【金融・企業法務】 上場会社法概説 第4章 コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方 後半
有斐閣上場会社法概説の続きです😅
今回は、第4章コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方後半として、「エージェンシー問題とコーポレート・ガバナンス」です。
エージェンシー問題って、田中亘東大教授の授業を聞いたときに初めて知った用語でした。このときは???でしたが、今回本書を読んでよくわかりました。
プリンシパルとエージェントの利害が一致しないこと(目的の不一致)から生じる経済学的問題をエージェンシー問題と言っています。
株主は、株主利益を最大化するよう取締役に経営を依頼するとすれば、株主がプリンシパルであり、取締役がエージェントということになります。
しかしながら、取締役にとって、株主の利益はしょせんは他人の利益であり、取締役は事故の利益を追求するのが経済合理的です。
また、取締役は自己の行動についての情報は持っているのに対し、株主はその情報を持っていません。このように当事者の間で情報の偏在があることを情報の非対称性と言っています。この状況において、エージェントの行動はプリンシパルにとって「隠れた行動」になります。取締役は、経営の努力を怠って自己の利益を追求する動機を有することになるからです。
エージェンシー問題をどのようにしたら解決・改善できるだろうかというのが今回のテーマです。
1つめは、株主が取締役を直接的に監督すればよいというように思われます。
しかし、特に分散所有型の会社では、株主の合理的無関心のせいで、本来であれば有益な株主による監督行動が行われないという集合行為問題が生じます。
2つめは、報酬による動機付けで、役員報酬を例えば業績連動型報酬とすれば、取締役が自発的に株主の利益にそった経営をするように動議付けることができます。
3つめは、取締役会が経営者から独立性のある社外取締役中心に構成されていれば、取締役会による経営者の監督が期待できることになります。
4つめが、支配株主がいる場合には、支配株主は集合行為問題から自由ですから、取締役を監督することが期待できます。しかし、少数株主と支配株主との利害対立という別の問題の源泉が生じてしまうことになります。
5つめが、機関投資家による監督です。フリーライダー問題のため解決として有意義ではないとされていますが、他方で、SSコードにおいて適切なスチュワードシップ活動を行っているかどうかが投資運用の業績に影響がでるために、フリーライダー問題の改善を図ることができます。
6つめが、アクティビストによる監督です。株主アクティビストは合理的無関心と無縁であり、また、昨今のアクティビストの提案は合理的な内容のものも増えているために、その活動はエージェンシー問題の解決策となります。
7つめが、債権者による監督ですが、債権者は、株主利益最大化原則とは異なる目的での監督を行うため、エージェンシー問題の解決策にはならないとされています。
いや、勉強になりました😅
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