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2025年11月

2025年11月30日 (日)

【IT関連】日弁連eラーニング 初心者のためのITツールの上手な活用法 ~法律事務所のIT化・各種ITツール利用の初歩~ 第1回法律事務所にITツールを導入するにあたり検討すべきこと

 法律事務所のIT化については、ここ数年先にも生き残るための課題となっております。11月20日から日弁連eラーニングにてこの課題の研修講座が開設されていました。

 第1回は、法律事務所にITツールを導入するにあたり検討すべきことというテーマです。

 講師は、野田泰彦弁護士です。

 20251115_195853                          (東陽町・おすてりあ ぱーちぇ)

① ITツール導入の必要性

  労働力不足、生産性向上

② 導入の具体例

  A電話番号ポップアップ、B業務管理ツール、C夜間休日のIT対応電話、D判例リサーチ、契約書レビューサービス

③ 事務所として主体的に導入を計画することが重要

  導入後に修正するのは大変

④ ITツール導入に際しての進め方

 

 15分ぐらいですぐに終わってしまいました😵

 

2025年11月29日 (土)

【弁護士研修】 日弁連総合研修サイト「やり直し会社法 会社法の制定と改正のポイント 第4回 資金調達、会社の計算及び組織再編等」をWEBで受講しました😅

 日弁連総合研修サイト「やり直し会社法 会社法の制定と改正のポイント 第4回 資金調達、会社の計算及び組織再編等」をWEBで受講しました。

 講師は神田秀樹東京大学名誉教授です。今回で最終回となります。

第1 株式会社の資金調達

■株式会社の各種の資金調達手段
「直接金融」(株式の発行、社債の発行)「間接金融」(銀行等からの借入れ)
・中小企業:ほとんど間接金融(銀行等からの借入れ)
・上場企業:間接金融が主流だが、株式の発行もさかん、社債はまれ(ただし金額は大きい)

■資金調達総論
・会社法の必要性
―①有価証券化(または振替制度化)と②関係者の利害調整

「授権株式」制度
・会社法が規制する理由は、2つ  ①株主から取締役会への授権 ②持株比率が薄まることの限界を画する

■■募集株式の発行等
■「募集株式の発行」という概念★
募集株式=新株+自己株式
発行等=発行+処分
・募集株式の発行等=新株の発行+自己株式の処分

■既存株主と新株主との利害調整【重要】
・(既存株主の不利益) 持分比率が薄まる経済的損失を受ける
■「通常の新株発行」(学問上の概念)=募集株式の発行(条文上の概念)
・プロセス=募集事項の決定⇒ 公示⇒ (新株の)発行
実務上の分類=①株主割当て、②公募、③第三者割当て(会社法上はすべて「募集株式の発行」にあたる)
実務では、新株の発行を「増資」ともいう(概念としては紛らわしいが…)
・会社法の条文は非常に読みにくい。

「募集事項」――取締役会設置会社では取締役会で決める(「授権株式」制度)。

■募集株式の発行等の手続に関する規律――3つの類型(条文は読みにくい★)
・会社法上の公開会社の場合
・会社法上の非公開会社の場合―株主割当てが原則
株主割当ての場合(公開会社の場合を含む)

■■募集株式の発行等
(手続の流れ)
■募集株式の発行等のプロセス
申込み⇒ 割当て⇒ 引受け⇒ 払込み(金銭の場合)(現物出資の場合は給付と呼ぶ)
■出資の履行⇒新株発行の効力発生(払込期日または払込期間の満了日)など

■「有利発行」【重要】
・株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成)が必要となる。
・「特に有利な払込金額」とは何か?
・違反した場合の「効力」と「責任」は?

206条の2(平成26年改正で新設)――支配権の異動をもたらす場合

■現物出資(207条)
・設立時との比較 

・デット・エクイティ・スワップ★

■■新株発行の瑕疵――効力と責任〔全体の概要〕
・設立時との比較
法的安定性の確保という要請あり

●【効力】
・事前=新株発行の効力が生じる前――募集株式の発行の差止め(210条)
・事後=新株発行の効力が生じた後
・・新株発行無効の訴え(828条1項本文2号3号)(条文の位置に注意)
・・・この訴えによらないと無効を主張できない。
・・・提訴期間限定(828条1項2号3号)、原告適格限定(828条2項2号3号)、対世効(838条)、遡及しない(839条+840条・841条)
・・・無効事由(無効原因ともいう)=条文なし、判例により狭く解されている
・・新株発行不存在確認の訴え(829条)★(とくにひどい場合にだけ例外的に認められる)

●【責任】
・株式引受人や取締役の特別責任(=差額のてん補責任)★
・・仮装出資の場合の特別責任(平成26年改正で追加された)

■不公正発行(210条2号)―「主要目的ルール」
 会社法210条【事前の差止請求権】
 次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第199条第1項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。
一 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合
二 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しい不公正な方法により行われる場合

第2 株式会社の計算

■■株式会社の計算(「計算」と「会計」とはほぼ同じ意味)
■総論
会社法による規制の目的は、2つ― ― ①情報提供、②会社債権者と株主の利害調整
金融商品取引法による会計(「企業会計」と呼ぶ)の規制――情報の開示
○3つの会計(商法会計企業会計税務会計)――「トライアングル」体制と呼ぶ

■現代の会計(記帳)の前提
○会計とは、取引などの事象を数字にして表わす技術
○複式記帳――ある勘定の左と別の勘定の右に記帳する+原則として足算only
○会計帳簿から損益計算書と貸借対照表が自動的に作成される(誘導法という)

■現代の会計の3大課題
資産評価の基準――原価基準時価基準
オフバランス取引(BSにでてこない取引)への対処
会社がグループに属する場合――連結会計単体会計

国際的な会計基準の調整

■「会計帳簿」
○作成・保存義務
○閲覧権――拒絶事由あり
○裁判所による提出命令

「計算書類」★――会社法では「単体が主、連結は従」
(1)貸借対照表(B/S)(balance sheet)
(2)損益計算書(P/L)(profit and loss statement)
(3)株主資本等変動計算書
(4)個別注記表
【注】金融商品取引法では「財務諸表」といい、「有価証券報告書」に含まれる。――金融商品取引法では「連結が主、単体は従」

■計算書類の内容と様式
○資産などの評価――どうやって数字にするかに関するルール
(注)繰延資産と引当金(期間損益計算の原則、費用収益対応の原則)
○様式の規制

■■計算書類の作成・監査・開示

計算書類+事業報告+附属明細書の作成と保存
○計算書類=貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表★
○計算書類の内容/事業報告の内容/附属明細書の内容

■手続の流れ(監査役(会)設置会社の場合)
●上記を作成
   ↓
●監査役の監査→監査役(会)の監査報告
   ↓
●会計監査人の監査→会計監査人の監査報告
   ↓
●取締役会で承認 (→確定)【436条3項】
   ↓
●事前の(=定時株主総会前の)開示
   ↓
定時株主総会における報告または承認(→確定)【438条2項・439条】
   ↓
事後の(=定時株主総会後の)開示ないし公開
(注)電子公告と電磁的公開とは異なる(ややこしい)

■臨時決算 →あまり使われない

■■資本金・準備金

■資本金★・準備金とは何か(重要)
・会社債権者と株主の利害調整である剰余金分配規制のための技術
どちらも、貸借対照表上の「数字」(会社の実財産とは関係なし)

■資本金の算定―原則は、株式の対価として実際に出資した額(金銭の場合は払込額)の全額―2分の1までは資本金にしなくても可
  →しない部分は資本準備金としなければならない

■準備金の算定―資本準備金と利益準備金―剰余金を配当する場合で一定の場合に積立て義務がある

■剰余金の定義と算定
・最終事業年度の末日現在の数字が出発点
原則は、「(資産-負債資本金+準備金)」(貸借対照表上の「数字」)
最終事業年度の末日後の変動を加算・減算する★
「分配可能額」の計算に

■資本金の額の減少(資本金減少)―数字の減額―数字の減額(会社の実財産は当然には減少しない)―原則は、株主総会の特別決議―会社債権者異議手続(会社債権者保護手続ともいう。以下同じ)―効力発生時期
・減資差益の取扱い
・資本金減少無効の訴え

■準備金の額の減少(準備金減少)―数字の減額―数字の減額(会社の実財産は当然には減少しない)―株主総会の普通決議―会社債権者異議手続―効力発生時期

■資本金・準備金の増加―数字の増額
―いろいろな場合に増加する(たとえば、新株発行)

■■剰余金の分配と会社法の規制
・「剰余金の処分」のうちで会社から財産が流出するものが「剰余金の分配」
・・典型は、「配当」と「自己株式の有償取得(対価として会社財産を交付)」
・・時期に制限はない★

■■剰余金の配当――手続
・金銭が通常だが、現物も可★
・手続―原則は、株主総会決議(原則は、普通決議)
・手続―例外として、取締役会決議(「459条会社」★―3要件)
・・上場会社は、459条会社が多い
・・(注意)459条会社は、自己株式の有償取得(相対取得を除く)も取締役会決議でできる
・中間配当
・配当金の支払――時期など

■■剰余金の配当――実質要件
・300万円規制★/分配可能額規制/準備金の積立義務
・事後の欠損てん補責任

■■剰余金の分配の金額に関する規制
・趣旨は、会社債権者保護(会社債権者と株主の利害調整)
・①事前の分配可能額規制と②期末の欠損てん補責任がある

分配可能額規制(461条-464条)★
・対象となる剰余金分配(461条1項各号)
・「分配可能額」の定義(461条2項)
・・原則は、剰余金(原則は、資産-負債-資本金-準備金)と等しい
分配可能額を超えた剰余金分配(461条1項)
(1)効力
(2)返還・てん補責任(462条・463条)
・・責任を負う者★――①受領者(配当の場合は受け取った株主)、②業務執行取締役など、③議案提案取締役など【条文は読みにくいので注意】
・・責任を負う額――分配可能額を超えた額だけでなく、分配された額の全額を会社に返還あるいは会社にてん補する責任を負う
・・過失責任/責任免除の制限/会社債権者の直接請求/求償
・特別規定(464条)

■期末の欠損てん補責任(465条)

第3 株式会社に係る組織再編

■■組織再編の全体像
■概念
 ○「組織再編」=主に学問上の概念
・・合併=吸収合併と新設合併
・・会社分割=吸収分割と新設分割
・・株式交換と株式移転、そして株式交付(株式交付は令和元年改正で追加)
 ○「組織再編」以外の法的方法でも企業買収が可能(とくに株式の取得)
・・「企業買収(M&A)」=主に実務上の概念
 ○「基礎的変更」=学問上の概念

■組織再編における対価の柔軟化★

■組織再編の手続の流れ
・・契約または計画→株主総会の特別決議→効力発生・登記
・・事前の情報開示と事後の情報開示
・・反対株主の株式買取請求
・・会社債権者異議手続(「保護」手続と呼ぶこともある)

■■組織変更★
 ○株式会社から持分会社へ
 ○持分会社から株式会社へ
 ○手続の流れ

■■事業譲渡(等)――株式会社

■会社法467条1項
・・1号/2号/2号の2(平成26年改正で追加)/3号/4号/5号

■手続
・・契約→株主総会の特別決議★
・・・(株主総会の特別決議が不要な場合=略式と簡易)
・・反対株主の株式買取請求

■事業譲渡と合併の異同

■「事業譲渡」概念
――最高裁昭和40年9月22日大法廷判決

■■合併
■定義・意義(吸収合併と新設合併) ■効果
■対価の柔軟化(ついでに、三角合併) ■会計処理
■手続
・・契約または計画→株主総会の特別決議→効力発生・登記
・・事前の情報開示と事後の情報開示
・・反対株主の株式買取請求
・・会社債権者異議手続

■株主総会の特別決議
・・不要な場合=略式手続と簡易手続
(株主総会決議を不要とする理由が異なることに注意)

反対株主の株式買取請求権★【重要】
・・「反対株主」の定義
・・「公正な価格」
・・その他、手続など

■会社債権者異議手続

■効力発生と登記

■差止請求権(平成26年改正)

■合併の無効(「会社の組織に関する訴え」のひとつ)

■■会社分割
■定義・意義
・・吸収分割と新設分割
・・物的分割と人的分割
・・分割の対象★
■効果
■手続
・・契約または計画→株主総会の特別決議→効力発生・登記
・・事前の情報開示と事後の情報開示
・・反対株主の株式買取請求
・・会社債権者異議手続

■「人的分割」★
・・物的分割+剰余金配当

■会社分割の登記の効力

■会社債権者の保護
・・債務の移転
・・会社債権者異議手続
・・「分割会社の残存債権者を害する物的分割」(平成26年改正)【重要】

■差止請求権 ■会社分割の無効の訴え(「会社の組織に関する訴え」のひとつ)

■■株式移転・株式交換

■定義・意義
・・「株式交換」と「株式移転」
・・親会社を作るのに便利
・・主として持株会社形態への移行のために平成11年改正で導入された

■効果
・・(多数決での)100%親子関係の形成

■手続
・・契約または計画→株主総会の特別決議→効力発生・登記
・・事前の情報開示と事後の情報開示
・・反対株主の株式買取請求
・・会社債権者異議手続(原則不要=合併や会社分割と異なる)

■差止請求権

■株式交換・株式移転の無効(「会社の組織に関する訴え」のひとつ)
■■株式交付

第4 企業グループに係る問題

第5 M&A補足 金銭対価の株式取得(キャッシュアウト)

■対象会社が上場会社の場合
・・「二段階買収」がよく使われる
・・・(1)一段階目=株式の「公開買付け」
・・・(2)二段階目は…
・・対象会社を100%子会社化する場合は、(2)はキャッシュアウト
■買収に関する契約上の各種の取決め
■典型的な場合――上場会社の非上場会社化
※3つの類型
・・①狭義のMBO:(例)レックスHD事件<百選4版87事件>
・・②広義のMBO(親会社等による上場子会社の完全子会社化)
(例1)ジュピターテレコム事件<百選4版86事件>
(例2)ファミリーマート事件(東京地決令和5年3月23日)
・・③独立した第三者による買収
※経済産業省「公正M&A指針」(2019年)

■対象会社が上場会社の場合
※「二段階買収」(株式を二段階で取得する)という方法がよく使われる。
一段階目=株式の「公開買付け」(手続は金融商品取引法に規定されている)
二段階目=対価を金銭として対象会社を100%子会社化(キャッシュアウト)
・・平成26年改正前と改正後とでは、第二段階目の会社法上の方法が異なる。

■会社法上の諸問題
・反対株主の保護:株式買取請求権または価格決定請求権
・・レックスHD事件<百選4版87事件>
・・ジュピターテレコム事件<百選4版86事件>
・・ファミリーマート事件(東京地決令和5年3月23日)
・・最決平成29年8月30日民集71巻6号1000頁<百選4版83事件>
・・理論的問題――いわゆる「強圧性」とは?

■■金銭対価の企業買収―敵対的な企業買収と防衛策
■概念――「敵対的」な買収=経営者が同意していない
■敵対的な買収の法的方法(対象会社が上場会社の場合)
■買収防衛策・買収対抗措置
●指針と裁判例など
・経済産業省「企業価値研究会」報告書(平成17年5月)
・経済産業省=法務省「指針」(平成17年5月)
・経済産業省「企業価値研究会」報告書(平成20年6月)
・経済産業省「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(令和5年8月)
・裁判例(2019年末頃まで)
・ニッポン放送事件
その1:東京地決平成17年3月11日金融商事判例1213号2頁
その2:東京高決平成17年3月23日金融商事判例1214号6頁<百選4版97>
ブルドックソース事件
その1:東京地決平成19年6月28日金融商事判例1270号12頁
その2:東京高決平成19年7月9日金融商事判例1271号17頁
その3:最決平成19年8月7日民集61巻5号2215頁<百選4版98

●その他
※一般に、平時導入型の買収防衛策の類型は2つ=種類株と希釈化策
・黄金株の例:国際石油開発帝石(当時は国際石油開発)(2004年11月発行)
・優先株を使用した例:UFJ銀行、伊藤園
・信託型:西濃運輸ほか
・事前警告型:セゾン情報システムズほか
⇒現在では、事前警告型がほとんど
■紛争の類型と会社法上の諸問題
・防衛策を平時に導入⇒有事に発動
・防衛策を平時に導入せず⇒有事に対抗措置を打

近年の裁判例(2020年以降)
令和2年に入って、東芝機械が同年1月17日に導入した防衛策(有事導入型)について株主意思確認総会(臨時株主総会)が同年3月27日にその発動を承認し、同日取締役会決議により新株予約権無償割当てが決定された。買収者は4月2日にTOB(株式公開買付け)を撤回したため、4月7日に新株予約権無償割当ては中止となった。この紛争は裁判にはならなかったようである。そして、その後、ほぼ同様の内容の(といっても細部は同一ではなく、また導入のタイミング等も事案によって異なる)対抗措置の発動をめぐって次の事案が裁判になった。
①日邦産業
・原審決定:名古屋地決令和3年3月24日(差止め仮処分決定)
・異議審決定:名古屋地決令和3年4月7日(仮処分決定取消し)
・抗告審決定:名古屋高決令和3年4月22日(抗告棄却)
(資料版商事法務446号に収録)

②日本アジアグループ
・原審決定:東京地決令和3年4月2日(差止め仮処分決定)
・異議審決定:東京地決令和3年4月7日(保全異議申立却下)
・抗告審決定:東京高決令和3年4月23日(抗告棄却・仮処分確定)
(資料版商事法務446号に収録)

③富士興産
・原審決定:東京地決令和3年6月23日(差止め仮処分認めず)
・抗告審決定:東京高決令和3年8月10日(抗告棄却)
(資料版商事法務450号に収録)

④東京機械製作所
・原審決定:東京地決令和3年10月29日(差止め仮処分認めず)
・抗告審決定:東京高決令和3年11月9日(抗告棄却)
・抗告審決定:最決令和3年11月18日(抗告棄却)
(資料版商事法務453号に収録)

⑤三ツ星
・基本事件:大阪地決令和4年7月1日(差止め仮処分決定)
・原々審(異議審)決定:大阪地決令和4年7月11日(差止め仮処分認可)
・原審決定:大阪地決令和4年7月21日(保全抗告棄却)
・抗告審決定:最決令和4年7月28日(許可抗告棄却・仮処分確定)
(資料版商事法務461号に収録)

■関連するその他の裁判例など
(1)新生銀行の事案
株主意思を確認する臨時株主総会の開催が前日に取りやめとなった。
(2)関西スーパーの事案
・神戸地決令和3年11月22日(株式交換差止請求権(会社法796条の2第1号)を被保全権利とする仮処分を認容)
・神戸地決令和3年11月26日(保全異議事件・仮処分決定認可)
・大阪高決令和3年12月7日(原審の仮処分を取り消し、仮処分申立てを却下)
・最決令和3年12月14日(抗告棄却)
(資料版商事法務454号に収録)
特定の株主の議決権行使の結果の取扱いが争われた。実務上の課題として、株主総会当日における対応が問題となる

 

2025年11月28日 (金)

【法律その他】 生命共済事業約款の暴力団排除条項に基づく生命共済契約の解除が有効とされた事例 広島高裁令和6年10月4日判決

 判例時報No2632号で掲載された広島高裁令和6年10月4日判決です。

 争点は、暴排条項が更新後の本件共済契約に適用されるのかという比較的単純な内容でした。

 裁判所は、契約期間の定めのない預金契約等とは異なり、本件共済契約の契約期間は基本的に1年であり、毎年4月1日に更新されるものであるところ、Yが解除した本件共済契約は、約款の改正で付加された本件暴排条項の適用を前提にされた更新後のものであるから、本件暴排条項が適用され、遡及的適用の問題は生じない。

 また、死亡共済金の受取人が反社会的勢力に属するという事実は、被保険者又は共済金受取人に対する信頼を損ない、生命共済契約の存続を困難とさせる重大な事由ということができるから、本件暴排条項が保険法57条3号に反する特約に当たるものと認めることはできない。

 として、共済金を請求した者の請求を認めませんでした。

 20251116_070154                           (イースト21・21Fから)

2025年11月27日 (木)

【弁護士研修】 MIC主催の画像診断の世界~画像診断の基礎を知る~ をWEBで受講しました😅

 MIC主催の「画像診断の世界~画像診断の基礎を知る~」をWEBで受講しました。 

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                            (八王子城跡・富士見台)

 定期的に受講しているMIC主催の勉強会です。

※後遺症認定に役に立つお話。「画像診断の基礎を知る」

※⚫後遺障害認定 ⚫医療過誤 ⚫遺言能力認定 △Ai(死亡時画像診断)

※後遺障害相談を受ける際の推奨理解項目

 典型外傷の医学的理解 医学的客観的所見が何かの理解 医師に必要な所見を依頼できるレベル医学語彙 画像・検査を正しく位置付ける知識

※交通事故、外傷で理解しておく基礎医学

 外傷の基本概念  急性期 亜急性期 慢性期

 症状固定の医学的意味 

※画像鑑定書の利用意義 

※画像診断書 事故との関連についてのコメントはほとんどない、最適な画像検査が行われていない 主治医が画像診断ができているとは限らない 放射線専門医の診断書が必ず付いているとは限らない カルテ上の病名は必ずしも臨床的に正しくない 左右の間違いは多い

※画像鑑定書(相手は主治医)とカルテの画像診断書(相手は裁判官や保険会社)との違い

※画像検査の読み方

 X線 CR 骨折の有無 アライメント 

 CT

 MRI 事故との関連を説明するのに最も重要な画像検査

※医療画像の種類

 X線を使用する画像 骨をみる 椎間板ヘルニア、腱板損傷 TFCC損傷は判断できない

 CTは、CRを立体化 

 X線を使用しない画像

  US超音波検査

 MRI(全身)

   地場を用いて核磁気共鳴現象を起こす 地場と電波を利用して画像化

   骨の中の組織 筋肉や靱帯 炎症の程度や磁気がわかる(大事) ★事故が原因で生じた病変であることが説明できる

   T1 強調像 正常構造をみる

   T2強調増  病変をみる 脂肪抑制画像で病変がみえる   白色化(高信号)  1未満のステラは× 1.5ステラ以上

     輝度変化 炎症部が白くなる   

   T2強調像脂肪抑制 STIR 今炎症状態=新しい病変がわかる

   プロトン密度強調像 T1強調像に似ている

   CR画像しかなく、骨傷がない場合、12級ははぼ無理 

 γ線使用する画像 RI核医学検査 シンチ画像 患者の体内から出るγ線を光に変えて画像化する

※交通事故の後遺障害認定

 認定率は、3.6%程度(2023年)  年々認定率は下がっている

※14級9号認定のポイント 6ヶ月程度に整形外科に100回通院は認定されやすい感じ 整骨院は回数に含まず

※事故の状況(事故の大きさ 症状が生じる相応する状況だったか)

※症状とその経過(事故直後から発症 カルテに記載 症状一貫 1ヶ月以上の治療中断ないか 症状と理学所見が一致 可動域制限 症状固定まで何回診察  不定愁訴はない)

※画像検査と所見内容(MRI 画像所見内容と症状が一致 撮影時期が適切か【できるだけ早い時期に 事故直後⇒3ヶ月⇒症状固定時】)

 

 ★MICさんは、田舎弁護士がよく利用している画像鑑定機関です。いつも丁寧に顔図をみていただけます。ありがとうございます😅

2025年11月26日 (水)

【IT関連】弁護士が明日から使えるAI活用術

 弁護士ドットコム主催の「弁護士が明日から使えるAI活用術」(竹並斉志弁護士)にWEBで参加しました。 

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(サギソウ)
生成AIでなにができるのか?
 法律相談、法律文書作成、判例分析・リサーチ、顧客対応、事務作業、情報収集 たとえ今できなくとも、いずれできるようになる。
 弁護士と生成AIは相性がよい 
 
  ⇒弁護士は言葉を使うプロ(言語化力が高い)、弁護士業務は論理的で構造化された作業、多くの定型業務や型が存在する
 ハスシネーションは必ずあるという前提でつきあう 裏付け確認を行う プロンプトを工夫 「弁護士サイトや公的など信頼できる情報源からのみ検索して」 「わからないことはわからないと回答して」
個人データの提供に該当するのか?
 本人の同意が必要か?   クラウド例外△ 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等△ 
  委託(に伴う提供)〇   委託先(AIサービス提供者)に対する監督義務 安全管理措置を実施しているのか(DPAの確認)
 「外国にある第三者への提供」に該当 例外として、基準適合体制を整備している場合 ⇒DPAの確認が必要  
 各AIサービスにおけるDPAの有無
 守秘義務 弁護士情報セキュリティ規程におけるサンプル規程
 ローカルLLMの活用(自分のPC内のみで動かす生成AI)  ⇐普通の事務所で対応するのは難しい
 AI活用のマインドセットと環境づくり
  課題起点で考えることが重要 
  AIは人である 勝手を知らない優秀な新人 最初から完璧を求めず対話を重ねる
  スキルの取得には一定の時間が必要 木こりのジレンマ
  AI活用は音声入力は必須
  1回で終わらせずに、追加の指示を与える
 とりあえずAIにやらせてみる  
 ★なかなか、老弁には難し😅
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 とりあえず、生成AIに、田舎弁護士の写真を読み込んでもらって、作成して貰った画像です😅
  

2025年11月25日 (火)

【弁護士研修】 日弁連ライブ実務研修 令和6年家族法改正下での離婚を巡る法律実務~立案担当者を講師に招いてを、WEBで受講しました。

 日弁連ライブ実務研修 令和6年家族法改正下での離婚を巡る法律実務~立案担当者を講師に招いてを、WEBで受講しました。講師は、太田章子法務省民事局参事官です。 

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(笠松山)
1部 解説
 
離婚後も父母双方が適切な形で子を養育する責任を果たすことが必要。
 令和8年4月1日から施行。
 
 Q&A形式の解説資料(民法/行政手続・支援編)
第1 親の責務等に関する規律の明確化
1 父母の責務の明確化  817条の12
  
  子の人格の尊重、子の扶養(生活保持義務)、父母間の人格尊重・協力義務
  ※無断で子の居所を変更する場合について
    単独親権者が子の居所指定権を行使する場合でも他方の親に対する人格尊重・協力義務に配慮する必要がある。   
2 子の利益のための親権行使 818条等
第2 親権・監護等に関する規律の見直し
1 離婚後の親権者に関する規律の見直し 819条等
    ※共同親権又は単独親権 ⇒いずれも原則とはしていない
 
     共同親権とした場合でも、具体的な監護のあり方については、別途、子の利益の観点から取り決める
 
    ※必ず単独親権の定めをしなければならない場合
    
    ※親権者の変更  申立権者に、子に拡大
     
         子の利益のため必要であるか否か
2 婚姻中を含めた親権行使に関する規律の整備  824条の2等
  父母双方が親権者であるとき
     原則 共同行使
     例外 単独行使が可能な場合
        ①他の一方が親権を行うことができないとき ②子の利益のため急迫の事情があるとき ③監護及び教育に関する日常の行為
     ※②子の利益のため急迫の事情があるとき?
     ※③監護及び教育に関する日常の行為?
3 監護の分掌に関する規律や、監護者の権利義務に関する規律の整備 766条、824条の3等
    監護者が指定された場合    監護者の身上監護が優先する
第3 養育費の支払確保に向けた見直し
 1 法定養育費      766条の3
 2 先取特権の付与    306条、308条の2等
 3 ワンストップ民事執行 民事執行法167条の17、人訴法34条の3、家手法152条の2等
   ①~③の手続を1回の申立てにより行うことができる
    ①財産開示手続 ②債務者の給与債権に係る情報取得手続 ③当該債権の差押えの手続
第4 安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
 ※審判・調停前等の親子交流の試行的実施に係る規律の整備
 ※婚姻中別居の場面における親子交流に関する規律の整備
 ※父母以外の親族(祖父母等)と子との交流に関する規律の整備
 ※審判による父母以外の親族と子の交流の定め
第5 その他の見直し
 養子縁組
   養子縁組後の親権者に関する規律の明確化    818条3項
   養子縁組の代諾等に関する規律の整備      797条4項
   離縁後の法定代理人              811条3項、4項
 財産分与
   財産分与の請求期間の伸長  2年 ⇒ 5年  768条
   考慮要素の明確化               
   情報開示命令等の規律の整備          家手法152条の2等
 その他
   夫婦間契約の取消権の見直し          旧754条の削除
   裁判離婚の原因等の見直し           旧770条1項4号の削除
Ⅱ部 Q&Aセッション
1 子連れ別居を巡る問題
    監護者指定の調停審判を利用
     でも、同居しながらは、難しいのでは?
     (共同親権の場合)同意を得ないで、別居をしてしまうことがある。 
      他方の親権者の親権侵害、人格尊重・協力義務に違反する 
       ⇒親権者の指定などの考慮事由の1つになりうる 侵害程度によっては損害賠償義務
       人格尊重・協力義務に違反の判断要素 
           ⇒ 動機や経緯、別居前後の協議の有無や内容、子の年齢や子の意向、従前の父母と子との関係、父と母との関係
2 親権の行使方法の問題(学校関係)
   離婚前後での共同親権で内容が異なることはない
   親権行使は、父母の共同の意思で決定されることをいう
   監護及び教育に関する日常行為に該当するのかしないのか?
 離婚後も、或いは、別居後も、共同親権のままだと、いろいろ大変なようです
 共同親権+共同監護(いろんなバリエーションはあります)の場合も、増えそうです。   
    

2025年11月24日 (月)

【IT関係】少額未払い 「泣き寝入り」に終止符 利用増えるオンライン調停

 弁護士ドットコムニュースで初めて知りました。

 少額未払いの解決に特化したオンライン調停サービス(ワンネゴ)の申立て件数が、年内には2万件を超えそうな勢いのようです。

 また、解決率も、50%近くあるようです。

 利用者は、ワンネゴの専用プラットフォームから相手の名前・金額。連絡先等を入力するだけで、オンライン調停を申し立てることができます。

 申立てを受けた人は、スマホからアクセスして、対応することになります。

 なかには、ワンネゴへ申立ててから5分で合意が成立した解決事例もありようです。

 ワンネゴは、法務大臣の認証を取得した中立公正な解決機関であることから、お互いの言い分を汲み取って、お互いが納得できる合意地点を根ざすことが可能です。

 今は、少額の債権回収に限られていますが、有用性が高まると、そのうち利用できる範囲が拡大しそうです。

 

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(雲海)
 DXが浸透すると、便利にはなりますが、従来型の弁護士への需要は減少します。政府は相変わらず司法試験合格者数1500人以上を目標にしておりますが、さあ、どうなることやら😖

 

2025年11月23日 (日)

【金融・企業法務】日弁連総合研修サイト やり直し会社法 会社法の制定と改正のポイント 第3回 取締役、取締役会及び代表取締役並びに取締役の義務及び責任

 日弁連総合研修サイト やり直し会社法 会社法の制定と改正のポイント 第3回 取締役、取締役会及び代表取締役並びに取締役の義務及び責任です。講師は、神田秀樹東大名誉教授です。 

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(愛媛大学学園祭)

第1 取締役・取締役会・代表取締役 (主として、監査役会設置会社を念頭に置く)

株式会社の「業務執行」と「代表」(そして「代理」)  (特則)株式会社と取締役の間の訴訟の場合における株式会社の代表権

■■取締役と取締役会
■取締役会の権限(重要)(会社法362条・399条の13【監査等委員会設置会社】・416条【指名委員会等設置会社】)

意思決定――取締役会で決定しなければならない事項(会社法362条4項等)★

 (注意1)「取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制」(業務適正確保体制)⇒「会社法上の内部統制システム」「リスク管理体制」と呼ぶことがあるので注意!

 (注意2)業務(←主語は会社)執行権限を有する者=代表取締役・業務執行取締役(※)  (参考)指名委員会等設置会社では※は執行役
 (注意3)職務の執行」(←主語は人)という概念との違い

・監督

■取締役会の招集と決議(1人1議決権決議取消しの訴えなどの制度はない
■特別取締役制度(実務では使われない)

■議事録(株主総会との違い)

■■代表取締役(※※)
・選定/終任(解職を含む) ・権限(代表権と業務執行権限)・「表見代表取締役」(法的には、代表取締役でない)
・代表取締役の不法行為責任と株式会社の不法行為責任

■代表取締役に関するその他
・権限に違反した対外的行為の効力――判例理論  ・(近年の実務での話題)「執行役員社長」

■(参考)指名委員会等設置会社では、上記の※※は代表執行役

■■〔株式〕会社の使用人(会社法総則に規定あり)―支配人とその他の使用人
   (注意)「使用人」という概念=「従業員」とほぼ同じ
・使用人の代理権
・(ついでに)「表見支配人」

■(参考)
・「商法」の適用範囲
・会社の「商人」性――会社は「商人」か?★

■登記(その1)
■登記の効力(公示力)〔会社法908条1項・商法9条1項
●登記前――登記の消極的公示力登記するまでの間は、善意の第三者に対抗することができない(会社法908条1項前段)(商法9条1項前段)。
●登記後――登記の積極的公示力登記後は、善意の第三者に対しても登記事項を対抗することができる(会社法908条1項前段)(商法9条1項前段)。ただし、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、登記事項を対抗することができない(会社法908条1項後段)(商法9条1項後段)。

■外観信頼保護規定との関係〔会社法の規定についてとりあげる〕
●会社法908条1項の適用範囲(その1)――訴訟行為など
●最判昭和43年11月1日民集22巻12号2402頁)
民事訴訟上誰が当事者たる会社を代表する権限を有するかを定めるにあたっては、平成17年改正前商法12条〔会社法908条1項に相当〕の適用はない〔内紛が生じている同族会社で、株主が未登記の清算人の訴訟上の会社代表資格を争った事例〕。
●会社法908条1項の適用範囲(その2)
●最判昭和35年4月14日民集14巻5号833頁
選任登記前の代表取締役による手形振出……会社が商号を変更し代表取締役を選任したが未だそれらの登記がなされないうちに、その代表取締役が会社名義で手形を振り出した場合、手形所持人に対し手形上の責任を負うのは会社自身であって、代表取締役個人ではない。
・本件でYが勝つという結論に異論はない。理論構成は?

■■登記(その2)
■外観信頼保護規定との関係〔続き〕
●会社法908条1項と民法112条との関係
 ●最判昭和49年3月22日民集28巻2号368頁代表取締役の退任および代表権喪失につき登記がなされたときは、その後はもっぱら平成17年改正前商法12条〔会社法908条1項に相当〕が適用され、民法112条を適用ないし類推適用する余地はない。
●正当事由
 ●最判昭和52年12月23日判例時報880号78頁
 昭和43年12月28日に代表取締役の資格喪失および取締役退任の登記がなされ、遅くとも昭和44年1月7日か8日には同登記事項につき登記簿を閲覧することが可能であった場合には、同年2月上旬にその者が会社名義で振り出した約束手形の受取人は、その代表資格喪失を知らなかったことにつき平成17年改正前商法12条〔会社法908条1項に相当〕の正当事由があるとはいえない。
●理論構成
(1)会社法908条1項は民法に勝つが会社法13条や354条に負ける(=理論なし)。
(2)正当事由を弾力化(服部栄三博士)
(3)積極的公示力(悪意の擬制)を否定(浜田教授)
(4)登記すべき事項と登記を見ればわかる事項を区別(大塚教授)

■登記(その3)
不実の登記〔会社法908条2項・商法9条2項〕
故意または過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることを善意の第三者に対抗することができない(会社法908条2項・商法9条2項)。これは、不実の登記を信頼した者を保護するための規定である。
●判例
●最判昭和47年6月15日民集26巻5号984頁
「不実ノ事項ヲ登記シタル者」とは、当該登記を申請した商人を指すが、その不実の登記事項が取締役への就任であり、かつその就任の登記につき取締役とされた本人が承諾を与えた場合は、同人もまた不実の登記の出現に加功したものというべく、平成17年改正前商法14条〔会社法908条2項に相当〕を類推適用して、同人も、故意または過失があるかぎり、当該登記事項の不実なことをもって善意の第三者に対抗することができない
●最判昭和62年4月16日判例時報1248号127頁
・評釈:塚原朋一・ジュリスト897号77頁、藤田友敬・ジュリスト960号77頁
●最判昭和63年1月26日金融法務事情1196号26頁
上記最判昭和47年のルールが適用されるのは、は、株式会社の取締役を辞任した者が、登記申請権者である当該会社の代表者に対し、辞任登記を申請しないで不実の登記を残存させることに明示の承諾を与えていた等の場合に限る。
●分析(学界)
会社法908条2項をクッションとして会社法429条1項の取締役の対第三者責任を認めるという理論構成は妥当とはいえないのではないか。

第2 取締役の義務と責任

■■取締役の会社に対する一般的な義務
○善管注意義務(330条・民法644条(取締役以外にも適用あり))
○忠実義務/法令定款遵守義務(355条)
○善管注意義務⇒①監視義務/②「体制」構築・運用義務
 ・違反した場合⇒対会社責任(会社に対する損害賠償責任)

■■取締役の義務
■会社法の規定
・一般的な義務として、善管注意義務(330条・民法644条)と忠実義務(355条)
昭和45年最高裁判決は、忠実義務は善管注意義務をふえんし高度化したものという

善管注意義務から次の2つの義務が出てくる⇒監視義務明文の規定なし、判例理論)、「体制」構築義務もともと判例で認識、会社法で明文化★〔指名委員会等設置会社は平成14年改正で明文化〕

忠実義務を具体化した予防的「事前」規制として、次の3つ
競業取引の規制利益相反取引の規制報酬規制

・善管注意義務は取締役が職務を行うにあたり適用されるが(プライベートな場面での行為には適用されない)、忠実義務は、すべての場面で適用される(たとえば、プライベートな場面であっても会社から土地を購入すると自己取引となる)。


■■企業の不祥事と取締役の責任など
●不祥事の類型
 ○会計不正(不正ないし不適切な会計処理)
 ○不正行為(会社資産の不正ないし不適切な使用)
 ○法令違反行為
●「体制」ないし「内部統制システム」
 ○金融商品取引法(金商法)上の内部統制システム
 ○会社法上のいわゆる内部統制システム(=「体制」)

●コメント
○金商法違反の有無にかかわらず、会社法として、体制構築義務の違反があったかどうかを判断する。

 体制構築義務の違反の有無⇒善管注意義務違反の有無とするのがこれまでの判例

  なお、善管注意義務違反の有無を判断する際は、「任務懈怠+過失」という2元的には考えない(善管注意義務違反があると判断すると過失の有無は問題にしない=過失の有無も善管注意義務違反のなかで判断するのがこれまでの判例)。

○取締役の責任が問われる2類型

 ①取締役会で決定(いわゆる会社ぐるみ)

  ⇒アパマンショップ事件【百選4版48事件】と野村證券事件【百選4版47事件】〔独禁法違反+過失〕が典型例。

 ②行為をした者(取締役または従業員)と他の取締役とが別日本システム技術【百選4版50事件】、日経新聞社【百選なし】が典型例)

  ⇒他の取締役の責任は「監視義務」(従業員の行為の場合は「監督義務」と呼ぶことが多い)または規模の大きい会社では上記の「体制構築義務」(後者の義務違反の有無の判断については、「体制構築義務の違反の有無⇒善管注意義務違反の有無」)。

日本版経営判断原則(取締役の善管注意義務違反の有無に関するルール)
 子会社の株式を高値で買い取った事例として、最判平成22年7月15日判例時報2091号90頁【百選4版48事件】〔アパマンショップ事件〕

 ⇒日本版経営判断原則

 ⇒次の要件を満たした場合は善管注意義務違反なし

:①当該行為が経営上の専門的判断にゆだねられた事項についてのものであること

 ②意思決定の過程に著しい不合理性がないこと

 ③意思決定の内容に著しい不合理性がないこと〔アメリカは①②だけで責任なしとされる〕)

■■取締役の行為に係る事前規制(取締役の忠実義務違反防止のための特別規定)
競業取引
・要件/手続/違反した場合の行為の効力/違反した場合の対会社責任
・356条+365条+423条(とくに2項3項4項)+428条+369条2項5項
手続ルールに違反した場合の取引の効力は、解釈問題

利益相反取引(取締役・会社間の取引)
・直接取引/間接取引
・要件/手続/違反した場合の行為の効力/違反した場合の対会社責任
・356条+365条+423条(とくに2項3項4項)+428条+369条2項5項
・手続ルールに違反した場合の取引の効力は、最高裁判例(相対的無効説)

報酬の規制【令和元年改正あり】
・361条/404条3項

①株主総会決議がないと取締役の報酬債権や退職慰労金債権は発生しない(上記の最判昭和39年12月11日参照)。ただし、株主総会決議なく退職慰労金が支払われた場合には、その後、退任取締役にその返還を求めることは、信義則違反ないし権利濫用となる場合がある(最判平成21年12月18日判例時報2008号151頁)。

②株主総会の決議によって取締役の報酬が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり契約当事者を拘束するから、その後、株主総会が当該取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしても、当該取締役は、これに同意
しないかぎり、報酬請求権を失わない(最判平成4年12月18日民集46巻9号3006頁)。また、退職慰労金について、退職慰労金に関する内規を廃止したとしても、その廃止の効力をすでに退任した取締役に及ぼすことはできない(最判平成22年3月16日判例時報2078号155頁)。そして、株主総会決議がされた場合に、取締役会決議によって退職慰労金を減額することは、内規に反し許されないとされた事例がある(東京高判平成20年9月24日判例タイムズ1294号154頁)ほか、退職慰労金を減額する取締役会決議において議長であった代表取締役の不法行為責任が肯定された事例がある(宮崎地判令和3年11月10日+福岡高宮崎支部判令和4年7月6日金融商事判例1657号35頁)。

■■役員等の損害賠償責任
○「役員等」とは(423条1項)
会社に対する責任(423条1項)・・民法の債務不履行責任の特別規定
○会社以外の第三者に対する責任(429条1項2項)・・会社法による特別責任。民法の不法行為責任と共存(併存)する

■■役員等の対会社責任(423条)★
○423条1項の要件
・・任務を怠ったこと(任務懈怠)/損害因果関係
・・過失があったこと(423条1項に書かれていない要件)
(=過失がなかったことを役員等が立証したときは責任を負わない)
(=428条1項の反対解釈)

○423条2項――取締役の競業取引

○423条3項4項――取締役・会社間の取引

○428条(無過失責任)――取締役・会社間の取引(自己のための場合)
○消滅時効・遅延損害金の法定利率
・・平成29年民法改正

○問題となる行為をした者以外の者の責任
・・取締役会決議で賛成した取締役
・・監視義務に違反した取締役等

■■対会社責任の免除と軽減(条文上は「一部免除」)
○免除(全部免除)(424条など)
○軽減(一部免除)(425条・426条・427条)
・対象となる責任
・重過失の場合を除く
・監査役(監査等委員・監査委員)全員の同意が必要
・「最低責任限度額」(報酬等の2年分・4年分・6年分)を超える部分のみ免除可
・3つの類型
・・事後の株主総会決議(425条)
・・定款+事後の取締役会決議(426条)(取締役2人以上の場合のみ)
・・定款+事前の責任限定契約(427条)(「非業務執行取締役等」のみ)

■■役員等の対第三者責任
○429条1項と2項
○429条1項の要件―「職務を行うについての悪意または重過失」  損害/因果関係
○429条1項の責任の性質―昭和44年最高裁大法廷判決 ※最大判昭和44年11月26日民集23巻11号2150頁
○「直接損害」「間接損害」という概念
○主要な判例⇒体系書等を参照 ○近年の傾向⇒体系書等を参照
○登記簿上の取締役の責任・最高裁の判例は、会社法908条2項をクッションとして会社法429条1項の取締役の対第三者責任を認める。
○429条2項に基づく責任

第3 株主代表訴訟、会社補償制度

■■株主代表訴訟(847条)
○意味と呼称(責任追及等の訴え)
■対象=条文上は<「発起人等」の会社に対する責任「等」>
○取締役等(条文上は「発起人等」)
○会社に対する責任「等」
・条文上は限定されているが、それより広い(最判平成21年3月10日民集63巻3号361頁<百選4判64事件>)
■原告適格
○規律○原告適格の継続(851条)★ ○旧株主(847条の2)【平成26年改正】
■請求できない場合
■手続
■会社の被告側への補助参加
■判決の効力
■訴訟上の和解
■■多重代表訴訟(847条の3)【平成26年改正で導入】
○意味と呼称(最終完全親会社等の株主による特定責任追及の訴え)
■対象――特定責任
■原告適格
■その他
■■違法行為等の差止め(360条・422条)
■要件/その他
■■検査役による調査(省略) 

■■会社補償制度(令和元年改正後の会社法430条の2)
【改正前】
・会社補償制度は存在しなかった。
【改正後】
・会社補償制度が新設された。
【趣旨】
・取締役に対する適切な職務執行のインセンティブの付与
【補足】
・会社補償というのはわかりにくい言葉であるが(英語ではcompemsationではなくindemnificationという)、取締役が職務執行に関連して支出した費用や受けた損害を一定の範囲と条件のもとで会社が支払うことを意味する。
・改正法は一定の場合について一定の手続を経て補償契約を締結して補償を実施する道を新設した(公開会社は事業報告における事後の情報開示も求められる)。
・補償契約という契約を会社と役員等(会社法423条1項)の間で締結して、それに基づいて補償がされる場合について、手続等の規律が新設された。

・補償とか会社補償というのは、日本語としても、わかりにくい概念である。ここでは、役員等にその職務の執行に関して発生した費用や損失の全部または一部を会社が事前または事後に負担することを意味する。改正前会社法には会社補償に関する規定はなく、この問題は解釈にゆだねられていた。たとえば、役員等が第三者から責任追及に係る請求を受けた場合において、その役員等に過失がないときは、その役員等が要した費用について、同法330条および民法650条に基づいて補償が認められるという解釈があった。しかし、どのような範囲において、どのような手続により、会社補償をすることができるかについての解釈は確立していない。
・改正法は「補償契約」を定義し、会社が補償契約の内容の決定をするには、取締役会設置会社では取締役会(非取締役会設置会社では株主総会)の決議を要するとする(株主総会参考書類の記載事項につき、会社法施行規則74条1項5号等)。「補償」の対象は、(ア)役員等が、その職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、または責任の追及に係る請求を受けたことにより要する費用と、(イ)役員等が、その職務の執行に関し、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合における損失であり、(イ)は次の二つである。(ⅰ)損害を役員等が賠償することにより生ずる損失、(ⅱ)損害の賠償に関する紛争について当事者間に和解が成立したときは、役員等がその和解に基づく金銭を支払うことにより生ずる損失。

・監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社では、取締役会は補償契約の内容の決定を取締役または執行役に委任することができない。このことは、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社以外の取締役会設置会社においても、取締役会は上記の決定を取締役に委任することができないことを前提としている。
・補償契約を締結している場合であっても、補償することができない費用・損失が次のように規定されている。(ア)費用のうち通常要する額を超える部分、(イ)会社が損害を賠償するとすれば役員等が会社に対して423条1項の責任を負う場合には、損失のうち当該責任に係る部分、(ウ)役員等がその職務を行うにつき悪意または重大な過失があったことにより対第三者責任を負う場合には、損失の全部。
・なお、役員等が不当な目的をもって職務を執行していたような悪質な場合であっても、会社の費用で防御費用が賄われることとなると、役員等の職務の適正性を害することが懸念される。そこで、会社が、事後に、役員等が自己もしくは第三者の不正な利益を図り、または会社に損害を加える目的をもって職務を執行したことを知った場合には、役員等に対し、補償した金額に相当する金銭を返還することを請求することができる。
・補償契約の内容の決定には取締役会設置会社では取締役会決議(非取締役会設置会社では株主総会決議)が必要であるが、補償契約に基づき補償を実行する際には、これらの決議が必要であるとはされていない。ただ、事案によっては、補償契約に基づく補償の実行は「重要な業務執行の決定」(会社法362条4項等)に該当することはあり得ると考えられる。
なお、補償契約の締結およびそれに基づく補償の実行について、利益相反取引規制(会社法356条)は適用されず、平成29年改正後の民法108条の適用もない。
・公開会社における事業報告での情報開示に関する規律が整備された(会社法施行規則121条参照)。

■■役員等のために締結される保険契約(改正後の会社法430条の3)
【改正前】
・会社法には規定が存在しなかった。
【改正後】
・手続等の規律が新設された。
【趣旨】
・取締役に対する適切な職務執行のインセンティブの付与
【説明】
・役員等賠償責任保険(いわゆるD&O保険)について、会社法上、手続等に関する規律が新設された。
・改正法の規律の対象となる役員等賠償責任保険の内容を会社が決定するには、取締役会設置会社では取締役会(非取締役会設置会社では株主総会)の決議を要する(株主総会参考書類の記載事項につき、会社法施行規則74条1項6号等)。なお、利益相反取引規制(会社法356条)は適用されず、平成29年改正後の民法108条の適用もない。
・対象となる保険契約について、改正法は「役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を?補することを約する保険契約であって、役員等を被保険者とするもの(法務省令で定めるもの(会社法施行規則115条の2)を除く。)」と定義している。
・監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社では、取締役会は役員等賠償責任保険契約の内容の決定を取締役または執行役に委任することができない。このことは、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社以外の取締役会設置会社においても、取締役会はこの決定を取締役に委任することができないことを前提としている。
・公開会社における事業報告での情報開示に関する規律が整備された(会社法施行規則119条2号の2・121条の2)。

2025年11月22日 (土)

【金融・企業法務】京都大学経営管理大学院&神戸大学大学院経営学研究科共催の第4回年次シンポジウム「中小M&A取引に関する研究報告~本格化するアカデミックと実務の融合~」にWEBで参加しました。

 京都大学経営管理大学院&神戸大学大学院経営学研究科共催の第4回年次シンポジウム「中小M&A取引に関する研究報告~本格化するアカデミックと実務の融合~」にWEBで参加しました。 

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(楢原山)
 <第1部>
14:00-14:20  開会の挨拶
  京都大学日本M&AセンターHD寄附講座による産学連携の活動
 砂川 伸幸[京都大学経営管理大学院 教授]
  
14:20-14:40
 我が国の非流動性ディスカウントに関する実証研究 ―日本の上場企業と未上場企業のマルチプル比較―
 郭 チャリ[帝塚山大学経済経営学部 講師 / 京都大学経営管理大学院 研究員]
 米澤 恭子[株式会社日本M&Aセンターホールディングス 社長室エグゼクティブマネージャー / 京都大学経営管理大学院博士課程/税理士]

14:40-15:10
 未上場企業のM&A取引価格決定要因に関する実証分析
 米澤 恭子[株式会社日本M&Aセンターホールディングス 社長室エグゼクティブマネージャー / 京都大学経営管理大学院博士課程/税理士]
 加藤 政仁[中京大学経営学部 准教授 / 京都大学経営管理大学院 客員准教授]

15:10-15:30 
 産学連携の成果報告:M&AマニュアルQ&A第3版の意義と学者パート
 横井      伸[神戸大学客員教授/株式会社日本M&Aセンター 執行役員法務部長 / 株式会社日本M&Aセンターホールディングス CPAO)]
 本田   朋史[神戸大学大学院経営学研究科 特命准教授]
 久保 雄一郎[神戸大学大学院経営学研究科 特命准教授]

15:30-15:50 
 M&Aの感情プライシング:希望金額の罠
 西井 正博[神戸大学客員准教授 / Managing Director, Nihon M&A Center Singapore Pte. Ltd]

15:50-16:00  ***休憩(10分)***

<第2部>
16:00-16:20 Long-term value of capital structure adjustments before acquisitions
 Yunxiao Hu[神戸大学大学院経営学研究科 学術研究員]

16:20-16:40 家族企業の買手選択と取引関係
 本田 朋史[神戸大学大学院経営学研究科 特命准教授]

16:40-17:00 中小M&AにおけるPMI
 久保 雄一郎[神戸大学大学院経営学研究科 特命准教授]

17:00-17:20 中小M&A市場改革に向けた中小企業庁の取組について
 長縄 遼太郎[中小企業庁 事業環境部 財務課 課長補佐]

17:20-17:50 挨拶
 忽那 憲治[中小M&A研究教育センター長 神戸大学客員教授/東京大学応用資本市場研究センター 特任教授]
 三宅 卓[神戸大学客員教授株式会社日本M&Aセンターホールディングス代表取締役社長]

17:50-18:00 閉会の挨拶
 國部 克彦[神戸大学大学院経営学研究科長]

 なかなか、用語が目新しくて、田舎弁護士には難しかったワイ😅

2025年11月21日 (金)

【IT関連】日弁連eラーニング・初心者のためのITツールの上手な活用法~法津事務所のIT化・各種ITツール利用の初歩~ 第4回リサーチサービス

 日弁連eラーニング・初心者のためのITツールの上手な活用法~法律事務所のIT化・各種ITツール利用の初歩~ 第4回リサーチサービス(潮秀隆弁護士)をWEBで受講しました。 

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(スカイツリー)
 リサーチサービスの全体像は、法令、判例、雑誌、その他文献に4つの分野に分かれています。
 法令リサーチは、公的なサービスは、e-gov法令検索があります。但し過去法令は2017年4月1日以降のみです。民間サービスはいろいろです
 判例リサーチは、公的なサービスは、裁判所の判決情報サイトがあります。民間サービスはいろいろです。
 雑誌リサーチは、判例リサーチサービスとセットで提供されています
 その他の文献リサーチは、最も新しいサービスです。オンライン上で書籍が提供されています。
 そして、AIを利用したリサーチサービスは、検索時に単語の候補についてAIを利用したアシスト・サジェストという内容のものです。
 これも、田舎弁護士は、判例秘書を利用しておりますが、AIを利用したリサーチサービスを導入するかどうか検討しているところです。

【弁護士研修】 日弁連ライブ実務研修 民事訴訟のデジタル化、もうすぐ全面施行 ~変わる訴訟手続、変わる弁護士業務~ をWEBで受講しました。

 11月13日に日弁連会館で開催された日弁連ライブ実務研修「民事訴訟のデジタル化、もうすぐ全面施行~変わる訴訟手続、変わる弁護士業務~」を受講しました。

 第1部は、改正民事訴訟法・民事訴訟規則に基づく手続の概要として、最高裁の課長さんのご講演がありました。

 ただ、改正法を余り勉強していない田舎弁護士にとっては、早口の解説では十分な理解ができず、不安感を感じるばかりでした。

 第2部は、パネルディスカッションとして、民事訴訟法のデジタル化と題するもので、二人のベテラン弁護士が、二人の裁判官に、質問して回答をいただくという形式で、こちらは、Q&A形式であることからも、わかりやすく感じました。 

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(伊予冨士)
 いずれにせよ、来年5月からは待ったなしの実施となります。
 田舎弁護士だけではなくて、事務を担当している嫁ちゃんもシステムについては理解する必要があります。
 健康保険証がマイナンバーにとって代わられたことに伴い、少なくない零細な医療機関が廃業しましたが、同じようなことが零細なしかも高齢の法律事務所には妥当するのではないかと考えました。
 慣れたら便利なのでしょうが、慣れるまで大変です ('ω')
 司法試験も論文が筆記ではなくパスコン入力に代わりますので、初老の田舎弁護士にとっては時代の波にのれないかもしれません (*'ω'*)

2025年11月20日 (木)

【子ども】 審理の過程を踏まえた随時の主張や活動報告

 裁判所における少年事件の実務P316以下です。

第2 審理の過程を踏まえた随時の主張や活動報告

 付添人活動の結果については、裁判所の審理の過程を踏まえ、審判期日を待たずに、随時、主張や活動報告をし、裁判所と協議していくことが重要です。

 初期は、非行事実(犯情)の評価に関する事情(被害弁償等も含む)や調査対象の範囲に関する情報提供をすることが有益である。例えば、被害弁償の対応中であることや、社会資源として重要な親族の調査が必要である旨を申し出ることが考えられます。

 中間期においては、調査だけでなく付添人活動も進んでいる段階であるため、調査官との間で、双方の情報共有とともに、要保護性上の問題について意見交換することが考えられる。付添人の提案する社会資源を利用した在宅試験観察や、身柄付き補導委託を求める場合には、審判前に検討や準備を要するため、遅くともこの時期には申し出る必要がある。審判直前の申出では間に合わず、付添人の提案を採用することは困難になります。

 審判前は、意見書の提出を前提に、裁判官との間で、少年や保護者のこれまでの変化や直前の状況も踏まえた処遇に対する意見を述べたり、審判進行についての協議をすることが多い。審判進行に関し、少年の特性や心情等に配慮するように要望されることもある。

 情報提供や協議の方法としては、報告書等の書面提出、調査官との面談や電話連絡、裁判官との面談が考えられる。書面提出は、明確に記録化でき、裁判所の三職種に共有される利点があるが、意見交換はできない。調査官との面談等は、調査情報を共有し、意見交換ができる。裁判官との面談は、調査情報は共有できないが、手続、審理方針、事実認定、犯情等について議論ができる。付添人は、これらを踏まえて使い分けることが望ましく、裁判官や調査官に面談を申し入れる場合には、その趣旨目的を明らかにする必要があります。

 

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(富士山)

 

2025年11月19日 (水)

【子ども】 要保護性の審理に当たり、裁判所は、付添人にどのような連携を期待するのか 

 裁判所における少年事件の実務P314以下は、自白事件を例にとり、要保護性の連携について解説しております。

第1 少年に対する働きかけや環境調整活動

 付添人の基本的な活動として、非行事実(犯情)の評価を軽減する主張立証活動(被害弁償を含む)だけでなく、要保護性の解消に向けた少年に対する働きかけや環境整備活動をすることも必要です。その際には、少年の要保護性上の問題を把握し、それを解決していくというアプローチが有効であり、その考え方は裁判所と異なるところはありません。

 付添人の立場からの健全育成に向けた教育的働きかけは、少年の内省と要保護性の減少に当たり、特に有効です。例えば、共犯者との不良交友が問題である場合、調査官からだけでなく、自分の味方である付添人からも、共犯者との交際がなぜ問題にされるかを問われることで、少年が問題意識を持ち始めることが多いです。付添人が、共犯者との交際を続けたいという少年の考えを積極的に支持する関わり方をしてしまうと、少年の問題が解消されず、少年の要保護性を高めることになりかねません。

 少年の主張を代弁するだけでなく、健全育成に向けて、時に少年に考えを改めさせるような教育的な関わり方が必要です。付添人から提出される謝罪文や反省文も参考になり、内省の程度が把握できるだけでなく、審判采井においても参考になります。

 また、処遇の見込みについて、少年に安易な見通しを伝えるべきではない。少年が、付添人から、保護観察決定となって帰宅できると聞いたとして、緊張感が薄れかえって内省が妨げらえることや、その後少年院送致決定となった場合、それを受け入れられず、少年院での指導に意欲的に取り組めないことにもつながる。少年にとって事故の処遇は最も関心が高い事柄であるから、十分な配慮を要します。

 少年の外部環境(保護者、就労先、帰住先、被害者等)の調整について、裁判所は、調査官の調査の範囲で、保護者や参考人の調査、被害者調査をしており、中立性の観点から制約がある。例えば、就労先に雇用を継続するよう促すことや、被害者との間で被害弁償することなどは、少年の権利利益を守る付添人において活動することが期待される。そして、外部環境の調整の結果を少年にフィードバックして的確に認識させることも忘れてはなりません。

 第2sン里の過程を踏まえた随時の主張や活動報告は、明日の続きです😅

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(眉山)

2025年11月18日 (火)

【子ども】 裁判所における少年審判の審理過程 続き

 裁判所における少年事件の実務の続きです。

第3 審判運営と処遇選択

 調査官が少年調査票を提出すると、裁判官は少年調査票を含む社会記録を精読する。裁判官は、社会記録によって判明した事実を前提に、非行メカニズムを把握するとともに、非行事実と要保護性を評価し、審判期日の運営の準備と少年に対する処遇を検討する。

 そして、審判期日において、少年に対して非行事実を確認するとともに、少年や保護者に対する質問を通じて、要保護性の事実に関する確認を行いながら、非行メカニズムや少年の問題点を明らかにし、最終的な心証を形成した上で、少年に対する処遇を選択する。

 以上が、裁判所における少年審判の審理過程です😅

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 次が、裁判所が期待する付添人活動の視点です。3つの視点が必要としております。

 1つ目は、付添人は、少年側から裁判官及び調査官の双方の活動を検証するという視点です。

 ①裁判官の活動の検証として、非行事実の事実認定の審理に対して少年の言い分を前提とした主張立証活動を行い、②調査官の活動の検証として、付添人としても非行メカニズムを把握し、要保護性に関する事実の収集や環境調整活動を行い、③再び裁判官の活動の検証として、要保護性の評価や処遇に関する意見を述べる。

 刑事事件と同様に考えると、①③についての活動は想定しやすいが、②の視点も必要である。

 2つ目は、審判時の活動だけではなく、審判前の活動も重要であるという視点である。

 少年審判は職権主義的構造により、刑事裁判における予断排除の原則はなく、裁判官は、一件記録を取り調べ、調査官から報告を受けるなどして、臨時心証を形成している。したがって、その心証形成に関して、付添人も積極的に関与していくことが必要である。

 3つ目は、少年審判において、裁判所も付添人も、ともに少年の健全な育成(少年法1条)を目的に活動するという視点です。立場の違いはあるが、同じ目的に向かうために、少年審判の充実を図り、協働していく必要があります。

 


2025年11月17日 (月)

【子ども】 裁判所における少年審判の審理の過程  (裁判所における少年事件の実務)

 先月に日本加除出版から出版されたばかりの「裁判所における少年事件の実務」を購入しました。

 まずは、おさらいとして、裁判所における少年審判の審理の過程について検討したいと思います。

 少年側から依頼を受ける弁護士としても、裁判所の流れを知っておくことは有益だと思います。

第1 事件受理時の検討

 事件が裁判所に送致されると、裁判官は、書記官の事前チェックによる補助を踏まえて法律記録を検討して、調査命令を発する(少年法8条2項)。

 裁判官は、まず、非行事実を検討し、法律記録に基づき非行事実が認定できるか、その証拠が足りているか、補充捜査依頼や証人尋問等の証拠調べが必要かについて検討し、非行事実の蓋然的心証が得られれば、調査命令を発する。非行事実に争いがあり、証人尋問が必要になるなどして、1回の審判期日で終局することが難しい場合には、この時点で審理計画を策定し、場合により検察官関与を検討する。

 要保護性については、法律記録に基づき、本件非行に関する動機や経緯、結果等の事情、被害者の被害状況や心情、少年の前歴を含めた身上経歴、生活状況や保護環境、保護者の監護状況等の要保護性に関する事情を確認し、今後の調査計画や審判運営に当たって留意すべき点について検討する。

第2 調査進行中の調査官との連携とカンファレンス

 裁判官の調査命令により、調査官は、法律記録を受け取り、社会調査を開始する。調査官の役割は、心理学、教育学、社会学等の行動科学の知見に基づく、事実の調査と調整である(少年法9条、少年審判規則11条参照)。

 調査官は、法律記録や従前の社会記録を検討した上、少年、保護者、関係者等の面接、関係機関への照会、少年鑑別所等との協議を行いながら、事実の調査を実施していく。また、少年に対して内省や改善を促し、必要な教育的措置を行い、さらに保護者等とも関係を調整するなどの働きかけを行う。そして、少年の非行メカニズムを解明し、非行に至った少年の問題を明らかにして、要保護性の程度を評価して、処遇についての意見を提出する。

 この社会調査の期間は、主に調査官に情報が集約されていき、調査官は、必要に応じて、即時、裁判官に報告し、裁判官や書記官と協議を重ねる。この協議のことをカンファレンスと呼ぶ。その実施の時期や頻度は事件によって異なるが、各時期において協議すべき事項を整理すると、次のように考えられる。

 初期(送致から数日程度)は、非行事実(犯情)の評価、調査対象の範囲、被害者対応、保護者等の呼び出しなどについて意見交換をする。

 中間期(送致から2週間程度。通常、少年調査が1~2回、保護者調査が1回なされている時期。遅くとも審判の1週間前まで)においては、調査官の調査が進捗している基本的な情報が集約されてきている段階であるため、その調査状況と調査仮説・非行メカニズムを簡潔に報告してもらい、少年の要保護性上の問題点の整理や、処遇選択上のあい路は何かについて意見交換をする。その上で、更に調査すべき事項や働きかけの対象などを確認する。在宅試験観察や身柄付き補導委託については、この段階で見込みの有無を検討する。

 審判前(少年調査票提出後。審判前日であることが多い)においては、少年調査票を前提にして、その補足説明や、非行メカニズムと働きかけの結果の確認、それを踏まえた処遇選択の意見交換、審判運営上の留意点の確認等を行い、審判準備を行う。

 このうち、裁判官と調査官との連携にあたっては、特に中間期でのカンファレンスが重要である。これを中間カンファレンスと呼ぶ。裁判官と調査官との間で見立てや調査仮説の違い、調査不足があった場合、審判前ではその後の修正や追加調査の機会がほぼない。裁判官としても、中間期に報告を受けることで、追加の調査指示等ができ、事案の理解が深まり、要保護性について心証を形成できる。

第3 審判運営と処遇の選択は、明日の続きへ😅 

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2025年11月16日 (日)

【IT関連】AI法の概要と企業に求められる対応 月刊監査役11月号

 月刊監査役11月号 企業法務最前線「AI法の概要と企業に求められる対応」です。

 2025年5月28日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(AI法)が成立し、現在は全てが施行されている状態ですが、こんな法律の存在自体知りませんでした😅

 日本と欧州とで、AI制度をめぐるアプローチは大きく異なっているようですが、日本では、これまでの日本のソフトローや既存法令を中心としたAIリスク対応の良いところは活かしつつ、透明性・適正性の確保や、国による実態調査・把握のための官民協調に主眼を置いた法制度の構築を志向するものです。

 AI法は全28か条から成り、総則(第1章)、基本的施策(第2章)、AI基本計画(第3章)、AI戦略本部(第4章)から構成されています。このように、AI法では、AIの研究開発・活用に関する基本理念や、政府におけるAI戦略本部の設置、AI基本方針の策定及び適正性確保に関する指針の整備など、多くの条項が政府等による基本的政策を対象としています。このことからも、企業に様々な遵守事項を課す欧州のAIActとは大きく異なる性質の法律となります。

 企業が遵守しなければならない責務としては、人工知能関連技術の積極的な活用や、国・地方公共団体の施策に協力することが規定されています。

 具体的には、法7条が「人工知能関連技術を活用した製品又はサービスの開発又は提供をしようとする者その他の人工知能関連技術を事業活動において活用しようとする者(活用事業者)は、基本理念にのっとり、自ら積極的な人工知能関連技術の活用により事業活動の効率化及び高度化並びに新産業の創出に務めるとともに、第4条の規定に基づき国が実施する施策及び第5条の規定基づき地方公共団体が実施する施策に協力しなければならない。」と定めています。これらに違反した場合は、罰則はないものの、企業としては、指導・助言その他必要な措置の対象となり得ることに留意する必要があります。

 なお、AI基本計画の指針や適正性確保に関する指針案も公表され、年内をめどに最終化される予定です。 

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(世田山から)
 AIリスクをめぐっては様々な分野における既存の法令も関係してくるため、例えば個人情報保護法の改正に向けての動向や、知的財産法に基づく議論や紛争の動向など既存の法令の解釈、運用、改正等についても幅広くウォッチしていく必要がありますね😅

2025年11月15日 (土)

【金融・企業法務】 来年には、カスハラの研修を依頼されるかな😅

 月刊監査役11月号に、リスク対応の現場からとして、カスタマーハラスメントが取り上げられていました。このブログでも、過去、複数回とりあげていますが、今回はコンサルの方が執筆されているようです。

 改正労働施策総合推進法では、33条34条で、企業として取り組むべきカスハラ対策について規定しております。

 法33条1項で定義されているカスハラとは、「職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他当該事業者の行う事業に関係する者(顧客等)の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境が害されること」と定義しています。

 3要件に分解すると、①顧客等からの言動であること、②社会通念上相当な範囲を超える不当要求・迷惑行為等があること、③それにより労働者の就労環境が害されることとなります。

 法33条1項は、上記定義を受けて、「当該労働者kらの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」「労働者の就業環境を害する当該顧客等言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置」等の「雇用管理上の措置」を講じなければならないと規定しております。

 同2項において、「事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と規定しております。

 雇用管理上の措置の内容については、後日、厚労省から指針が公表されることになっております。

 法34条では、事業者及び役員、従業員等に対して、取引の相手方に対する加害防止に向けた努力義務を課しております。また、同2項では、研修の実施その他の必要な配慮をするよう努めなければならないと規定しています。

 

 以前も紹介したと思いますが、業種別カスタマーハラスメント対s買う企業マニュアルスーパーマーケット業編は参考になります😃

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(高縄山から)
 先ほども述べましたが、雇用管理上の措置の内容については、現時点では正確には不明ですが、本書においては一応以下のような例を挙げております。
① (カスハラの被害に遭わないように)労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(例示1)
 →体制の整備=組織的かつ継続的な取組として整備・運用すること
  例としては、所轄部署(責任者配置)、相談・エスカレーション等の体制、方針策定、研修実施、マニュアル策定、法的対応・契約書等の各種書面・規程等の整備、被害相談(ハラスメント相談)窓口の設置、適切なマネジメント、運用状況の監査 等
② カスハラへの対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置(例示2)
  →カスハラへの対応を打ち切るための具体的な対応要領の整備まで求めている可能性あり
  例としては、出入り禁止措置、取引停止措置、対応打ち切り措置 等
③ その他の必要な雇用管理上の措置
  →従業員の保護のための各種対応(法的対応等)、メンタルケア、プライバシー等の保護そのほか従業員をカスハラから護ための包括的な対策
④ 労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由とした不利益取扱いの禁止
  →取引先などからカスハラに対する被害者の保護を制度的に担保
が、挙げられていました。大いに参考になりますね。

2025年11月14日 (金)

【離婚】 離婚後も婚姻費用分担審判で定められた生活費を請求できるのでしょうか😅

 令和2年1月23日の最高裁決定によれば、婚姻費用分担審判の申立ての後に、当事者が離婚したとしても、これにより婚姻費用分担請求権は消滅しないと判断しました。

「1 記録によれば,本件の経緯は次のとおりである。
 (1) 妻である抗告人は,平成30年5月,夫である相手方に対し,婚姻費用分担調停の申立てをした。
 (2) 抗告人と相手方との間では,平成30年7月,離婚の調停が成立した。同調停においては,財産分与に関する合意はされず,いわゆる清算条項も定められなかった。
 (3) 上記(1)の婚姻費用分担調停事件は,上記(2)の離婚調停成立の日と同日,不成立により終了したため,上記(1)の申立ての時に婚姻費用分担審判の申立て(以下「本件申立て」という。)があったものとみなされて(家事事件手続法272条4項),審判に移行した。


 2 原審は,要旨次のとおり判断し,抗告人の相手方に対する婚姻費用分担請求権は消滅したから,離婚時までの婚姻費用の分担を求める本件申立ては不適法であるとして,これを却下した。
 婚姻費用分担請求権は婚姻の存続を前提とするものであり,家庭裁判所の審判によって具体的に婚姻費用分担請求権の内容等が形成されないうちに夫婦が離婚した場合には,将来に向かって婚姻費用の分担の内容等を形成することはもちろん,原則として,過去の婚姻中に支払を受けることができなかった生活費等につき婚姻費用の分担の内容等を形成することもできないというべきである。そして,当事者間で財産分与に関する合意がされず,清算条項も定められなかったときには,離婚により,婚姻費用分担請求権は消滅する。


 3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。


 民法760条に基づく婚姻費用分担請求権は,夫婦の協議のほか,家事事件手続法別表第2の2の項所定の婚姻費用の分担に関する処分についての家庭裁判所の審判により,その具体的な分担額が形成決定されるものである(最高裁昭和37年(ク)第243号同40年6月30日大法廷決定・民集19巻4号1114頁参照)。また,同条は,「夫婦は,その資産,収入その他一切の事情を考慮して,婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定しており,婚姻費用の分担は,当事者が婚姻関係にあることを前提とするものであるから,婚姻費用分担審判の申立て後に離婚により婚姻関係が終了した場合には,離婚時以後の分の費用につきその分担を同条により求める余地がないことは明らかである。


 しかし,上記の場合に,婚姻関係にある間に当事者が有していた離婚時までの分の婚姻費用についての実体法上の権利が当然に消滅するものと解すべき理由は何ら存在せず,家庭裁判所は,過去に遡って婚姻費用の分担額を形成決定することができるのであるから(前掲最高裁昭和40年6月30日大法廷決定参照),夫婦の資産,収入その他一切の事情を考慮して,離婚時までの過去の婚姻費用のみの具体的な分担額を形成決定することもできると解するのが相当である。このことは,当事者が婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の請求をすることができる場合であっても,異なるものではない

 したがって,婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても,これにより婚姻費用分担請求権が消滅するものとはいえない

 4 以上と異なる見解の下に,本件申立てを却下した原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 深山卓也 裁判官 池上政幸 裁判官 小池 裕 裁判官 木澤克之 裁判官 山口 厚)」

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(星ケ森)

 判例タイムズの解説は以下のとおりです。

「 解説
 (1) 婚姻費用分担の申立てに係る審判又は調停の係属中に離婚が成立した場合に,離婚成立時までの過去の婚姻費用分担請求権が当然に消滅するか否か,当該申立てが不適法となるか否かという論点については,従前から学説,下級審裁判例が分かれている状況にあった。その見解は大別して,①消滅説,②転化説,③存続説に分類できる。

 ①消滅説は,離婚後は,過去の婚姻費用分担請求権は消滅するという見解である(柏木賢吉「婚姻費用分担請求権の消滅時期-婚姻費用分担請求権は離婚によって消滅するか-」ジュリスト330号87頁〔東京家庭裁判所身分法研究会の多数意見〕,中川淳『改訂親族法逐条解説』〔日本加除出版,平成2年〕123頁等。この見解による裁判例として,神戸家審昭37.11.5家月15巻6号69頁,判タ152号71頁)。婚姻費用分担請求権は婚姻関係の存続を前提とするものであるから,具体的な請求権の形成前に夫婦が離婚し,婚姻関係が消滅したときには,婚姻費用分担請求権も消滅すること,離婚後の過去の婚姻費用は財産関係の清算である財産分与の中で解決すべきことなどを理由として挙げる。この見解によれば,離婚前から係属中の婚姻費用分担の審判等の申立ては,離婚により原則として不適法となるものと解される。

 ②転化説は,離婚後は,過去の婚姻費用分担請求権は消滅するが,財産分与請求権に性質が変化して存続するという見解である(昭和41年2月全国家事審判官会同家庭局見解・家事執務資料集(上)373頁,大津千明「離婚給付に関する実証的研究」司法研究報告書32輯1号119頁注6,島津一郎編『注釈民法(21)』〔有斐閣,昭和41年〕201頁〔島津一郎〕等。この見解によると解される裁判例として,大阪高決平11.2.22家月51巻7号64頁)。この見解に立った上,係属中の婚姻費用分担の審判等の申立ては,離婚後は財産分与の審判等の申立てに変更されたものとして扱うことができると解すれば,係属中の申立ては適法となる。

 ③存続説は,離婚後も,離婚時までの過去分の婚姻費用分担請求権は存続するとの見解である(柏木・前掲87頁〔東京家庭裁判所身分法研究会の少数意見〕,中山直子『判例先例 親族法-扶養-』〔日本加除出版,平成24年〕97頁等。この見解によると解される裁判例として,名古屋高決昭52.1.28判タ354号282頁等)。この見解によれば,係属中の婚姻費用分担の審判等の申立ては離婚後も当然適法ということになる。

 (2) 原決定は消滅説を採ったものと考えられるが,本決定は,この考え方を否定し,婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合について,存続説を採ることを明らかにした。本決定は,その理由として,①婚姻費用分担審判の申立て後に離婚により婚姻関係が終了した場合に,婚姻関係にある間に当事者が有していた離婚時までの分の婚姻費用についての実体法上の権利が当然に消滅するものと解すべき理由は何ら存在しないこと,②家庭裁判所は離婚時までの過去の婚姻費用のみの具体的な分担額を形成決定することもできると解されることを挙げている。

 最大決昭40.6.30民集19巻4号1114頁,判タ178号210頁は,婚姻費用分担に関する処分は,婚姻費用の分担額を具体的に形成決定しその給付を命ずる裁判である旨を判示しており,婚姻費用分担請求権は,家庭裁判所の審判又は当事者間の協議によりその具体的な分担額が形成決定されるものである。しかし,民法760条は,夫婦は婚姻から生ずる費用を分担する旨のみを定め,その文言上,上記形成決定の時点で,婚姻関係という身分関係が存在することまで要件としておらず,具体的な分担額の形成決定前であっても,婚姻中に夫婦の一方が過当に婚姻費用を負担した場合に他方に対して婚姻費用の分担を請求する根拠となる実体法上の権利自体は,同条に基づき発生しているものと解される。上記①は,そのような,婚姻費用分担審判の申立て時において既に発生している実体法上の権利について,離婚したということ自体が権利消滅事由となるものとは解されない旨をいうものと考えられる。

 また,同最決は,婚姻費用分担の審判においては,将来の婚姻費用の分担額のみならず,審判時より過去に遡って婚姻費用分担額を形成することができる旨も判示しているところ,上記②は,これを前提としつつ,離婚して将来分の婚姻費用分担額の形成ができなくなった場合であっても,審判時よりも過去の時点の一部である,離婚時までの婚姻費用のみの分担額を形成決定することは当然に許される旨をいうものと解される。

 財産分与と婚姻費用分担請求権との関係については,最三小判昭53.11.14民集32巻8号1529頁,判タ375号77頁が,裁判所は,当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる旨を判示しており,過去の婚姻費用の清算は財産分与の中で行うことができる。しかし,同判示は,当該清算の方法を財産分与に限る趣旨のものであるとは解されない。本判決は,財産分与についての合意が未了であり,今後財産分与の請求をする可能性が残っている場合であっても,係属中の婚姻費用分担審判の申立てにおいて過去の婚姻費用の分担額の形成決定をすることができる旨も判示しており,同最判について上記と同様の理解を前提としたものと考えられ,婚姻費用分担請求について,財産分与の請求との競合を認める見解(いわゆる限定相関説)と親和的なものといえよう。
 本決定の判示内容は,上記のとおり,条文の文言及びこれまでの判例の流れに沿うものと解される。

 (3) なお,本決定は,婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したという場合について判示したものであり,夫婦が離婚した後に,離婚時までの過去分の婚姻費用分担審判の申立てをすることの適否や,婚姻費用分担請求の始期(過去のどの時点まで遡り得るか)については,その射程外であると解される。」

 これ間違いそうですね😅

2025年11月13日 (木)

【弁護士考】 氷河期時代の弁護士業界へようこそ😅

 昨日、令和7年の司法試験の合格発表がありました。

 合格者数は、1581人、合格率は41.20%です。

 合格者が多い法科大学院は、①早稲田大が150人、②京都大が128人、③慶応大が118人、④東京大が116人、⑤中央大が77人、⑥一橋大が61人、⑦神戸大、⑧東北大、⑨大阪大などとなっております。

 早稲田大、京都大、慶応大、東京大が首位を巡って競い合っております。残念ながら、中央大は昔日の勢いはありません。

 特筆されるのは、いつものように予備試験合格者の合格率が極めて高いということです。合格率は、90.68%に達しており、合格者数は428人と、早稲田大の3倍近い数の方が合格されています。

 伊藤塾のコメントにもあるように、予備試験を経由しての司法試験合格が、司法試験合格の王道ルートと呼ぶに相応しい結果となっております。

 政府目標は合格者1500人以上ということですので、相変わらず多くの方が司法試験に合格されました。

 ただ、他方で、従来の弁護士業界の中核であったいわゆるマチ弁の世界が過払いバブル終焉後は氷河期時代に突入したことについては多くの弁護士が感じていることだと思います。

 合格者1500人とありますが、そのうち3分の2程度は弁護士になります。

 都会でもまた地方でも、従来タイプのマチ弁は収入を得るために大変な苦労をしている状況です。

 そして、日常生活におけるDXの推進や来年から実施される民事訴訟のIT化は、地方のマチ弁にとっては致命傷になるのではと思っております。

 依頼される方としては、料金についてより透明性の高い、また、専門性についてもより高度な、都会の弁護士に依頼することが容易になるからです。

 そうなると、地方では、マチ弁の事務所に就職しようとする者等いなくなるに違いありません。

 他方で、弁護士という資格を維持するためには、弁護士会に支払う高額な弁護士会費の負担があります。弁護士会費は対応すると、退会処分という重たい懲戒処分がされることが多いです。

 ですが、最近の懲戒処分例をみると、弁護士会費の対応で懲戒処分を受けた弁護士も散見されるようになりました。

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(八王子城跡)
 司法試験に合格したとしても、前途洋々の時代はもはや大昔の話であり、とりわけ弁護士希望者の場合には生涯設計を考えて司法修習生時代を過ごすことが求められると思います。
 
 やはり、他の人より抜きん出て秀でている分野が1つ必要だろうと思います。
 田舎弁護士の勤務弁護士達も、一人は弁理士資格の取得の他国税審判所審判官や訟務検事を務め、もう一人は医師資格を獲得しました。
 司法試験合格された方も、是非とも、1つ秀でている分野を持っていただけたらと思います。

【子ども】 義務者である夫が勤務先を退職してしまった事案 福岡高裁令和5年5月8日決定

 判例時報2631号で掲載された福岡高裁令和5年5月8日決定です。 

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(高縄山)
 妻が別居中の夫に対して婚姻費用分担金の支払いを求めたところ、夫が抑うつ症状との診断を受け勤務先を退職したとしてその支払いを拒絶した事案において、
 
 夫の就労が不可能な程度かは疑いが残るとして、退職後も退職前収入の約4割の収入があるものとして扱い、起訴収入額をその43%と認めた上で、夫に婚姻費用分担金の支払いを命じた原審判が維持された事例
 このようなケースで、たまに、会社等を退職する方がおられますね。
 本件では、別居前には特に症状はなかったこと、別居後の面会交流を巡って発症し悪化したというもので受診や退職の経緯、調停への対応状況を考えると就労不可能な程度に重篤であるかについては疑問が残ること、症状の具体的な内容及び程度、通院の頻度、投薬内容も不明であることなどから、基礎収入を0円とは計算しておりません。
 無職になったからといって、婚姻費用分担義務を免れるわけではないということです。
 但し、強制執行は大変そうな気がします。回収できるのかな?

2025年11月12日 (水)

【建築・不動産】 地方公共団体に対して土地を寄付した被相続人が寄付当時意思能力を有していなかった場合において、その相続人の一人が当該地方公共団体に対して当該土地についての所有権移転登記の抹消登記手続を求めることが権利の濫用に当たるとされた事例 札幌地判令和6年11月1日

 判例時報2631号で紹介された札幌地判令和6年11月1日です。

 裁判所は、

 ①本件寄付を無効とするならば、当事者間にとどまらず、その他の亡A(被相続人)の法定相続人や周辺住民等を含め、全体として不利益が非常に大きいこと

 ②本件寄付を受けた被告には何らかの落ち度があったとは言い難いこと

 ③本件寄付の無効原因となった亡Aの意向に反していたとはいえないこと

 ④本件寄付から既に長時間が経過していること

 ⑤本件寄付を明らかに問題視しているのは原告のみであり、その原告には、本件寄付の無効を主張するに至るまでに相当長期間が経過していることについて一定の落ち度があるといえること

 から、本件請求は権利の濫用に当たり許されないと判断しました。 

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                             (木漏れ日の橋)

 伝家の宝刀を抜いたんですね。

 17年前の寄付が問題視された事案のようで、結論としては妥当だと思います。

2025年11月11日 (火)

【金融・企業法務】 日弁連総合研修サイト やり直し会社法 会社法の制定と改正のポイント 第2回 機関(株主総会)(神田秀樹東京大学名誉教授)(2024年)をWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト やり直し会社法 会社法の制定と改正ポイント 第2回 機関(株主総会)(神田秀樹東京大学名誉教授)をWEBで受講しました。

 なお、田舎弁護士が法学部の学生だったころ、芦部信喜先生や神田秀樹先生などの著名な先生方の講義録が重宝されていたことを思い出します。会社法は、当初は鈴木竹雄先生の基本書を使っていましたが、薄すぎてよくわからないので、すぐに弥永真生先生の基本書に変更しました。ですので、神田先生の基本書は購入はするものの、実のところは実務家になるまでは余り読んだことはなかったです。 

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(高縄山)
第1回の補足
  ⚫会社の権利能力ー目的による制限(民法34条)
  ⚫会社の営利法人性 なお会社法では削除   【注】営利法人性営利性 営利法人概念の構成要素としての営利性(民法33条2項、平成17年改正前(会社法制定前)商法52条・有限会社法1条)とは、対外的活動によって得た利益を構成員に分配するという意味であるのに対して、商人概念(商法4条1項参照)の構成要素としての営利性は、通常は利益を得ることを目的として対外的な活動をするという意味であって、両者は同じではない。
  ⚫会社の社団性   なお会社法では削除
  ⚫特例有限会社
   平成17年改正前(会社法制定前)の有限会社(有限会社法に基づく)という類型は、会社法上の株式会社という類型に統合されている。ただし、有限会社法は廃⽌されたが、会社法施⾏前に設⽴された有限会社は、会社法施⾏後は、法的類型としては株式会社になるものの、なお「特例有限会社」として存続し、有限会社法のもとでの規律とほぼ同様の規律のもとで運営を継続することが認められる。
 会社法の施⾏時〔平成18年5⽉1⽇〕に(有限会社法に基づき)すでに設⽴されていた有限会社は、定款変更や登記申請等の特段の⼿続をせずに、会社法施⾏後は会社法上の株式会社として存続する(会社法整備法2条1項)。このような会社(旧有限会社)は有限会社の⽂字を商号中に⽤い、「特例有限会社」と呼ばれるが(同整備法3条)、会社法施⾏後も、とくに期限なく、有限会社法の規律の実質が維持されるように⼿当てされている(たとえば、取締役の任期の最⻑限度不要〔同整備法18条〕決算公告不要〔同整備法28条〕等)。
 なお、特例有限会社は、いつでも、定款を変更して株式会社に商号変更すれば(登記もする)、特例から脱却できる
                    ↓
【注】会社法における改正前の株式会社と有限会社の規律の調整
株式会社と有限会社とを1つの類型(株式会社)に統合するにあたり、旧有限会社法の規律と改正前株式会社に関する規律との調整が必要となったが、会社法は、基本的には、両者のうちでよりゆるいほうの規律の適⽤を受ける道を選択することを認めるという形で、定款⾃治の⾃由度の拡⼤をはかった。ただし、取締役・監査役の任期の最⻑限度(10年まで)(会社法332条2項・336条2項)および決算公告の強制(会社法440条)等の若⼲の規律については、旧有限会社法の規律を強化したので、この例外ということができる。 
 ⚫株式  ★は会社法で変わった場合の整理
株式の消却→発行済株式総数が減る〕★
 ○会社法前と会社法後とで概念が異なる。
株式の併合(平成26年改正あり)〔→発行済株式総数が減る
 ○株主総会の特別決議が必要
 ○端数が生じることが多い。
 ○平成26年改正の趣旨
 ○令和2年法務省令改正
株式の分割→発行済株式総数が増える〕★
 ○通常は、取締役会決議ですることができる。発行可能株式総数も比例的に増える(株主総会の特別決議不要。取締役会にて定款変更可能)
株式無償割当て→発行済株式総数が増える〕★
 ○概念
 ○株式の分割との異同
第1 株式会社の機関 総論
 ※取締役会設置会社と非取締役会設置会社
   (大会社且つ公開会社の選択肢)
    監査役設置会社・監査役会設置会社
    監査等委員会設置会社(平成26年改正で新設)
    指名委員会等設置会社(平成14年改正で新設)
 ※上場会社法制(主としてガバナンス関連)
         ⇒金融商品取引法+取引所の上場規制  強化
    会社法 ⇒
         ⇒産業競争力強化法          緩和   例 バーチャルオンリー株主総会
 ※上場会社に関する会社法以外の主な規律
   ⚫開示内閣府令(金融商品取引法)
     サステナビリティ(気候変動・人材)情報及びガバナンス情報の開示強化(2023年3月期から施行)
   ⚫東京証券取引所の自主規制
     東京証券取引所「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願い」(2023年4月31日)
      ⇒このお願いは、①資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(プライム市場・スタンダード市場の上場会社)、②株主との対話の推進と開示(プライム市場の上場会社)、③建設的な対話に資する「エクスプレイン」のポイント・事例の通知を含んでおり、これらの内容は、持続的な成⻑と中⻑期的な企業価値向上の実現に向けて重要と考えられる事項をまとめたもの。上場規則上の義務付けを⾏うものではないが、上場会社に、投資者からの期待を踏まえ、積極的に実施していただくことをお願いするものとされている。そして、上場会社との対話の担い手となる機関投資家にも、上場会社における今般の対応を踏まえた開示内容等に基づき、上場会社の持続的な成⻑と中⻑期的な企業価値向上の実現に向けて、建設的な対話を実施していただくことを期待するとされている。
     フォローアップ会議「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」(2023年4月26日)
     ⇒(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意⾒書(6))
       両コードの3年ごとの改訂は⾏われない
   ⚫ソフトロー
※日本の上場企業のコーポレートガバナンス改革のポイント
 1.コーポレートガバナンスは、それ自体が目的ではない。目的達成のための手段である。目的は企業が成⻑すること。したがって、今⽇の⽇本における上場企業のコーポレートガバナンス改革は、守りのガバナンス(不正不祥事を発生を防止)よりも攻めのガバナンス(企業の成長)に重点があり、政府の成⻑戦略のひとつ(3本の矢の1つ)として位置づけられている。
 2.⽇本のコーポレートガバナンス改革は、「形式から実質へ」、すなわちまず形式から入って実質(実質は中身がみえない)はあとから備えるということで進⾏中。まず証券取引所がコーポレートガバナンス・コードを策定し、各企業がそれに対応してコーポレートガバナンスの改革を実践中。
 3.⽇本のコーポレートガバナンス改革の焦点は「ボード」「対話」にあてられている。「ボード」とは取締役会(および監査役会)、「対話」とは企業と投資家との建設的な対話である。
 4.⽇本のコーポレートガバナンス改革における制度の手法(やりかた)は、原則主義(プリンシプル・ベース)とコンプライ(実施)・オア・エクスプレイン(説明)という規範を使うアプローチ。
  3 4は、イギリスや欧州であり、アメリカ型ではない。
(注)上場企業への⾏為規範策定は、⾦融商品取引法(企業の情報開示のみしかできない)ではなく、取引所のルールによる
「コーポレートガバナンス・コード」
2015年6月1⽇施⾏、2018年6月1⽇⼀部改訂、2021年6月11⽇⼀部再改訂)
○3層構造の規範(基本原則・原則・補充原則)
 ⇒ 5つの基本原則・31の原則・47の補充原則(合計83の規範)
○「プリンシプル」ベースの規範
○「コンプライ・オア・エクスプレイン」規範
 ⇒ 規範を実施しない場合に実施しない理由を説明しないと上場規則違反となる。
 ⇒ 規範を実施しない場合における理由の説明はコーポレート・ガバナンス報告書で⾏う。
○適用対象
 ⇒ コードの基本原則・原則・補充原則のすべてがコンプライ・オア・エクスプレイン
規範として適用されるのは本則市場(1部および2部市場※)の上場会社(※ 2022年4月4⽇以降は、プライム市場およびスタンダード市場)
〔参考〕
「責任ある機関投資家」の諸原則―⽇本版スチュワードシップ・コード」
2014年2月26⽇制定、2017年5月29⽇⼀部改訂、2020年3月24⽇⼀部再改訂)
⇒ 機関投資家の⾏動基準を定めたもの
⇒ ⾦融庁ウェブサイトにおいて、3か月ごとに、コードの受⼊れを表明した機関投資家名を公表
※コーポレートガバナンス・コードの2021年改訂
 監査に対する信頼性確保・実効的な内部統制とリスク管理
 この事項は2019年のフォローアップ会議の意⾒書(4)以来の積み残し課題であった。2021年の改訂では、第1に、内部監査部門について、補充原則4-13③を改訂し、上場会社は、取締役会および監査役会の機能発揮に向け、内部監査部門がこれらに対しても適切に直接報告を⾏う仕組みを構築すること等により、内部監査部門と取締役・監査役との連携を確保すべきであるとしている。第2に、監査役等の独⽴性の確保について、原則4-4を改訂し、改訂前の「監査役及び監査役会は、取締役の職務の執⾏の監査、外部会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の⾏使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任を踏まえ、独⽴した客観的な⽴場において適切な判断を⾏うべきである」としているうちの「外部会計監査人」を「監査役・外部会計監査人」としている(なお、改訂後の対話ガイドライン3-10も参照)。第3に、改訂後の対話ガイドラインにおいて、監査上の主要な検討事項(KAM)の検討プロセスにおける監査役と外部会計監査人との協議等(同3-11)、内部通報制度の運用の実効性確保(同3-12)が示されている。
※コーポレート・ガバナンス改革を形式から実質へ深化させる
  法律(会社法、金商法等)  ⇒ コーポレートガバナンスコード ⇒ コードを実践するための実務指針(4つ)
                                                                                                          
  ①コーポレートガバナンスシステムに関する実務指針(CGSガイドライン) 全上場会社が対象
  ②グループガバナンスシステムに関する実務指針(グループガイドライン)  グループ経営を行う上場会社が対象
  ③事業再編実務指針  大規模多角化グローバル化した上場会社が対象
  ④社外取締役の在り方に関する実務指針(社外取締役ガイドライン) 全上場会社の社外取締役が対象 
東京証券取引所の企業行動規範(2007年制定、2023年10月改訂ないし追加)  ⇐会社法の上乗せ
  遵守すべき事項と望まれる事項に分かれている
※M&A(企業買収)と会社法
 ⇒M&A(企業買収)は、買収の対象会社の経営陣がその買収に賛同している場合(友好的な買収)と反対している場合(敵対的な買収)とに区分することができる。会社法のむずかしいところは、友好的な買収では主に裁判となるのは株式の価格の決定(非訟事件)であり、買収の全体を通じたあるべき考え方が会社法の個別の規定からは⾒えない点にある。敵対的な買収でも主に裁判になるのは新株予約権の発⾏ないし新株予約権無償割当ての差⽌めの仮処分(保全事件)であり、ここでも買収の全体を通じたあるべき考え方は会社法の個別の規定からは必ずしも⾒えない。
実務では、次の2つのガイドラインが重視されている。
●経済産業省「公正なM&Aの在り方に関する指針― 企業価値の向上と株主利益の確保に向けて」
(2019年6月)
●経済産業省「企業買収における⾏動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて」
(2023年8月)
友好的な買収
友好的な買収については、上場会社の完全⼦会社化の事案であるジュピターテレコム社の事案に関する最決平成28年7月1⽇⺠集70巻6号1445頁が二段階キャッシュアウトの二段階目における公正な価格について裁判所が判断する際の基本的な考え方を示し、これと実務の状況を踏まえて2019年6月に経済産業省の実務指針(上記)が策定され、これらに基づいた実務の運用が定着しつつある。
敵対的な買収
会社法上の規律をめぐってしばしば裁判となる。2023年8月に経済産業省の実務指針(上記)が策定され、今後の実務の展開に留意する必要がある。また、2024年3月国会提出の公開買付制度等に係る⾦融商品取引法改正法案によって今後ルールが改正されるため、留意する必要がある。
第2 株主総会

株主提案権(303条-305条)
・303条(議題の提案権)と305条(議案の提案権)が重要。通常は、両方セットで行使される。
・304条は条文がなくても認められるはずのもので、304条はこれを確認した規定。
・2010年代に濫用の事例が見られ、令和元年(2019年)改正により、提案できる議案を1人10個までに制限する改正が行われた。
株主の議決権
・原則は、1株1議決権(単元株制度を採用している会社では1単元1議決権)
・例外あり――とくに「相互保有株式」の規制はややこしい(会社法施行規則)。★
議決権の行使方法
・議決権の代理行使(委任状による場合が多い)【任意】
    ・・判例理論の展開あり
・書面による議決権行使(書面投票)【株主数1000人以上の会社には強制】
・電磁的方法による議決権行使【任意】
議事と決議
・取締役等の説明義務(質問に答える義務)
・決議の方法――①普通決議、②特別決議、③特殊決議(2類型あり)★
    ・・①②③それぞれについて定足数と決議要件(多数決要件)が定められている。

株主総会決議の瑕疵の連鎖
最判令和2年9月3⽇⺠集74巻6号1557頁
「事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しの訴えに、同選挙が取り消されるべきことを理由として後任理事等を選出する後⾏選挙の効⼒を争う訴えが併合されている場合は、特段の事情がない限り、先⾏選挙の取消しの訴えの利益は消滅しない。」

・東京地判令和3年1月25⽇⾦融商事判例1615号48頁+東京高判令和3年8月19⽇⾦融商事判例1630号8頁
取消しが求められている株主総会決議(平成31年3月25⽇)はその後の臨時株主総会決議(令和2年5月2⽇)により追認されているから、その取消しを求める実益はなく、その取消事由の存否の判断のために先⾏する株主総会決議(平成29年10月10⽇)の不存在確認を求める訴えの利益はない。」

 上記の最判令和2年9月3⽇は中⼩企業等協同組合法に基づく事業協同組合の理事の選挙に関する事案であるが、そこで述べられた法の解釈論は会社法に基づく会社にもあてはまると理解されている。たとえば、取締役会設置会社で指名委員会等設置会社でない株式会社で取締役の任期を2年としている会社において、ある年の6月の定時株主総会(①)で取締役が選任され、2年後の6月の定時株主総会(②)で取締役が選任された。①の株主総会決議に手続的な瑕疵があり、決議取消しの訴えが提起され、②の後になって①の決議取消しを認容する判決が確定したとする。この場合、取消しの効果は①の時点に遡及し、①の時点で①の決議は無効であったことになる。この結果、②の決議も瑕疵を帯びる。
 なぜなら、①による取締役の選任は無効であったことになるので、法的には、①によって取締役に選任された者は取締役でなかったことになり、その者によって構成される取締役会も取締役会ではなく、また、その取締役会で選定された代表取締役も代表取締役でなかったことになる。このため、その取締役会による②の株主総会の招集の決定や代表取締役によるその招集は、いずれも権限のない機関による決定や招集⾏為であって違法なものであったことになる。以上は、最高裁の判例理論として確⽴したと⾒受けられる。

 では、実務的には、どう対処したらよいか。
 永遠に取締役を選任することができなくなりそうにもみえる。

 こうした瑕疵の連鎖を断ち切る方法としては、まず、①の決議がそれ以前の取締役全員を再任するものであり、かつ、その中からそれ以前の代表取締役と同じ者が代表取締役に選定された場合であれば、従前の取締役・代表取締役が引き続き取締役・代表取締役としての権利・義務を有する(会社法346条1項・351条1項)。このため、①の決議が遡及的に無効となっても、②の決議は瑕疵を帯びない。

 しかし、実際問題として、そのような場合は多くはないであろう。

 次に、取締役・代表取締役の職務執⾏代⾏者が選任されてその者によって②の総会が招集された場合やいわゆる全員出席総会において②の決議がされた場合があげられるが、これらに該当する事案も実際には少ないであろう。

 そうすると、残された唯⼀の方法は、少数株主が裁判所の許可を得て株主総会を招集して(会社法297条)②の決議をすることである。

 実際にも、この方法が実務では定着しつつあると⾒受けられる。この方法は、本来の少数株主による株主総会の招集制度の趣旨と異なる利用のされ方であるが、瑕疵の連鎖を肯定する解釈が最高裁の判例理論で確⽴した以上、やむをえない対処方法である。裁判所もこうした少数株主による株主総会の招集を許可しないわけにはいかないことになる。

第3 役員等の選任と解任

■■役員と会計監査人の選任と終任(解任を含む)
○概念=「役員」(会社法329条1項)とは、
・取締役  ・会計参与(実務ではほとんど置かれない)★ ・監査役 ・会計監査人は、役員ではない。 (注意)「執行役員」(実務上の概念)

○概念=「役員」(会社法423条1項)とは、役員+執行役会計監査人 (注)指名委員会等設置会社では、取締役のほかに執行役がいる。
○取締役=員数(人数)/任期/社外取締役(資格要件と設置強制)  ※独立(東証) ⇐社外取締役よりも狭い
○執行役(指名委員会等設置会社) ○会計参与 ○監査役 ○会計監査人

○選任(株主総会で選任する=定足数と多数決要件)/累積投票制度/その他
○終任事由=解任(「解任の訴え」という制度あり)/欠員が生じた場合

○その他(職務執行停止と職務代行者/選解任種類株式がある場合の例外)

取締役の解任に関する紛争の3類型
・解任議案の否決とは、株主総会の不開催や流会等の場合は含まれるか︖
・解任された取締役が損害賠償を取れる範囲は将来の報酬の全額か︖(会社法339条2項)

・解任の訴えの要件の時期は︖

   ↓

取締役の解任の訴え(上場会社等にもあてはまる)
・東京地判令和3年4月22⽇+東京高判令和3年11月17⽇⾦融商事判例1635号14頁(原判決取消し・訴え却下)
 取締役の任期満了により係属中の取締役解任の訴えの利益は失われるとされた。
 会社法854条1項に基づく役員(以下「取締役」の場合について述べる)の解任の訴えの要件は、①「不正の⾏為⼜は法令若しくは定款に違反する重大な事実があった」ことと、②「当該役員(取締役)を解任する旨の議案が株主総会において否決された」ことである(同規定)。この解任の訴えという制度は、解任の請求が認容されるための要件として①に加えて②が規定されている点において特徴がある。すなわち、解任議案の株主総会における否決ということがないと、解任の訴えは認められない。 問題となるのは、上記①の「不正の⾏為⼜は法令若しくは定款に違反する重大な事実(解任原因事実)があった」時期に時間的な制約はあるかという点である。とくに、問題となる取締役の任期が満了したが、株主総会においてその者が取締役に再任された場合については、どうか。

2025年11月10日 (月)

【建築・不動産】「マイホームづくりの強い味方」住宅品確法の軌跡と展望をWEBで受講しました😅

 住宅の品質確保の促進等に関する法律施行25周年記念事業実行委員会会主催・国土交通省後援のシンポジウム・「マイホームづくりの強い味方」住宅品確法の軌跡と展望にWEBで受講しました。 

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(高縄山登山道)
 まずは、記念講演として、和泉洋人東京大学特任教授です。
 2000年の住宅品確法施行から今年で25周年を迎えるところ、本法律は、欠陥住宅問題をはじめとする住宅トラブルが増加する中で、安心して良質な住宅を取得できるような住宅市場の条件整備が住宅政策上の重要な課題として挙げられたことを踏まえ、(1)新築住宅瑕疵担保期間10年の義務付け、(2)住宅性能表示制度の創設、(3)住宅紛争処理体制整備の3つを柱として制定されたものです。
 欠陥住宅問題への対策としては、1建築基準法による対応、これは主として事前担保措置になりますが、①中間検査制度の創設と強化(1998年、2006年改正)、②建築確認・検査体制の強化と厳格化(1998年、2006年改正)、③建築士等の業務の適正化と罰則の大幅な強化等(2006年改正)、そして、2住宅品確法による対応(1999年制定)、さらには、3特定住宅瑕疵担保責任履行法による対応(2007年制定)が挙げられます。
 そして、有識者によるパネルディスカッションが開催されました。
 品確法の役割、現状の評価、将来の展望等について議論されました。
(中澤芳樹氏)
 住宅性能評価25年の意義
 (1)画期的な視点
   ●住宅を建築物としてだけでなく、社会的な財産=商品として把握
   ●事業者と消費者の間の契約で瑕疵担保責任を位置付けた
 (2)消費者から高く評価されている点
   ●施工期間中の現場検査の実施
 (高木佳子氏)
 品確法の概要として3点があげられている。
 ①瑕疵担保責任の特例
 ②住宅性能表示制度の創設
 ③住宅にかかる紛争処理体制の整備
  この中でもっとも重要なものは、住宅性能表示制度の創設と考えている
   (1)建物の性能に関し、建物を構成する重要な項目を取り上げ、性能表示項目を設け、建物を消費者に見える化したこと(構造安全性、耐火性、断熱性等) 消費者教育の側面
   (2)住宅供給者(販売業者)にとっても、表示項目により建物を説明しやすくした
   (3)表示項目に等級を加えることにより、住宅を比較できるようにし、購入するときの目安を提示したこと
   (4)これらにより住宅マーケットに、住宅取得者と供給者双方に共通の尺度ができ、健全な市場の形成に役立つことになったこと

2025年11月 9日 (日)

【金融・企業法務】日弁連総合研修サイト やり直し会社法 会社法の制定と改正のポイント 第1回 設立と株式 (2024年)

 日弁連総合研修サイト やり直し会社法 会社法制定と改正のポイント 第1回 設立と株式  講師は、神田秀樹東京大学名誉教授です。 WEBで受講しました。4回連続の講座です。

 弁護士の方で受講の際の参考になればと思います😅

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(高縄寺)
第1は、会社法の総論です。
 ※会社法の歴史 平成13年改正以降とそれ以前とは内容に違いがある。
  平成13年改正(6月改正、11月改正、12月改正)
  平成14年改正
  平成15年改正
  平成16年改正
  平成17年会社法制定 ※歴史的な必然 ※歴史的な偶然
  平成26年改正
  令和元年改正 

 ※会社法の条文配置 改正前商法に比べると、条文の構造等を大幅に変更 

 ●体系(編・章立て等)を改正前商法から大幅に組み替えた。その際、株式会社の規定を持分会社の規定よりも先に配置し、また、とくに株式会社に関する諸規定については、簡素なものから複雑なものへという順序で条文を組み立てた。たとえば、機関設計がもっとも簡素な株式譲渡制限会社を条文配置上の出発点とし、あるいは株券不発行を条文配置上の出発点として、条文を組み立てたなど。会社法における条文の配列は、第1編総則(1条-24条)、第2編株式会社(25条-574条)、第3編持分会社(575条-675条)、第4編社債(676条-742条)、第5編組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転(743条-816条)、第6編外国会社(817条-823条)、第7編雑則(824条-959条)、第8編罰則(960条-979条)である。
 第1編と第4編以下は、株式会社と持分会社の両方に関する規定である。また、雑則には、解散命令等のほか、組織に関する訴え・責任追及等の訴え・役員解任の訴え等の訴訟、非訟、登記、公告に関する諸規定が置かれており、雑則といっても重要な事項が含まれていることに注意する
必要がある。
 ●多くの用語を定義し(会社法2条など)、また、条文の準用が極力少なくなるように条文を配置し記述した。もっとも、定義はすべて会社法2条に置かれているわけではないし、また、準用条文がなくなっているわけではない。
 ●多くの用語の変更がなされた。たとえば、「資本」が「資本金」に、「営業」が「事業」に変更されたなど。
 ●多くの事項が政省令にゆだねられた。政令への委任事項は約20、省令への委任事項は約300もある。
 ●以上の結果、会社法の条文を読んで具体的な事例にあてはめることは容易でない場合が少なくない。会社法のコード化(記号化)であるとか会社法の条文配置はジグソーパズルであるなどとの指摘もある。会社法の条文を読んでも具体的なイメージがわきにくいことが会社法の難点である。

 ※株式会社の5つの特質  出資者による所有 法人格 出資者の有限責任 出資者と業務執行者との制度的分離 出資持分(株式)の譲渡性

 ※株式会社の問題点 株主と経営者との利害調整 株主間の利害調整 株主と会社債権者との利害調整 ←利害調整の理念は?

 ※グローバルな視点からの評価 先進諸外国におけるここ20年ほどの会社法改正の2つの原動力

   ●IT革命とそれを主たる背景としてもたらされている各国の大企業間の競争の激化と各国の資本市場の規模の拡大、投資家の種類の変化

   ●会社法というものの役割についての認識の変化  

 ※小括 会社法改正の潮流

   ●会社法改正(とその背景)は世界共通の潮流

   ●問題のポイントは共通

   ●(問題への対処の)具体的な姿は国により異なる

   ●日本の特徴 考え方はいくつかに集約できる

第2は、設立です
  ※会社法での主な変更点
   ●最低資本金の廃止 起業を阻害する (ただし、分配規制に300万円確保との規制) ←事後的規制へ
   ●資本充実責任の廃止(ただし、平成26年改正で仮装出資の場合に一部復活)
第3は、株式です

2025年11月 8日 (土)

【消費者法】日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座~基本法編~第2回割賦販売法(2018年)をWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座~基本法編~第2回割賦販売法(2018年収録)をWEBで受講しました。 講師は塩地陽介弁護士です。

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(カナメノタニ)
第1 本講義の概要
  ※本講義では、主に
    契約書型クレジット=個別クレジット
    クレジットカード=包括クレジット
    についての消費者保護規程=民事ルールを中心に概説。 
  ※割賦販売法の章立て
    第3章 信用購入あっせん
     第1節 包括信用購入あっせん クレジットカード
     第2節 個別信用購入あっせん 契約書型クレジット
第2 割賦販売法上の契約類型
  ★信用購入あっせん ~いわゆるクレジット
   (典型例)
     ①消費者と販売業者間で売買契約
     ②信販会社が販売業者に代金を立替払い
     ③消費者は信販会社に対して代金を後払い(2ヶ月を超えて後払いする場合) ※翌月一括払い(マンスリークリア)は対象外
第3 クレジット被害とクレジットの仕組み
 1 典型的なクレジット被害
  (1)ココ山岡事件(5年後買戻し商法) ダイヤモンド販売会社のココ山岡は、90万円以上のダイヤモンドを買えば、5年後にはその販売価格で買い戻すという特約によって販売
  (2)訪問勧誘による次々リフォーム被害 リフォーム業者が高齢者等をターゲットにして訪問勧誘で必要のない高額なリフォーム工事契約を次々に締結し、その代金をクレジットで支払わせていたため、被害が高額化した
  (3)いわゆるサクラサイト被害 サクラサイトとは、サイト業者に雇われたサクラが異性、芸能人、社長、弁護士、占い師などのキャラクターになりすまして、消費者のさまざまな気持ちを利用してサイトに誘導して、メール交換等の有料サービスを利用させ、その都度に支払いを続けさせるサイトの総称 
     インターネット、スマートフォンの普及により、被害が拡大。利用料の支払いにはクレジットカードも多く利用されている。
 2 クレジットの仕組み
 (1)個別クレジット(契約書型クレジット)
   法2条4項、35条の3の2以下
 (2)包括クレジット(クレジットカード)
   法2条3項1号、2号、30条以下
   ①オンアス取引 →クレジットカード発行会社(イシュア)と加盟店契約者(アクワイアラー)が同じ会社である場合の取引
   ②ノンオンアス取引(オフアス取引) →イシュアとアクワイアラーが異なる会社である場合の取引
   ③決済代行業者(PSP)
     ※零細な店舗などは直接D(アクワイアラー)の加盟店になれない場合がある。B(販売業者)は、Dの加盟店であるE(決済代行業者)を通じて、クレジット決済を利用できるようになる。EはBのような加盟店である包括加盟店という立場。
   ④国際ブランド(ビザ、マスター、JCB等)
第4 救済手段(割賦販売法上の民事ルール等)
 1 個別クレジット被害の救済手段
   平成20年改正で、個別クレジットに関する消費者保護のための民事ルールを強化
   訪問販売等、特定商取引法が適用される契約での、個別クレジットを利用した悪質商法による被害の増加に対応
   法改正後は、個別クレジットを利用した悪質消費者被害は減少
  ① クーリング・オフ 法35条の3の10・11
    (要件)
    販売契約等の代金支払いに個別クレジットを利用
    販売契約等が特商法の訪問販売等の5類型に該当
     特商法の訪問販売等の5類型
      訪問販売(訪販)  営業所以外、キャッチセールス、アポイントメントセールス等
      電話勧誘販売(電話)
      特定継続的役務提供(特役) エステ、英会話教室等
      連鎖販売取引(連鎖)    マルチ商法
      業務提供誘引販売(業提)  内職商法
       なお、通信販売、訪問購入は対象外
     (行使期間) ※特商法のクーリング・オフ期間と同様
      契約書面または申込書面交付日(≠契約日)のいずれか早いほうから起算して、以下の日数。
      8日間(訪販・電話・特役)
      20日間(連鎖・業提) ※お金が稼げることが内容なので慎重に
      ※個別クレジット業者に書面交付義務あり ⇒不交付や書面不備の場合は、クーリング・オフ期間は進行しない。いつまでもクーリング・オフを行使できる。
     (行使方法)書面による通知(クレジット会社のみで可) 
   
  ② 過量販売解除権 法35条の3の12
     (要件)
      訪問販売で、通常必要とする分量を著しく超える商品等の販売契約を締結 ※特商法で販売契約の解除可能
      当該訪問販売の代金支払に個別クレジットを利用 ※販売業者・クレジット会社に適量性の認識は不要
     (行使期間)
      契約締結の日から1年間
     (行使方法)
      クレジット会社と販売業者の双方に通知
  ③ 不実告知等取消権 法35条の3の13以下
     (要件)
      販売契約等の代金支払いに個別クレジットを利用
      販売契約等が特商法の訪問販売等の5類型に該当
      販売契約において不実告知等の特商法上の取消事由が存在
        ※三面契約のクレジット契約においては、販売契約の瑕疵がただちにクレジット契約の瑕疵とはなるわけではない
        ※個別クレジット契約は販売業者がクレジット契約の締結を媒介するので媒介者の法理(CF消契法5条)により取消権を認めた
     (効果) ※原状回復=契約関係の巻き戻し
      消費者 ⇒個別クレジット業者に対する既払金返還請求権
      販売業者 ⇒個別クレジット業者に対する代金返還義務
      クレジット業者 ⇒消費者に対する代金請求禁止
     (行使期間)
      追認できるときから1年間
      個別クレジット契約締結から5年間
  ④ 消契法4条3項による個別クレジット契約の取消
     (要件)
      販売契約が消費者契約法4条3項に該当
      当該販売契約の支払に個別クレジットを利用
       ※消契法4条3項は、販売業者の不退去または退去妨害によって消費者が困惑して契約した場合の取消権
       ※販売契約が不退去または退去妨害によって困惑して締結された場合は、その代金支払いのための個別クレジット契約も同様に困惑して契約したことになるから、消契法4条3項の適用により取り消すことができる
       ※特商法の5類型に限らない = 店舗販売等でも適用あり
2 個別・包括クレジット被害共通の救済手段
 ◎抗弁対応 ※法30条の4(包括)、法35条の3の19(個別)
   (要件)
    販売契約についての抗弁事由の存在
    当該販売契約の代金の支払に信用購入あっせんを利用(契約書型・カード型を問わない)
     ※販売契約は特商法の訪販等5類型に限られない(店舗販売や通信販売でも可)
     ※個別クレジットだけでなく包括クレジット(クレジットカード)の場合でも適用あり
   (効果)
    消費者は、未払クレジット代金の支払拒絶ができる
    ※抗弁対応では、不実告知等取消権のように、クレジット会社に対する既払い金返還請求が認められるわけではない
    ※既払クレジット代金相当額は、販売業者に対して請求する必要がある(販売業者が倒産しているような場合は回収できず、消費者が損害を負担することになる)
    ※クレジット代金完済後に詐欺等が分かった場合で、販売業者が逃げてしまっている場合には、抗弁対応では不十分
3 包括クレジット被害の救済手段
 ★チャージバック(※割賦販売法上野制度ではない)
  消費者の申出により、イシュアーが、アクワイアラーに対して売上の取消を請求する。チャージバックリーズンに該当すれば売上が取り消され、消費者が支払いを免れる
  ※チャージバックリーズンは、国際ブランドごとに定められている
  ※盗難や紛失、不正使用等の場合は該当するが、詐欺取消(サクラメント、ワンクリック詐欺等)の場合は具体的な事情により該当しないこともある
4 一般条項
 ① 信義則違反・公序良俗違反
    販売業者が違法・不当な販売契約
     ⇒クレジット会社が知り又は知ることができたのに、漫然とクレジット契約を締結
     ⇒その代金を消費者に請求することは信義に反する
             ↓
      クレジット代金の支払拒絶、損害賠償請求
    クレジット契約自体が公序良俗に反して無効
             ↓
      クレジット代金の支払拒絶、既払金返還請求
 ② 共同不法行為
    販売業者が違法・不当な販売契約
     ⇒クレジット会社が知りながら、または、容易に知ることができたのに、クレジット契約を締結
     ⇒消費者に損害を発生させたりこれを助長させた
      クレジット会社と販売業者の共同不法行為が成立
第5 割賦販売法の適用対象外の取引
 1 マンスリークリア(2ヶ月以内の後払い)
   ※クレジットカードの取引の多くは翌月一括回払い
   ※抗弁対応も使えないため消費者保護にとって不十分
 2 指定権利制
   ※平成20年改正で指定商品・指定役務制は廃止されたが、指定権利制は存続している(エステ等7種類のみ)
 3 営業のために若しくは営業として締結するもの
   ※個人事業主がクレジット被害にあった場合
   ※事業者向けクレジット Cf リース契約
 4 自動車、飲食店、マッサージ等
   ※クーリング・オフや書面交付義務が適用除外

2025年11月 7日 (金)

【子ども】 日弁連総合研修サイト 少年事件における付添人活動~捜査段階から審判までを、WEBで受講しました😅

 日弁連総合研修サイトの講座を最近受講することが増えました。今回は、少年事件における付き添人活動~捜査段階から審判まで(2024年)です。

 講師は、井原綾子弁護士と川村百合弁護士です。

第1 少年事件における付添人活動~捜査段階から審判まで

 1 少年事件における弁護士の役割

  ⇒少年法の目的(少年法第1条) 少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う。

  ⇒少年に寄り添いながら非行の原因を探り、立ち直りに向けた方策を少年と共に考え、その手助けをしていくのが弁護士の役割

 2 2021年少年法改正の概要

  ★特定少年における検察官送致の特例 

   ⇒少年法第62条2項2号 いわゆる「原則逆送」対象事件の拡大(強盗、不同意性交、建造物等以外放火など)

    原則逆送の例外 「調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。」

    ※原則逆送事件において例外的に保護処分とするかどうかにあたって、犯行の「結果」も考慮要素に含まれることになった。犯情の幅が大きい事件において、犯情をどのように評価するかが、逆送するか否かの判断に影響すると考えられる

 3 捜査段階における弁護活動

①接見での注意事項及びポイント

  ※被疑事実の確認 ※要保護性を基礎づける事実の確認(少年の資質面、環境面) ※黙秘するかどうか ※少年との信頼関係をどう構築するか

②全件送致主義との関係

  ※不起訴という概念がなく、いずれにしても家裁送致され審判を受けることになる

  ※審判における処分の見通しや、要保護性との関係で調整が必要な事項など早期に判断して必要な活動の整理をしなくてはならない

伝聞法則が適用されないこととの関係

  ※成人の刑事事件と異なり、すべての記録が家裁送致後に裁判所の目に触れることとなる

  ※一方で、こちらで取得・作成した証拠についても、家裁送致後に特に制限なく裁判所に提出することができる。

④家裁送致日の確認、上申書要望書もしくは付添人選任届の準備

  ※検察官に家裁送致日を確認する

  ※(国選付添人対象事件の場合)上申書及び要望書の提出

  ※(国選付添人非対象事件の場合)付添人選任届及び日弁連少年保護事件援助申入書の準備

⑤観護措置回避活動について

  ※観護措置を回避すべき事案かの見極め

  ※家裁送致時における意見書提出の準備、裁判官面談など

 4 審判段階における付添人活動

①早期の記録閲覧及び謄写(前件がある場合は前件の社会記録の閲覧)

  ※事案の早期の把握と、見通しを正確に立てるため、家裁送致後は早急に法律記録を閲覧、謄写する(謄写は裁判所の許可が必要)

  ※前件の非行がある場合には、その際の社会記録も閲覧して情報収集する

②審判期日の調整、鑑別所での面会日程を調査官と調整

  ※家裁での少年審判の開廷日は固定されていることが多いので、家裁送致後すぐに審判期日の調整を行う必要がある。

  ※鑑別所での少年との面会につき調査官とタイミングが重ならないよう、双方の予定を調整しておくとよい

③非行事実に争いがある場合等は、非行事実に関する意見書の提出を検討

  ※非行事実に争いがある場合等(一部争っている場合や、犯情の評価が問題になる場合も含む)には、争点の明確化及び証拠調べの要否の検討のために、非行事実に関する意見書を早期に裁判所に提出することが多い。

④非行事実に争いがある場合等、審判の進行について裁判所と協議が必要な事件の場合は、早期に裁判所とカンファレンスの機会を持つ

  ※証拠調べが必要な事案等では、どのような証拠調べをするかや証拠調べ期日をいつにするかなどの調整が必要なので、早期に裁判所とカンファレンスが必要である

⑤調査官と早期に情報を共有し、裁判所の問題意識を把握する

  ※被疑者段階でこちらが得た情報についても、積極的に情報共有することで問題意識を共通のものにすることが重要

  ※調査官の問題意識や、少年の課題を聞くことで、環境調整などの活動に活かす

⑥記録の内容や調査官との情報共有の内容をもとに、審判結果の見通しを再度立てる

  ※逆送可能性はあるか、在宅か施設収容どちらの可能性が高いか、逆送可能性がある場合逆送回避のためには何が必要か、施設収容の可能性がある場合、保護観察や試験観察とするためには何が必要か、等の方針を整理する

⑦鑑別所での少年との面会

  ※非行の原因等を一緒に考え、これまでの生活やこれからの立て直しについて一緒に考えていく

  ※捜査段階で黙秘していた場合でも、家裁送致後は基本的には黙秘を解除することでよい

  ※審判結果の見通しをどこまで伝えるか(伝えないのか)

⑧事案に応じた環境調整活動

  ※社会復帰に向けた環境調整活動

  ※保護者(親)との関係調整、帰住先の確保、就業先の確保、学校との調整、通院先やカウンセリング先の確保など

  ※被害弁償、謝罪等の被害者対応  ⇐犯情を軽減する

⑨社会記録の閲覧

  ※鑑別結果通知書、少年調査票

  ※社会記録は閲覧のみ可能であり、謄写はできないのでメモを取る必要がある(特に逆送は詳細に)

  ※社会記録内の情報の中に、少年には知らせるべきでない情報があることもあるので慎重な対応が必要

⑩意見書作成及び提出

  ※大きく分けて、非行事実についての項目要保護性についての項目を記載する  ★犯情も忘れずに

  ※付添人なりの視点や、少年が付添人にのみ話した内容など、調査票には記載されないであろう内容を記載することを意識すると良い

  ※提出時期は、調査票が提出される前が望ましいが、場合によっては調査票提出後の提出となることもあり得る 

⑪審判への出席

  ※審判前に、審判の進行について裁判官とカンファレンスをして協議しておくとよい

  ※付添人からも必ず少年に質問し、少年が裁判官に伝えたいことが十分に話せる状況を作る

⑫抗告意思の確認

  ※審判後(場合によっては審判前にでも)に、早急に抗告意思を確認する(できれば施設に移送される前がよい)

  ※抗告する場合には、早急に決定書謄本の申請をする(1日でも早くとりつける)

  ※抗告申立書は、趣旨を明示して提出する必要があることに注意  ★2週間しかないので負担が大きい

 5 処分の種類

  ★不処分

  ★保護処分(保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設送致、少年院送致)

    特定少年が保護観察になる場合には、6ヶ月か2年(遵守事項違反は上限1年の範囲で少年院収容の期間を定める)を明示して意見書を作成

  ★児童福祉法の措置(児童相談所長送致)

  ★試験観察 ⇐少年に対する最終的な処分を留保して、相当の期間、少年の生活態度や行動等を調査官の観察に付する中間処分

     在宅試験観察と補導委託  ※試験観察中の調査官との役割分担

     ※試験観察中の再非行 どうするのか

 (補遺) 非行少年の特徴

     自尊感情が低い 自己評価が低い 成功体験がない 目標がない 意見表明の経験がない 仲間への依存

第2 活動にあたって悩ましいポイントについてのパネルディスカッション

 1 非行の背景、非行少年の特徴

 2 社会資源の開拓と試験観察

 3 裁判官と調査官とのカンファレンスのあり方

 4 原則黙秘

 5 特定少年の原則逆送 

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(燧灘)

2025年11月 6日 (木)

【消費者法】 日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座 分野別編 第3回 電子商取引における消費者トラブルについてをWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座分野別編第3回電子商取引における消費者トラブルについて(2022年)をWEBで受講しました。講師は、星源直子弁護士です。 

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(火災後の笠松山)

パート1 電子商取引とは

 1 電子商取引とは

 2 消費者向け電子商取引の特徴

 3 電子商取引に関する消費者事件での基本方針

    利用規約、補償制度の存在、交渉による解決が多い(判例が少ない)

     ⇒前例にとらわれず積極的な主張

パート2 総論ー各類型に共通のもの

 1 電子商取引及び情報財取引等に関する準則(経済産業省)

    ⇒全396頁 経済産業省が現行法の解釈についての1つの考え方を提示するもの 固い解釈であるが多様な論点が掲載されている

 2 契約の当事者

    ⇒相手方が事業者でないと、消費者保護のための法律は適用されない

    ⇒特定商取引法に基づく表記(同法11条)

    ⇒プロバイダ責任制限法の発信者情報の開示はできない

 3 契約の成立

    ⇒申込と申込の誘引(準則Ⅰ-1)

      インターネットのサイトは原則的には申込の誘引

      自動返信の注文受付メールも承諾に当たらない

    ⇒承諾通知の到達主義

      民法改正により一般の契約成立と同様になった

    ⇒規約の有効性(準則Ⅰー2-3)

     ①利用者がサイト利用規約の内容を事前に容易に確認できるよう適切にサイト利用規約のウェブサイドに掲載して開示されていること

     ②利用者が開示されているサイト利用規約に従い契約を締結することに同意していると認定できること

 4 未成年者

   準則(Ⅰー4)

    ⇒親権者の同意(民法5条1項)

      キャリア課金

    ⇒処分を許した財産(民法5条3項)

    ⇒詐術(民法21条)

      ※単に成年ですかとの問いにはいのボタンをクリックさせる場合 ⇒詐術に当たらない

      ※利用規約の一部に未成年者の場合は法定代理人の同意が必要ですと記載してあるのみである場合 ⇒詐術に当たらない

    ⇒取消後⇒現存利益の返還(データの消去)

    ⇒アップル、グーグル等との交渉 

 5 錯誤

   準則(Ⅰー1-2)

    ⇒民法95条

    ⇒電子消費者契約法3条(錯誤取消の特例措置)

      民法95条1項1号の錯誤(表示の錯誤。意図しない申込みや意図と異なる内容の申込み)の場合は、民法95条3項の重過失の規定が適用されず、消費者は重過失があったととしても、意思表示を取り消すことが出来る。操作ミス等による表示の錯誤を想定

    ⇒事業者側が、消費者の申込み内容等の意思を確認する措置を設けていない場合には、原則として、操作ミスによる契約は無効となる。

 6 消費者契約法・割賦販売法等

    ⇒最高裁平成29年1月24日判決 事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても、そのことから直ちにその働きかけが(消費者契約法)法12条12項1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできないというべきである。

パート3 各論ー紛争類型別の注意点

 1 ネット通販

   特商法取引の通信販売 ⇒ クーリングオフはできない

   ①法定返品権(特商法15条の3)

     ○広告上及び最終申込み画面における返品(不可)特約の表示が「容易に認識できる方法」でなされていれば特約は有効

     ○通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン

     ○商品、特定権利    ×役務は×(音楽配信、ゲームのアイテム)

     ○返品に関する送料は購入者負担

    詐欺的な定期購入

     ○定期購入でないと誤認させる表示によって申込をした場合に申込の取消が認められる(特商法15条の4)

     ○契約の解除の妨害に当たる行為の禁止(特商法13条の2)

   ②なりすまし(準則Ⅰ-3)

     原則 本人に効果帰属せず 例外 表見法理

     アカウントの無断利用 ID、パスワードが一致した場合には本人に効果帰属

    ※クレジットカード無断利用

       会員契約 ⇒以下の場合は補償されない ⅰ善管注意義務違反 ⅱ紛失盗難後速やかに届け出ない ⅲ家族同居人等の不正

            ⅳ 故意、重過失  等

       長崎地裁佐世保支部平成20年4月24日判決 会員に重過失がない場合は、責任を負わない

   ③インターネットショッピングモールの責任

     原則 責任を負わない 例外 名板貸、トラブル放置(準則Ⅰ-6)

     知財高裁平成24年2月14日判決 商標権侵害の事案

   ④補償制度

   ⑤取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(取引DPF法)

 2 ネットオークション・フリマサービス

   準則Ⅰー8-2、Ⅰー8-5

   ①消費者保護法規の適用の可否

      原則 消費者対消費者

      例外 営利の意思を持って反復継続して販売を行う場合は、法人個人を問わず事業者に該当

      インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン

   ②契約の成立時期

     ⇒利用契約による

         ヤフオク → お客様間の商品等の販売又は提供にかかる契約は、取引条件に関する双方の意思が合致したときに成立します

         メリカリ → 購入者が出品された特定の商品の購入完了手続をした時をもって当該商品の売買契約が成立したものとします

   ③ノークレーム・ノーリターン(準則Ⅰー84)

     担保責任免除特約(事業者であれば消費者契約法で無効)、返品(不可)特約

   ④サービス運営事業者の責任

     一定の注意義務がある 取引DPF法

   ⑤補償制度

     ヤフオク 決済完了から8日後~12日後の間に返金申請

     メルカリ 取引が完了するまで購入代金を預かる

 3 サクラメイト

   ⇒サイト業者に雇われたサクラが異性、芸能人、社長、弁護士、占い師などのキャラクターになりすまして、消費者のさまざま気持ちを利用し、サイトに誘導し、メール交換等の有料サービスを利用させ、その度に支払いを続けさせるサイト(国民生活センター)

   ⇒東京高裁平成25年6月19日判決 メールの不自然、不合理性からサイト業者の詐欺行為を認定

   ⇒直ちに交渉を開始する(※すぐにサイトが消える~)

   国際ロマンス詐欺

    SNSやマッチングアプリなどインターネットで知り合った外国人と親しく連絡をとりあううちに送金を迫られる(国民生活センタ-)

      送金の理由は渡航費や荷物を送る際の通関料など様々

      暗号資産で送金してしまった場合は、追跡が困難

 4 サススクリプション(サススク)

   ⇒サブスクリプションとは、定められた料金を定期的に支払うことにより、一定期間、商品やサービスを利用することができるサービスのこと

   ⇒解約しない限り、自動で更新される

   ⇒解約手続の際、登録情報が必要になる

 5 携帯電話・インターネット接続回線

   ⇒電気通信事業法の初期契約解除制度 書面での申し出が必要

   ⇒確認措置

 6 越境(海外)取引

   ⇒日本の消費者保護法規が適用される

   ⇒日本が管轄

   ⇒本当に海外の業者か?

   ⇒真に海外の業者であった場合 

 

2025年11月 5日 (水)

【子ども】 新少年事件実務ガイド(第4版) 続き

 昨日の続きです。付添人を依頼された弁護士は、「新少年事件実務ガイド(第4版)」は必ず読んでおかないといけない書籍の1つだと思います。

 P174 「保護者の審判出席は権利でもあり、調査官調査や審判への出頭は保護者の義務でもあります。いずれも、裁判所が保護者の監督意思・監督能力の有無および程度を見極める重要な場面です。付添人は、事前に調査官調査や審判が行われること、おおよその時期、それらの場で質問される事項、それに対する回答が持つ意味・効果などを説明しておきます」

 p229 「抗告する場合には2週間以内に具体的な抗告理由を明記した抗告申立書面を提出する必要があります。そのため、そのことも説明し、抗告するのであれば早めに付添人に連絡するように伝えます。また、施設収容保護処分の場合には、保護処分の決定後、数日中に少年が施設へ収容されてしまいますその際には、遠方の収容施設での面会になることもありますので、早めの結論と準備が求められます」

 P229 「とくに、抗告を検討している場合で示談が未成立のとkには、抗告にむけての示談を成立させておくことが考えられます」

 P230 「保護処分決定は、確定を待たずに執行されます。また、抗告申立てには執行停止効はありません。そのため、施設収容保護処分の審判決定がなされた場合には、抗告の有無にかかわらず、少年は、いつでも処遇施設へ収容される可能性があります」

 P233 「審判期日に決定書の交付申請書も用意しておき、決定後直ちに書記官に提出しましょう。とくに抗告について検討するときは、決定書を詳しく分析しなければなりません。そのため、書記官に対しその旨を伝えて早急に作成・交付するよう申入をします」

 P243「少年院は、従前、初等・中等・特別・医療の4種類に分類されていました。2014年に全面改定された新少年院法において、従来の初等中等が統合されて第1種少年院、特別が第2種少年院、医療が第3種少年院に変更されました。これらの少年院の標準的な矯正教育は2年以内ですが、第1種少年院では6ヶ月以内の期間で行う短期課程も実施されています。また、少年院で刑の執行を受ける16歳未満の少年受刑者の収容施設として、第4種少年院が加わりました。さらに、18歳以上の特定少年のうち2年間の保護観察に付された者に観察中の重大な遵守事項違反があった場合に、少年院に収容することができる制度が開始されたことから、遵守事項違反のあった特定少年を一定期間収容し、その特性に応じた処遇を行う第5種少年院が新たに設けられました。」

 P245「まず、第1種少年院には、6ヶ月以内の短期間の処遇とそれ以外の長期間の処遇があり、前者には6ヶ月以内の短期間処遇と4か月以内の特別短期期間処遇があります。6ヶ月以内の短期間処遇は、短期義務教育課程と短期社会適応過程に対応したもので、指導を実施するうえで基準期間は11周囲内です。」

 P247 「家庭裁判所は、保護処分として少年院送致を選択する場合には、送致すべき少年院の種類を指定して決定を行います。その際に、家庭裁判所は、少年の処遇に関し、少年院に勧告をすることができます。実務上、家庭裁判所は、収容すべき期間や処遇上の留意点などについて、少年鑑別所との事前協議を行った上で勧告しているようです」

 P283 「通常の刑事事件の控訴申立てと同様の対応をしてしまうと不適法になるからです。例えば、抗告申立書は、理由を具体的に記載して、2週間以内に提出しなければなりません。そのため、成人の刑事事件における控訴と同じ感覚で、抗告申立書に抗告の理由は追って申述すると記載したままで抗告期間を経過すると棄却されます。その他、審判時点では決定書が作成されていない場合が多いこと、施設収容保護処分の場合、少年との十分な時間回数の面会が困難になることなど、抗告申立書の作成に支障となる事情にも留意しなければ弁護活動が不十分なものになります」

 P285 「実務上、裁判官は決定をする時点では、まだ決定書を作成していないのが大半です。決定書が作成されるのは、決定からしばらく経ってからということも少なくありません。そこで、付添人としては、早急に決定書を作成するように求めるとともに、決定書の入手を待たずに、速やかに抗告申立書の作成に着手します」「少年と保護者から詳しく事情を聴くことも必要です。また、すぐに記録を閲覧謄写し、特に社会記録の閲覧では、少年調査票や鑑別結果通知書の処遇意見欄等の分析に着目して、保護処分の理由の把握に努めます」「少年事件の保護処分決定は、刑事事件と異なり、告知によって直ちに執行力を生じます。抗告を申し立てても、執行停止の効力はありません。そのため、例えば少年院送致決定の場合は、決定から2~4日程度で少年院に送致されてしまうことが通例です」

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(楢原山山頂)

 

2025年11月 4日 (火)

【子ども】 新少年事件実務ガイド(第4版)

 今年出版された新少年事件実務ガイド(第4版)」を購入しました。第3版からの愛読書ですが、今年第4版が出ていたようです。

 現在、家裁においても、裁量的に国選付添人がつけられることが増えており、よい傾向であるとは思いますが、見聞する限り、付添人としての自覚が不足されている方が家裁から選任されることもあるようです。

 確かに、本書P155によっても付添人活動は、①審判期日の決定ないし変更、②記録の閲覧、謄写、③少年との面会、④事件関係者との連絡、目撃者調査、現場見分などの事実調査、⑤親またはそれに代わる監督者との面接、⑥学校、勤務先との連絡・面接、⑦被害者対応、⑧鑑別技官との面接、⑨調査官との面接、⑩裁判官との面接、⑪証拠の提出、⑫意見書の提出、⑬審判への立会など広範囲になり負担が大きなものですが、若手を中心に付添人活動に熱心な弁護士は多いと思いますので、とりわけ国選事案においては、そういう弁護士が選任される仕組み作りが大切ではないかと思います。少なくとも、漫然と、大人の自白刑事事件と同様な対応ではあってはならないと思っています。

 少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に努められる弁護士である必要があります。

 さて、本書は旧版を含めて示唆のある指摘が多数あります。

 P39 「示談・被害回復の重要性 被害者のある犯罪で、非行事実に争いがない事件であれば、被害者に対する被害回復や示談が必要になります。少年の保護処分を決めるにあたっては示談の成否を重視する傾向にありますので、おそそかにせず十分な対応が必要です。また、被害者への謝罪を通じて少年の反省が促されるなど、更生につながる視点が必要です。単純に被害回復をして示談を成立させるだけでなく、少年と話し合いながら対応を進め、保護者らと協働して要保護性の減少につながるような活動が求められます」

 P83 「保護者から聴取し説明すべき事項 (1)自己紹介、弁護士の役割等の説明、(2)被疑事実・非行事実の聴取・説明、(3)少年の生活状況等の確認、(4)手続・見通し等の説明、(5)今後の打合せ等」

 P144「付添人活動をするうえで留意すべき点 少年審判においては予断排除原則が存在せず、裁判官はあらかじめ記録を検討し、非行事実の存否についても要保護性の有無や程度についても、事案に応じた一定の心証を形成したうえで審判期日に臨むことがほとんどです。そのため、少年審判に際しての付添人活動では、裁判官が心証を固めてしまう前にいかに付添人意見を理解させるかが勝負となりますので、審判期日に先立った活動が重要で、当日にはじめて付添人の意見を述べるのでは、遅きに失することになります。そこで付添人は審判期日前に、裁判官や調査官に対して積極的な活動を行うことに留意しましょう」

 P163 「社会記録については、現在は謄写が認められない運用になつています。謄写が認められない以上、付添人としては閲覧の際に丹念に読み込み、必要な箇所をメモしてくるほかありません。調査官や鑑別所がどの点を問題視し、どういう調査からどのような結論に至ったのか十分に把握しておくことは付添人活動に不可欠であり、必要に応じて説得的な反論を展開する前提となるからです。」

 

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(野田古墳1号)  

2025年11月 3日 (月)

【学校】小学校内で発生した傷害事故について、小学校で実施した調査がいじめ防止対策推進法28条1項所定の調査に該当しないと判断された事例 静岡地裁令和7年1月30日判決

 判例タイムズNo1536号で掲載された静岡地裁令和7年1月30日判決です。

 前提として、推進法28条調査を受ける利益が法律上保護される利益に当たるかが問題となりますが、静岡地裁はこれを認めました。

 その上で、28条調査を実施すべき義務違反の有無をめぐって、いかなる調査を行えば28条調査義務を履行したと認められるのかが問題となりました。

 静岡地裁は、調査の対象及び調査の方法に着目しました。

 まず、発生した当該重大事態にのみ着目した事実関係のみを調査するだけでは事案解明に足りず、当該重大事態発生の背景となる、過去から現在にかけて連続する関係児童等の人的関係をも明らかにするための調査を実施する必要があると判断しております。

 また、調査の方法についても、調査主体との人的関係や、質問方法によって生ずる影響を排すべきことなどを組織的に共有し、多角的な情報を収集すべきものと判断しております。

 そして、本件ケースでは、いずれも28条調査の履行が果たされたとはいえないとして、原告の請求を認めております

 

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(須賀神社)

2025年11月 2日 (日)

【労働・労災】 業務従事中に同僚に顔面を殴打されて生じた傷害について業務起因性を肯定した事例 名古屋地裁令和6年9月11日判決

 判例タイムズNo1536号で紹介された名古屋地裁令和6年9月11日判決です。

 解説がわかりやすいので解説を引用しながら考えてみたいと思います。

 業務起因性の枠組みについては、判例によれば、労災保険法に基づく保険給付は、労働者の業務上の疾病に関し行われるものであり、労働者の疾病を業務上のものである(業務起因性)と認めるためには、業務と疾病との間に相当因果関係が認められることが必要であり、また、その相当因果関係を認めるためには、当該疾病が当該業務に内在する危険が現実化したことによるものと認められることが必要であると解されています。

                         ↓

 他人の暴行等による負傷の場合の業務起因性については、行政通知ではありますが、「他人の恋に基づく暴行による負傷の取扱について」によれば、業務と他人の故意に基づく暴行による負傷との間の相当因果関係の判断について、「業務に従事している場合又は通勤途上である場合において被った負傷であって、他人の故意に基づく暴行によるものについては、当該故意が指摘怨恨に基づくもの、自招行為によるものその他明らかに業務に起因しないものを除き、業務に起因するまたは通勤によるものと推定することとする」としており、本判決も、同通知を参考にしつつ、業務起因性について判断しております。 

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(野田天満宮)
 労基は、労災を否定しましたが、裁判所は肯定しました。

2025年11月 1日 (土)

【離婚】 最近増えている相談 ズバリ  「共同親権主張したいのですが。」 「単独親権にならないんですか。」でしょう😅  

 このブログでも、このテーマは複数回紹介していると思います。今回は、「家庭の法と裁判」N058号の特別企画第1回目でこのテーマに関する論文が掲載されていましたので、紹介しますね。

 簡単にいえば、裁判所において親権を定める場合には、必要的単独親権事由が認められれば、単独親権と定められます。

 必要的単独親権が認められない場合には、①「父母と子との関係」、②「父と母との関係」、③「その他一切の事情」を総合考慮の上、共同親権か単独親権のいずれかかを定めることになりますが、事案によっては、必要的単独親権事由の有無を検討するまでもなく、新民法819条7項柱書前段の総合考慮に基づき、単独親権と定めることもあり得ると考えられます。

 必要的単独親権事由としては、1号は「父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき」と定められています。典型例としては、子に対する虐待のおそれがある場合ですが、それ以外にも、親権喪失や停止事由に該当する場合が挙げられています。

 2号は「父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき」と定められています。典型例としては、DVが挙げられています。それ以外にも、虚言や重大な約束違反を栗真エス、人格を否定する言動を執拗に繰り返すことが挙げられています。

 1号や2号がない場合には、先ほどの①②③を総合考慮することになります。

 ①は口論を繰り返していたり養育費を支払う等親の責務をはたしているか等の事情が挙げられています

 ②は文字どおりですが、親権の共同行使のために最低限必要な意思疎通ができる関係にあれば足りると考えられています。

 さて、「新民法の下で共同親権を定める場合は、親権者と定められることは必ずしも子と同居することを意味するものではなく、子の居所が監護の在り方は、別個に検討されることとなる点に留意をする必要がある」(P5)と説明されています。

 そうなると、共同親権の場合には、監護権者の指定が重要になるのだなと考えていました。

 ただ、P18を読むと必ずしもそのようでもないようです。

 P18では、「③離婚訴訟において、父母の一方又は双方から、親権者の指定(単独親権又は共同親権)とともに、監護者指定等を定める旨の附帯処分の申立てがされる場合が想定される。」と書かれています。

 そうですね。

 しかし、P18では、続いて、「③の場面においては、現行民法下では、子の最善の利益の観点から、親権と監護権を分属させることはほとんどなかったところ、共同親権が認められた新民法したにおいても、一方の親を単独親権者としつつ、他方の親を監護者とすることは通常考え難い」、「③の場合において監護者の定めについて検討する余地があるのは、共同親権者とする場合に限られると思われる」、「共同親権者としながら、一方の親を監護者と指定し、子の監護教育などに関する包括的・優先的な権限を与えるべき事案は多くない」、「また、共同親権としつつ、監護教育等について何らかの定めをする場合であっても、特定の事項に関する親権行使者の指定や監護の分掌では足りず、監護者を指定する必要があるかといった観点から個別具体的な事情を踏まえて慎重に検討する必要があろう」と説明されています。

 よくよく考えると、共同親権としながら、監護者を定めてしまうと、共同親権とした意味の大半を没却してしまうことになりますね😅

 

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(笠松山)

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