【金融・企業法務】 第1章 上場会社法の特徴
有斐閣から先月20日に出版された「上場会社法概説」を購読しました。
基本的にはインハウスロイヤー等を目指す学部生・法科大学院生、若手の法務担当者向けのものとなっておりますが、地方の田舎弁護士にとっては、ちょうどよい程度の読み物となっております😅

(笠松山の栗)
第1章は、上場会社法の特徴です。
まず、上場の目的・機能についてです。
言わずと知れた①多数の投資者からの大規模な資金調達をしやすくなること、②会社の社会的信用力と知名度向上のメリットです。
ただ、①の点って、昔から新株発行でもしない限り1時的なものじゃないかと思っていました。その点を気にしながら読むと、「非上場会社と比べると、上場会社は、新株発行によって資金調達をしやすいといえる」と説明されていました。
他方、コストとしては、規制を遵守するために書類を作成したりすることにかかる人件費等の直接的なコストや、規制があるなかでプロジェクトの実施を断念したりするといった機会損失的な間接的なコストの両方が含まれると指摘されています。
上場すると、カリスマ的な経営者がいる同族会社と異なり、手順を踏んでいかないといけないので、機会損失というのはあるのではないかと思いますし、大胆な経営がしにくいということもあるかもしれません。これって、国家でいうと、ローマの共和制がいいのか、それとも、有能な皇帝に率いられる帝政がいいのかという議論に似ていますね。確か、銀河英雄伝説で、ヤンウェンリーの名言もあったように思います。
次に上場会社に適用されるルールを簡単に説明しています。
第1に、金商法の諸規制が適用されます。情報開示規制として、たとえば、上場会社は、有価証券報告書を毎年提出しなければなりません。コーポレート・ガバナンスにかかわる規制として、大量保有報告制度、公開買付制度、委任状勧誘にかかる規制、インサイダー取引規制、相場操縦規制もあります。それ以外にも、金融庁の解釈を示した、企業内容等開示ガイドライン等も重要です。
第2に、上場規則です。上場基準を定めたり、企業行動規範を定めたり、CGコードも定めています。
さらに、株式所有の構造の違いに応じて、課題が異なります。分散所有型は、株主による経営者の監督は基本的には期待できないために、経営者の監督を制度としてどのように確保するかという点が問題となります。他方、支配株主型は、少数株主の不利益のもとで、支配株主の利益となるような行為が行われるおそれにいかに対処するかという点になります。
加えて、株価の存在については、①会社の業績を示す重要な指標として取り扱われます。また、②投資者保護の観点からも重要であり、金商法は株価の価格形成の公正さを確保するための規律をすることによって資本市場のインフラを整備しています。
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