安全管理作用上の行為であつて、教育研究活動等の国立大学法人の業務上の行為に当たらず、任用関係にある公務委員間における指揮監督又は安全管理作用上の行為ともいえず、純然たる私法経済作用というべき

 

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(唐子山城)
 裁判例は分かれているので、困りますね。

 

 


 

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