【消費者法】 日弁連総合研修サイト 消費者問題に関する連続講座 基本法編 第1回消費者契約法 (2018年)
少し古い収録(2018年)ですが、日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座基本法編第1回消費者契約法(山本健司弁護士)をWEB受講しました。
以前はこの研修サイトを受講するのは有料でしたが、現在は日弁連会員であれば無料で開放されています。実務的な視点での解説ですので、田舎弁護士にとっても勉強になります。
第1 消費者契約法とは
Ⅰ 消費者契約法に関する民事ルールの構造
1 消費者契約に関する民事ルールの構造
【1階】 民法(錯誤、詐欺、公序良俗、不法行為等) 全ての契約に適用
【2階】 消費者契約法(不当勧誘規制、不当条項規制) 全ての消費者契約に適用
【3階】 業法の私法実体規定(特商法のクーリング・オフ規定、中途解約権規定など) 一部の消費者契約に適用
Ⅱ 制定と改正の経緯(実体法部分)(※2018年まで)
2000年4月 消費者契約法の成立 ⇒2001年4月施行
2016年 平成28年改正
2018年 平成30年改正
第2 消費者契約法の内容
Ⅰ 総論
1 適用対象 消費者契約=事業者・消費者間の契約(2条3項)
2 努力義務 (1)事業者の努力義務(3条1項) (2)消費者の努力義務(3条2項)
Ⅱ 不当勧誘行為規制 平成30年9月時点
1 消費者取消権の概要 ※取消は3つ(誤認、困惑、過量)あるんだね
(1)誤認取消 ①不実告知(4条1項1号、5項)、②断定的判断の提供(4条1項2号)、③不利益事実の不告知(4条2項、5項)
(2)困惑取消 ①不退去(4条3項1号)、②退去妨害(4条3項2号)
(3)適量契約取消(4条4項)
(4)その余の規定
2 誤認取消(4条1項、2項、5項) ※ケースが3つ(不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知)あるんだね
(1)不実告知(4条1項1号、5項)
【要件】①消費者契約の勧誘をするに際して ②事業者の重要事実に関する不実告知(※民法上の詐欺とは異なり、故意等は不要なんだね) ③消費者の誤認+意思表示
【論点】
(ア)勧誘に際しの意義 個々の消費者に向けられた個別勧誘行為でなければならないか、不特定多数に向けられた行為(広告、チラシ等)も含まれるか
⇒最判平成29年1月24日は後者の見解で判示
(イ)重要事項(4条5項)
①契約目的の質や内容(1号)
②契約目的の対価や取引条件(2号)
③契約目的が当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要と判断される事情(3号)(※動機部分に関する不実告知なんだね シロアリがいないのにシロアリがいると言った場合)(※不利益事実の不告知は、③は除かれているよ)(※消費者が得られるはずの利益を逃がさないように契約を締結している事案も損害または危険を回避するためのという要件を満たすと消費者庁は解説しているんだね)
(2)断定的判断の提供(4条1項2号)
【要件】 ①消費者契約の勧誘をするに際し ②契約目的(権利等)に関し、将来におけるその価格、受け取るべき金額、その他の将来における変動が不確実な事項に関する断定的判断の提供(※消費者の財産上の利得に関するもので将来を見通すことが困難なものと解説されているんだね。そのため、裁判例では、パチンコ攻略法は肯定したけど、有名校に合格できるという説明は否定しているんだね) ③消費者の誤認+意思表示
(3)不利益事実の不告知(4条2項、5項)
【要件】①消費者契約の勧誘をするに際し ②事業者の重要事項に関する利益の告知(先行行為) ③事業者に故意または重過失による不利益事実の不告知(※以前は故意のみだったんだけど、例えば日照良好と説明しつつ、隣地にマンションが建つことを故意に告げず、マンションを販売、その後、事業者は建築予定とは知らなかったと弁明した場合に、故意の立証が難しいため、平成30年改正で重過失も含むようになったんだね)④消費者の誤認+意思表示
3 困惑取消(4条3項1号・2号)
【要件】①消費者契約の勧誘をするに際して ②事業者の不退去または退去妨害(※平成30年改正で、非身体高速型の婚額惹起行為2類型を追加されたんだね) ③消費者の困惑+意思表示
4 適量契約取消(4条4項)
【要件】 ①消費者契約の勧誘をするに際し ②過量な内容の消費者契約であること(※次々販売も含むんだね) ③事業者が過量性を認識しながら勧誘したこと ④消費者の意思表示
5 平成30年改正で追加される6つの困惑取消
(1)不安をあおる告知
※「社会生活上の経験が乏しいことから」の要件が問題となっているんだね 高齢者や中高年は?
(2)高齢者等の不安をあおる告知
※(1)と重畳的に適用されるんだね
※「判断力の著しい低下」は、厳格には解釈運用されるべき要件ではないんだね
(3)霊感等で不安をあおる告知
※(1)と重畳的に適用されるんだね
(4)人間関係の濫用
※想定されていた典型事案は、被害者の中心が30~40代の女性という婚活サイトを悪用した投資用マンション販売事案 ま た、高齢者に対する依存関係の濫用(いわゆる親切事案)も救済対象として想定されていた。
※恋愛感情は例示 親子のような感情、友人関係など、恋愛感情に準じるような親密な感情であれば足りる
(5)契約前の債務の実施
※具体例としては、事業者が、注文を受ける前に、消費者の自宅の物干し台の寸法に合わせてさお竹を切断し、代金を請求した、これにより困惑した消費者がさお竹を注文することにし、代金を支払った
(6)契約前行為の損失補償請求等の告知
※具体例としては、電話勧誘で会って話だけでも聞いてというので、会って話を聞いて契約を断ったところ、わざわざ他県から来た、契約しないのなら交通費を支払え等と請求されたため消費者が困惑して契約してしまった
6 その他の規定
(1)媒介委託者による勧誘(5条)
(2)消費者取消権の効果(6条の2) ※原状回復義務は現存利益に限られる
(3)消費者取消権の行使期間(7条) ※追認出来るときから1年 契約締結時から5年
Ⅲ 不当条項規制
(平成30年9月時点)
(1)事業者の損害賠償責任を免除する条項の無効(8条)
※具体的には5つあるんだね(今は、4つだけ 民法の改正で瑕疵担保責任がなくなったので、1号2号に吸収されるんだね)
※軽過失一部免責条項は、10条(一般規定)の審査の対象になるんだね
(2)消費者の解除権を放棄させる条項の無効(8条の2)
(3)消費者の過大な損害賠償責任を定める条項の無効(9条)
ア 9条1号 平均的な損害 「同一事業者が締結する多数の同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額という趣旨(消費者庁解説)
イ 9号2号 年14.6%を超えるのは無効
(4)消費者の利益を一方的に害する条項の無効(10条)
【判断基準】
①問題の条項が存在しない場合(=原則的な権利義務状態)と比較して、当該条項が当該消費者の権利を制限し、又は、義務を加重していること
②当該契約条項の規定内容が、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものと評価できること
②⇒当該条項によって消費者が受ける不利益とその条項が無効となることによって事業者が被る不利益とを衡量し、両者が均衡を失していると認められる場合に当該条項は無効となる
効果 当該契約条項は無効 無効となった部分は任意規定など原則的な権利義務関係で充当される
(平成30年改正)
ア 消費者の後見等を理由とする解除条項の無効(8条の3)
具体例 賃借人(消費者)が成年被後見人になつた場合、直ちに賃貸人(事業者)は賃貸借契約を解除できる
イ 事業者が自分の責任を自ら決める条項の無効(8条、8条の2)
具体例 当社が過失があることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとする
Ⅳ 消費者団体訴訟制度
内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者に代わって事業者に対して訴訟等をすることができる制度
差止請求
被害回復 ※消費者裁判手続特例法
★消費者契約法の全体がわかる解説でした😅
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