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2026年2月27日 (金)

【労働・労災】 都道府県警察所属の警部補が自殺した場合において、当該都道府県警察を置く都道府県が、上記警察補の上司らが上記警部補の心身の健康を損なうことがないように注意する義務に違反したことを理由として国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとされた事例 最高裁令和7年3月7日判決

 判例タイムズNo1540号で掲載された最高裁令和7年3月7日判決です。

 広島高裁は、「精神疾患等の公務災害の認定について」(認定基準)の認定要件に係る「発症直前の1か月以上の長期にわたって、質的に加重な業務を行ったこと等により、1月当たりおおむね100時間以上の時間外勤務を行ったと認められる場合にいう質的に過重な業務を行ったとはいえないから、Aの自殺とAが従事した業務との間に因果関係はないと判断しました。

 認定基準においては、認定要件の1つとして、「対象疾病発症前のおおむね6か月の間に、業務により強度の精神的または肉体的負荷を受けていたことが認められること」を要件にしております。

 この事案だと、100時間を超えたのは、6ヶ月の中では、1回だけでした。

 しかしながら、最高裁は、

(1)上記警部補の自殺直線の1か月間における時間外勤務時間数は、その前の1か月間における約43時間から、その場合以上に増加して112時間を超えるに至っており、上記警部補が自殺直前の時期に行っていた業務の量は、従前から行っていた業務に相当程度の負荷を伴う複数の業務が加わることによって大きく増加していた

(2)上記警部補は、自殺直前の1か月間に、僅か1日の休みを挟んで14日間もの連続勤務を2回にわたって行っており、これらの連続勤務の中には拘束時間が24時間に及ぶ当直の勤務がそれぞれ5日含まれていた上、上記警部補は、各当直明けの非番の日にも相当の時間の勤務を行った

(3)上記警部補が自殺の当時発症していたうつ病エピソードについて、上記警部補が自殺直前の時期に行っていた業務の他には、その発症に寄与したと解すべき事情はうかがわれない

(4)上記上司らは、上記警部補について上記の複数の業務が加わったことを当然に把握している立場にあった上、上記警部補が勤務する甲番の勤務日誌を閲覧し、上記上司らのうち1人は上記警部補から時間外勤務実績報告書の提出も受けていたこと

(5)上記上司らのうち1人は、上記警部補が自殺の3か月前に受けたストレス診断で最低評価となっていたことを知っていた

(6)上記上司らは、上記警部補の負担を軽減するための具体的な措置を講じていない

 という事情の下では、都道府県は、警部補の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務に違反したことを理由として国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負うと判断しました。 

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(高知城)
 三浦守裁判官の補足意見では、労災認定基準に示された知見について、法令で定めるものではないから、これらに示された知見を斟酌しうるといっても、形式的に当てはめるべきものではなく、あくまで、経験則上の1つの知見として斟酌するものであることが指摘されています。

 

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