【消費者法】 日弁連総合研修サイト消費者契約法第3次改正の概要(2022年5月改正)をWEBで受講しました。
日弁連総合研修サイト消費者契約法第3次改正の概要(2022年5月改正)をWEBで受講しました。講師は、平野嘉晃弁護士です。
第1 改正の経緯
2000年 消費者契約法成立
2016年 改正法(第1次)
2018年 改正法(第2次) 附帯決議
2022年 改正法(第3次)
第2 第3次改正の内容
1 契約の取消権の追加
(1)勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘する(第4条第3項第3号)
【要件】
①当該消費者契約の締結について勧誘することを告げずに
※契約類型毎にみて、事前に(移動前に)不意打ち的な事態が解消される程度に勧誘を受ける契約の内容の詳細が明らかにされていることが必要である
②当該消費者が任意に退去することが困難な場所であること
※物理的だけでなく、心理的にみても退去困難である場合も考えられる
③②を知りながら
④当該消費者をその場所に同行し
※消費者を移動させるという事業者の行為態様があれば、この要件に該当する
※同行しについては、移動先への案内行為があれば足りる
⑤その場所において当該消費者契約の締結について勧誘すること
(2)威迫する言動を交え相談の連絡を妨害する
※検討会報告書では、心理状態に着目した規定について、消費者に慎重な検討をさせないように仕向ける等の問題に着目した方向性が示された。検討会報告書を基礎として、威迫する言動を交えて相談の連絡を妨害した場合の取消権を困惑類型として追加することとした。
【要件】
①「当該消費者が当該消費者契約の締結の勧誘を受けている場所において、当該消費者が当該消費契約を締結するか否かについて相談を行うために電話その他の内閣府令で定める方法によって当該事業者以外の者と連絡する旨の意思を示した」
※消費者を移動させることは本号では予定されていないんだね
※相談を行う方法は、連絡する方法として通常想定されるものでいいんだね
※連絡をする旨の意思を示したとは、黙示的な示し方でもいいんだね
②「にもかかわらず、威迫する言動を交えて、当該消費者が当該方法によって連絡することを妨げる」
※威迫する言動とは、畏怖、恐怖心を生じさせる強迫(民96条1項)とは異なり、不安や戸惑いを感じさせる言動で足りる
(3)契約前に目的物の現状を変更し原状回復を著しく困難にする
※債務の履行以外でも、取り消しができるように修正したものである
2 解約料の説明に関する規定
(1)消費者に対し算定根拠の概要の説明
第9条第2項
【要件】
①当該消費者から説明を求められたとき
②算定根拠の概要
⇒具体的数字を用いた説明がどこまで必要かについては、一般消費者が主体の場合は、適格消費者団体が主体となる場合と比較して、秘密保持義務の有無、具体的数字を理解する相応の専門性等の専門性等の相違があることから必ずしも必須とはしていない。その意味で、本項では概要としている。しかし、算定の根拠の説明は、数字を抜きにしてはなしえない場合もあり、その場合には数字の説明も求められる。
(2)適格消費者団体に対し算定根拠の説明
第12条の4
検討会報告書では、利用主体を、適格消費者団体等に限定する代わりに、粗利益、原価、再販率等といった類型の営業秘密については、それが平均的な損害の額を算出するにあたって必要であれば、適格消費者団体に開示されることが予定されている
【要件】
①平均的な損害の額を超えると疑うに足りる相当な理由があるとき
※例として、当該事業者の同業他社と比較して違約金等が高額である場合
②内閣府令で定めるところにより、当該条項を定める事業者に対し、その理由を示して
※内閣府令第1条の4
③損害賠償の額の予定又は違約金の算定の根拠
1.違約金等の算定の根拠とは、事業者が算定に際して、①考慮した事項・要素、②これらを考慮したことの合理的根拠、③使用した算定式、④その算定式の合理的根拠、⑤金額が適正であると考えた合理的理由等を意味する
2.①の考慮した事項・要素としては、当該消費者契約における承認・権利・役務等の性質、解除の時期、解除の事由・事情、消費者契約の代替可能性、費用の回復可能性などがある。
3.①考慮した事項・要素あるいは③使用した算定式の内容や合理的根拠の説明に際して、粗利率、原価、再販率等の具体的数字が必要な場合には、その数字についても説明することが、合理的理由の説明のために必要になると考えられる。
【例外要件】 営業秘密が含まれる場合その他の正当な理由がある場合
※粗利率、原価、再販率等と言った類型の営業秘密については、形式上営業秘密には該当するとしても、違約金の算定の根拠にした以上は、正当な理由がある場合に該当しないと考えるべきである。
3 免責の範囲が不明な条項の無効
法第8条第3項
※平成30年改正によって、事業者は、消費者にとって消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ消費者にとって平易な契約条項を作成するよう配慮する努力義務を負うこととされた(第3条第1項第1号)。しかし、事業者の損害賠償責任に関して「法律上許される限り賠償限度額を10万円とする」のように、いわゆるサルベージ条項の使用例が後が絶たない。そこで、第3条第1項第1号の内容を、事業者の損害賠償責任に限定してではあるが、禁止規定として、格上げしたものが本規定である。
※軽過失の場合に限定した条項であることが、読み取れない条項が、本項で無効となる。
4 事業者の努力義務の追加
※努力義務であっても法的義務であるため、努力すらせず放置している場合には、法的義務違反となり、民法の信義則あるいは709条の不法行為を媒介して、義務違反に対して法的効果を認めることは可能 ※なるほど
(1)一般(①契約締結の勧誘時に関するもの、②解除時に関するもの)
①契約締結の勧誘時に関するもの
※第3条第1項第2号
⇒ 事業者が知ることができた 年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮
※第3条第1項第3号
定型約款の表示請求権に関する情報提供の努力義務
②解除時に関するもの
※第3条第1項第4号
解除権の行使に必要な必要情報提供の努力義務
【要件】
①消費者の求めに応じて
②消費者契約により定められた当該消費者が有する解除権
③解除権の行使に関して必要な情報
(2)差止請求等に係るもの(①消費者契約の条項の開示要請、②差止請求に係る講じた措置の開示請求)
①消費者契約の条項の開示要請 第12条の3
②差止請求に係る講じた措置の開示請求 第12条の5
第3 検討会報告書の内容(上記以外の法制化に至らなかったもの)
1 消費者の判断力に着目した規定
2 不当条項の追加
(1)所有権等を放棄するものとみなす条項
※建物賃貸借契約において所有権等を放棄するものとみなす条項については、10条に該当すると判示する最高裁判例がある(最判令和4年12月12日) ※しらなかった。。。
(2)消費者の解除権に行使を制限する条項
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