東京労働大学講座労働法コース 労働条件1(労働時間、休憩、休日) 櫻庭涼子一橋大学教授です。
(日本酒バーで)
※労働時間法制の基本的な枠組み(労基法)
①法定労働時間は1日8時間 1週40時間が上限(32条)
②休憩時間は労働時間が6時間を超えるときは45分、8時間を超えるときは1時間、途中に付与(34条)
③休日は1週に1日付与(35条)
④①を超えた労働時間、③の休日の労働につき割増賃金支払義務
ただし、例外・適用除外・特別規制あり
※履行確保
労働基準監督官による勧告、 刑罰(119条)、合意無効(13条)
※労働時間の概念
労働者の行為が指揮命令下に置かれていたと評価できるかどうかにより客観的に定まる(三菱重工長崎造船所事件平成12年最判)
指揮命令下説
準備行為等の労働時間性 船舶の製造等の会社の労働者らの事案(三菱重工長崎造船所事件)
①準備行為を事業所内で行うことを、②義務づけられてOR余儀なくされたとき、③特段の事情のない限り、④社会通念上必要と認められる限り
不活動仮眠時間の労働時間性 労働から離れることを保障されていてはじめて指揮命令下に置かれていないと評価できる(大星ビル管理事件 平成14年最判)
待機時間の労働時間性 大林ファシリティーズ事件 平成19年最判 マンションの住み込み管理人
※労働時間の通算
複数の事業場での労働について、労働時間は通算(38条1項)
別の使用者との間での労働時間も通算されると解されている
※休憩・休日
6時間を超える労働につき45分、8時間を超える労働につき1時間の休憩 休憩の一斉付与の原則
週1日以上の休日(35条) 4週間で4日とすることも可能
休日は就業規則において事前に特定することが望ましい
事前に休日に振り替えると、時間外労働・休日労働の手当を支払う義務は生じない
事後に休日を振り替えると、休日に労働をさせたことになり、時間外労働・休日労働の手当を支払う義務が生ずる
※割増賃金
「通常の」賃金×割増率×時間外労働(休日労働)時間数(37条)
「通常」賃金 参入しない 家族手当、通勤手当、住宅手当、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金等(5項、規則21条)
割増率 時間外労働 2割5分、休日労働 3割5分、深夜業 2割5分(深夜業+時間外5割、休日6割)
時間外労働がつき60時間を超えると5割に(1項ただし書)
60時間を超えた分は割増賃金に代え代償休暇の付与も可能(3項)
※定額賃金の定額払
一定額の支給によって割増賃金の支払いに代える取扱いは適法(テックジャパン事件平成24年最判、庚心会事件平成19年最判等)
割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要
割増賃金の権利を放棄していたといえるためには自由な意思に基づくものであることが明確でなければならない
判別可能性に関連して、労働者に支払われる基本給や諸手当にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うとう方法が認められるためには、契約書等の記載のほか +具体的事案に応じ、
使用者の労働者に対する説明の内容、労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断(日本ケミカル事件 平成30年最判)
日本ケミカル事件 薬剤師の労働者が、月ごとに基本給46万1500円、業務手当10万1000円とされていた
康心会事件 年俸1700万円の病院の医師が、時間外労働・深夜労働に係る割増賃金の支払を求めた
国際自動車事件 最高裁令和2年3月30日判決 割増賃金を、歩合給から減らす
熊本総合運輸事件 最高裁令和5年3月10日判決
※三六協定
法定労働時間を超える労働や休日の労働であっても、①災害など臨時の必要のある場合は行政官庁の許可を受けて労働させられる(33条)、②過半数組合または過半数代表者との間で労使協定を締結することによって適法になる(36条1項)。
延長の限度は、1か月45時間、1年間360時間(36条4項) 休日労働は含まない
通常予見することができない業務量の大幅な増加等にともない臨時的に限度額を超えて労働させる必要があるときは特別協定により労働させることができる(5項)
上限は1か月100時間未満 2-6か月の平均で1か月80時間以内 年間720時間 時間外労働につき1か月45時間を超える期間は6か月まで
三六協定は、必要条件 過半数代表の選出の仕方には注意が必要 トーコロ事件 平成9年東京高判 →労働者が残業命令に従う義務はない
過半数代表する者の選定の仕方、施行規則第6条の2
就業規則や労働協約の法的根拠が必要 (三六協定だけでは足りない)
個別的同意説は否定 包括的同意説の採用(日立製作所武蔵工場事件平成3年最判)
トランジスターの步留りの向上を所管する係の労働者が、手抜き作業を見つかり、その補正のために時間外労働を命じられ、労働者は拒否し懲戒解雇された事件
※変形労働時間制
1か月以内で平均
1年以内で平均
1週間以内で平均
法定労働時間を超える日・週が特定されていなければならない
※フレックスタイム制
始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる
※裁量労働制
実際の労働時間数にかかわらず、事前に取り決めた労働時間業務に従事したとみなす制度
専門業務型 企画業務型
※事業場外労働
事業場外で業務に従事し、労働時間を算定したがたいときは、所定労働時間労働したものとみなす(労基法38条の2)
阪急トラベルサポート事件 ツアー添乗員 否定 平成26年最判
外国人の技能実習に係る監理団体に雇用され、指導員として勤務した労働者の事案(令和6年4月16日最判) 肯定
※管理監督者(41条2号) ①事業経営に関する事項に関与しているのか、②労働時間を管理されていないかどうか、③ふさわしい処遇がなされているのかに着目して判断(マクドナルド事件 平成20年東京地判)
①ー③の判断は、厳格になされる
①ー③は、要件か、要素か
適用除外されていても、深夜業の割増賃金請求はできる
※特別規制 高プロ
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