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2026年2月

2026年2月28日 (土)

【労働・労災】 労働法実務 労災におけるメンタル疾患の法律実務(旬報社)

 今年の3月に出版された「労働法実務 労災におけるメンタル疾患の法律実務」です。

 7章で構成されています。

 第1章の労働保険制度のポイントは、以下のとおり説明されています。

 「⚫労災保険制度は、業務上の傷病・死亡や通勤による傷病・死亡について、使用者の過失の有無を問わず、法律に定められた定型的な給付を社会保険制度のもと行うものである。

 ⚫労災保険の適用事業は、労働者を使用する全ての事業である。

 ⚫労災保険法の適用対象となる労働者は、労基法上の労働者であり、客観的な事実や実態に基づき、「使用される者で、賃金を支払われる者」と言え、実質的な使用従属関係があるかどうかにより判断される。

 ⚫労基法上の労働者とは言えない者であつても、特別加入がなされれば、労災給付がなされる。

 ⚫副業や兼業をしている労働者が、「複数事業労働者」に該当し、複数の事業の業務上の負荷を総合して評価した場合に業務起因性が認められる場合には、複数業務要員災害に当たるとして保険給付が行われる。

 ⚫業務災害として認定を受けるためには、業務遂行性が認められること、業務起因性が認められることが必要であり、精神障害の場合には、業務起因性を判断するための労災認定基準が設けられている。

 ⚫被災労働者にとっては、通勤災害よりも業務災害と認定された方が有利になるため、可能な限り業務災害に当たる方向で検討を進めるべきである。

 ⚫保険給付の中には、被災労働者及びその家族を支えるための様々な種類が存在する。」

 第2章は、精神障害の労災認定です。

 「⚫労基署における認定実務においては、「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令5・9・1基発0901第2号)に基づいて業務上外の判断がなされる。

 ⚫現在の精神障害と発病の因果関係については、ストレスと個人のぜい弱性の相関関係によって発病するという「ストレスー脆弱性理論」を前提として、業務が相対的に有力な原因であるかによっているのが行政実務である。

 ⚫行政実務は認定基準によっているが、認定基準の意味を把握するためにも実務要領や専門検討会議の議事録を参照することが必要である。

 ⚫行政実務上、同種労働者基準説をとることになっているが、司法上の判断は分かれている。」

 「ストレスーぜい弱性理論」については余り勉強したことがありませんでした。この理論は、環境由来の心理的負荷(ストレス)と、個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まり、心理的負荷が非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神的破綻が起こり、脆弱性が大きければ、心理的負荷が小さくても破綻が生ずるとするもの」であり、現在の精神医学においても一般的に採用され、裁判例上も広く採用されているものである。そして、「ストレスーせい弱性理論」に基づいて、労災保険の対象を確定するための因果関係が認められるために、発病からおおむね6か月の心理的負荷を判断して、これが強度のものであったかについて、認定基準の別表を参照しつつ判断することになります。

 第3章は、労災申請手続の実務です。

「⚫精神障害の労災事案を受任した場合、業務起因性のみならず、発病関係をも重視して調査を行うべきである。

 ⚫電子データ等の証拠の散逸を防ぐべく、業務起因性の調査は速やかに行うべきである。

 ⚫証拠収集手段として、主として、①労基署が使用者等に対し調査権限を行使することのほか、②被災労働者側から使用者に対して証拠の任意開示を求めること、③証拠保全手続を行うことの3つがあり、使い分けを行うべきである。

 ⚫被災労働者ないし遺族は経済的に困窮している場合があり、申請中の生活を支える制度の案内を行うべきである。

 ⚫労災保険請求の審理の各段階の特徴をよく把握し、対策を行うべきである。

 ⚫不服申立手続の請求期間は2か月ないし3か月ないし6か月と短いため、注意すべきである。

 ⚫労災給付の時効は2年と短期間的な場合が多く、注意すべきである。

 ⚫労災の打ち切りについては、治癒(症状固定)の概念を踏まえ、慎重に対応すべきである。」

 第6章は、労災事件における労働時間です。

 「⚫労災認定基準において、労働時間は極めて重要な位置づけがされており、労働時間の立証に努めるべきである。

 ⚫労基法上の労働時間と業務起因性の判断基準としての労働時間は異なる概念である。

 ⚫業務起因性の判断基準としての労働時間は、業務のために必要な活動に従事していることが客観的に明らかであると言える時間のことをいう。

 ⚫業務起因性の判断基準としての労働時間の立証手段は様々なものがあり、業務のために必要な活動に従事していることを客観的に裏付けていくべきである」

 →業務起因性の判断基準としての労働時間は、業務の過重性を図るための労働時間であるため、時間外割増賃金の対象となる労基法上の労働時間とは趣旨目的が異なっており、それよりも緩やかに広い範囲で労働時間が認定される傾向にあると説明されています。

 


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2026年2月27日 (金)

【労働・労災】 都道府県警察所属の警部補が自殺した場合において、当該都道府県警察を置く都道府県が、上記警察補の上司らが上記警部補の心身の健康を損なうことがないように注意する義務に違反したことを理由として国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとされた事例 最高裁令和7年3月7日判決

 判例タイムズNo1540号で掲載された最高裁令和7年3月7日判決です。

 広島高裁は、「精神疾患等の公務災害の認定について」(認定基準)の認定要件に係る「発症直前の1か月以上の長期にわたって、質的に加重な業務を行ったこと等により、1月当たりおおむね100時間以上の時間外勤務を行ったと認められる場合にいう質的に過重な業務を行ったとはいえないから、Aの自殺とAが従事した業務との間に因果関係はないと判断しました。

 認定基準においては、認定要件の1つとして、「対象疾病発症前のおおむね6か月の間に、業務により強度の精神的または肉体的負荷を受けていたことが認められること」を要件にしております。

 この事案だと、100時間を超えたのは、6ヶ月の中では、1回だけでした。

 しかしながら、最高裁は、

(1)上記警部補の自殺直線の1か月間における時間外勤務時間数は、その前の1か月間における約43時間から、その場合以上に増加して112時間を超えるに至っており、上記警部補が自殺直前の時期に行っていた業務の量は、従前から行っていた業務に相当程度の負荷を伴う複数の業務が加わることによって大きく増加していた

(2)上記警部補は、自殺直前の1か月間に、僅か1日の休みを挟んで14日間もの連続勤務を2回にわたって行っており、これらの連続勤務の中には拘束時間が24時間に及ぶ当直の勤務がそれぞれ5日含まれていた上、上記警部補は、各当直明けの非番の日にも相当の時間の勤務を行った

(3)上記警部補が自殺の当時発症していたうつ病エピソードについて、上記警部補が自殺直前の時期に行っていた業務の他には、その発症に寄与したと解すべき事情はうかがわれない

(4)上記上司らは、上記警部補について上記の複数の業務が加わったことを当然に把握している立場にあった上、上記警部補が勤務する甲番の勤務日誌を閲覧し、上記上司らのうち1人は上記警部補から時間外勤務実績報告書の提出も受けていたこと

(5)上記上司らのうち1人は、上記警部補が自殺の3か月前に受けたストレス診断で最低評価となっていたことを知っていた

(6)上記上司らは、上記警部補の負担を軽減するための具体的な措置を講じていない

 という事情の下では、都道府県は、警部補の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務に違反したことを理由として国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負うと判断しました。 

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(高知城)
 三浦守裁判官の補足意見では、労災認定基準に示された知見について、法令で定めるものではないから、これらに示された知見を斟酌しうるといっても、形式的に当てはめるべきものではなく、あくまで、経験則上の1つの知見として斟酌するものであることが指摘されています。

 

2026年2月26日 (木)

【金融・企業法務】 SR(Shareholder Relations)って!?

 最近、SRという耳慣れない言葉をきくようになりました

 SRは、Shareholder Relationsの略になります。

 旬刊商事法務2月15日号において、座談会「SRと株主総会」が取り上げられていました。これを読んでようやく意味がわかりました。

 「SRというのは、IRとの対比において使っている概念だと思います。IR活動は基本的には適正な株価を形成するために働きかけたり、望ましい投資家の投資を促進したりという目的があって、そのためにアクティブの運用機関にあったり、セルサイドの証券会社との関係を密にしたりという、それらの目的に照らした活動と思います。対話のアジェンダは、経営戦略を踏まえた四半期の業績変動、株主還元、資本政策にフォーカスされていると理解しております。

 一方で、SRという概念が出てきた背景として、とりわけ近年になって議決権行使が重要になってきたことがあるのだと思います。以前は9割異常の賛成票が確保できるのは当然だったものの、今ではそうでもなくなってきた。そこで、議決権行使に向けたコミュニケーション、議決権行使をターゲットにした主要株主との信頼関係が大事という考えが広がってきたということです。これは今までIRではケアしていなかった領域なので、新しく始めましょうということで拡がりつつあるように思います。

 SRのターゲットは議決権行使なので、対象は上位の機関投資家で、しかも上位をバッシブ運用機関が占めているので、IRと違って小さなアクティブ投資を含めて数多くというよりは、少数の大きなバッシブの投資家、しかもIRであるファンドマネージャーやセルサイドアナリストではなく議決権行使担当者、責任投資部門ということで、機関投資家といっても相手が異なってきます」

 機関投資家といっても、その内実は、一様ではありません。投資判断を行うポートフォリオマネージャーやアナリストは一般的にIR部門と接点を持つことが多いですが、議決権行使担当者や責任投資部門はSR部門と接点を持つことが多いです。

 企業側ではIR部門とSR部門、投資家側では投資判断担当と議決権行使担当が、それぞれ独立して動いており、お互いにどのような話がされているのかが必ずしも共有されておらず、この分断は双方にとって、課題になっているとのことです。

 

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(朝倉・野田)
 上場会社等の役員である限りは、地方といえども少し先の議論が出来るようになっておかないと、会社をとりまくステークホルダーの方々とお話はできません。
 老体にムチをうって学習です😅

2026年2月25日 (水)

【労働・労災】 休職の法律実務 (旬報社)

 休職の法律実務(旬報社)を購入しました。「休職」とは、ある労働者について労務に従事させることが不能または不適当な事由が生じた場合に、使用者がその従業員に対し労働契約関係そのものは維持させながら労務への従事を免除するまたは禁止することをいいます。

 労働者が健康を害した状況にあり、就労が困難な状況にある労働相談においては、①健康保険法上の傷病手当金受給手続、②傷病休職制度の適用とその問題点、③当該傷病についての労災申請、④労災申請に対し不支給決定がなされた場合の不服申立手続、⑤労災と認められた場合の解雇禁止の主張、⑥使用者の安全配慮義務違反等について追及すべきことになります。

 過去のケースにおいても、概ねこのような流れで推移しているように思います。

 近時メンタル事案など、労使が対立するようなケースも散見されるようになりました。

 勉強はしておく必要はあります。

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2026年2月24日 (火)

【金融・企業法務】 オーナー社長のための事業承継(スタブロブックス)

 昨年10月に出版された「オーナー社長のための事業承継」です。

 本書の著者の見解を簡単にまとめると以下のとおりです。

 事業承継で本当に大切なのは、①時間の重要性、②理解のある第三者支援の必要性、③経営者こそが幸せになる事業承継の考え方という3点を指摘されています。

 第1は、時間の重要性として、承継準備と事業成長の双方を同時に進めるためには経営者としての能力が最も従事ししている時期、すなわち60歳を迎えたタイミングで承継準備に着手するのが理想的です。

 第2は、理解のある第三者支援の必要性です。事業承継には、経営者以上に経営者の承継後の幸福を気にかえ、利害関係なく的確な判断を示し、中立的な立場から後継者や組織に意見できる伴走型の支援者が必要です。

 第3は、経営者こそが幸せになる事業承継の考え方です。事業承継は引退を意味するものではありません。より多いな成長と、幸せな未来を描くための、現在からの卒業式です。そして、卒業の先にはより良い未来への進学が待っています。

 ハウツーモノではなくて、なんのために事業承継をするのかという根本的なところを常に意識して書かれている書籍です。

 


 

2026年2月23日 (月)

【金融・企業法務】 親族内・従業員への事業承継を考えたときに読む本(セルバ出版)

 昨年出版され、今年の1月には2刷なので、結構売れているのでは?と思います。親族内・従業員への事業承継を考えたときに読む本を購入しました。

 非常に良い本でした。

 弁護士が事業承継に携わる際には、第三者への売却(M&A)という事案が多いのですが、この書籍は、親族内・従業員への事業承継にフォーカスをあてて、解説されているものです。

 士業が執筆する事業承継の書籍は、それぞれの士業の専門性についての記述が中心になるために、全体的にみるとこれで大丈夫かなという内容のものがあります。

 例えば、弁護士は、事業承継についての専門家ではなく、法律という分野の専門家に過ぎません。

 本書は、まず、事業承継の目的から解きほぐして、社長の想いを言語化するということから解説が始まります。

 本当によい書籍ですので、みなさん、勉強のために読まれたいかがでしょうか😅

 


 

2026年2月22日 (日)

【行政】 ふるさと納税に関連してこんな裁判があつたんですね 😅 横浜地裁川﨑支部令和7年1月21日判決

 判例時報No2638号で掲載された横浜地裁川﨑支部令和7年1月21日判決です。

 本件は、川﨑市内に居住する個人であるXが、宮﨑県内の地方公共団体であるYに対し、X・Y間には、YがXに対してふるさと納税の返戻金(宮﨑牛赤身肉切り落とし計1.5キログラム)を交付する贈与契約が成立しており、Yが本件贈与契約に基づく返礼品の交付義務を履行しないため、Xは寄付額である1万円の3割に相当する3000円の損害を被ったと主張して、債務不履行に基づく損害賠償請求として同額の支払いを求めたという事案です。

 Yとしては、返礼品を返送できないために、1万円の返金か、代替品の発送のいずれかを選択して手続をするよう、Xに依頼しましたが、Xはこの申請を行わず、3000円の損害賠償請求訴訟を提訴しました。

 裁判所は、ふるさと納税の寄附者と地方公共団体との間には返礼品交付の贈与契約が成立し、地方公共団体が郵送した合意解除等の申込書面は民法550条の書面に当たり同契約は解除できないとして、返戻品交付債務の不履行による返礼品調達費用相当額(2840円)の損害を認めました。

 争点は、贈与契約の成立、書面によらない贈与として解除が可能かなどが争点になっております。

 ただ、訴訟してまで争う経済的な実益はあったのでしょうかね。田舎弁護士にはよくわかりません。 

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(バレインタインデーチョコ)

2026年2月21日 (土)

【刑事】 加害者に関する情報を知りたい「被害者等通知制度」

 加害者が刑務所に収容された場合又は保護観察付執行猶予の判決を受けた場合、地方更生保護委員会又は保護観察所から、仮釈放審理に関する事項、保護観察中の処遇状況に関する事項等を通知します。

 まず、加害者に対して有罪の言い渡しをした裁判所に対応する検察庁に申出書を提出する必要があります。申出は、加害者の刑事裁判が確定した後からになります。

 通知を希望された事項については、書面の郵送や電話等により知らされることになります。

 検察官からの主な通知内容は、

 ①収容されている刑務所の名称・所在地

 ②刑務所から釈放される予定の年月

 ③受刑中の刑務所における処遇状況

 ④刑務所からの釈放(満期釈放、仮釈放)された年月日

 となっております。

 通知の対象者は、被害者、その親族もしくはこれに準ずる者 または代理人の弁護士、目撃者その他の参考人です。

 検察庁では、平成11年4月から実施されているようです。 

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(浅尾の沈下橋)

  

 

2026年2月20日 (金)

 田舎弁護士の事務所について😅

 田舎弁護士が所長を務めている法律事務所は、しまなみ海道の橋が全線開通した平成11年に愛媛県今治の地にて設立され、以降、30年近く、大過なく、順調に弁護士業を営んでおります。

 設立当初は、企業の顧問先もなく、専ら、電話帳等を通じて、個人のお客様から、離婚、相続、債務整理等の案件を中心にしてきました。国選事件も、常時、7~8件程度は抱えているような状態でした(当時は、国選弁護を受任できる弁護士が3人程しかいませんでした😅)。

 そのうち、交通事故案件の相手方であった大手損保会社から事件終了後に依頼がくるようになり、これまでの案件に、主として加害者側の交通事故事案が加わり、最盛期には大手損保会社3社から依頼を受けるようになり、交通事故事案の割合が急増しました。

 最高裁判例の出た平成17年ころからは、消費者金融機関が素直に取引履歴の開示に応じるようになったため、田舎弁護士の事務所でも、いわゆる過払い金バブルという状態が数年程続きました。

 その後は、過払いバブルが終焉し、また、相次いでこの地域の大手損保会社のサービスセンターも閉鎖されたことに伴い、過払い金事案や交通事故事案についての売り上げが「消滅」しました。

 もっとも、弁護士ドットコム等を見られたお客様から問い合わせがあるため、被害者側の交通事故事案については、今なお、一定数のご依頼があります。

 もとより、ご依頼を受けた事件についてはとことん誠実に対応するという方針を徹底していたことから、地域の口コミでしょうか、次第に、地元の企業や団体から、法律顧問を打診されるようになり、現在では、顧問業務、そして、会社団体の役員としての業務が、中心的なものとなっております。

 法律顧問先には、地元の自治体、公益企業、銀行、造船、造船関連会社、海運、タオル、介護施設、メーカー、小売り、運送、指定確認検査機関、商社、メンテナンスなどかなり広い範囲に及んでいます。

 そして、地元の自治体や東証プライムに上場している地方銀行等から法律顧問を受けたことがきっかけに、法律事務所の信頼性を急速に高め、一気に、経済界を中心とした人脈が拡がるようになりました。

 そのつながりで入会した、日本食研が事務局をされていた愛媛県異業種交流研究会、愛媛経済同友会、四国生産性本部・企業会計研究会、愛媛県経営者協会、笑門会🤗等の異業種の方々から、参加の度ごとに、よい刺激を受けておりました。

 学会についても、日本交通法学会、人身賠償科学会、M&A研究会等に入会し、シンポジウムや理事者たちしか参加されていない懇親会等にも参加しております。

 会社や団体の役員としても、現在、営業収益年約8000億円の株式会社フジ(広島)、ガレージで国内シェア3位の株式会社田窪工業所(西条)、丸紅系列の山星屋の関連会社であるアリスタ木曽(今治)の、各監査役、また、国立大学法人愛媛大学(松山)の理事にも、就任し、毎日が多忙な一日となっております。

 また、法律顧問先も、現在では、数十社程度となり、毎日、担当者から相談のメールが多数届いております。 

 もっとも、田舎弁護士個人の役員報酬は5社合算するとそれ相応の金額にはなっておりますが、他方で、本来の弁護士業である事務所の売り上げとしては、会議等参加のために、事務所不在にすることが多いため相談件数が減少していることに伴い、減少傾向にあります。 

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                                 (にこ淵)
 土日曜日は、コロナ禍で始めた山登り等にでかけることが多くなりました。気分転換にもなり、また、よい運動にもなり、健康的です。

 以前は、平日夜にスポーツクラブに通い、土日曜日も仕事をしていたのですが、現在は、土日曜日での仕事は(山登りのため)必要不可欠な範囲にとどめています。

 そのため、平日は夜に仕事をしなければなりませんが、その反面、土日曜日は登山等趣味のための時間をあてることができ、カントリーライフらしい生活を楽しんでいます。

 数年前に、事務所においてサマークラークを企画して募集をかけたところ、定員を上回る申し込みがありましたが、コロナ禍のために断念せざるを得ませんでした。

 事務所の5年、10年先の将来を考えると、そろそろ田舎弁護士も、「事務所の後継者」を含めて後進の育成ということも考えた方がいいかなと思って、再び、サマークラークを企画することにいたしました。

 手堅く、様々な経験をし、また、後で述べるようなリスクを回避したいのであれば、地方の中核的な都市で地元の評判の高い法律事務所にて弁護士登録という選択肢もあろうかと思います。

 むしろ、東京や大阪等では弁護士資格のみでの従来型の弁護士業務は激しい競争となり精神的にも肉体的にも疲労し、また、非弁提携等で足下をすくわれる弁護士も増えているように思います。

 サラークラークに募集される方は、このブログなどの記事も参考に応募していただけますと幸いです。 

2026年2月19日 (木)

【子ども】 「紛争性が高い当事者間の面会交流に係る定めの変更において、従来の面会交流の実施状況等を踏まえ、その実施要領において、①間接強制決定を想定した定めをする必要性を否定し、②宿泊付きの面会交流を求めた事例」札幌高決令和4年3月18日

 「家庭の法と裁判」No60で紹介された裁判例です。

 最近のご相談者からは、親子交流について、相手方が信用できないから間接強制ができるようにして欲しいと言われることも増えたように思います。

 間接強制決定を想定した必要性については、以下のとおり解説されています。

 まず、監護親に対して非監護親が子との面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判に基づき間接強制を決定することができるかについては、肯定されています(最決平成25年3月28日)。

                        ⇓

 もっとも、同最高裁決定は、どのような事情があるときに面会交流を実現することが相当であるかや、どのような場合に間接強制により面会交流を実現することが適切であるかについて示したものではない。

                        ⇓

 中野晴行論文では、原則的に間接強制を視野に入れるべき場合として、①既に、調停、和解又は審判において面会交流が認められたものの、それらの条件では面会交流が実施できず、改めて調停が申し立てられた場合、②面会交流を禁止・制限すべき事由が認められないのに監護親が面会の実施を強く拒否している場合、③監護親が調停に出頭せずまた家裁調査官の調査に応じない場合、などの場面が一応問題となる指摘がある。

 また、畠山新論文では、間接強制は、一たち発令するとその是正が容易でないことから、間接強制はあくまで最後の手段であり、これが可能な審判をすべき場合は厳選されるべきであるとして、①債務者が理由なく第三者機関の介入を伴う面会交流や家裁の調査を拒むなど、不誠実性が顕著で、間接強制金を課さなければあるべき面会交流が実現できないなどが考えられるとする。

                        ⇓

 本件抗告審は、間接強制決定を想定した定めをすることが相当とはいえない理由の1つとして、実施開始が令和3年6月と原審決定後の時点ではあるものの、当事者双方が代理人を介して協議を行い、面会交流の実施のため問題の解消に向けた相当の努力を払っており、実際に月1会の頻度で面会交流が実施されていることをあげており、上記の間接強制を視野に入れるべき場合の例と比較しても、そのような場合に当たらないと判断をしたことは妥当と考えられる。

 詳しくは、家庭の法と裁判60号を参照してみて下さい。

 



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2026年2月18日 (水)

【金融・企業法務】 いよいよ12月1日から、改正公益通報者保護法が施行されます😅

 月刊監査役2月号で掲載された「役員が留意すべき改正公益通報保護法のポイント」です。

 300名を超える従業員を有する事業者には、今回の改正により規定違反に対しては刑事罰・行政罰を伴う措置が少なからず盛り込まれたため、コンプライアンス対応として公益通報対応体制の整備が急ピッチで進めることが求められるようになりました。

 さて、今回の改正のポイントは、大きく4つの柱に大別されます。

 第1は、公益通報対応体制整備の徹底を図るため、その内容の具体化と実効性の向上のためのエンフォースメントの強化が図られました。

 具体的には、公益通報対応業務の従事者指定義務に違反する事業者に対して、消費者庁の報告聴取、指導・助言および勧告に従わず、新設された消費者庁の命令権にも違反した場合には、社名公表とともに刑事罰が科せられることとなりました。その際に、消費者庁には立入検査権限が新設され、立入検査の際に求められた報告徴収に対して報告の懈怠や虚偽報告、検査拒否がある場合も刑事罰が科せられます。また、公益通報体制の周知義務を新たに法文において明示し、体制設備義務の履行状況について報告を求められた際には虚偽報告や妨害を行った場合は、過料が科せられ、体制整備義務違反に対する勧告後に是正措置を怠った場合には社名の公表がなされることとなりました。

 第2は、保護対象の拡大です。

 当初は、従業員のみでしたが、2020年の改正で役員や退職後1年以内の従業員が追加され、今回の改正で特定受託事業者(フリーランス)も加わりましたので、フリーランスへの公益通報対応体制の周知も必要となります。

 第3は、公益通報を阻害する要因への対処です。

 改正法では、正当な理由なく公益通報をしない旨の合意を求めるなどの通報妨害や正当な理由のない通報者の探索について禁止規定が新設されました。

 さらに、今回の改正法では、公益通報対応体制整備義務について報告が求められたにもかかわらず、虚偽の報告や妨害を行った場合には行政措置の対象となる可能性があります。また、従事者指定義務違反には刑事罰があるだけではなく、こうした通報者探索の防止対策を含む公益通報対応体制の設備を行わず、虚偽の報告をした場合には過料の対象となります。

 第4は、公益通報を理由とする不利益取扱いの抑止や救済の強化が図られました。

 今回の改正では、労働者による公益通報から1年以内の解雇または懲戒処分につては、公益通報を理由としてされたものと推定する規定が置かれ、民事訴訟上の立証責任の転換がなされています。また、公益通報を理由として解雇・懲戒をした者に対する刑事罰として6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑が科せられ、且つ法人にも両罰規定として3000万円以下の罰金が科せられることになりました。 

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(世田山・不動明王)
 公益通報制度の強化は図られましたが、しかし、本来公益通報制度というのは、企業の不祥事を企業が早期に認識するようにして早期に改善を図るということを目的にしていたと思います。
 
 ただ、現実は、通報者自身が何らかの被害を受けているということで、その救済を図るために利用されることが少なくないように感じます。
 そのあたりのバランスの調整が必要な時期にきているようにも感じますね😅

2026年2月17日 (火)

【金融・企業法務】 譲渡制限株式 譲渡を承認する? 承認しない?

 事例でわかる非公開会社の法務トラブルと対応(中央経済社)にて、「譲渡制限株式の譲渡」について要領よく解説されていましたので、少し紹介させていただきます。

(1)譲渡制限株式の譲渡の手続

① 株式譲渡承認請求

  譲渡制限株式の譲渡は、会社に対する株式譲渡承認請求から始まります。

  株主(売主)は単独で請求できますが、株式取得者(買主)から請求する場合は、原則として株主と共同請求となります。請求の際には、株式数、譲受人の名称、会社が株式譲渡を承認しない場合に当該株式の買取を請求するときはその旨を明らかにしなければなりません。

② 会社の承認機関による承認と通知

  承認機関は、定款で別段の定めがある場合を除き、取締役会設置会社は取締役会、それ以外の会社では株主総会になります。

  株主総会による場合、会社の取締役が臨時株主総会の開催日を決定し、その他の株主に臨時株主総会の招集通知を出したうえで、臨時株主総会の決議によって株式譲渡を承認するかを決定します。

  決定がなされると、会社は請求者に通知します。

  請求があった日から2週間以内に会社が決定に関する通知をしない場合は、承認したとみなされます。

  従って、この期間内に決定に関する通知ができるよう、株主総会または取締役会の開催日を設定する必要があります。

③ 株式譲渡契約の締結

  会社の承認する旨の決定通知を待って(もしくは得られることを前提条件として)売主と買主との間で株式譲渡契約を締結します。併せて対価の支払がなされます。

④ 株式名義書換請求

  株式取得者(買主)は、会社に対して取得した株式についての株主名簿への記載・記録(株式名義書換)を請求します。

  株券発行会社の場合、株式取得者は、株券を提示することによって単独で行うことが可能ですが、株券不発行会社の場合、原則として株主名簿記足の株主と株式取得者が共同して行います。

(2)会社が株式譲渡承認請求を承認しない場合

① 会社・指定買取人による買取

  会社が株式承認請求を承認しない場合、請求した株主は、指定した者に株式を譲渡することができません。

  その代わりに、会社または会社が指定する買取人が、株式を買いとらなければなりません。

  会社が買い取る場合には、株主総会の特別決議を経て、会社が売買代金を供託したうえで、供託を証する書面とともに請求者に対して買取の通知をします。

  指定買取人が買い取る場合には、株主総会の特別決議(取締役会設置会社では取締役の決議)を経て指定買取人を指定し、指定買取人が売買代金を供託したうえで、供託を証する書面とともに請求者に対して買取の通知をします。

  対象会社が株券発行会社である場合、請求者(株主)は、供託を証する書面の交付を受けた日から1週間以内に対象株式の株券を供託し、これを遅滞なく会社もしくは指定買取人に通知しなければなりません。請求者がこの株券の供託をしなかったときは、会社もしくは指定買取人は対象株式の買取契約を解除することができます。

  他方で、会社が買い取る場合に決定の通知をした日から40日以内に会社が買取の通知をしない場合、もしくは指定買取人が買い取る場合に決定の通知をした日から10日以内に、指定買取人が買取りの通知をしない場合は、承認したとみなされます。このみなし規定には注意が必要です。

② 株式の買取価格

  株式の買取価格は、一次的には会社または指定買取人との協議によりますが、協議が調わない場合は、買取りの通知をあった日から20日以内に、裁判所に対して売買価格の決定の申立てをすることができます。

  期間内に申立てがないときは、先述の供託額が売買価格となります。

 

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(世田山・奥の院)

2026年2月16日 (月)

【金融・企業法務】 田中亘会社法 「定款による株式の譲渡制限」  要約しました😅

(1)意義

  株式の譲渡を自由にすることは一般的には合理性がある。しかし、株式会社の中には、株主間の個人的な信頼関係が重視され、好ましくない者が株主になることを排除したいというニーズが存在するものもある。そこで、会社法は、株式会社の定款により、株式の譲渡による取得は会社の承認を要するという形で、株式の譲渡制限をすることを認める。これを定款による株式の譲渡制限という。株式の譲渡制限は、非上場会社では広く行われている。定款で譲渡を制限された株式を、譲渡制限株式という。

(2)譲渡の承認機関

  譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かを決定する機関は、取締役会設置会社では取締役会、非取締役会設置会社では株主総会であるのが原則。

  定款で別段の定めをすることができる。

(3)みなし承認規定

  略

(4)譲渡制限の公示

  略

(5)譲渡制限株式の譲渡の方法

 (a)譲渡等承認請求

   譲渡制限株式を譲渡しようとする株主は、株式会社に対して、当該譲渡を承認するか否かの決定をすることを請求できる。

   取得者(譲受人)が会社に対して当該譲渡を承認するか否かの決定を請求することも認められる。但し、株主名簿上の株主と共同でしなければならない。

   譲渡等承認請求は、請求の対象である株式の種類・数、および誰が譲受人にんるのかを明らかにして行わなくてはならない。その際に、会社が譲渡を承認しないときは、会社または会社の指定する買取人が当該株式を買い取ることを併せて請求することもできる。

   譲渡等承認請求を受けた会社では、承認機関が承認の有無を決し、譲渡等承認請求者に通知する必要がある。2週間以内に通知しないと、会社は譲渡を承認したとみなされる。

 (b)会社が譲渡を承認しない場合

   会社が譲渡を承認しない場合、譲渡等承認請求者が買取先指定請求をしていなかったときは、単に譲渡を承認しない旨の通知をすれば足りる。これにより、手続は終了となり、株主は従前のままとなる。

   これに対して、譲渡等承認請求者が買取先指定請求をしていたときは、会社は、自ら株式を買い取るか、または、別に買取人を指定しなければならない。

   会社が株式を買い取るときは、株主総会の特別決議による必要がある。

   これに対し、買取人の指定は、取締役会設置会社では取締役会の決議、非取締役会設置会社では株主総会の特別決議で行う。

   会社が株式を買い取るときは、承認拒絶の通知から40日以内に、譲渡等承認請求者に通知する必要がある。

   これに対して、会社が買取人を指定したときは、承認拒絶の通知から10日以内に、指定買取人が買取の通知を行う必要がある。

   通知に際しては、1株あたり純資産額に買取株式数を乗じて計算した金額を供託し、それを証する書面を交付しなければならない。 

(c)会社または指定買取人による株式の買取

   会社または指定買取人が適法な買取りの通知をしたときは、これらの者と譲渡等承認請求者との間で、価格未決定のまま売買契約が成立し、以後、譲渡等承認請求者はこれらの者の承諾がない限り、譲渡等承認請求を摘果することができなくなる。

   売買価格は、両当事者の協議によって定めるが、協議が調わないときは、一定期間内に当事者が申立てをすれば、裁判所が売買価格を決する。申立てをしなければ、1株当たり純資産額に買取株式数を乗じた額が売買価格になる。

(d)裁判所による価格決定の方法   略

 

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(世田山)

   

 

2026年2月15日 (日)

【登山】 世田山に登ってきました。

 朝倉の野々瀬奥登山口から、世田山へ、そして、四電保安道の入口から鉄塔コースで、周回してきました。

 

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(世田山)
 今日は、あいにくの曇り空ではありますが、かなり多くの方が登っておられました。また、若い方も多かったです。一番若い方は、6歳か7歳くらいの女の子で、遅れているママさんに、「ママ ファイト」、「ママ 頑張れ」と声をかけていました。田舎弁護士にも、大きな声で、「こんにちは」と声をかけていただけました。
 
 
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(ランチ)
 嫁ちゃんランチは、ミネストローネ&プチサンドでした。とても美味しくいただけました。
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(奥の院)
 世田薬師の奥の院を経由して、鉄塔コースに入りました。
 
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(🍫)
 昨日、嫁ちゃんからのバレインタインデーチョコを持参しました。珈琲とよくあいましたよ
 
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(鉄塔コース)
 鉄鋼コースは、火災の様子がよくわかる場所となっております。笠松山&世田山 復活です😄

2026年2月14日 (土)

【金融・企業法務】 譲渡制限株式は、譲渡自由なのです 実は!

■ 譲渡制限株式とは
 会社法では、株式の譲渡については株式譲渡自由の原則を定めています。株主は原則として株式会社に出資した資金の払戻が認められていないので、投下資本回収のために株式を第三者に譲渡する必要があります。ところが、日本の中小企業の株式会社においては、発行している株式の全てについて譲渡制限株式にしているところが大半です。つまり、株主が株主以外の第三者に株式を譲渡する場合には会社の承認を要する旨の定めを置いています。以下、株券不発行会社を念頭にみてみます。

■ 譲渡制限株式の譲渡可能性
 では、株主は譲渡制限株式を第三者に譲渡できないか?というと、実は、譲渡自体は可能なのです。但し、当事者間では譲渡が有効だとしても、会社に対しては、株式譲渡を対抗できないという、相対的な効力となっております。

■ 譲渡制限株式について会社に譲渡承認請求
 譲渡制限株式について会社に対して譲渡承認請求があった場合、会社は2週間以内に譲渡を承認するか否かを決定し、その結果を請求者に通知する必要があります。その期間内に通知がない場合には会社は株式譲渡を承認したものとみなされます(「みなし承認」)。「2週間以内に決定」とありますが、取締役会設置会社であれば取締役会で対応できますが、取締役会非設置会社であれば株主総会の手続が必要ですから、株主総会の手続(株主総会招集通知は1週間前には必要)が必要であれば、そもそも株主総会の手続になれていない会社が大半でしょうから、「2週間以内に譲渡を承認するか否かの決定」が事実上困難であることも多いと考えられます。

(以下、譲渡承認請求に買取先指定請求があった場合)

株式買取通知は40日以内に通知が必要(会社が買い取る場合)
 会社が苦労して株式譲渡不承認決定通知書を期限までに請求者に送ったとしても、次には、会社が株式を買い取るのであれば、会社は当該通知から40日以内に会社自ら取得する旨を通知する必要があります(株式買取通知)。会社が買い取る場合には、取締役会設置会社であっても、株主総会の特別決議を経る必要があります。そして、株式買取通知を行う場合に、株式価格相当額(簿価準資産価格)を供託所に供託した供託所の写しも同封しなければなりません。

■  株式買取通知は10日以内に通知が必要(指定買取人が買い取る場合)
 他方、指定買取人に買い取らせる場合にも、取締役会設置会社においては取締役会の決議、取締役会非設置会社においては株主総会の特別決議によって行います。基本的には会社が買い取る場合と同じですが、指定買取人は、株式買取通知供託所の写しを株式譲渡不承認決定通知書の日から10日以内に完了させることが必要です。

■ 株式の代金
 簿価準資産額に基づく株式価格に不満を抱く当事者は、株式買取通知の日から20日以内に株式売買価格決定申立を行う必要があります。申立期限を徒過してしまった場合は、簿価純資産額に基づく株式価格相当額が確定的な株式売買価格として決定されることになります。

■ まとめ
 譲渡制限株式において譲渡承認を拒否した場合、これほど複雑な作業が予定されるのです。これほどまでの作業を強いられるのであれば、結果的に譲渡を承認することも多いのではないかと思います。
それ故に、「譲渡制限株式」は譲渡自由なのです。

 経営者の皆様、当社は「譲渡制限株式」だとして安心しきっていませんか。

 最後に田中亘東京大学教授の説明を引用します。

 「ポイントは、譲渡制限株式といえども、究極的には、株主は当初意図した譲渡先か、さもなければ株式会社の指定した買取人または会社自身に対し、株式を譲渡する道が確保されているということである。」

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                              (楢原山)

2026年2月12日 (木)

【金融・企業法務】 座談会 スタートアップにおけるコーポレート・ガバナンス上の論点

 旬刊商事法務No2413号で掲載された座談会報告です。

 スタートアップにおけるコーポレート・ガバナンス上の論点として、①取締役会、②社外取締役会、③内部統制、④役員報酬の4つのトピックについて、スタートアップではどのような規律が運用されているのか、どのような問題意識があるのか等について議論がされていました。

 取締役会の設置の時期については最初は事業に集中することが大事であることから経営判断を深めるフェーズに入ってから設置されることが多いようです。

 取締役会の開催頻度については、3ヶ月に1回程度で十分なところも少なくないようですが、上場審査の実務では月1回の開催実績を求められることが多いこと、また、投資金額によっては取締役会の決議が必要であるため開催頻度が少ないと意思決定が遅くなるというデメリットがあるようです。

 取締役会における投資家のオブザーバーについては、一長一短で、人が多いと経営者が本当の相談を取締役会にしなくなるという点がマイナスと指摘されています。

 社外取締役については、早いタイミングなら必要はないこと、他方で、株主の数が増えている場合には中間的な観点で議論ができる独立社外取締役が必要であること、そして、やはり上場準備都として必要とされていることが指摘されています。それと、独立社外取締役といっても、多くの会社では創業者と何らかの接点がある方を創業者自身がお招きしているケースが少なくないということが指摘されています。

 それと、監査役や監査等委員に就任された場合は日本監査役協会に入って情報収集や勉強に取り組まれているのに対して、取締役の場合には日本取締役協会の研修を受けているかというとほとんど受けていないのではないか、この差は何なのかというコメントもありました。

 内部統制については、トップが故意に違法行為をした場合にはなかなか対応するのは困難なので、トップの資質が問われる要素が大きいところです。コンプライアンス施策についても同様です。それと、やはり、内部監査室や監査役に相応しい人材がマーケットにはほとんどいなくて難しいところです。

 役員報酬としては、200~400万円がボリュームゾーンとなっているため、その求められている期待値に対する対価としては十分ではないという指摘もありました。 

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(浅尾の沈下橋)

 

 

2026年2月11日 (水)

【金融・企業法務】 全株懇調査・株主総会白書統合記念座談会 次期会社法改正への期待

 商事法務No2412号掲載の座談会です。

 座談会では、機関投資家や個人株主という株主構成の違いによる対応、コストがかかる割には情報の正確性で未知数の実質株主確認制度、メリットとコストが引き合わないバーチャル株主総会、柔軟な対応が難しい総会資料の事前開示、機関投資家のニーズに疑問がある有価証券報告書の総会前開示、今までの実務の在り方を大きく変える総会の後ろ倒し、ペーパレス化が進む株主総会資料、余り意味の無い書面交付請求制度、負担の大きい株主提案権、見直しが必要な316条2項調査者選任制度、包括委任状の現状、そして、事前質問、質問対応についての総会当日の運営等についての、活発な議論が紹介されていました。

 

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(水ヶ峠トンネル駐車場)

【労働・労災】使用者の労働時間把握義務につき、労働時間を労働者の自己申告で把握することは不適法であるとして、タイムカードに沿った時間外勤務時間を認めた事例 名古屋高判令和6年2月29日判決

 判例時報No2637号で掲載された名古屋高判令和6年2月29日判決です。

 労働時間管理における自主申告制の適法性については、以下のとおり判断しました。

 使用者は、労働者の労働時間を適正に把握する義務を負っているが、その把握方法として、自己申告制が許容される場面は限定される。労働時間を労働者に自己申告させること自体、曖昧な労働時間管理となりがちであり、所定労働時間を超える労働時間の申告を躊躇させる方法に働くものだからである。

 平成29年1月20日付厚生労働省労働基準局長「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」におても、自己申告制はやむを得ない場合の例外的な措置である旨が明記されている。

 個々の事業場の実情に照らして自己申告制による労働時間の把握が認められる場合はあるが、Yの事業場において、敢えて自己申告制を採用すべき事情は何ら認められない。したがって、本件における自己申告制は不適法であって、Xらの労働時間はタイムカードによって把握すべきである。

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                            (嫁ちゃんランチ)

 なお、平成31年4月1日に施行された労安法66条の8の3は、「事業者は、厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない」と定め、同規則52条の7の3は、「厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピューター等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする」と定めています。

2026年2月10日 (火)

【建築・不動産】取得時効ー所有の意思(自主占有)

 取得時効の所有の意思(自主占有)が気になりましたので、少し勉強しました(以前もブログで執筆したような気がします。老体のためにご容赦願いたいです。)。

 日本加除出版から出た「不動産登記請求訴訟」P144以下です。

 「取得時効においては、所有の意思をもった占有の継続に、所有権の取得という効果が結びつけられており、取得時効の成否は、所有の意思の存否にかかる。所有の意思とは、事実上所有者と同様の排他的支配を行う意思である。

 所有の意思をもった占有を、自主占有という。自主占有か否か(所有の意思の有無)は、占有者が真実の所有者の所有権を否定するような態様で目的物を支配しているかどうかで判断される。例えば、売買契約を締結したうえで占有する買主は代表的な自主占有者であり、ほかに、境界線を越えて隣地を占有する者などが自主占有者となる。他方、賃借人や受寄者の占有は、自主占有ではなく、所有の意思のない他主占有である。

 訴訟における主張立証の観点からみると、「占有者は所有の意思で占有するものと推定されるのであるから(民法186条1項)、占有者の占有が自主占有にあたらないことを理由に取得時効の成立を争う者は右占有が他主占有にあたることについての立証責任を負う」(最判昭和54年7月31日)。」

 「もっとも、裁判実務の上では、単に占有があるだけで所有の意思が推定されることはない。自主占有か否かは権原(占有するに至った原因)によって判断される。

 最判昭和44年5月22日は、「取得時効の要件としての所有の意思の有無は、占有の根拠となった客観的事実によって決定されるべきであると述べられ、そのうえで、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかったなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情が証明されるときは、占有者の内心の意思のいかんを問わず、その所有の意思を否定し、時効による所有権取得の主張は排斥されるものとされている(最判昭和58年3月24日)」と解説されています。

 

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(楢原山・四国の道)

 

2026年2月 9日 (月)

【弁護士考】 今治市建築審査会委員に委嘱されました。

 令和8年2月2日、田舎弁護士が、今治市長から、今治市建築審査会委員の委嘱を受けました(再任)。

 今治市では、建築基準法第78条に基づき、この法律に規定する同意及び審査請求に対する裁決についての議決を行うことに加えて、特定行政庁の諮問に応じて、建築基準法の施行に関する重要事項を審議するために、設置されている機関です。

 委員については、①法律、②経済、③建築、④都市計画、⑤公衆衛生、⑥行政に関して、すぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関して公正な判断をすることができる者の中から任命されることになります(建築基準法第79条)。

 任期は2年です。

 引き続き宜しくお願いします。 

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(龍岡木地・木漏れ日の橋)

 

2026年2月 6日 (金)

【労働・労災】 障害等級と傷病等級の違い

 先日、ご相談者から、労災の障害等級と傷病等級の違いについての質問を受けました。

 労災保険法の傷病等級の条文を確認したいと思います。

 第12条の8 ③ 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。

1 当該負傷又は疾病が治っていないこと

2 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること

 傷病補償年金の「傷病等級」は1級から3級までです。年金の額は、障害補償年金の1級から3級と同じです。

 次の労災保険法の障害等級の条文を確認したいと思います。

第15条 ① 障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。

② 障害補償年金又は障害補償一時金の額は、それぞれ、別表第一又は別表第二に規定する額とする。 

 障害補償給付の障害等級は1級から14級までありますが、1級から7級は障害補償年金、8級から14級の場合は障害補償一時金となります。

 では、両者の違いです。

 傷病補償年金は、「治っていないこと(治癒前)」の給付です。

 障害補償給付は、「治った(治癒している)」後の給付です。

 なるほどですね 

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(皿が嶺・トトロ岩)

 

 

2026年2月 5日 (木)

【法律その他】消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した場合と失火責任法の適用の有無 最高裁平成元年3月28日判決

 最高裁平成元年3月28日判決は、消防署職員の消火活動が不十分なために残り火が再燃して火災が発生した場合における公共団体の損害賠償責任については、失火責任法の適用があると判断しました。要は、軽過失は免責されるのかという議論ですね。

 事案は、以下のとおりです。

 ①原告は、訴外会社から本件建物を賃借し喫茶店を経営していたが、放火により本件建物倉庫部分から出火した。

 ②そこで、市の消防署員らが出動して本件建物倉庫部分及び店舗の北部分を放水消火し、出火から30分後鎮火したため引き上げた(以下、第1次出火)。

 ③ところが、右退去から1時間後、右倉庫付近から再び出火して本件建物を全焼し、その結果、原告経営の店舗内にあった什器・備品等を消失した(以下、「本件火災」)。

 ④原告は、本件火災は、第1次出火の際の残り火から再燃したものであるが、消防署職員は公権力の行使にあたる公務員であるのに、右倉庫部分の残り火の有無について的確な点検をせず、または、第1次出火が一応鎮火するや現場を引き上げて監視の継続をさせなかった重過失におり本件火災を惹起されたものであるから、市は原告が本件火災により被った損害を賠償すべき責任があると主張して、その賠償を被告市に求めた。

 ⑤第1審は、失火責任法の適用を認めた上で、重大な過失とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすればたやくす違法有害な結果を予見できた場合であるのに、漫然とこれを身すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態をいうものと解するのが相当であるとして、本件火災については消防署職員に重大な過失があったとは認めることはできないとして、原告の請求を棄却しました。

 ⑥第2審も、第1審の理由を引用して、原告の控訴を棄却しました。

 ⑦最高裁も、失火責任法の適用を認めました。

 この最高裁判例の前に、消防署署員の消火活動後の残り火が再燃した事案について公共団体の賠償責任が問われたケースで、最高裁昭和53年7月17日判決は同様の判断を示しております。

 これらの最高裁判決を前提にするのであれば、リスクについては火災保険等で対応するほかないように思います 

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(皿が嶺・風穴)

 

2026年2月 4日 (水)

【登山】 皿が嶺(1217㍍)

 先日、東温市と久万高原町の境にある皿が嶺(1217㍍)に登りました。中国地方の山間部よりも標高が高いために、冬場はしばしば積雪がみられ、近くにはスキー場もあるところです。

 今回は、湧水の鉄塔 ⇒ 瞽女石 ⇒ 水の元 ⇒ 風穴 ⇒ 竜神平 ⇒ 皿が嶺というルートをたどりました。

 往復約13㎞で、所要時間は約10時間でした。

 瞽女石は形が不気味で、しかもうっそうとしている場所にあるので、少し怖い雰囲気があります。 

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(瞽女石)

 そのいわれは諸説紛々、同石脇の由来書(上林・法蓮寺前住職 故前園俊暁氏筆)には、平家残党多田蔵人の妻女ソノ、夫を慕いて此処に至り、泣き暮らして盲目となり遂に泣き死に石に化した(伊予温古録)という説や上林峠を越す瞽女が集落で行き暮れ、一夜の宿も断られて仕方なく峠越えを試みたけれど、飢えと寒さで行き倒れ亡くなって石になったという説などがあるようです。

 竜神平では、愛大の避難小屋もあり、小休憩が可能です。 

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(竜神平)
 竜神平から40分程で、皿が嶺山頂につきます。
 
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(皿が嶺山頂)
 登山道には、トトロ岩と呼ばれている奇岩があります。
 
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(トトロ岩)
 今期の冬の登山で、本格的な雪山体験をしたのは、はじめてです。よい体験をしました。

 

2026年2月 3日 (火)

【建築・不動産】 取得時効による所有権取得の登記 

 取得時効による所有権取得の登記については、法務局長を務められた方による「判決による登記」という書籍がわかりやすく解説されていましたので、勉強を兼ねて少し紹介させていただきます。

 不思議なもので1度勉強してもそこから時間が経過するとその理解が薄れてきます。残念ですが、仕方がありません。

 「民法は、20年間占有の意思をもって、平穏かつ公然に他人の不動産を占有した者は、その所有権を取得するとし(民法162条1項)、また、10年間所有の意思をもって、平穏かつ公然に他人の不動産を占有した者が、その占有の開始の時に善意かつ無過失であったときは、その所有権を取得すると規定しています(同条2項)。

 時効により不動産の所有権を取得した場合において、時効完成の時期における所有者以外の第三者に対抗するためには、登記が必要です。」

 「設問46 不動産について時効による所有権取得登記は、どのような形式によるべきか。

  回答 登記実務上、時効による所有権取得の登記は、移転登記の形式によるべきものとされていますので、時効取得者が登記権利者、前所有者(現所有権登記名義人)が登記義務者となって、共同して「時効取得」を登記原因とする所有権移転の登記を申請することになります。

  前所有者の協力が得られないときは、時効取得者は、前所有者に対し、時効取得による所有権移転登記手続を命ずる確定判決を得て、不動産登記法63条1項の規定に基づき、単独で所有権移転の登記を申請することができます。」

 ここで疑問に思ったのは、現所有権登記名義人も死亡している場合です。

 これについてはP159にてわかりやすい解説がされています。

 「時効取得の起算日後に所有権登記名義人である前所有者甲が死亡し、その相続登記が未了の場合には、甲の相続人を被告として訴えを提起し、請求認容の確定判決を得て、法63条1項及び62条の規定に基づき、時効取得を原因とする甲からの所有権移転の登記を申請すれば足りると考えられます」

 「時効の起算日前に当該不動産の登記名義人が死亡しており、かつ、その相続登記が未了であるときは、登記実務上、時効による所有権移転の登記の前提として、相続による所有権移転の登記を要するものとされています。この相続登記は、時効取得者が相続人に代位して申請することができます。」

 「登記名義者である前所有者の相続人が申請人となる場合には、一般承継証明情報として、あるいは相続人に代位して時効取得者から相続登記を申請する場合は、相続証明情報として、それぞれ戸籍・除籍謄本等の提供を要しますが、当該確定判決の理由中において、相続人は当該相続人(被告)らのみである旨の認定があるなど当該訴訟に相続人全員が参加していることが明らかなときは、その正本をもって一般承継証明情報または相続証明情報とすることができるとされています。」 

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(フジグラン今治の感謝ボード)

 

 

 

2026年2月 2日 (月)

【弁護士考】 ご依頼される弁護士を選ぶ場合のポイント😟

 最近、依頼された弁護士に対するご相談が増えているように思います。

 昔からある典型的なご相談内容は、依頼した弁護士との間で弁護方針が異なるために、その弁護士が勧める弁護方針が適切であるかどうかでした。

 このようなご相談については具体的な事件の内容についてはその先生がよく御存じであることから持参された資料等から格別疑問を感じるような特段の事情がない限り弁護方針は先生と十分なコミュニケーションをとるよう勧めて終わることになります。

 いわゆるセカンドオピニオンとも言われるご相談で、昔からあります。

 ところが、最近は、「弁護士費用を支払ったのに1年経過しても手続をしてくれない」、「事務所に電話をかけても弁護士と話ができない」、「一方的に仕事をキャンセルされた」、「費用を支払ったら弁護士の話が違ってきた」等と信じられないような内容のご相談も増えているように思います。

 弁護士を選ぶ際には、私が思うには少なくとも5つのポイントがあります。

 第1に、懲戒歴の有無についてネット等で確認して下さい。

 第2に、事件の見通しにつき不利な点についても十分な説明をされているのか確認して下さい。

 第3に、弁護士費用についても書面で十分な説明をされているのか確認して下さい。

 第4に、着手金の支払いを急がせようとしていないのかも大切です。

 第5に、悪く書かれている口コミが多いかどうかも確認です。

 不幸にも依頼してしまった弁護士との間でトラブルが発生した場合には、その弁護士が所属する弁護士会に「早めに相談」したり「紛議調停申立て」をしたりして解決するということが、まずは一般的な対応策になります。

 また、弁護士の対応について「品位を害する行為」があると判断される場合には、「懲戒請求」も可能ですが、虚偽告訴罪に問われる場合もありますので、相当な根拠資料を添付の上申し立てる必要があります。

 具体的な手続は、いずれも、弁護士会の手続になりますので、その弁護士が所属する弁護士会にお問い合わせ下さい。

 例えば、大阪弁護士会では、いかのような取り組みをされていますので、参考例として紹介させていただきます。

 まず、大阪弁護士会所属弁護士の業務遂行に関する苦情などを窓口担当弁護士がうかがって、可能な限りで説明やアドバイスを行う窓口があります。

  市民窓口と称されています。

  また、懲戒手続についても、書式見本も紹介されており、また、市民窓口でも事前のご相談が可能とのことです。

 他方、愛媛弁護士会のHPでは、大阪弁護士会のHPのような案内はないように思われます。当職を含めてですが、ご依頼された弁護士が、愛媛弁護士会に所属する弁護士する場合には、まずは、愛媛弁護士会に連絡して相談してみるということになると思います。  

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(朝倉・野田)
 頼もしい味方と思っていた弁護士との間の紛争は、当事者の方にとって極めて深刻な状態に陥ることになります。休日相談や夜間相談が可能だから、無料相談が可能だからというような理由で、安易に弁護士を選ぶべきではありません。
 貴方にとって大事なご相談です。
 後悔しないためにも、可能であれば、複数の弁護士に相談して、その中から最もよいと考えた弁護士に依頼されることをお勧めいたします。
(追記)
日弁連の懲戒制度のリンクも張り付けておきます。
 

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