東京労働大学講座労働法部門 労働契約3(就業規則、懲戒処分)を聴講しました。講師は、皆川 宏之(千葉大学大学院社会科学研究院教授)先生です。オンラインで受講できるので、地方参加者は大変ありがたいです。
(嫁ちゃんランチ)
Ⅰ 就業規則
1 就業規則とは
→使用者が事業場ごとに作成を義務つけられる、当該事業場で就労する労働者の労働条件を統一的に定めた文書
2 労働基準法上の使用者の義務
① 作成義務と記載事項
常時10人以上(事業場単位で計算)は、作成義務 絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項
② 届出義務・周知義務・意見聴取義務 ←公法上の義務 違反は罰則
3 就業規則の私法上の効力
① 就業規則の最低基準効
労契法12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分は無効とする。
② 就業規則の契約内容規律効の要件
秋北バス事件 最高裁昭和43年12月25日判決
電電公社帯広局事件 最高裁昭和61年3月13日判決 その定めが合理的なものであるかぎり、個別的労働契約における労働条件の決定は、その就業規則による 就業規則が労働者に対して、一定の事項につき使用者の業務命令に服従すべきことを定めているときは、そのような就業規則の来ていないようが合理的なものであるかぎりにおいて当該具体的労働契約の内容をなしている
↓
労契法第7条本文に具体化されている (要件) 合理性(日本郵便事件最高裁平成30年9月14日判決) + 周知(フジ興産事件最高裁平成15年10月10日判決)
③ 労働契約上の別段の合意の優先
※労契法7条ただし書
→就業規則の内容と異なる合意があれば、就業規則の契約内容規律効が及ばない
但し、労契法12条の最低基準効との関係に注意
④ 就業規則の労働条件変更効
就業規則の作成・変更で、労働条件を不利に変更できるか?
労契法8条 合意により、労働契約の内容である労働条件を変更
労契法9条 (原則)合意することなく、就業規則の変更で、不利に変更はできない
労契法10条 (例外)不利益に変更する場合には、周知+合理性(7条の合理性とは異なる)が必要
(林道・九川線)
Ⅱ 懲戒処分
1 企業秩序の維持と懲戒
服務規律に違反した労働者に対して、企業秩序の維持回復のため、使用者が当該労働者に対して行う制裁
2 懲戒処分
※諭旨解雇を行う場合には労働者が辞職すれば合意解約による退職となり退職金の支給が行われることになる点に懲戒解雇との相違がある。
3 懲戒権の根拠と要件
固有権説 VS 労働契約説
判例は、使用者の懲戒権の正当化について固有権説に近い表現をとっているものの、他方で、使用者が懲戒事由及び懲戒処分の種別を就業規則に定め、その規定が事業所で周知されている場合に使用者は懲戒権を行使できるとしており、懲戒権行使の要件については契約説に近い立場をとっているものと考えられる
4 懲戒事由
①職務懈怠 ②業務命令違反 ③職場規律違反 ④経歴詐称 ⑤競業禁止違反 ⑥秘密保持義務違反 ⑦私生活上の非行
5 懲戒権濫用
労契法15条 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合
※ネスレ日本事件最高裁平成18年10月6日判決 企業秩序が回復していれば 暴行事件から7年経過後の諭旨解雇処分
※違反行為に比して懲戒解雇処分が重すぎる
※罪刑法定主義類似の諸原則 不遡及の原則、一事不再理の原則 適正手続
※山口観光事件 最高裁平成8年9月26日判決 懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、有効性の根拠付にならない。
最近のコメント