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2025年10月 7日 (火)

【刑事】 刑法概説 河村博著

 久しぶりに刑法の体系書を斜め読みしました😅

 刑法概説 河村博著です。高検の検事長まで務められました弁護士さんです。

 いくつか気になったところを拾い上げます。

 第1は、「別居中の妻が監護養育する幼児を病院から連れ去った事案について最決平成15年3月18日」が紹介されていました(P232)。この記載は他にもあり、例えば、「逆に保護者も他のホ義者(例えば別居中の共同親権者)との関係で拐取の犯人となることがある(最決平成15年3月18日、最決平成17年12月6日)が紹介されており(P227)、また、夫婦など家族間での子どもの略取誘拐につき、犯行態様等諸般の事情から社会通念上許容されるか否かを判断した最決平成15年3月18日、同平成17年12月6日が紹介されています(P73)。

 本書では紹介されていませんが、数年前には、離婚係争中で別居している妻と暮らす長男(当時4歳)を約1か月間自宅に連れ去ったとして、未成年者誘拐罪に問われた福岡県内の会社員男性の被告(40歳代)に対し、福岡地裁は5日、懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)の判決を言い渡したケースもあります。

 犯罪の構成要件を十分に検討することなく、連れ去りをアドバイスをするような弁護士が仮にいるのであれば、相談者を犯罪者にしてしまうかもしれませんので、慎重な検討が必要です。

 第2は、傷害罪の解説で、「極めて短時間で治癒するもの、被害者も自覚しないもの、キスマークなど軽微なものについては、日常生活上看過されるものとして、傷害に当たらないとする下級審裁判例が少なからず存することに注意が必要である」(P178)を説明されています。

 第3は、窃盗罪の解説で、「銀行などの自動支払装置(ATM)からキャッシュカードを用いて現金を引き出すのは、他人を欺罔したり他人から処分を受けたわけではないので、これも窃盗である。」(P285)と説明されています。

 第4は、「例えば親族のキャッシュカードを不正に使用して、その口座から自己の口座に振込を行った場合には、ATM機から現金を引き出した場合、あるいは、窃取した通帳と印鑑を用いて現金を引き出す場合と同様に、仕向銀行あるいは被仕向銀行も被害者と考えるべきものと思われ、親族相盗例の規定は準用されない」(P331)と説明されています。 

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(東京都現代美術館)

 

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