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2025年8月 5日 (火)

2025年7月 いよぎんホールディングス特別講演会 「なぜ人的資本の投資が必要なのか?」 小野浩一橋大学教授

 先日、今治国際ホテルで開催されました「いよぎんホールディングス特別講演会」「なぜ人的資本の投資が必要なのか?」に参加いたしました。

 講師は、中野浩一橋大学教授です。

 「人的資本」は、人間の持つ能力、才能、知識を意味すること、また、人的資本は、金融資本、物的資本と同様に、投資の対象として捉えられることを前提としています。

 そして、人的資本には、①一般的人的資本と、②企業特殊的人的資本の2つあり、その違いを知ることが大切です。つまり、①一般的人的資本とは、文字どおり、一般能力やスキルの意味であり、それは市場性が高く、どの会社でも通用する、例えば大学教育のようなものであり、他方、②企業特殊的人的資本とは、企業特殊的能力やスキルの意味であり、市場性は低く、他の会社では通用しないものです。

 これまでの日本は新卒者の終身雇用が予定され、大学生を新卒者として採用すると企業内で教育が予定されていますが、その教育の内容は、企業特殊的人的資本であり、一般的人的資本は個人自らが投資しないと陳腐化し、次第に市場価値自体が低下し、そのため、40~50歳代の中高年は、転職をすると賃金が低下するため、結果的に長期雇用になっています。

 我が国は、バブル前に、沢山の新卒者を採用し、その新卒者に対して、内部において教育を行っていたところ、バブル後は、入社している従業員は解雇できないために新卒者の採用を抑制し、他方で、非正規雇用の労働者を採用し、非正規雇用労働者に対しては教育を行うというという発想はないため、全体として、一般的人的資本を有する労働者が減少し続けたという説明をされていました。

 また、現在の賃上げについては、一時的なものであり、持続可能な賃上げのためには、人的資本投資が不可欠であるにもかかわらず、それを意識されていために、このままでは、長期的には持続できないと説明されていました。

 企業側からすれば、人的資本投資を行った場合、その労働者は市場価値が高まるために転職の可能性が大きくなるため、それが企業としてはリスクを感じるところですが、これについては、市場価値を高めた労働者がその会社に残ってくれるような組織を作ることで対応すべきだとされています。

 そしてその対応策として、①資格手当を与える、市場賃金を支払う、②選抜制度の導入、③出戻り制度、④陳腐化が激しいスキルには投資しないという4つの工夫を提言されています。

 意外と思ったのは、陳腐化が激しいスキルとして、デジタル、AIなど、高度で専門性が高いスキルは避けて、すぐには陳腐化しないコアスキルに重点的に投資すべきだと主張されています。 

20250727_130444
(楢原山)
 なるほどなと思いましたが、田舎弁護士に相談されるような中小企業には、一般的人的資本への投資は、なかなかハードルが高いような気がします。
 
 転職可能なスキルを獲得すると、転職する労働者が少なくないからです。😵

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