日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座~基本法編~第2回割賦販売法(2018年収録)をWEBで受講しました。 講師は塩地陽介弁護士です。
(カナメノタニ)
第1 本講義の概要
※本講義では、主に
契約書型クレジット=個別クレジット
クレジットカード=包括クレジット
についての消費者保護規程=民事ルールを中心に概説。
※割賦販売法の章立て
第3章 信用購入あっせん
第1節 包括信用購入あっせん クレジットカード
第2節 個別信用購入あっせん 契約書型クレジット
第2 割賦販売法上の契約類型
★信用購入あっせん ~いわゆるクレジット
(典型例)
①消費者と販売業者間で売買契約
②信販会社が販売業者に代金を立替払い
③消費者は信販会社に対して代金を後払い(2ヶ月を超えて後払いする場合) ※翌月一括払い(マンスリークリア)は対象外
第3 クレジット被害とクレジットの仕組み
1 典型的なクレジット被害
(1)ココ山岡事件(5年後買戻し商法) ダイヤモンド販売会社のココ山岡は、90万円以上のダイヤモンドを買えば、5年後にはその販売価格で買い戻すという特約によって販売
(2)訪問勧誘による次々リフォーム被害 リフォーム業者が高齢者等をターゲットにして訪問勧誘で必要のない高額なリフォーム工事契約を次々に締結し、その代金をクレジットで支払わせていたため、被害が高額化した
(3)いわゆるサクラサイト被害 サクラサイトとは、サイト業者に雇われたサクラが異性、芸能人、社長、弁護士、占い師などのキャラクターになりすまして、消費者のさまざまな気持ちを利用してサイトに誘導して、メール交換等の有料サービスを利用させ、その都度に支払いを続けさせるサイトの総称
インターネット、スマートフォンの普及により、被害が拡大。利用料の支払いにはクレジットカードも多く利用されている。
2 クレジットの仕組み
(1)個別クレジット(契約書型クレジット)
法2条4項、35条の3の2以下
(2)包括クレジット(クレジットカード)
法2条3項1号、2号、30条以下
①オンアス取引 →クレジットカード発行会社(イシュア)と加盟店契約者(アクワイアラー)が同じ会社である場合の取引
②ノンオンアス取引(オフアス取引) →イシュアとアクワイアラーが異なる会社である場合の取引
③決済代行業者(PSP)
※零細な店舗などは直接D(アクワイアラー)の加盟店になれない場合がある。B(販売業者)は、Dの加盟店であるE(決済代行業者)を通じて、クレジット決済を利用できるようになる。EはBのような加盟店である包括加盟店という立場。
④国際ブランド(ビザ、マスター、JCB等)
第4 救済手段(割賦販売法上の民事ルール等)
1 個別クレジット被害の救済手段
平成20年改正で、個別クレジットに関する消費者保護のための民事ルールを強化
訪問販売等、特定商取引法が適用される契約での、個別クレジットを利用した悪質商法による被害の増加に対応
法改正後は、個別クレジットを利用した悪質消費者被害は減少
① クーリング・オフ 法35条の3の10・11
(要件)
販売契約等の代金支払いに個別クレジットを利用
販売契約等が特商法の訪問販売等の5類型に該当
特商法の訪問販売等の5類型
訪問販売(訪販) 営業所以外、キャッチセールス、アポイントメントセールス等
電話勧誘販売(電話)
特定継続的役務提供(特役) エステ、英会話教室等
連鎖販売取引(連鎖) マルチ商法
業務提供誘引販売(業提) 内職商法
なお、通信販売、訪問購入は対象外
(行使期間) ※特商法のクーリング・オフ期間と同様
契約書面または申込書面交付日(≠契約日)のいずれか早いほうから起算して、以下の日数。
8日間(訪販・電話・特役)
20日間(連鎖・業提) ※お金が稼げることが内容なので慎重に
※個別クレジット業者に書面交付義務あり ⇒不交付や書面不備の場合は、クーリング・オフ期間は進行しない。いつまでもクーリング・オフを行使できる。
(行使方法)書面による通知(クレジット会社のみで可)
② 過量販売解除権 法35条の3の12
(要件)
訪問販売で、通常必要とする分量を著しく超える商品等の販売契約を締結 ※特商法で販売契約の解除可能
当該訪問販売の代金支払に個別クレジットを利用 ※販売業者・クレジット会社に適量性の認識は不要
(行使期間)
契約締結の日から1年間
(行使方法)
クレジット会社と販売業者の双方に通知
③ 不実告知等取消権 法35条の3の13以下
(要件)
販売契約等の代金支払いに個別クレジットを利用
販売契約等が特商法の訪問販売等の5類型に該当
販売契約において不実告知等の特商法上の取消事由が存在
※三面契約のクレジット契約においては、販売契約の瑕疵がただちにクレジット契約の瑕疵とはなるわけではない
※個別クレジット契約は販売業者がクレジット契約の締結を媒介するので媒介者の法理(CF消契法5条)により取消権を認めた
(効果) ※原状回復=契約関係の巻き戻し
消費者 ⇒個別クレジット業者に対する既払金返還請求権
販売業者 ⇒個別クレジット業者に対する代金返還義務
クレジット業者 ⇒消費者に対する代金請求禁止
(行使期間)
追認できるときから1年間
個別クレジット契約締結から5年間
④ 消契法4条3項による個別クレジット契約の取消
(要件)
販売契約が消費者契約法4条3項に該当
当該販売契約の支払に個別クレジットを利用
※消契法4条3項は、販売業者の不退去または退去妨害によって消費者が困惑して契約した場合の取消権
※販売契約が不退去または退去妨害によって困惑して締結された場合は、その代金支払いのための個別クレジット契約も同様に困惑して契約したことになるから、消契法4条3項の適用により取り消すことができる
※特商法の5類型に限らない = 店舗販売等でも適用あり
2 個別・包括クレジット被害共通の救済手段
◎抗弁対応 ※法30条の4(包括)、法35条の3の19(個別)
(要件)
販売契約についての抗弁事由の存在
当該販売契約の代金の支払に信用購入あっせんを利用(契約書型・カード型を問わない)
※販売契約は特商法の訪販等5類型に限られない(店舗販売や通信販売でも可)
※個別クレジットだけでなく包括クレジット(クレジットカード)の場合でも適用あり
(効果)
消費者は、未払クレジット代金の支払拒絶ができる
※抗弁対応では、不実告知等取消権のように、クレジット会社に対する既払い金返還請求が認められるわけではない
※既払クレジット代金相当額は、販売業者に対して請求する必要がある(販売業者が倒産しているような場合は回収できず、消費者が損害を負担することになる)
※クレジット代金完済後に詐欺等が分かった場合で、販売業者が逃げてしまっている場合には、抗弁対応では不十分
3 包括クレジット被害の救済手段
★チャージバック(※割賦販売法上野制度ではない)
消費者の申出により、イシュアーが、アクワイアラーに対して売上の取消を請求する。チャージバックリーズンに該当すれば売上が取り消され、消費者が支払いを免れる
※チャージバックリーズンは、国際ブランドごとに定められている
※盗難や紛失、不正使用等の場合は該当するが、詐欺取消(サクラメント、ワンクリック詐欺等)の場合は具体的な事情により該当しないこともある
4 一般条項
① 信義則違反・公序良俗違反
販売業者が違法・不当な販売契約
⇒クレジット会社が知り又は知ることができたのに、漫然とクレジット契約を締結
⇒その代金を消費者に請求することは信義に反する
↓
クレジット代金の支払拒絶、損害賠償請求
クレジット契約自体が公序良俗に反して無効
↓
クレジット代金の支払拒絶、既払金返還請求
② 共同不法行為
販売業者が違法・不当な販売契約
⇒クレジット会社が知りながら、または、容易に知ることができたのに、クレジット契約を締結
⇒消費者に損害を発生させたりこれを助長させた
クレジット会社と販売業者の共同不法行為が成立
第5 割賦販売法の適用対象外の取引
1 マンスリークリア(2ヶ月以内の後払い)
※クレジットカードの取引の多くは翌月一括回払い
※抗弁対応も使えないため消費者保護にとって不十分
2 指定権利制
※平成20年改正で指定商品・指定役務制は廃止されたが、指定権利制は存続している(エステ等7種類のみ)
3 営業のために若しくは営業として締結するもの
※個人事業主がクレジット被害にあった場合
※事業者向けクレジット Cf リース契約
4 自動車、飲食店、マッサージ等
※クーリング・オフや書面交付義務が適用除外
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