【金融・企業法務】上場会社法 第4章 コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方 前半
上場会社法第4章コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方(前半)です。
第1に、上場企業のコーポレート・ガバナンスに関する規律の全体像は、会社法のほか、金商法、上場規則、SSコード、CGコード等が重要です。
まず、金商法におけるコーポレート・ガバナンスに関するルールとしては、①委任状勧誘規則(金商法194条)、②大量保有報告制度(金商法27条の23以下)及び公開買付(金商法27条の2以下)、③情報開示規制(金商法2条の3以下)、④インサイダー取引規制(金商法166条以下)などがあります。
次に、上場規則です。上場規則にも、コーポレート・ガバナンスに関する規律があります。すなわち、東証の定める有価証券上場規程432条以下では、企業行動規範を定めています。
また、SSコード(2014年、17年、20年、25年)は、金融庁に設置された日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会によって策定されたものです。SSコードは、機関投資家に対する起案で蟻、8つの原則によって構成されています。そこでは、機関投資家が、投資先企業の企業価値向上や持続的成長を促すことにより、機関投資家の顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任(スチュワードシップ責任)を果たすことが求められています。SSコードは、機関投資家がこれを受け入れるかどうかを自由に判断できるものであって、法的な強制力はありません。しかし、その内容は合理的であるし、また、SSコードを受け容れている機関投資家には投資資金が集まりやすいこともあり、多くの機関投資家がこれを受け入れています。その結果、上場会社には、SSコードの影響による機関投資家からの厳しいプレッシャーがかかるようになつています。
最後に、CGコード(2015年、18年、21年)です。これも上場規則の1つです。5つの章で構成されています。①株主の権利・平等性の確保、②株主以外のステークホルダーとの適切な協働、③適切な情報開示と透明性の確保、④取締役会等の責務、⑤株主との対話です。このコードは、規制当局に向けてのものではなく、株主・投資家に向けて行うものです。各原則を遵守しない上場会社の評価は、マーケットに委ねることになります。
第2に、株主利益最大化原則とステークホルダー論です。
これは、会社には様々な利害関係者がいる中で、取締役が会社に対して義務を負っている場合、具体的に誰の利益を考えて行動することが求められているのかという論点です。
会社法上の通説は、株主の長期的な利益を最大にすることが取締役の義務であると考える立場です。取締役に期待されることの基本は、継続企業価値を増加させるように行動することです(パイの増大)。そして、資本コストを上回る利益を上げる経営をすることが株主の基本的な期待であるとしております。
これに対して、株主も債権者も含めた全ての利害関係人の利益に配慮しなければならないとするステークホルダー論というものがありますが、これは、判断基準としては明確ではないという批判があります。
最近の議論として、サステナビリティ経営と株主利益最大化原則はどのような関係に立つのかという議論があります。
1つの整理として、サステナビリティ経営をすることは、まさに株主利益最大化原則によっても求められることであるという整理があります。
しかし、サステナビリティ経営として考慮される要素のすべてが、会社の評判や企業価値と結びつくとは言い切れないので、この整理だけでは不十分であると言われています。
最近のコーポレート・ガバナンス改革の方向性として、日本の会社の多くに資本収益性や成長性の課題があると言われています。2023年3月31日に、東証は、プライム市場とスタンダード市場の上場会社に向けて、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」ど題する要請をしています。資本収益性や市場評価に関して改善に向けた方針や具体的な目標を投資家にわかりやすい形で示すことが要請されています。
よくある指数としては、ROEやPBRです。PBRが1倍を下回る会社は、課題があるとされています。
しかし、有斐閣上場会社法って、わかりやすいです😅
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