【金融・企業法務】 システム開発業務が納期までに完成しなかった場合のトラブル
判例時報2635号で紹介された東京高裁令和6年1月31日判決です。
システム開発契約について債務不履行に基づく約定解除が認められるかどうかが争われる事案において、約定解除原因として、ア)システムにハグがあることによる重大な瑕疵が存在すること、イ)システムが完成せずに納品ができていないことが主張されることは、この種の裁判においてはよく見られることです。
ア)について、高裁は、要件定義書で定められた仕様やYによるシステムの再現、専門委員の意見等を踏まえて、事象自体が存在しないか、事象は存在してもバグとまではいえないか又は当初はそのような事象があったもののその後補修されているとして、重大な瑕疵があったとはいえないと判断しました。高裁では、システム再現が行われ、その信用性に関して専門員の意見が活用されています。
イ)についても、解除事由との関係では、システムは完成していないものの、Xはシステムが納品されていないことを認識しつつもシステムの要件の再定義や改修に向けてYと協力して対応していたことから、納期の延期について黙示的に承諾があることを理由に解除事由の存在を否定しました。
また、未完成部分が全体の分量を比べて少量であり、未完成部分が発生したのはユーザーからの仕様の提示がないため設計ができなかったことが理由であるから、ユーザーによる完成未了の主張は信義則上許されないと判断しました。
このケースは、第1審では、委託者であるXは受託者であるYに対する約2900万円の請求を認め、他方で、YのXに対する報酬金の請求は否定しましたが、東京高裁では、XのYに対する約2900万円の請求は棄却し、他方で、YのXに対する約200万円の請求は認めました。
第1審と第2審とで反対の結論になってしまいましたね。
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