【学校】 大学の講師の職が、大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たるとされた事例 最高裁令和6年10月31日判決
大学の関係者から注目をされていた判例です。
任期法は、平成9年に制定されたときは、国公立大学の教員が終身雇用制を採用されていたことから5年という任期を定めた任用もできるようにするために設けられた制度です。
ところが、国立大学が法人化されたことに伴い、国立大学法人の教員も非公務員となり、有期での採用が可能となり、任期法制定時における意義は失われました。
しかし、平成25年に任期法が改正され、10年特例が設けられました。つまり、平成25年からは、任期法4条1項各号は、10年特例が適用されるための要件として機能することになったのです。
そうだったんだ~
では、最高裁判決の判旨をみてみます。
任期法は、4条1項各号のいずれかに該当するときは、各大学等において定める任期に関する規則に則り、任期を定めて教員を任用し又は雇用することができる旨を規定している(3条1項、4条1項、5条1項、2項)。これは、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与するとの任期法の目的(1条)を踏まえ、教員の任用又は雇用について任期制を採用するか否かや、任期制を採用する場合の具体的な内容及び運用につき、各大学等の実情を踏まえた判断を尊重する趣旨によるものと解される。
そして、任期法4条1項1号を含む同法の上記各規定は、平成25年法律第99号により労働契約法18条1項の特例として任期法7条が設けられた際にも改められず、上記の趣旨が変更されたものとも解されない。
そうすると、任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職の意義について、殊更厳格に解するのは相当でないというべきである。
前記事実関係によれば、生活福祉コースにおいては、被上告人を含む介護福祉士等の資格及びその実務経験を有する教員により、介護実習、レクリエーション現場実習といった授業等が実施されており、実務経験をいかした実践的な教育研究が行われていたということができる。
そして、上記の教育研究を行うに当たっては、教員の流動性を高めるなどして最新の実務経験や知見を不断に採り入れることが望ましい面があり、このような教育研究の特性に鑑みると、上記の授業等を担当する教員が就く本件講師職は、多様な知識又は経験を有する人材を確保することが特に求められる教育研究組織の職であるというべきである。
したがって、本件講師職は、任期法4条1項1号所定の教育研究組織の職に当たると解するのが相当である。

(万博・文明の森)
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