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2025年10月

2025年10月31日 (金)

【学校】 全国Town&Gown 構想推進協議会 スマート社会産官学民協働まちづくりフォーラム2025に、参加しました😅

 全国Town&Gown 構想推進協議会主催の スマート社会 産官学民協働まちづくりフォーラム2025に参加しました。

 第1日目は、仁科弘重愛媛大学学長の開会挨拶から始まり、キーノートスピーチとして地域大学振興の取組の方向性とTown&Gown構想推進への期待として文科省室長の方が講演、基調講演は、北海道大学におけるサステナビリティへの取組として根本和宜北大教授が担当され、途中、徳永繁樹今治市長が挨拶され、最後は、今治市における海事エコサイクル形成の取組として松下正史愛媛大学教授がご講演されました。

 その後は、ウェルカムレセプションで、全国の有識者や実務家の方々とお話をさせていただきました😅

 20251024_172344                             (徳永市長挨拶)

 最近、今治ですが、活気のあるお話が増えたように思います。

 頑張れ イマバリ (^o^)

 

2025年10月30日 (木)

【相続】 死亡前の預金口座からの出金

 判例タイムズNo1536号で掲載された東京高裁令和5年8月3日判決です。

 高裁は、夫Yが、亡妻Aの生前に、妻が管理していた妻名義の預金を引き出したことについて、当該預金の出捐者は専ら夫であり、口座名義及び管理状況のみをもって当該預金が妻に帰属していたものと認めることは困難であるとして、妻の子Xが相続したと主張する妻の夫に対する不当利得返還請求を認めませんでした。

 これに対して、原審は、本件預金は、YとAとの婚姻生活の中で、AがYからYの給与収入や自営業の利益を預かり、これを家計等に充てたりした後、余剰を自らの名義で貯蓄してきたものであり、Yの包括的な同意のもとで、A名義で形成されたものであるから、名義どおりAに帰属しているとして、Xの請求を認めました。

 高裁は、前記事情の下で、他方、Aは自営業を手伝うほかには就労等をしていなかったことから、本件預金出捐者は専らYと認定しました。

 

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(松山地裁今治支部)
 第1審と第2審とが大きく判断を異にしました。

2025年10月29日 (水)

【弁護士考】 朗報😅 日弁連総合研修サイト 改修mints のトリセツ をWEBで受講しました

 (AIが読んでいるのか、イントネーションに違和感がありました😵)

 2025年10月、民事裁判書類電子提出システム「mints」に順次新しい機能(新規申立て機能、電子送達機能、記録一覧機能、2026年2月には電子納付機能)が追加されます。


 そこで、最高裁判所から、新しい機能が追加された改修後mintsについて会員向けの操作説明動画の提供がありました(今回は電子納付機能を除きます。)。


 2026年5月までには改正民事訴訟法が全面施行され、訴訟代理人は改修後mintsの利用が義務付けられますので、是非事前にご視聴ください。

【第1弾】新規申立機能による訴え提起

 ★訴え提起

 ※当事者・代理人情報

   ↓

 ※申立て内容

   ↓

 ※添付書類 

 添付書類をPDF形式で添付下さい 申立ての趣旨及び理由、委任状、資格証明書等を添付します。証拠は事件との関連付けの後に提出することになります。

  保存又は提出しない限り、ファイルはアップロードされません。

   ↓

 ※参考事項(裁判所限り) 

   事前交渉の相手方代理人情報を記載  ⇒ 相手方代理人が受任するのであれば、システム送達が可能

   ↓

 ※申立書をプレビューし最終確認をする

   ↓

 ※確認が終わったら、提出ボタンを押して、訴状を提出する(確認ボタンが表示される。OKを押すと、やり直しはできない)

   ↓

 ※新規申立一覧をみると、ステータスが、提出中となる

   ↓

 ※画面を更新すると、ステータスが提出済となる(この段階で裁判所に申立てありとなる)

   ↓

 ※立件されると、証拠の提出が可能となる

   ↓

 ※証拠をアップロードする  

    証拠番号が入力できるようになる 

【第2弾】被告の応訴、システム送達

 ※Mints招待キー(紙媒体)で被告本人に送達される

   ↓

 ※招待キー入力

   ↓

 ※事件一覧

  記録一覧にアクセスする

   ↓

 ※事件情報

   ↓

 ※ファイルアップロード

   主張 証拠 証拠説明書 関連事件の申立て その他

   ↓

 ※記録一覧 は、現行の提出済み書面に相当するものです

 ★振り分けルールの設定例

   送信元が、裁判所からのメール かつ 件名に裁判所がファイルをアップロードしましたを含む

     送達通知

   件名に 手数料納付含む

     手数料納付通知

   件名に事件当事者設定完了含む

     当事者設定通知

   件名に提出期限含む

     提出期限通知 

     その他

 【第3弾】当事者情報CSVファイルの利用方法 

  ※具体的な利用場面
    提起側及び相手側の当事者・代理人が計10名を超える場合(入力フォームでの入力可能な上限を超える)
    
     ⇒当事者情報CSVファイルの利用方法
  
  ※mintsにおける提出方法
 
  ※作成ツールの使い方
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(横峰寺)

2025年10月28日 (火)

【消費者法】 日弁連総合研修サイト消費者契約法第3次改正の概要(2022年5月改正)をWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト消費者契約法第3次改正の概要(2022年5月改正)をWEBで受講しました。講師は、平野嘉晃弁護士です。

第1 改正の経緯

 2000年 消費者契約法成立

 2016年 改正法(第1次)

 2018年 改正法(第2次) 附帯決議

 2022年 改正法(第3次)

第2 第3次改正の内容

1 契約の取消権の追加

(1)勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘する(第4条第3項第3号)

  【要件】

   ①当該消費者契約の締結について勧誘することを告げずに

    ※契約類型毎にみて、事前に(移動前に)不意打ち的な事態が解消される程度に勧誘を受ける契約の内容の詳細が明らかにされていることが必要である

   ②当該消費者が任意に退去することが困難な場所であること

    ※物理的だけでなく、心理的にみても退去困難である場合も考えられる

   ③②を知りながら    

   ④当該消費者をその場所に同行し

    ※消費者を移動させるという事業者の行為態様があれば、この要件に該当する

    ※同行しについては、移動先への案内行為があれば足りる

   ⑤その場所において当該消費者契約の締結について勧誘すること

(2)威迫する言動を交え相談の連絡を妨害する

   ※検討会報告書では、心理状態に着目した規定について、消費者に慎重な検討をさせないように仕向ける等の問題に着目した方向性が示された。検討会報告書を基礎として、威迫する言動を交えて相談の連絡を妨害した場合の取消権を困惑類型として追加することとした。

 【要件】

  「当該消費者が当該消費者契約の締結の勧誘を受けている場所において、当該消費者が当該消費契約を締結するか否かについて相談を行うために電話その他の内閣府令で定める方法によって当該事業者以外の者連絡する旨の意思を示した

   ※消費者を移動させることは本号では予定されていないんだね

   ※相談を行う方法は、連絡する方法として通常想定されるものでいいんだね

   ※連絡をする旨の意思を示したとは、黙示的な示し方でもいいんだね

  ②「にもかかわらず、威迫する言動を交えて、当該消費者が当該方法によって連絡することを妨げる」

   ※威迫する言動とは、畏怖、恐怖心を生じさせる強迫(民96条1項)とは異なり、不安や戸惑いを感じさせる言動で足りる

(3)契約前に目的物の現状を変更し原状回復を著しく困難にする

   ※債務の履行以外でも、取り消しができるように修正したものである

2 解約料の説明に関する規定

(1)消費者に対し算定根拠の概要の説明

   第9条第2項

  【要件】

   ①当該消費者から説明を求められたとき

   ②算定根拠の概要

    ⇒具体的数字を用いた説明がどこまで必要かについては、一般消費者が主体の場合は、適格消費者団体が主体となる場合と比較して、秘密保持義務の有無、具体的数字を理解する相応の専門性等の専門性等の相違があることから必ずしも必須とはしていない。その意味で、本項では概要としている。しかし、算定の根拠の説明は、数字を抜きにしてはなしえない場合もあり、その場合には数字の説明も求められる。

(2)適格消費者団体に対し算定根拠の説明

   第12条の4  

 検討会報告書では、利用主体を、適格消費者団体等に限定する代わりに、粗利益、原価、再販率等といった類型の営業秘密については、それが平均的な損害の額を算出するにあたって必要であれば、適格消費者団体に開示されることが予定されている

 【要件】

 ①平均的な損害の額を超えると疑うに足りる相当な理由があるとき

  ※例として、当該事業者の同業他社と比較して違約金等が高額である場合

 ②内閣府令で定めるところにより、当該条項を定める事業者に対し、その理由を示して

  ※内閣府令第1条の4

 ③損害賠償の額の予定又は違約金の算定の根拠

 1.違約金等の算定の根拠とは、事業者が算定に際して、①考慮した事項・要素、②これらを考慮したことの合理的根拠、③使用した算定式、④その算定式の合理的根拠、⑤金額が適正であると考えた合理的理由等を意味する

 2.①の考慮した事項・要素としては、当該消費者契約における承認・権利・役務等の性質、解除の時期、解除の事由・事情、消費者契約の代替可能性、費用の回復可能性などがある。

 3.①考慮した事項・要素あるいは③使用した算定式の内容や合理的根拠の説明に際して、粗利率、原価、再販率等の具体的数字が必要な場合には、その数字についても説明することが、合理的理由の説明のために必要になると考えられる。

 【例外要件】 営業秘密が含まれる場合その他の正当な理由がある場合

 ※粗利率、原価、再販率等と言った類型の営業秘密については、形式上営業秘密には該当するとしても、違約金の算定の根拠にした以上は、正当な理由がある場合に該当しないと考えるべきである。

3 免責の範囲が不明な条項の無効

 法第8条第3項 

 ※平成30年改正によって、事業者は、消費者にとって消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ消費者にとって平易な契約条項を作成するよう配慮する努力義務を負うこととされた(第3条第1項第1号)。しかし、事業者の損害賠償責任に関して「法律上許される限り賠償限度額を10万円とする」のように、いわゆるサルベージ条項の使用例が後が絶たない。そこで、第3条第1項第1号の内容を、事業者の損害賠償責任に限定してではあるが、禁止規定として、格上げしたものが本規定である。

 ※軽過失の場合に限定した条項であることが、読み取れない条項が、本項で無効となる。

4 事業者の努力義務の追加

 ※努力義務であっても法的義務であるため、努力すらせず放置している場合には、法的義務違反となり、民法の信義則あるいは709条の不法行為を媒介して、義務違反に対して法的効果を認めることは可能 ※なるほど

(1)一般(①契約締結の勧誘時に関するもの、②解除時に関するもの

①契約締結の勧誘時に関するもの

 ※第3条第1項第2号

 ⇒ 事業者が知ることができた  年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮

 ※第3条第1項第3号

  定型約款の表示請求権に関する情報提供の努力義務

②解除時に関するもの

 ※第3条第1項第4号

  解除権の行使に必要な必要情報提供の努力義務

 【要件】

 ①消費者の求めに応じて

 ②消費者契約により定められた当該消費者が有する解除権

 ③解除権の行使に関して必要な情報

(2)差止請求等に係るもの(①消費者契約の条項の開示要請、②差止請求に係る講じた措置の開示請求

 ①消費者契約の条項の開示要請 第12条の3

 ②差止請求に係る講じた措置の開示請求 第12条の5

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(剣山)

第3 検討会報告書の内容(上記以外の法制化に至らなかったもの

 1 消費者の判断力に着目した規定

 2 不当条項の追加

 (1)所有権等を放棄するものとみなす条項

   ※建物賃貸借契約において所有権等を放棄するものとみなす条項については、10条に該当すると判示する最高裁判例がある(最判令和4年12月12日) ※しらなかった。。。

 (2)消費者の解除権に行使を制限する条項

2025年10月27日 (月)

【消費者法】日弁連総合研修サイト 消費者契約法改正の概要(2016年改正+2018年改正)をWEBで受講しました。

 日弁連総合研修サイト消費者契約法改正の概要(2016年改正+2018年改正)をWEBで受講しました。講師は、山本健司弁護士です。講義を聴講する度ごとに、講師の先生との知見の差がありすぎる点についていつも反省しております。また、これまで日弁連総合研修サイトはボチボチしか受講しておりませんでしたが、いきなり書籍を読むことよりも、講義をきいてから読む方が理解度も深まるので、今は、日弁連総合研修サイトと書籍のハイブリッドで学習を進めることが多くなりました😅 

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(西条鉄道記念館)
第1 消費者契約法の意義と改正経緯
   ※2016年改正前の消契法の問題点(適用範囲・救済範囲が狭い、要件が限定的、立証責任が難しい)
第2 法改正の具体的内容(★2016年改正、☆2018年改正)
 1 誤認取消の要件緩和
 (1)「重要事項」の範囲の拡大(★)
    第4条5項3号 不実告知の対象である「重要事項」に、「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情」を追加
    ※文言から救済対象が「積極損害の回避の事案」に限定されているかのようにみえるが、得られるはずの利益を逃さないように当該契約を締結している事案(消極損害の回避の事案)も損害又は危険を回避するためにの要件を満たすとされている(消費者庁の国会答弁、逐条解説)
    ※特商法の不実告知の方が適用範囲が広いんだね 
 (2)不利益事実の不告知の要件緩和(☆)
    第4条第2項 重要事実について当該消費者の不利益となる事実を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし
    ※先行行為要件を維持したうえで、重過失を付加して要件を緩和した。
    ※比較的緩やかな形で重過失が認定されているんだね
 2 困惑取消の類型追加(☆)
    ※威迫、執拗な勧誘など非身体高速型の困惑惹起行為も取消の対象にすべし
    ⇒威迫・執拗勧誘のうち「契約の全部または一部の履行を先に行ったこと」や「準備行為や説明行為をしたこと」の代償として契約の締結を迫る場合について困惑取消を認める規定
 3 合理的判断ができない事情を利用した不当勧誘に関する取消権の創設
 (1)適量契約(★)
    ※適量性の判断基準  物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(分量等)が、当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであること
            ↓
    当該消費者にとって通常の分量等
     (ア)下記①~④の要素を総合的に考慮したうえで、一般的・平均的な消費者を基準として社会通念を基に規範的に判断 それを著しく超える場合に過量性を肯定できる
       ①消費者契約の目的となるものの内容
       ②消費者契約の目的となるものの取引条件
       ③消費者の生活の状況
       ④当該消費者の認識
     (イ)「③消費者の生活の状況」の考え方
 1人暮らしの高齢者が多数の布団を購入したという事案は、一般的には適量性が肯定される。しかし、夏休みに孫達が大勢帰省してくるので足りない布団を購入したという事情(一時的な生活の状況)が存在する場合は適量性を否定されうる。逆に、一般的・平均的な消費者を基準とした場合には適量性を否定されるるような分量等の契約でも、生活資金にも事欠くような生活状態の消費者事案などでは一般的平均的な消費者よりも経済的に苦しい生活をしているといった当該消費者の生活の状況に鑑みて過量に該当する分量等の契約と評価できる場合がありえる(本条の適用範囲を考えるうえで重要) 
     ※過去に類似の契約を締結していた場合の考え方は、既存契約と新たな契約に同種性が肯定できる(4条4項後段)かできない(4条4項後段は×、4条4項前段の適用を検討する)かで区別がされる
 (2)不安を煽る告知(☆)
 社会生活上の経験が乏しいことから、願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること  +  社会生活上の重要な事項
 ※社会生活上の経験が乏しいことから
 ⇒当該消費者の社会生活上の経験の積み重ねが当該消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていなかったか否かを個別具体的に検討する
 中高年であっても、問題の事案において当該消費者の社会生活上の経験の積み重ねが当該消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていなかったと認められる場合には該当する 勧誘の態様に特殊性のある消費者被害については、通常の社会生活上の経験を積んできただけの消費者は通常は対応が困難であるから、一般的に本要件に該当する
  高齢者への不安を煽る告知 
  霊感商法により不安を煽る告知
 (3)人間関係の濫用(☆)
 社会生活上の経験が乏しいことから、恋愛感情その他の好意の感情を抱き 勧誘を行う者も同様の感情を抱いているものと誤信を知りながらこれに乗じ、契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること
 4 不当条項リストの追加(★☆)
  (1)事業者に債務不履行がある場合にも消費者の解除権を放棄させる条項(法定解除権排除条項)(8条の2)
  (2)消費者の不作為を意思表示とみなす条項を例示として付加(10条前段)
  (3)事業者が自分の責任を自ら決定できる条項(8条、8条の2)
  (4)消費者の後見等を理由とした解除条項(8条の3)
 5 その他の改正点
 (1)取消期間の伸長(★)
    短期消滅時効の時効期間を6か月から1年に伸長した    
 (2)取消の効果(★)
    現存利益の返還に限定した
 (3)努力義務の追加(☆)
  ①条項の作成に関する努力義務 ②情報の提供に関する努力義務
 ★改正が続く法律なんで大変です😅

2025年10月26日 (日)

【消費者法】 日弁連総合研修サイト 消費者問題に関する連続講座 基本法編 第1回消費者契約法 (2018年)

 少し古い収録(2018年)ですが、日弁連総合研修サイト消費者問題に関する連続講座基本法編第1回消費者契約法(山本健司弁護士)をWEB受講しました。

 以前はこの研修サイトを受講するのは有料でしたが、現在は日弁連会員であれば無料で開放されています。実務的な視点での解説ですので、田舎弁護士にとっても勉強になります。 

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(清澄庭園)

第1 消費者契約法とは

 Ⅰ 消費者契約法に関する民事ルールの構造

  1 消費者契約に関する民事ルールの構造

    【1階】 民法(錯誤、詐欺、公序良俗、不法行為等)   全ての契約に適用

    【2階】 消費者契約法(不当勧誘規制、不当条項規制)  全ての消費者契約に適用

    【3階】 業法の私法実体規定(特商法のクーリング・オフ規定、中途解約権規定など)  一部の消費者契約に適用

 Ⅱ 制定と改正の経緯(実体法部分)(※2018年まで)

   2000年4月 消費者契約法の成立 ⇒2001年4月施行

   2016年   平成28年改正

   2018年   平成30年改正

第2 消費者契約法の内容

 Ⅰ 総論

   1 適用対象  消費者契約=事業者・消費者間の契約(2条3項)

   2 努力義務 (1)事業者の努力義務(3条1項) (2)消費者の努力義務(3条2項)

 Ⅱ 不当勧誘行為規制 平成30年9月時点

   1 消費者取消権の概要  ※取消は3つ(誤認、困惑、過量)あるんだね

    (1)誤認取消 ①不実告知(4条1項1号、5項)、②断定的判断の提供(4条1項2号)、③不利益事実の不告知(4条2項、5項)

    (2)困惑取消 ①不退去(4条3項1号)、②退去妨害(4条3項2号)

    (3)適量契約取消(4条4項)

    (4)その余の規定

   2 誤認取消(4条1項、2項、5項)  ※ケースが3つ(不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知)あるんだね

    (1)不実告知(4条1項1号、5項)

       【要件】①消費者契約の勧誘をするに際して ②事業者の重要事実に関する不実告知※民法上の詐欺とは異なり、故意等は不要なんだね) ③消費者の誤認+意思表示

       【論点】

       (ア)勧誘に際しの意義 個々の消費者に向けられた個別勧誘行為でなければならないか、不特定多数に向けられた行為(広告、チラシ等)も含まれるか

          ⇒最判平成29年1月24日は後者の見解で判示

       (イ)重要事項(4条5項)

         ①契約目的の質や内容(1号)

         ②契約目的の対価や取引条件(2号)

         ③契約目的が当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要と判断される事情(3号)(※動機部分に関する不実告知なんだね シロアリがいないのにシロアリがいると言った場合)(※不利益事実の不告知は、③は除かれているよ)(※消費者が得られるはずの利益を逃がさないように契約を締結している事案も損害または危険を回避するためのという要件を満たすと消費者庁は解説しているんだね)

    (2)断定的判断の提供(4条1項2号)

      【要件】 ①消費者契約の勧誘をするに際し ②契約目的(権利等)に関し、将来におけるその価格、受け取るべき金額、その他の将来における変動が不確実な事項に関する断定的判断の提供※消費者の財産上の利得に関するもので将来を見通すことが困難なものと解説されているんだね。そのため、裁判例では、パチンコ攻略法は肯定したけど、有名校に合格できるという説明は否定しているんだね) ③消費者の誤認+意思表示

    (3)不利益事実の不告知(4条2項、5項)

      【要件】①消費者契約の勧誘をするに際し ②事業者の重要事項に関する利益の告知(先行行為) ③事業者に故意または重過失による不利益事実の不告知(※以前は故意のみだったんだけど、例えば日照良好と説明しつつ、隣地にマンションが建つことを故意に告げず、マンションを販売、その後、事業者は建築予定とは知らなかったと弁明した場合に、故意の立証が難しいため、平成30年改正で重過失も含むようになったんだね)④消費者の誤認+意思表示

   3 困惑取消(4条3項1号・2号)

      【要件】①消費者契約の勧誘をするに際して ②事業者の不退去または退去妨害(※平成30年改正で、非身体高速型の婚額惹起行為2類型を追加されたんだね) ③消費者の困惑+意思表示

   4 適量契約取消(4条4項)

      【要件】 ①消費者契約の勧誘をするに際し ②過量な内容の消費者契約であること※次々販売も含むんだね) ③事業者が過量性を認識しながら勧誘したこと ④消費者の意思表示

   5 平成30年改正で追加される6つの困惑取消

    (1)不安をあおる告知

       ※「社会生活上の経験が乏しいことから」の要件が問題となっているんだね 高齢者や中高年は?

    (2)高齢者等の不安をあおる告知

       ※(1)と重畳的に適用されるんだね

       ※「判断力の著しい低下」は、厳格には解釈運用されるべき要件ではないんだね

    (3)霊感等で不安をあおる告知

       ※(1)と重畳的に適用されるんだね

    (4)人間関係の濫用

       ※想定されていた典型事案は、被害者の中心が30~40代の女性という婚活サイトを悪用した投資用マンション販売事案 ま た、高齢者に対する依存関係の濫用(いわゆる親切事案)も救済対象として想定されていた。

       ※恋愛感情は例示 親子のような感情、友人関係など、恋愛感情に準じるような親密な感情であれば足りる

    (5)契約前の債務の実施

       ※具体例としては、事業者が、注文を受ける前に、消費者の自宅の物干し台の寸法に合わせてさお竹を切断し、代金を請求した、これにより困惑した消費者がさお竹を注文することにし、代金を支払った

    (6)契約前行為の損失補償請求等の告知

       ※具体例としては、電話勧誘で会って話だけでも聞いてというので、会って話を聞いて契約を断ったところ、わざわざ他県から来た、契約しないのなら交通費を支払え等と請求されたため消費者が困惑して契約してしまった

   6 その他の規定

    (1)媒介委託者による勧誘(5条)

    (2)消費者取消権の効果(6条の2) ※原状回復義務は現存利益に限られる

    (3)消費者取消権の行使期間(7条) ※追認出来るときから1年 契約締結時から5年

 Ⅲ 不当条項規制

   (平成30年9月時点)

   (1)事業者の損害賠償責任を免除する条項の無効(8条)

      ※具体的には5つあるんだね(今は、4つだけ 民法の改正で瑕疵担保責任がなくなったので、1号2号に吸収されるんだね)

      ※軽過失一部免責条項は、10条(一般規定)の審査の対象になるんだね

   (2)消費者の解除権を放棄させる条項の無効(8条の2)

   (3)消費者の過大な損害賠償責任を定める条項の無効(9条)

    ア 9条1号 平均的な損害  「同一事業者が締結する多数の同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額という趣旨(消費者庁解説)

    イ 9号2号 年14.6%を超えるのは無効

   (4)消費者の利益を一方的に害する条項の無効(10条)

      【判断基準】

      問題の条項が存在しない場合(=原則的な権利義務状態)と比較して、当該条項が当該消費者の権利を制限し、又は、義務を加重していること

      ②当該契約条項の規定内容が、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものと評価できること

       ②⇒当該条項によって消費者が受ける不利益とその条項が無効となることによって事業者が被る不利益とを衡量し、両者が均衡を失していると認められる場合に当該条項は無効となる

        効果 当該契約条項は無効 無効となった部分は任意規定など原則的な権利義務関係で充当される

   (平成30年改正)

   ア  消費者の後見等を理由とする解除条項の無効(8条の3)

       具体例 賃借人(消費者)が成年被後見人になつた場合、直ちに賃貸人(事業者)は賃貸借契約を解除できる

   イ  事業者が自分の責任を自ら決める条項の無効(8条、8条の2)

       具体例 当社が過失があることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負うものとする

 Ⅳ 消費者団体訴訟制度

    内閣総理大臣が認定した消費者団体が、消費者に代わって事業者に対して訴訟等をすることができる制度

     差止請求

     被害回復 ※消費者裁判手続特例法

 ★消費者契約法の全体がわかる解説でした😅 

2025年10月25日 (土)

【消費者法】日弁連総合研修サイト 消費者問題に関する連続講座 基本法編 第3回特定商取引法

 日弁連総合研修サイト 消費者問題に関する連続講座 基本法編 第3回特定商取引法を受講しました。講師は、澤田仁史弁護士です。

第1 特定商取引法とは(第2~第8の7つの類型が特定商取引)

 1 特定商取引7類型  ①民事効に関する規定(取消・解除・無効) ②行政処分に関する規定(禁止行為)

 2 差止請求権

 3 雑則(ネガティブオプション含む)

 4 罰則    

第2 訪問販売

 1 訪問販売とは(法2条1項)

  (1)営業所等以外での申込み・契約

    ①販売業者・役務提供事業者(販売業者等)が

    ②「営業所等」以外で売買契約・役務提供契約(売買契約等)の申込みを受け、若しくは、売買契約等の契約を締結して(申込み等受けて)

      ※「営業所等」とは?

         法2条1項1号 ⇒ 営業所、代理店、その他主務省令で定める場所

         省令1条(通達も参照)

          営業所(1号)、代理店(2号)、露店屋台その他これらに類する店(3号)

  (1~3号以外で)一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であって、店舗に類するもの(4号)

             ⇒展示会商法

  (1~3号以外で)一定の期間にわたり、購入する物品の種類を提示し、当該種類の物品を購入する場所であって、店舗に類するもの(5号)

         自動販売機その他の設備であって、当該設備により売買契約又は役務提供契約の締結が行われるものが設置されている場所(6号)

    ③行う商品の販売・役務提供(販売等)をいう。

  (2)キャッチセール

     販売業者等が「営業所等」において、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者から売買契約等の申込み等を受けて行う商品の販売等をいう。

  (3)アポイントメントセールス

     販売業者等が「営業所等」において、政令で定める方法により営業所等に誘引した者から売買契約等の申込み等を受けて行う商品の販売等をいう

     政令で定める方法とは?

    ①販売目的隠匿型(政令1条1号) 販売目的を隠して、営業所その他の場所への来訪を要請すること

    ②有利条件型(政令1条2号) 他の者に比して著しく有利な条件で営業所その他の場所への来訪を要請すること

     来訪要請手段について(政令1条1号、2号)

     ①販売目的隠匿型(政令1条1号)

       電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ、法12条の3第1項の電磁的方法ビラ、パンフレット、拡声器で住居の外から呼びかける、住居を訪問する。

     ②有利条件型(政令1条2号)

       電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ、法12条の3第1項の電磁的方法、パンフレット、住居を訪問する

      ※法12条の3第1項の電磁的方法 

        ⇒省令11条の2

         ①ショートメール(SMS)(1号)

         ②電子メール(2号)

         ③「その受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信を送信する方法(SNS)(3号)   

 2 特定権利(法2条4項) ※電話勧誘販売、通信販売共通

   かっては、政令指定商品、指定役務、指定権利制

                ↓

   平成20年改正で、指定商品、指定役務制は廃止されたものの、指定権利制は残った

                ↓

   平成28年改正は、指定権利を特定権利として適用対象を広げるとともに、これまで権利か役務か疑義のあった取引(CO2排出権など)については、役務提供と解釈するとされた。これによって法適用の隙間は生じないとされる 

 3 書面交付義務(法4条、5条)

   (1)申込みを受けた時の書面交付義務(法4条) ⇒申込書面

   (2)契約締結時の書面交付義務(法5条) ⇒契約書面

     申込書面、契約書面を法定書面と言い、これが消費者に交付された時が後述のクーリング・オフの起算日とされる。法定書面の要件を満たさない書面は不備書面として、それが交付されてもクーリング・オフの起算日とはされない

 4 クーリング・オフ(法9条)

  (1)制度の概要

    ①特商法7類型では通信販売を除いてクーリング・オフの規定あり。

    ②理由不要、無条件の申込みの撤回又は契約の解除

    ③原状回復など消費者に有利な規定あり

  (2)要件

    訪問販売により、商品等の売買契約・役務提供契約の申込みを受け又は締結したこと

  (3)権利行使障害要件

    ①法定書面交付から8日間を経過したとき

     ※契約書面受領日の前に申込書面を受領していた場合は申込書面受領日が起算日

     ※要件を満たした法定書面の交付がない場合、8日間の起算日は進行しない

     ※初日参入

     ※クーリング・オフの通知は書面で(2021年改正で電子メールOK)

    ②クーリング・オフ妨害があったときは改めて告知書面を受領してから8日間経過したとき

     ※クーリング・オフ妨害があつたときは、8日間の起算日は進行しない

     ※事業者が、省令の規定に基づいて、クーリング・オフができる旨の書面を交付した場合は、その交付を受けた日から8日間を経過するとクーリング・オフはできない。

    ③法26条以下の適用除外

     ※営業のために若しくは営業として締結(1項1号) ※小規模零細事業者 名古屋高裁平成19年11月19日判決参照

     ※即時給付型役務(3号)

     ※自動車(4項1号、政令6条の2)

     ※消耗品(5項1号)

     ※3000円以下の現金売買(5項3号、政令7条)

  (4)効果

    ①書面発信時に効果発生(2項)

    ②事業者は、クーリング・オフに伴う損害賠償又は違約金の請求ができない(3項)

    ③引き渡された商品の引き取り、返還に関する必要は事業主負担(4項)

    ④事業者は、消費者が商品、役務によって得た利益の返還を求めることができない(5項)

    ⑤役務提供業者は、速やかに代金を返還しなければならない(6項)

    ⑥消費者は、事業者に対し、無償で原状回復を求めることができる(7項)

    ⑦強行規定(8項)

 5 過量販売解除(法9条の2)

   (1)事業者が、訪問販売によって、消費者の日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える(過量な)売買契約、役務提供契約(1項1号)

   (2)事業者が、訪問販売によって、過去の消費者の取引から、自分の契約を履行することによって過量となることを知っていた場合、または、既に過量となっていることを知っている場合の売買契約、役務提供契約(1項2号)

   ⇒これらについて、申し込みの撤回、契約の解除を認めた

   ⇒消費者の側に契約締結を必要とする特別の事情があったときは解除等をすることができない

   (3)行使期間(2項)   契約締結から1年以内 ※クーリング・オフとの違いに注意

   (4)効果(3項)     クーリング・オフの規定を準用

 6 取消権(法9条の3)

   (1)事業者が、法6条1項に違反して不実のことを告げ、消費者がそれが事実であると誤認した場合

   (2)事業者が、法6条2項に違反して故意に事実を告げず、消費者が当該事実が存在しないと誤認した場合

         ⇒消費者は、意思表示を取り消すことができる(1項)

   (3)取消は善意無過失の第三者には対応できない(2項)

   (4)取消権の時効は、追認できる時より1年、契約時より5年

第3 通信販売

 1 通信販売とは(法2条2項、省令2条)

    郵便、信書便、電話機、ファックスその他の通信機器又は情報処理の用に供する機器、電報、預金又は口座に対する振込による売買契約、役務提供契約で電話勧誘販売に該当しないもの

    ※通信販売にはクーリング・オフはない

 2 通信販売における契約の解除(法15条の3)  2021年改正で取消権

    購入者は、商品の引渡、特定権利の移転を受けてから8日間は申し込みの撤回又は契約の解除をすることができる(1項)

    引き取り、返還に関する費用は購入者負担(2項)

    ⇒広告で返品特約を表示すると特約が優先する

 

第4 電話勧誘販売

 1 電話勧誘販売とは(法2条4項)

    ⇒訪問販売とほぼ同じ

 2 書面交付義務(法18条、19条)

 3 クーリング・オフ(法24条)

 4 過量販売解除(法24条の2)

 5 取消権(法24条の3) 不実の告知等 禁止行為は法21条1項、2項

 6 適用除外(法26条)

第5 連鎖販売取引

 1 連鎖販売取引とは(法33条)

    ※無限連鎖講に防止に関する法律で禁止(刑事罰)

 2 書面交付義務(法37条)

  (1)契約締結前に「概要書面」の交付義務

  (2)契約締結後に「契約書面」の交付義務

 3 クーリング・オフ(法40条)  20日間  ※店舗等によらない個人に限る

 4 中途解約(法40条の2)

  (1)クーリング・オフ期間経過後でも中途解約は可能

  (2)損賠賠償額の制限(法40条の2第3項、4項)

 5 取消権(法40条の3)

    不実の告知等  禁止行為は法34条1項、2項に規定

第6 特定継続的役務提供

 1 特定継続的役務提供とは(法41条、政令11条)

    ※エステ、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パスコン教室、結婚紹介サービス

    ※期間+金額

 2 書面交付義務(法42条)

  (1)契約締結までに概要書面の交付義務(1項)

  (2)契約締結後は契約書面の交付義務(2項、3項)

 3 クーリング・オフ(法48条)

  (1)契約書面を受領してから8日間行使可能

  (2)本体の契約とともに関連商品(エステの化粧品等)もクーリング・オフが可能(政令14条、別表5)

  (3)推奨品とされていても、実態から本体の契約と一体といえる場合は関連商品と解するべき

 4 中途解約(法49条)

  (1)クーリング・オフ期間後でも中途解約は可能

  (2)損害賠償額の制限(法49条2項、4項)

 5 取消権(法49条の2)

    不実告知等 禁止行為は法44条1項、2項に規定

第7 業務提供誘引販売取引

 1 業務提供誘引販売取引とは(法51条)

    内職商法(在宅で書面を作成する内職に応募してきた消費者に対し、その書面を作成するのに必要だとの理由でパスコンやパソコンソフトを購入させる)が典型的

    提供した業務によって得られる利益(報酬)を「業務提供利益」といい、パスコンやパスコンソフトの購入代金を「特定負担」という。特定負担には取引料、登録料等も含まれる

 2 書面交付義務(法55条)

 (1)契約締結までに概要書面の交付義務(1項)

 (2)契約締結後は契約書面の交付義務(2項)

 3 クーリング・オフ(法58条)

   契約書面を受領した日から20日間行使可能 ※事業所等によらないで行う個人に限る

 4 取消権(法58条の2) 

   不実告知等 禁止行為は法52条1項に規定 ※中途解約権はない

第8 訪問購入

 1 訪問購入とは(法58条の4)

   物品の購入を業として営む者が営業所等以外の場所で行う物品の購入を訪問購入と定義

   貴金属の買取業者による高齢者等に対する被害(不当に安く買い取る)が多発したことから平成24年改正で導入

 2 書面交付義務

  (1)申込書面(法58条の7)

  (2)契約書面(法58条の8)

 3 クーリング・オフ(法58条の14)

  (1)法定書面受領日から8日間行使可能(1項)

  (2)クーリングオフは善意・無過失の第三者に対応できない(3項)

     クーリングオフ後の第三者は即時取得(民法192条)の問題

     ※訪問購入には取消権の規定はない

 4 第三者への引渡

  (1)購入業者は、クーリング・オフ期間内に購入した物品を第三者に引渡したときは遅滞なく売主に通知しなければならない(法58条の11) ※売主がクーリングオフをした際に誰に返還請求すればよいか分かるようにするため

  (2)購入業者がクーリングオフ期間内に購入した物品を第三者に引き渡すときは、訪問購入に関する売買契約がクーリングオフされたこと又はクーリングオフされる可能性があることをその第三者に通知しなければならない(法58条の11の2) ※これにより、第三者は善意無過失ではなくなる

第9 ネガティブオプション

 1 売買契約に基づかないで送付された商品(法59条)

  ⇒2021年改正されている。

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(笠松山・火災後)

2025年10月24日 (金)

【消費者法】 日弁連総合研修サイト 2021年改正特商法の概要(澤田仁史弁護士)を受講しました😅

 最近、特商法のお勉強をしております。本日は、日弁連研修サイト2021年改正特商法の概要をWEBで受講しました。

第1 通信販売における定期購入契約に対する規制について

 1 詐欺的な定期購入契約

 (1)法13条の2 消費者の契約解除等を妨げる為のの不実の告知の禁止

 (2)法11条4号 申込期間に定めがある場合は、その旨及びその内容を表示する義務

 (3)法11条5号 解除等に関する特約がある時はその内容を表示する義務。改正で役務提供を追加

 (4)法11条6号、省令8条7号 広告に定期購入であることを表示する義務

 (5)法12条の6 販売業者・役務提供事業者(販売業者等)が「特定申込み」を受ける際に書面・映像面に表示すべき事項

 (6)法15条の4 法12条の6に違反した場合、契約の意思表示の「取消し」を認めた

 2 法13条の2(不実の告知の禁止) 

 通信販売で契約の申込みの撤回又は解除が可能であるにも拘わらず、不実のことを告げてそれを妨げる行為を禁止した。

 違反した場合は行政処分の対象(法14、15条)、刑事罰(70条1号)

 3 法11条(通信販売の広告表示に関する条項)4号 

 売買契約等に申込期間がある場合はその旨及びその内容を表示する義務を課した。 申込期間について不実の表示をして当該商品が期間経過後に購入できなくなると消費者に誤認させるような不当表示を防止する規定

 4 法11条5号 

 申込みの撤回、契約の解除に関する特約がある場合はその内容を表示しなければならない。2021年改正前は商品、特定権利の売買のみを対象としていたが、改正により役務提供契約が加えられた。表示された解約方法(電話)が機能しない(なかなか電話がつながらない)場合は、この表示義務違反に反する可能性がある

 5 法11条6号 ⇒ 省令8条7号 

 当該通信販売が定期購入契約である場合は、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件、提供条件を広告に表示しなければならない

 法11条に違反した場合は行政処分の対象(法14、15条)

 6 法12条の6 

 販売業者等(委託を受けた者も含む)が消費者から「特定申込み」を受ける場合は、当該特定申込みに係る「書面」又は手続が表示される「映像面」に表示しなければならない事項、表示してはならない事項を列挙した規定。

 違反した場合は刑事罰(法70条2号、72条1項4号)、行政処分の対象となるとともに(法14条、15条)、消費者には意思表示の取消しが認められる(法15条の4)

 ★ 「特定申込み」とは、以下の2つをいう

 (1)販売業者等が定める要式の書面によって消費者が行う契約の申込み 

  例)カタログやチラシで行われる通信販売の申込み

 (2)いわゆるネット通販

 ★ 法12条の6は、(1)の「書面」(2)の「映像面」に表示しなければならない事項、表示してはならない事項を列挙した規定

(法12条の6)

 (1)1項1号(分量の表示義務)

 販売業者等は、書面、映像面にその商品・特定権利・役務の分量を表示しなければならない

 (2)1項2号(法11条1~5号の表示義務) 

 販売業者等は、書面、映像面に法11条1~5号に掲げる事項を表示しなければならない。

 価格(1号)、代金支払時期(2号)、商品の引渡時期(3号)、申込期間の定め(4号)、解除に関する事項(5号)

 (3)2項1号(契約申込みになることの誤認表示の禁止)

 販売業者等は、書面の送付や映像に従った操作が契約の申込みになることについて、消費者を誤認させる表示をしてはならない。

 (4)2項2号(分量、法11条1~5号の誤認表示の禁止)

 商品・権利・役務の分量、法11条1~5号に掲げる事項について、消費者を誤認させる表示をしてはならない

7 法15条の4 

 販売業者等に法12条の6の各規定に違反する表示・非表示があり、それによって消費者に誤認が生じた場合、それに基づく意思表示を取り消す権利を認めた(1項)。

 取消の効果は、法9条の3第2項~5項の規定(訪問販売の取消権)を準用する(2項)

8 法15条の4

 (1)1項1号(分量、法11条1~5号について不実表示)

   具体例 実際には解約できない契約で、広告にもその旨の記載があるのに、最終確認画面には解約可能との記載があり、消費者がこの契約はいつでも解約できると誤認した場合

 (2)1項2号(分量、法11条1~5号についての事実の非表示)

   具体例 実際には定期購入契約であるにもかかわらず、最終確認画面には1回分の販売価格や分量のみ表示し、2回目以降の販売価格や引渡し回数を表示していないため、消費者が「これは1回限りの契約である」と誤認した場合

 (3)1項3号(契約申込みになることについて誤認表示の禁止違反)

   具体例 次の頁に進むと申込が完了するにも拘わらず、送信するとのボタンがあり、消費者がこれにクリックしても申込の完了とはならないと誤認した場合

 (4)1項4号(分量、法11条1~5号の誤認表示の禁止違反)

   具体例 実際には定期購入契約であるにも拘わらず、最終確認画面には1回分の販売価格や分量が強調されて表示し、2回目以降の販売価格や引渡し回数については小さい文字で表示されていたため、消費者が「これは1回限りの契約である」と誤認した場合

9 ガイドライン

  通信販売の申込段階における表示についてのガイドライン

第2 送りつけ商法(ネガティブオプション)に関する改正

 1 送りつけ商法とは

 2 改正の内容 

 改正法では、一方的に商品を送りつけた場合は直ちに返還請求権を失うとされた(法59条1項)

 販売業者は、一方的に送りつけた商品の返還請求権を直ちに失う結果、消費者は当該商品を直ちに処分することができる

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(石鎚山連峰) 

2025年10月23日 (木)

【金融・企業法務】 上場会社法概説 第4章 コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方 後半

 有斐閣上場会社法概説の続きです😅

 今回は、第4章コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方後半として、「エージェンシー問題とコーポレート・ガバナンス」です。

 エージェンシー問題って、田中亘東大教授の授業を聞いたときに初めて知った用語でした。このときは???でしたが、今回本書を読んでよくわかりました。

 プリンシパルとエージェントの利害が一致しないこと(目的の不一致)から生じる経済学的問題をエージェンシー問題と言っています。

 株主は、株主利益を最大化するよう取締役に経営を依頼するとすれば、株主がプリンシパルであり、取締役がエージェントということになります。

 しかしながら、取締役にとって、株主の利益はしょせんは他人の利益であり、取締役は事故の利益を追求するのが経済合理的です。

 また、取締役は自己の行動についての情報は持っているのに対し、株主はその情報を持っていません。このように当事者の間で情報の偏在があることを情報の非対称性と言っています。この状況において、エージェントの行動はプリンシパルにとって「隠れた行動」になります。取締役は、経営の努力を怠って自己の利益を追求する動機を有することになるからです。

 エージェンシー問題をどのようにしたら解決・改善できるだろうかというのが今回のテーマです。

 1つめは、株主が取締役を直接的に監督すればよいというように思われます。

 しかし、特に分散所有型の会社では、株主の合理的無関心のせいで、本来であれば有益な株主による監督行動が行われないという集合行為問題が生じます。

 2つめは、報酬による動機付けで、役員報酬を例えば業績連動型報酬とすれば、取締役が自発的に株主の利益にそった経営をするように動議付けることができます。

 3つめは、取締役会が経営者から独立性のある社外取締役中心に構成されていれば、取締役会による経営者の監督が期待できることになります。

 4つめが、支配株主がいる場合には、支配株主は集合行為問題から自由ですから、取締役を監督することが期待できます。しかし、少数株主と支配株主との利害対立という別の問題の源泉が生じてしまうことになります。

 5つめが、機関投資家による監督です。フリーライダー問題のため解決として有意義ではないとされていますが、他方で、SSコードにおいて適切なスチュワードシップ活動を行っているかどうかが投資運用の業績に影響がでるために、フリーライダー問題の改善を図ることができます。

 6つめが、アクティビストによる監督です。株主アクティビストは合理的無関心と無縁であり、また、昨今のアクティビストの提案は合理的な内容のものも増えているために、その活動はエージェンシー問題の解決策となります。

 7つめが、債権者による監督ですが、債権者は、株主利益最大化原則とは異なる目的での監督を行うため、エージェンシー問題の解決策にはならないとされています。

 いや、勉強になりました😅 

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(宮ヶ崎・霊仙山)

2025年10月22日 (水)

【消費者法】 60分でわかる 特定商取引法超入門

 60分でわかる 特定商取引法超入門を購入しました。8月に出版された書籍です。

 主な消費者保護法って5つ程思いつきますが、思いつく順番で述べるならば、消費者契約法、特定商取引法、景品表示法、割賦販売法、貸金業法が挙げられます。

 10数年前の過払い最盛期は、貸金業法がマチ弁でも習熟しておく必要がありますが、今は、消費者契約法が中心的になりますかね。昔、金融機関の方から割賦販売法の業法部分の質問を受けたことがありますが、さすがにまともに回答できませんでしたね。

 本書は、特定諸取引法に限定はされているものの、なんと、60分でわかるとのことです。

001 消費者保護法における特定商取引法の位置付け

 ⇒特定商取引法は、消費者トラブルが生じやすい7つの取引類型について、事業者が守るべきルールと消費者保護のためのルールを定める法律

 ⇒事業者のルール違反は、行政処分や刑事罰の対象となる 

002 特定商取引法の目的とあらまし

 ⇒訪問販売等における紛争増加や悪質マルチ商法の社会問題化を背景として訪問販売等に関する法律が制定された

 ⇒取引の複雑化や悪質な取引の手口巧妙化等を踏まえた改正が行われ、現在の特定商取引法に至っている

003 令和3年の法改正のポイント

 ⇒詐欺的定期購入商法等への対策として通信販売規制が強化された

 ⇒クーリングオフ通知、契約書面等交付も電子メールで可能に

 ⇒送り付け商法の商品の即時処分が可能とされた

004 違反に対する措置

 ⇒事業者の違反行為は、指示処分や業務(取引)停止命令等の行政処分及び刑事罰の対象となり、事業者名等が公表される

 ⇒契約の取消権の行使により、契約の効力が否定されることがある

 ⇒不特定多数に対する不当な行為等は、適格消費者団体による差止請求の対象となる

005 当局の調査権限と昨今の取締りの動向

 ⇒当局には報告徴収、立入検査等の調査権限がある

 ⇒通信販売(特に定期購入商法)についての規制・執行は近年強化傾向にある

 ⇒行政処分への違反行為は厳格に対処されている。

006 各取引類型に共通する事項

 ⇒特定商取引法の各規定の適用は契約ごとに判断される

 ⇒ある契約が複数の取引類型に該当する場合は、各取引類型に係る規定が重複適用される

 ⇒適用対象は、購入者等と事業者

035 訪問販売とは

 ⇒消費者宅等、事業者の店舗や営業所以外で行われる取引は、訪問販売

 ⇒キャッチセールスはやアポイントメントセールスも訪問販売

 ⇒サービス提供も訪問販売に当たり得る

036 自宅訪問しない場合でも訪問販売にあたるケース

 ⇒キャッチセールスは強引な勧誘方法で店舗等に来訪させることから訪問販売に当たる

 ⇒アポイントメントセールスは消費者に不意打ちを与えたり、特に強く誘引したりすることから訪問販売に当たる

037 訪問販売① 氏名等明示義務と再勧誘の禁止

 ⇒事業者は、勧誘を始める前に、氏名等、勧誘目的、商品等の種類を明らかにする必要がある

 ⇒訪問販売に係る契約を断った相手に再勧誘してはならない

038 訪問販売② 書面交付義務

 ⇒訪問販売の契約申込みを受けたとき、契約を締結したときは、それぞれ書面交付義務がある

 ⇒申込者または購入者等の承諾があれば電子交付も可能

 ⇒書面交付に不備があると罰則の対象となり、クーリングオフ期間も進行しない場合がある

039 訪問販売③ 不当な行為の禁止

 ⇒消費者の意思決定を歪める不実告知、重要事項不告知、威圧困惑行為などの行為は禁止されている

 ⇒禁止行為は行政処分や罰則の対象

040 訪問販売④ 行政処分

 ⇒事業者が義務に違反した場合、禁止行為に及んだ場合、不当な行為に及んだ場合は行政処分の対象となり、刑罰が科せられることがある

 ⇒行政処分には行政庁の指示等、業務停止命令、役員等に対する業務禁止命令があり、企業名も公表される

041 訪問販売⑤ クーリングオフ

 ⇒契約書面等交付日から起算して8日間経過するまではクーリングオフ可能

 ⇒クーリングオフは書面または電子メール等によって行う

 ⇒クーリングオフが行われた場合、事業者の費用負担により商品や権利が返還され、支払済みの代金等も返金される

042 訪問販売⑥ その他のルール

 ⇒過量販売契約や不実告知等により契約に至った場合にも申込み撤回・解除や、申込みの意思表示の取消しが可能

 ⇒訪問販売に係る売買契約等の解除等に伴う損害賠償額等には上限がある

043 訪問販売⑦ 適用除外

 ⇒営業のためにまたは営業として契約を締結する場合や国外の事例などは訪問販売の規制が全面的に適用除外となる

 ⇒いわゆる来訪要請等の場合には、訪問販売の規制が一部適用除外となる

044 訪問販売⑧ 近年の行政処分事例

 ⇒訪問販売における違反行為について業務停止命令、指示処分、代表取締役に対する業務禁止命令が発令されている

 

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(今治・宮ヶ崎)

2025年10月21日 (火)

【消費者法】 特商法改正による契約書面等の電子化について

 特定商取引法について詳細な書籍ということになりますと、やはり民事法研究会の詳解特定商取引法の理論と実務第5版が筆頭にあげられると思います。

 本書においては、P144以下において、書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供についての詳細な解説があります。

 書面記載事項の電磁的方法による提供には、11段階があります。以下、その段階ごとにコメントしたいと思います。

第1段階 消費者が、書面記載事項の電磁的方法による提供を希望する。

⇒政令4条1項は、あらかじめ、電磁的方法による提供を受ける「承諾に係る申込みをした者に対し」手続を進めると定め、消費者の申込み(すなわち希望)に基づいて電磁的方法による提供の手続を進めることを明らかにしています。

第2段階 事業者が、電磁的方法の種類と内容を提示する。

⇒政令4条1項は、事業者が「電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類及び内容を示したうえで」手続を進めると定めています。

第3段階 事業者が、消費者の承諾を取得する前に重要事項を説明する。

⇒重要事項として、4項目を説明しなければなりません。

第4段階 事業者が、消費者のデジタル適合性を確認する

⇒自ら操作等の確認+サイバーセキュリティ確保の確認

第5段階 事業者が、消費者が指定した第三者に書面記載事項を提供する意思の有無を確認する

(ここまでが、消費者から承諾を得る前の手続です)

第6段階 消費者が、電磁的方法による提供を承諾する意思を示す

⇒第6段階は、第5段階までの手続を経たうえで、消費者が、電磁的方法による提供を承諾する意思を、具体的な記入によって示す

第7段階 事業者が、消費者の承諾を得たことを証する、紙の書面を交付する

⇒第7段階は、事業者が、消費者に対して、その契約について電磁的方法による提供をする承諾を得たことを証する紙の書面を交付する。

(書面記載事項の電磁的方法による提供を実施)

第8段階 事業者が、書面記載事項の電磁的方法による提供を実施する。

第9段階 事業者が、第三者にも電子メールにより提供することを求められた場合は、消費者に対する提供と同時に第三者にも送信する

第10段階 消費者に、電磁的方法による提供が到達する

(到達後)

第11段階 事業者が、電磁的方法により提供した書面記載事項が、消費者の電子計算機に記録され、閲覧することができることを確認する

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(霊仙山のカミキリムシ)

 

 

2025年10月20日 (月)

【IT関連】特商法改正による契約書面等の電子化について NO2

 昨日のブログの続きです。

(5)承諾を取得した事実を、原則として承諾書面で交付すること(省令10条7項等)

 ⇒販売業者は、承諾を得た事実を承諾書面に記載して消費者に交付する必要があります。

(6)電子データを提供する消費者の電子機器は、最大径4.5インチ以上の画面であること(省令10条1項4号等)

(7)電子データの電磁的提供方法(省令8条1項等)

 ⇒販売業者は、電子データの提供方法について、次の3種類の中から選択できます。

  ①電子メールにPDFファイルを添付して送信する方法(同項1号イ)

  ②事業者のウェブサイトにPDFファイルを掲載し、閲覧用URLを送信し、消費者がアクセスしてダウンロードする方法(1号ロ)

  ③電子媒体に記録して交付(2号)

 ⇒SNSでメッセージや添付ファイルを送信する行為は、受信者の電子機器にデータを送信しているのではなく、SNS事業者が開設している掲示板に送信者と受信者が相互にアクセスして掲載・閲覧する仕組みですから、消費者がアクセスして電子データをダウンロードするまでは消費者の電子機器に記録したとはいえません。

  ガイドラインは、SNSによる送信は、「送信者たる事業者がその送信を取り消す」機能があるケースや、「期間の経過を理由に、消費者が書面に機作視すべき事項を閲覧できなくなる」ような機能があるため、「消費者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該事項が記録された」(1号イの方法)とはいえないと記述しております。消費者がアクセスしてダウンロードしたときに消費者の電子機器に記録された(1号ロの方法)と評価できます。

(8)電磁的提供は明瞭に読むことができるよう表示する義務(省令8条3項等)

 ⇒ガイドラインには、明瞭に読むことができない例として、赤地に赤字を表示する方法、印刷して8ポイントを下回る小さな文字の場合、極端に大きな文字で1画面に一文がはいらないような表示が例示しています。

(9)消費者が第三者への同時送信を希望すれば同時送信する(省令10条6項等)

(10)電子データの到達時期(クーリング・オフの起算点)

 ⇒①電子メール方式の場合は、消費者の使用に係る電子機器のファイルに記録されたとき(法4条3項)

   消費者の電子機器メールサーバーに届けば足り、電子機器を用いて電子メールをダウンロードしたり、電子メール本文や添付ファイルを開いたりするといった操作は不要です。そのため、消費者が気づかないうちにクーリング・オフ期間が開始し経過するおそれがあるので要注意です。

  ②サイトアクセス方式の場合は、消費者が実際にアクセスしてダウンロードをしたとき(法4条3項の解釈)

  ③電子媒体交付方式の場合は、電子媒体を消費者に交付したとき(省令13条等)

(11)電子データが到達し閲覧できることの確認義務(省令12条等)

 ⇒販売業者と消費者の電子機器のアプリの不適合によりファイルが開けない場合や文字化けして読み取れない場合が生じ得るので、販売業者は、電子データを提供した後、消費者の電子機器に到達し、かつ添付ファイルを開けるか否かを確認する義務があります。

 

★ 承諾取得・電子データ提供手続に違反した場合の効果は、再度、遅滞なく書面を交付する義務に戻ることになります。

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(霊仙山の🐌)

 

2025年10月19日 (日)

【IT関連】 特商法改正による契約書面等の電子化についてのご相談を賜りました😅

 噂では、特商法の概要書面・申込書面・契約書面が電子化されたという話はきいたことがありますが、田舎弁護士は「関係ないや」と思っていたら、特商法改正による契約書面等の電子化についてのご相談を賜ることになり、1から学習することになりました。

 いつものように書籍を購入しましたが、何よりも有りがたく思ったのは、消費者庁で改正法の動画解説があることでした。

 1時間程度のものですが、比較的わかりやすかったですね。 

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(笠松山ガメラ岩)
 他にわかりやすい解説はないかな~と探していたところ、「国民生活2024.1」に池本誠司弁護士執筆の「消費者問題アラカルト」{特商法改正による契約書面等の電子化」については、改正政省令とガイドラインの要点がコンパクトにまとまっており、よかったですので、一部を引用(一部改変)させていただきます。
 11項目にわたって説明がされています。なお、訪問販売についての言及とします。
(1)書面に代わる電子データの提供について説明義務(省令10条1項等)
 ⇒消費者が、書面の電子化を承諾することの意義・効果を理解したうえで承諾の可否を判断できるよう、販売業者は、次の事項を説明しなければならない。
 ①承諾がなければ書面交付の原則に戻ること、
 ②契約書面に記載される契約データであり重要であること
 ③消費者が使用する電子機器のファイルに記録されたときに到達となり、8日経過によりクーリング・オフができなくなること
 ④4.5インチ以上の電子画面の電子画面の電子機器を消費者自ら操作して電子ファイルを保存できること
(2)消費者自らが電子機器の操作能力を有すること等の確認義務(省令10条3項)
 ⇒販売業者は、次の事項を確認しなければならない。
 ①契約者が電子機器の操作能力を有すること(※電子機器の操作能力の確認は、口頭確認では足りず、実際に電子機器を操作してもらい確認することが必要)
 ②契約者が使用するOSやブラウザアプリがアップデートされていること
 ③家族その他の第三者に同時提供を希望するか否か
(3)承諾を得る際の不当行為を禁止(省令18条9号等)
 ⇒真意に基づく承諾を確保するため、次の行為が禁止されています。
 ①電磁的提供を希望しない旨を表示した者に、電磁的提供手続を進めること
 ②判断に影響を及ぼす事項につき不実の告知。例えば、「当社は電子データの提供に一本化しています。」等という説明は違反となります。
 ③威迫して困惑させる行為
 ④財産上の利益を供与する行為
 ⑤書面交付につき費用の徴収その他の不利益を与えること
 ⑥操作能力・第三者提供等の確認に際し、不正手段で不当な影響を与えること
 ⑦操作能力が確認できない者へ電磁的提供をすること(※消費者が書面に代えて電子データで提供を受けた場合は、提供された電子データを消費者自身が、その場で取り出して閲覧する操作ができるか否かを実際に操作してもらう方法により検証する)
 ⑧不正の手段により承諾を代行または電子データの受領を代行すること
 ⑨その他購入者の意に反して電子データを受領させること
(4)承諾の取得は、口頭・電話ではなく、書面または電磁的方法による(政令4条1項等)
 ⇒電磁的方法で承諾を取得する際、単にチェックボックスにチェックを入れるような方法ではなく、氏名と承諾した旨を記入する方法が求められます(省令10条5項等)
 ⇒承諾を取得する際の「電磁的方法」とは、①電子メールで承諾する旨を記入して送信する方法、②販売業者のウェブサイトにアクセスして承諾の入力をする方法、③電子媒体に承諾した記録を保存して交付する方法が規定されています。実際には、①電子メール方式が採用される買う性が高いと思われます。
 20251012_143252                            (宮ヶ崎・霊仙山)

2025年10月18日 (土)

宮ヶ崎の霊仙山に登ってきました😄

 宮ヶ崎の霊仙山(156㍍)に登ってきました。宮ヶ崎登山口から入り、登畑登山口から出ました。

 霊仙山城は、円久寺の由緒によれば、伊予守護職の河野に一族である中川山城守親武が戦国時代に河野道直の命により霊仙山城主として派遣され、親武が死亡した後は、弟の常陸介通任が跡を継いだものの、結局、天正13年に来島通総のために落城してしまったようです。 

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(本丸跡)
 本丸跡は、残念ながら草ボーボーでした。
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(ハンバーガー)
 家内が前日マルナカ今治桜井店で購入した具材などを利用してハンバーガーを作ってくれました。とても美味しかったですよ。
 
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(案内板)
 登畑登山口は案内板がないので、知らない方は、宮ヶ崎登山口(円久寺の奥)から登った方が安全でしょう😅
 
 

2025年10月17日 (金)

【離婚】 給料の差押え 大阪地裁令和6年8月23日決定

 判例時報2629号で紹介された大阪地裁令和6年8月23日決定です。

 債務者が就労しつつ生活保護費を受給しているところ、養育費・婚姻費用請求権者である債権者から給与債権に対する差押えを受けたという事実関係の下で、債務者による差押の全部取消しの申立て(民事執行法153条1項)が認められず、差押禁止債権の範囲変更の限度で認容された事例が紹介されていました。

 まず、実務上、給与等の実質的な手取りの額が生活保護基準額を下回っている場合には差押の全部又は一部が取り消される傾向にあります。

 生活保護費が振り込まれた預貯金債権が差し押さえられた場合にも、預貯金の残高の原資が生活保護費であることが確認されると、差押えが全額取り消されることが多いと言われています。

 他方、養育費債権等の扶養義務にかかる債権については、単に給与の2文の1が差押られたので生活が苦しいという事情だけではその範囲変更が認められるわけではなく、請求債権が扶養義務等に係る債権である場合には却下されることが多いと言われています。

 養育費等については、実務的には、義務者が生活保護費を受給していても、「少ないパンでも我が子と分かち合うべき」などという生活保持義務の考え方に従って免責されないことが多いと言われています。

 本決定においても、債務者が生活保護費を受給していることを踏まえて、特段の事情のない限り、差押えを全部取り消すべき旨判示しています。

 しかしながら、本決定では、債務者の嗜好品代・娯楽費の支出が多いことに着目がされ、また、従前の養育費等の支払い状況や養育費増額の経緯なども考慮して、差押可能範囲を基本的に給与の5分の1と定めました。

 余り考えたことがない論点でしたので、参考になりました。 

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(笠松山・火災後)

2025年10月16日 (木)

【金融・企業法務】上場会社法 第4章 コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方 前半

 上場会社法第4章コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方(前半)です。

 第1に、上場企業のコーポレート・ガバナンスに関する規律の全体像は、会社法のほか、金商法、上場規則、SSコード、CGコード等が重要です。

 まず、金商法におけるコーポレート・ガバナンスに関するルールとしては、①委任状勧誘規則(金商法194条)、②大量保有報告制度(金商法27条の23以下)及び公開買付(金商法27条の2以下)、③情報開示規制(金商法2条の3以下)、④インサイダー取引規制(金商法166条以下)などがあります。

 次に、上場規則です。上場規則にも、コーポレート・ガバナンスに関する規律があります。すなわち、東証の定める有価証券上場規程432条以下では、企業行動規範を定めています。

 また、SSコード(2014年、17年、20年、25年)は、金融庁に設置された日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会によって策定されたものです。SSコードは、機関投資家に対する起案で蟻、8つの原則によって構成されています。そこでは、機関投資家が、投資先企業の企業価値向上や持続的成長を促すことにより、機関投資家の顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任(スチュワードシップ責任)を果たすことが求められています。SSコードは、機関投資家がこれを受け入れるかどうかを自由に判断できるものであって、法的な強制力はありません。しかし、その内容は合理的であるし、また、SSコードを受け容れている機関投資家には投資資金が集まりやすいこともあり、多くの機関投資家がこれを受け入れています。その結果、上場会社には、SSコードの影響による機関投資家からの厳しいプレッシャーがかかるようになつています。

 最後に、CGコード(2015年、18年、21年)です。これも上場規則の1つです。5つの章で構成されています。①株主の権利・平等性の確保、②株主以外のステークホルダーとの適切な協働、③適切な情報開示と透明性の確保、④取締役会等の責務、⑤株主との対話です。このコードは、規制当局に向けてのものではなく、株主・投資家に向けて行うものです。各原則を遵守しない上場会社の評価は、マーケットに委ねることになります。

 第2に、株主利益最大化原則とステークホルダー論です。

 これは、会社には様々な利害関係者がいる中で、取締役が会社に対して義務を負っている場合、具体的に誰の利益を考えて行動することが求められているのかという論点です。

 会社法上の通説は、株主の長期的な利益を最大にすることが取締役の義務であると考える立場です。取締役に期待されることの基本は、継続企業価値を増加させるように行動することです(パイの増大)。そして、資本コストを上回る利益を上げる経営をすることが株主の基本的な期待であるとしております。

 これに対して、株主も債権者も含めた全ての利害関係人の利益に配慮しなければならないとするステークホルダー論というものがありますが、これは、判断基準としては明確ではないという批判があります。

 最近の議論として、サステナビリティ経営と株主利益最大化原則はどのような関係に立つのかという議論があります。

 1つの整理として、サステナビリティ経営をすることは、まさに株主利益最大化原則によっても求められることであるという整理があります。

 しかし、サステナビリティ経営として考慮される要素のすべてが、会社の評判や企業価値と結びつくとは言い切れないので、この整理だけでは不十分であると言われています。

 最近のコーポレート・ガバナンス改革の方向性として、日本の会社の多くに資本収益性や成長性の課題があると言われています。2023年3月31日に、東証は、プライム市場とスタンダード市場の上場会社に向けて、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」ど題する要請をしています。資本収益性や市場評価に関して改善に向けた方針や具体的な目標を投資家にわかりやすい形で示すことが要請されています。

 よくある指数としては、ROEやPBRです。PBRが1倍を下回る会社は、課題があるとされています。 

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(星ヶ森)

 しかし、有斐閣上場会社法って、わかりやすいです😅

 

 

 

2025年10月15日 (水)

【金融・企業法務】 上場会社法 第3章 上場会社のディスクロージャー

 昨日にまたまた続きます。上場会社法第3章上場会社のディスクロージャーです。

 第1に、上場会社に要求される情報開示の全体像です

 これについては、金商法、東京証券取引所規則、会社法に基づくそれぞれの開示に分けて考えるとわかりやすいです。

 本書の図3.1は、上場会社に要求される3つの情報開示を示しております。また、図3.2は、3つの情報開示について、監査やレビューの必要性という観点でまとめています。

 会社法に基づく情報開示は、主として当該会社の株主や債権者を対象として行われ、株主が情報に基づいて権利を行使したり、議決権行使の内容を判断したりすることを可能としております。これに対して、金商法開示や取引所開示は市場の価格形成機能や透明性・信頼性の確保、情報の非対称性への対応、投資者保護を目的としており、特定の会社の株式等を現に保有している者だけでなく、投資家全体に向けての情報開示となっております。

 開示の期限についても、会社法に基づく計算書類等については遅くとも事業年度終了から3か月以内に開催される株主総会の2週間前までには確定される必要があります。これに対して、有価証券報告書の提出期限は事業年度経過後3か月以内であり、通常、株主総会終了後に提出されます。決算短信は決算の内容が定まった場合には直ちにその内容を開示することが義務づけられており、東証は遅くても決算期末後45日以内、より望ましくは30日以内に開示を行うことを要請しております。

 なお、内容が重複した開示が要求されることに関する課題は残っております。

 第2に、金商法に基づく開示です。

 まずは、継続開示です。有価証券報告書、半期報告書、臨時報告書の提出が義務付けられています。

 そして、これらについては、監査法人による監査が必要となります。

 次に、発行開示です。金商法にいう募集と売り出しに該当する場合には、発行開示、つまり、有価証券届出書の提出が必要になります。

 第3に、取引所規則に基づく開示です。

 適時開示、決算短信の開示、予想値の修正等の開示があり、サンクションも用意されています。

 CG報告書も提出が義務づけられています。

 第4に、情報開示に関する規律です。

 情報開示の正確性に関する規律と、内部者による情報利用に関する規律が用意されています。

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(フジグラン今治)

2025年10月14日 (火)

【金融・企業法務】 上場会社法 第2章「上場」

 昨日に引き続き、上場会社法第2章「上場」です。

 第1に、上場するという意味です。ある株式会社の株式が、東証等の金融商品取引所が開設する金融商品市場で取引(売買等)の対象となることを上場といいます。

 第2に、ある会社が東証に株式を上場するためには、東証に上場を申請し、東証が設定した上場審査基準に基づく審査を受け、東証との間で上場契約を締結する必要があります。

 そして、上場が認めれるための要件として、数値基準等で形式的に判断される形式要件と、実質的な審査を行う実質審査基準からなっています。

 形式的基準は、株主数、流通株式、事業継続年数、純資産の額、利益の額等です。

 実質基準は、企業の継続性および収益性、企業経営の健全性、企業のコーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制の有効性などです。

 各市場区分に応じて、上場審査基準は異なります。

 第3に、上場にあたっては、株式の募集や売り出しが行われるところ、これらの株式をいつたんは証券会社が買い取ったうえで、一般の投資家に向けて販売することになります。

 なお、IPOアンダープライシング問題とは、初値が公開価格よりも高いという問題です。

 第4は、取引所規則に違反した場合のサンクションです。企業行動規範の遵守すべき事項に違反した場合は、特別注意銘柄の指定を受けたり、改善報告書の提出を要求されたり、公表措置の対象となったり、上場契約違約金の支払いを求められたり、最後は、上場廃止されることになります。

 上場廃止は、上場廃止基準に該当する場合ですが、債務超過に関する基準、虚偽記載に関する基準、不適正意見に関する基準が注目されています。

 第5は、金融商品市場における取引ですが、流通市場と、発行市場とに分けて考えられています。

 そして、市場における価格形成に対する人為的な介入としては、①実態のない取引による相場操縦、②現実の取引による相場操縦、③安定操作、④虚偽の風説・偽計が取り上げられています。 

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(星ケ森)

2025年10月13日 (月)

【金融・企業法務】 第1章 上場会社法の特徴

 有斐閣から先月20日に出版された「上場会社法概説」を購読しました。

 基本的にはインハウスロイヤー等を目指す学部生・法科大学院生、若手の法務担当者向けのものとなっておりますが、地方の田舎弁護士にとっては、ちょうどよい程度の読み物となっております😅

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                                                                                    (笠松山の栗)

 第1章は、上場会社法の特徴です。

 まず、上場の目的・機能についてです。

 言わずと知れた①多数の投資者からの大規模な資金調達をしやすくなること、②会社の社会的信用力と知名度向上のメリットです。

 ただ、①の点って、昔から新株発行でもしない限り1時的なものじゃないかと思っていました。その点を気にしながら読むと、「非上場会社と比べると、上場会社は、新株発行によって資金調達をしやすいといえる」と説明されていました。

 他方、コストとしては、規制を遵守するために書類を作成したりすることにかかる人件費等の直接的なコストや、規制があるなかでプロジェクトの実施を断念したりするといった機会損失的な間接的なコストの両方が含まれると指摘されています。

 上場すると、カリスマ的な経営者がいる同族会社と異なり、手順を踏んでいかないといけないので、機会損失というのはあるのではないかと思いますし、大胆な経営がしにくいということもあるかもしれません。これって、国家でいうと、ローマの共和制がいいのか、それとも、有能な皇帝に率いられる帝政がいいのかという議論に似ていますね。確か、銀河英雄伝説で、ヤンウェンリーの名言もあったように思います。

 次に上場会社に適用されるルールを簡単に説明しています。

 第1に、金商法の諸規制が適用されます。情報開示規制として、たとえば、上場会社は、有価証券報告書を毎年提出しなければなりません。コーポレート・ガバナンスにかかわる規制として、大量保有報告制度、公開買付制度、委任状勧誘にかかる規制、インサイダー取引規制、相場操縦規制もあります。それ以外にも、金融庁の解釈を示した、企業内容等開示ガイドライン等も重要です。

 第2に、上場規則です。上場基準を定めたり、企業行動規範を定めたり、CGコードも定めています。

 さらに、株式所有の構造の違いに応じて、課題が異なります。分散所有型は、株主による経営者の監督は基本的には期待できないために、経営者の監督を制度としてどのように確保するかという点が問題となります。他方、支配株主型は、少数株主の不利益のもとで、支配株主の利益となるような行為が行われるおそれにいかに対処するかという点になります。

 加えて、株価の存在については、①会社の業績を示す重要な指標として取り扱われます。また、②投資者保護の観点からも重要であり、金商法は株価の価格形成の公正さを確保するための規律をすることによって資本市場のインフラを整備しています。

 

 

 

2025年10月12日 (日)

【金融・企業法務】ベンチャー企業における不正不祥事の傾向

 月刊監査役No780で掲載された「ベンチャー企業における不正・不祥事の傾向 ~他人事ではない有事に備える監査の重要性~」です。 

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(清澄庭園)
 田舎弁護士も年をとったためにほとんどベンチャー企業の経営者から相談を受けることはありませんが、ベンチャー企業の監査役に就任した場合の、実践的ツールキット「10の赤旗」というのは参考になると思いました。
1 売上とKPIの乖離
 ⇒売上高の成長率と、アクティブユーザ数、継続率、契約率といった事業KPIの間に整合姓がない。循環取引や売上の前倒し計上の徴候をうたがうべきである。
 ⇒ベンチャー企業は、まずは売上高が右肩上がりを最重要な目標にしていますからね。
2 期末駆け込み取引の急増
 ⇒四半期末や年度末といった決算期直前に、不自然なほと高額な取引が集中している。検収・納品の実態が伴っているか、厳格な照合が必要である。
 ⇒今期の売り上げ予算を達成したいという動機はありますね
3 補助金・助成金の書類過信
 ⇒申請・報告に必要な契約書や請求書は形式上整っていても、成果物や稼働実績が伴わない場合がある。特に関連当事者との取引では、実地確認を怠れば不正受給の温床となる。
 ⇒不正受給も話も散見されますね。
4 広告表現の根拠不在と規制軽視
 ⇒ウェブサイトや広告でNo1、世界初といった強い訴求がなされているが、客観的な裏付け資料が存在しない。あるいは依頼したインフルエンサーの投稿に「PR」等の表示がなかったり、二重価格表示規制を軽視した曖昧な通常価格の提示が行われていたりする場合は、景品表示法違反の典型例である。
 ⇒これもあるあるです
5 フリーランス・下請との契約不備
 ⇒契約書を締結せずに業務を発注している、支払サイトが法定の60日を超過している、発注者都合の仕様変更コストを一方的に転嫁しているなど、フリーランス新法や下請法に抵触する運用がなされている。
 ⇒このようなことも散見されます
6 情報セキュリティ・データガバナンスの軽視
 ⇒クラウドサービスの公開設定ミスが放置されている、委託先のセキュリティ管理が契約書まかせになっている。改正個人情報保護法が定める漏えいなど発生時の報告通知フローが定義されていない。
 ⇒これも人任せが散見されます。
7 AI詐欺への脆弱性
 ⇒高額送金が単独承認で実行できる体制になっている 経営者の声を模倣したなりすまし送金詐欺への備えとして別経路での本人確認を必須化していなければ危険である。
 ⇒最近のAI詐欺は巧妙になっていますよね
8 労務管理の破綻
 ⇒勤怠記録とPCログに大幅な乖離があり、長時間労働が常態化している。固定残業代制度が不適切に運用されている。ハラスメント相談窓口が機能不全に陥っている。
 ⇒労務管理も全然だめなところも散見されます
9 AIウォッシングの徴候
 ⇒IR資料や広告でAIという言葉を多用し先進性を強調するが、その技術的な実態や性能評価データを開示できない
10 ゲートキーパーとの癒着・独立性欠如
 ⇒主要VCの担当者が取締役を務め、かつ監査役会等の議長を兼任するなど、監督機能の独立性に疑義がある。取締役会が、出口戦略の達成のみを目的とする株主兼経営者から、実質的に独立しているかを評価する必要がある。
 ⇒ベンチャー企業ではありませんが、昔 監査役営業部長の名刺をみたことがあります。
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2025年10月11日 (土)

【弁護士考】 全国的に弁護士の不祥事が続いております😵

 昨日も、引き続いて、弁護士の不祥事が報道されています。

 関西テレビでは以下のとおり報道されています。

 京都弁護士会は依頼人から預かった通帳を返却しなかったとして弁護士を懲戒処分したと発表しました。
 依頼人の口座からは約650万円が引き出され使途不明になっているということです。

 業務停止10か月の懲戒処分となったのは、京都市の法律事務所に勤務する〇〇弁護士(43)です。

 京都弁護士会によると、〇〇弁護士は2021年、刑事事件の弁護を担当した依頼人から、本人に代わって家賃の支払いなどをするために通帳2冊とキャッシュカード2枚を預かりました。そして去年、依頼人が返却を求めました際、キャッシュカードのみ返して通帳を返さなかったということです。その後、依頼人が口座の取引履歴を調べたところ、約650万円が使途不明になっていることが明らかになりました。

 弁護士会による調査に対して〇〇弁護士は使途不明金について弁明しなかったということです。

 〇〇弁護士は、これまでに同様の事案などで懲戒処分を4回受けている他、弁護士会には100件を超える苦情が寄せられているということです。

  依頼人を裏切り、過去も同様の事案などで懲戒処分を4回受けているのに、今回、業務停止10か月というのは、社会常識にあいません。

 被害弁償も怠っているのであれば、除名が妥当であると思います。

 田舎弁護士が弁護士登録したはるか以前は、弁護士が懲戒処分を受けるなんて珍しかったです。司法改悪により弁護士が量産され、弁護士の質の低下や、弁護士の経済的な環境の悪化に伴う現象ですが、これは当初から良識有る弁護士からは指摘されていました。

 ここ数年の傾向として、依頼している、あるいは、依頼していた弁護士への相談(苦情)は、散見されるようになりました。

 過去に懲戒歴のある弁護士が多いのですが、先日の報道をみると、懲戒歴のない弁護士にも注意が必要になっております。

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 司法試験合格者の数について、1990年ころは、500人程度だったのが、ピーク時には2133人、現在でも、1500人前後という数値が続いています。

 1500人前後の司法試験合格者が今後も続いていくのであれば、弁護士業務のみでの生計を立てていくことは早晩できなくなると思います。

 将来における弁護士の不祥事を減少傾向に持って行くためには、弁護士の数を大幅に減少させる政策のほか、依頼人に対する裏切行為の場合には退会処分や除名という重い処分を原則とすることが必要です。

 このケースでは、過去に類似案件で4回も懲戒処分を受けているとされています。

 弁護士にご相談やご依頼をされる場合には、まずはその弁護士の懲戒歴を確認してみて下さい。 

【労働・労災】 気に入った異性の社員の連絡先や住まい等の個人情報を執拗に尋ねたケース。

 引き続き、セクハラのグレーゾーンです。

 恋愛感情に基づいて、嫌がる異性の社員に、連絡先は住まいの情報などの個人情報を執拗に尋ねることは、セクハラに該当するおそれがあります。

 恋愛感情がない場合でも、優越的な関係を背景として、個人情報を執拗に尋ねることは、パワハラ(個の侵害)に該当するおそれがあります。

 さらに、同じ職場で働いている場合には、社内の名簿などから、気に入った異性の社員の個人情報を取得できることもあります。それを利用して、気に入った部下に連絡をして、デートや食事に誘ったり、自宅を訪問することには問題があります。

 業務上知り得た社員の個人情報を、個人的な事柄に利用した場合には、就業規則に定められた服務規律の中の「秘密保持義務違反」等に該当し、懲戒処分の対象となります。

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                              (程野の滝) 

 

2025年10月10日 (金)

【労働・労災】 セクハラの被害申告があったが、被害女性は、男子上司と外でデートしたり、プレゼントをしあり、積極的に会いたいというメールを送っていたケース

 新日本法規から出版された「セクハラのグレーゾーン」で掲載されているケースの1つです。 

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(鷲ヶ頭山)
 こんな、セクハラになるの?と思いがちですが、「専門家の眼」は違います。
 「セクハラ申告に対しては、合意があったとの反論がなされることも多く、被害女性の交際に対する積極的な言動は、合意を推認させるものですが、交際関係にある当事者が、上司と部下といった間柄である場合は、部下が上司に対して、迎合的な言動をしているだけではないかという点に注意をして、意に反する性的な言動の有無を認定すべきです」と説明されています。
 セクハラ指針との関係では、性的な関係を強要することに該当しますが、「セクハラ指針2(4)では、職場におけるセクシャルハラスメントにいう「性的な言動」のうち、「性的な行動」として、「性的な関係を強要すること」が挙げられています。同様に、男女雇用機会均等法施行通達第3.1(3)イ③では、「性的な言動」のうち、「性的な行動」として、「性的な関係の強要」が挙げられています。
 本事例のように、被害者であると主張する部下がプレゼントをしたり、好意的なメールなどが残っている場合には、上司部下間の不倫関係であるのか、それとも、「性的な関係を強要すること」としてセクハラが成立するのかが、判断に悩むことになります。
 X社事件(東京地判平成24年6月13日)は、一定の社会経験がある昭和44年生まれの女性社員に対し、既婚の上司が関係を迫り、8か月間の性的関係を含む2年間の男女関係があったことについて、セクハラか否かが争点となりました。
 裁判所は、セクハラを認定しています。
 微妙は判断を強いられますが、上司部下の間の性的な関係は注意が必要です

 

2025年10月 9日 (木)

【弁護士考】 専門職後見人の不祥事が続いております😵 

 田舎弁護士が弁護士登録をしていたころは、後見人は、基本的には、親族が選任されていました。親族に問題があるようなケースでもない限り、弁護士や司法書士が選任されるようなことはなかったように思います。

 今は、親族が選任されることが昔と異なり少なくなったように感じます。

 国のデータによれば、平成29年のデータですが、第1位は、司法書士で9982件、第2位は、弁護士で7967件、第3位は、子で5051件、第4位は社会福祉士で4412件となっております。

 司法書士や弁護士などの専門職が選任される割合がかなり多くなっているように感じます。

 ところで、10月に入り、広島ですが、後見人になつた司法書士や弁護士の不祥事の報道が立て続けにされています。

 10月1日は、中國新聞ですが、「成年後見人として預かった財産368万円を着服したとして広島県警広島中央署は30日、広島県府中町の自称配送業の男(〇)を業務上横領の疑いで逮捕した。容疑者は当時、広島司法書士会所属の司法書士だった。 逮捕容疑は、2022年6月15日から23年1月6日までの間に計17回、広島市西区や東広島市の金融機関4カ所で、成年後見人を務めていた県内の男性(〇)名義の口座から現金計368万円を払い出し、着服して横領した疑い。 同署によると、容疑者は19年9月に広島家裁から男性の成年後見人に選任された。23年2月に成年後見人の財産を横領したと同署に自首し、同10月に司法書士会を退会したという。 司法書士会によると犯行時は副会長だった。同会は「市民の信頼を著しく裏切る許し難い行為。会員の指導を徹底する」とのコメントを出した。」と報道されています。

 10月7日は、「成年後見人に選任された広島弁護士会所属の弁護士が財産管理業務を受け持っていた女性の口座から現金400万円を引き出し横領した疑いで逮捕されました。業務上横領の疑いで逮捕されたのは広島市〇区の弁護士〇容疑者(〇)です。警察によりますと、〇容疑者は、2009年に県内に住む女性(〇)の成年後見人に選任され、女性の財産管理業務に従事していましたが、2018年11月15日に、女性の口座から400万円を引き出し、横領した疑いが持たれています。事件は、後任の後見人を務める弁護士からの届出で発覚し警察の調べに対し〇容疑者は、「今は言う気になれません」と話しているということです。警察によりますと、〇容疑者は女性の成年後見人という立場を利用し、家庭裁判所に提出する預貯金通帳の写しを偽造するなどしていたということです。また、家庭裁判所は、この事件に関連し、2015年から23年にかけて〇容疑者が、総額1億3000万円を横領していることも確認し、県警に告発状を提出しています。告発状は、今年8月に受理されていて警察は、これらの余罪についても調べを進めています。」と報道されました。

 広島では、7月30日にも、「成年後見人などとして管理を依頼された口座から1億3千万円余りを横領したとして、一審で懲役4年6カ月の判決を受けた弁護士の女に、広島高裁は懲役3年8カ月の判決を言い渡しました。広島弁護士会所属の弁護士の女(〇)は、2020年6月から去年5月までに、自身が管理を依頼された3人の口座から計1億3千万円余りを横領した罪に問われています。広島高裁は30日、一審判決の懲役4年6カ月を破棄し、懲役3年8カ月の実刑判決を言い渡しました。」が報道されています。

 家裁が、親族の意向に反してまで弁護士や司法書士を後見人に選任して、その専門家が横領したというのであれば、話になりません。

  昨日は、小田原の弁護士が6億円の預り金を流用していたというニュースが流れていました。

 10数年に始まった司法改悪により多くの弁護士の経済的環境が悪化しています。

 弁護士だからといって、無条件に信頼してしまうことは危険な時代になつております。

 専門職後見は例外として、 昔のように、後見人は、親族後見人を原則とすべきです。親族後見人に不安があるのであれば、その場合に専門職を後見監督人としてつければいいと思います。

 また、交通事故の賠償などがからんでいる場合も、親族が後見人となり、その親族が交通事故が得意な適切な弁護士を依頼できるようにすべきです。

 現在、法務省や厚労省でも成年後見制度の見直しを進めています。

 例えば、専門職後見の場合には、毎年、確定申告書や所得証明書を提出させ、一定の収入がない者には就任させない、1年ごとの更新等の仕組みが必要ではないかと思います。

 さらに、家裁においても後見人や管理している金融機関等に抜き打ち調査ができるようにすべきです。

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 繰り返される専門職による業務上横領を直ちに解消するためには、相応しくない人を選任しないような仕組みや更新制度等新しい仕組みづくりが大切です。 

愛媛大学今治サテライトの看板除幕式に参加しました。

 先日、今治地域地場産業振興センターにて開催された愛媛大学今治サテライト看板除幕式に参加しました。

 今治サテライトは、今治市と愛媛大学が推進する「Town & Gown構想」の実質化を担う戦略的拠点として、地域課題の解決や次世代人材の育成を目的に設置するものです。

 今治市の持つ地域資源と大学の教育・研究資源を融合し、持続可能な地域社会の形成に貢献してまいります。

 

(1階玄関にて)
14:30 看板除幕
14:40 記念写真撮影

(1階展示ホールへ移動) 
14:50 挨拶 愛媛大学長 仁 科 弘 重
14:55 挨拶 今治市長 徳 永 繁 樹
15:00 質疑応答(記者対応)
15:25 解散 

 

 田舎弁護士も、愛媛大学の理事に就任しているため、主催者側で参加させていただきました😅

 

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2025年10月 8日 (水)

【労働・労災】 改訂版Q&A有期契約労働者の無期転換ルール 

 新日本法規から昨年10月に出版された「改訂版Q&A有期契約労働者の無期転換ルール」です。

 いうまでもありませんが、我が国における長期雇用を前提とした典型的雇用は、期間の定めのない労働契約の形態ととっております。そして、その契約形態については、解雇権濫用法理が確立し、労働契約法第16条で立法化されています。

 そのため、使用者が有期契約労働者を雇用する1つの大きな理由は、契約期間が満了すれば労働契約が終了するという、労働契約の存続期間を限定する点にありました。つまり、期間の定めのない労働契約と異なり、有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了し、そこには客観的・合理な理由や社会通念上の相当性は必要ないという点が重宝されたわけです。

 ところが、最高裁判例によって、一定の場合には、使用者による雇止めが認められなくなるという雇止めルールが確立し、契約期間の満了により無条件で雇用が終了するということはなくなりました。

 そして、平成24年の労働契約法の改正により、雇止めルールの法定化(労契法19条)のほかに、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約に転換できるとする無期転換制度(労契法18条)と、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール(旧労契法19条)が設けられました。

 

2025年10月 7日 (火)

【刑事】 刑法概説 河村博著

 久しぶりに刑法の体系書を斜め読みしました😅

 刑法概説 河村博著です。高検の検事長まで務められました弁護士さんです。

 いくつか気になったところを拾い上げます。

 第1は、「別居中の妻が監護養育する幼児を病院から連れ去った事案について最決平成15年3月18日」が紹介されていました(P232)。この記載は他にもあり、例えば、「逆に保護者も他のホ義者(例えば別居中の共同親権者)との関係で拐取の犯人となることがある(最決平成15年3月18日、最決平成17年12月6日)が紹介されており(P227)、また、夫婦など家族間での子どもの略取誘拐につき、犯行態様等諸般の事情から社会通念上許容されるか否かを判断した最決平成15年3月18日、同平成17年12月6日が紹介されています(P73)。

 本書では紹介されていませんが、数年前には、離婚係争中で別居している妻と暮らす長男(当時4歳)を約1か月間自宅に連れ去ったとして、未成年者誘拐罪に問われた福岡県内の会社員男性の被告(40歳代)に対し、福岡地裁は5日、懲役1年、執行猶予3年(求刑・懲役1年)の判決を言い渡したケースもあります。

 犯罪の構成要件を十分に検討することなく、連れ去りをアドバイスをするような弁護士が仮にいるのであれば、相談者を犯罪者にしてしまうかもしれませんので、慎重な検討が必要です。

 第2は、傷害罪の解説で、「極めて短時間で治癒するもの、被害者も自覚しないもの、キスマークなど軽微なものについては、日常生活上看過されるものとして、傷害に当たらないとする下級審裁判例が少なからず存することに注意が必要である」(P178)を説明されています。

 第3は、窃盗罪の解説で、「銀行などの自動支払装置(ATM)からキャッシュカードを用いて現金を引き出すのは、他人を欺罔したり他人から処分を受けたわけではないので、これも窃盗である。」(P285)と説明されています。

 第4は、「例えば親族のキャッシュカードを不正に使用して、その口座から自己の口座に振込を行った場合には、ATM機から現金を引き出した場合、あるいは、窃取した通帳と印鑑を用いて現金を引き出す場合と同様に、仕向銀行あるいは被仕向銀行も被害者と考えるべきものと思われ、親族相盗例の規定は準用されない」(P331)と説明されています。 

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(東京都現代美術館)

 

2025年10月 6日 (月)

【建築・不動産】不動産登記の困難要因と実務対応

 新日本法規の担当者から購入した「不動産登記の困難要因と実務対応」です。

 稀にご相談やご対応させていただくケースについてもいくつか取り上げられており、参考になります。

 ケース1は、時効により取得した所有権の相続登記をしたいが、登記名義人及び時効完成時点の占有者も既に死亡している場合です。

 これについては、原告(時効援用権者)から被告(登記名義人)への訴状送達をもって、時効援用の意思表示となるため、訴訟の当事者となる相続人を特定する必要があります。

 被告に相続が生じている場合、時効援用権の行使である意思表示は、相続人全員に対して行う必要があります。

 債務名義(確定判決の内容)には、時効による所有権移転の原因日付となる「起算点」及び「登記権利者」「登記義務者」が明確にされている必要があり、また、時効の登記の前提として、被告(登記名義人)の相続登記が必要であるため、相続登記を原告が代位して行える内容(登記手続を命じる給付判決)とすることにも留意が必要です。

 なお、「実務では、原告又は訴訟代理人から被告に対し、訴訟提起前に「本件土地について時効取得した事情」「共同申請により登記を行うことが難しく訴訟手続を行いたい理由」「そのため訴状が送られてくること」「訴状の内容に異議がない場合は、答弁書を提出する等一切の手続は不要であること」といった、訴訟手続及び登記手続を説明するための通知を行うことが重要とされています」(P127)ですが、1回結審のためにはこのような手紙は不可欠です。

 ケース2は、相続人が不存在の共有者の持分を他の共有者へ移転させる場合です。

 民法255条(共有者の一人が死亡して相続人がいないときは、その持分は、他の共有者に帰属する)との関係で問題となります。

 共有者が死亡した場合、一般的には相続人が当該共有持分を相続しますが、相続人がいない場合には相続財産は法人となり、相続財産清算人による相続財産の清算をすることになります。清算後に残った残余財産については、特別縁故者は財産分与請求をすることができますが、財産分与の請求がなかった場合等に、ようやく他の共有者に帰属することになります。また、相続財産清算人は、「相続人のあることが明らかでない場合」に裁判所により選任されますが、戸籍上相続人が存在しているが、その者が行方不明である場合又は生死不明である場合は、民法951条でいう「相続人の不存在」に該当せず、不在者の財産管理手続や失踪宣告手続によることになります。

 相続財産清算人の選任手続までが必要とうことですね。相続人が不存在の死亡した共有者の持分を他の共有者へ移転する登記申請書もひながたが収録されています。

 ケース3は、解散した法人が登記名義人である土地の所有権を移転する場合です。

 会社の解散により、当該会社は清算事業のみを行う清算会社となり、取締役はその地位を失い、代わって清算人が就任し会社を代表することになります。

 ケース4は、遺言書作成後に一部の相続人が所在不明である場合です。

 平成30年の民法改正により従前の遺言執行者は相続人の代理人とみなすとされていた規定が変わり、遺言執行者に法的に明確な権限が与えられ、その地位において相続手続を進めることができるようになりました。 

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(リーガロイヤルホテル広島)

 

 

2025年10月 5日 (日)

【労働・労災】 適時開示実務入門 No2

 「適時開示実務入門」の続きです。

 P21以下は、「実務の流れ」をわかりやすく解説されています。

 第1に、決定事実に関する開示です。

 決定事実については、期間決定後直ちに開示しなければならない。そのため、取締役会等が終了した後に開示資料の作成に取りかかったのでは遅いということが指摘されています。

 第2に、発生事実に関する開示です。

 適時開示が必要な発生事実を確認した場合、開示資料を先に作成します。そして、取締役会等のおける承認を得た後に直ちに開示することになります。

 第3に、決算情報に関する開示です。

 決算関連情報である業績予想の修正と配当予想の修正については、決定事実に関する開示と同じ取扱になります。

 決算短信と四半期決算短信までの開示については、決算の内容が定まったら直ちに開示です。

 P120以下は、決算短信・四半期決算短信の開示前の確認事項を簡単に説明しています。

 (1)求められている資料を準備できているか。

  ① サマリー情報は最新の様式を用いているか

  ② 必要な添付資料を用意しているか

 (2)開示資料に記載された情報は正確か

  ① 添付資料に記載された財務諸表の数値は正確か

  ② 監査法人による確認を受けたか

  ③ 財務諸表とサマリー情報が整合しているか

  ④ 財務指標は正確か

  ⑤ 定性的情報のなかの定量的情報は正確か

  ⑥ 定性的情報のなかのその他の情報は正確か

    企業法務を携わる当初、定性的? 定量的?と、??でしたが、簡単にいうと、定性的情報は、経営成績や財政状況の概況などのことであり、定量的情報は、財務諸表・四半期財務諸表上の数値や財務指標などを指しております。

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(嫁ちゃんランチ)

 

2025年10月 4日 (土)

【金融・企業法務】 適時開示実務入門 NO1

 上場企業の関係者であれば、または、投資をされている方であれば、「適時開示」という言葉はよく耳にすると思います。

 少し勉強するために、「適時開示実務入門」を購読しました。

 適時開示とは、証券取引所が、その証券市場に有価証券を上場している会社に対して、投資家の投資判断への影響が大きいと考えられる情報の開示を求めるものです。

 有価証券報告書や臨時報告書などのように、金融商品取引法などの法律によって義務づけられた情報開示ではなく、あくまで証券取引所の規則による点は特徴です。

 適時開示が求められる情報は、(1)決算情報、(2)決定事実、(3)発生事実の3種類です。

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 第1に、決算情報です。決算情報や四半期決算情報のことであり、それらに関する適時開示が具体的には決算短信や四半期決算短信という形をとります。そのほかに、関連情報として、業績予想の修正や配当予想の修正も適時開示が求められています。

 第2に、決定事実です。会社が決定した重要事実です。増資、減資、組織再編、代表取締役または代表執行役の異動等さまざまなものがあります。

 なお、自社の決定事実だけでなく、子会社の決定事実に関しても適時開示が求められます。

 第3に、発生事実です。会社に発生した重要な事実です。損害の発生、主要株主または主要株主である筆頭株主の異動などさまざなものがあります。なお、自社の発生事実だえでなく、子会社の発生事実に関しても適時開示が求められています。

 適時開示は、TDnetを利用して行います。TDnetは、東京証券取引所が運営しておりますが、適時開示情報をインターネットで掲載閲覧できるディスクロージャー専用のシステムです。

 有価証券報告書や臨時報告書などの金融商品取引法で求められる情報はEDINETを利用して行われています。

 TDネットについては、このサイトです。

 毎日多数の適時開示が掲載されていることがわかります😅

 

 

2025年10月 3日 (金)

今治商工会議所主催の経営相談会の相談員を担当しました😄

 毎年開催されています今治商工会議所(檜垣幸人会頭)主催の経営相談会の相談員を先日担当させていただきました。

 本日は3件でした。

 2件は建物を巡るトラブル、1件は事業承継についての留意点でした。 

 午前9時~正午迄はきっちり相談が入りました。

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(3F会議室)
 相談者の方をみると、やはり税理士さんへの相談が件数としては最も多かったように思います。
 田舎弁護士への相談も、相談時間が1時間を超える方もいて、なかなかの盛況でしたよ。
 
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(嫁ちゃんが撮影してくれました)
 午後嫁ちゃんが相談会場まできて、田舎弁護士の雄志を撮影してくれました😅
 午後からは予約者がいないことから、その時間は積ん読状態の専門書を読んでいました。
 まだまだ弁護士への相談の敷居は高いので、このような機会はよいかと思います。

2025年10月 2日 (木)

【労働・労災】 復職をめぐるトラブルの円満解決(メンタルヘルス不調)

 日本法令から出版された「訴訟リスクを回避する3大労使トラブル円満解決の実践的手法」です。

 第2章は、メンタルヘルス不調の事例を取り上げていますが、この事例の相談は最近増えているように思います。

 章ごとにみてみたいと思います。

1 メンタルヘルス不調による休職・退職が増えている。

2 復職を認めない判断はトラブルになりやすい

① まずは就業規則を確認する。

  ⇒当然ですが、自社の就業規則を見て、自社が私傷病休職のルールをどのように定めているのかを確認しなければなりません。

② 復職を認めないという判断は安易にしてはいけない。

3 復職をめぐるトラブルが訴訟になるとどうなるか?

4 復職の可否を判断する際の正しい進め方

① 復職の可否の判断の流れ

② 休職者から復職の希望があれば主治医の診断書を提出してもらう

③ 診断書を作成した主治医の照会は必ず行う

④ 休職者から同意書をもらう

⑤ 職務内容報告と回答書の用紙を作成し、主治医に郵送する

⑥ 回答書の内容を踏まえて主治医と直接面談する

⑦ 事業者として復職可否の判断を行う

5 復職の可否の判断基準

6 主治医の診断内容ごとの注意点

7 復職を認めない場合の円満解決の方法

8 健康は回復しているが問題社員のため退職して欲しい場合の円満解決の方法

9 退職に合意したときは合意書を作成する

10 復職に関するトラブルを予防するために行うべきこと

 

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 よい知恵が沢山つまった良書でした。

 

 

2025年10月 1日 (水)

【労働・労災】 カスハラと労災!?

 近い将来、カスタマーハラスメント(カスハラ)や、求職者等に対するセクハラ(就活セクハラ)を防止するため、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。

 パワハラやセクハラ等と同じく、遂に、法律上の根拠のあるカスハラの定義が設けられましたね。

 カスハラの定義は、①顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、③労働者の就業環境を害することになりました。

 法定指針はまだ公表されていないようです。ただ、さすが東京都は、ガイドラインを昨年12月に公表されています。

 事業主が講ずるべき具体的な措置の内容については、法定指針ができてからになりますが、①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、②相談体制の整備・周知、③発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置です。

 もっとも、事前に厚労省のマニュアルが公表されていますので、それを取り入れた形になるんでしょうね。

 さて、労災との関係ですが、「パワハラ・精神障害労災認定調査と労働局・労基署対応実務」に解説がありました。

 心理的負荷の強度が「強」になる例として、5つ具体例を挙げています。

① 顧客等から治療を要する程度の暴行等を受けた。

② 顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた。

③ 顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた。

④ 顧客等から、威圧的な言動などその態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為を、反復・継続するなどして執拗に受けた。

 ⇒①から④は、反復・継続が必要です。

問題は、⑤です。

⑤ 心理的負荷としては「中」程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく、改善はなされなかった場合です。

 企業としては、カスタマーハラスメントの防止についてしっかり取り組む必要がありますね

 

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(にこ淵)

なお、令和7年3月の「業種別カスタマーハラスメント対策マニュアルの策定手順例」も参考になります。スーパーマーケット業界を対象にモデル事業として実施されたようです。

 

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