ぎょうせいから出版された「弁護士専門研修講座」改正相続法の実務を、東京出張の行き帰りの時間帯で斜め読みしました😅
①配偶者居住権・配偶者短期居住権、②遺産分割に関する改正、③自筆証書遺言の方式緩和・遺言書保管方法等、④遺言執行者の権限の明確化等、⑤遺留分、⑥特別の寄与料と残された問題の、6つのテーマでした。
本日は、①のテーマに沿って、配偶者短期居住権、配偶者居住権を見ていきたいと思います。
(世田山・笠松山)
第1に、配偶者短期居住権のポイントとして、4つに整理されていました。
(1)被相続人の所有建物に居住してきた配偶者が、被相続人の死後も最低6か月間、無償で居住し続けられる、暫定的な権利。
なお、「配偶者」は法律上の配偶者を指すと言われているとのことです。
(2)(高齢)配偶者の、当面の生活を(短期的に)保護するための制度。
(3)自動的に発生する権利であり、設定行為は不要。対価も不要。
(4)相続人に使用貸借権を推認する判例(最判平成8年12月17日)を参考にして、創設された。
第2に、 配偶者居住権のポイントとして、5つに整理されていました。
(1) 被相続人の所有建物に居住してきた配偶者が、被相続人の死後も、自分が亡くなるまで無償で居住し続けられる権利。
(2) 遺産分割または遺言等によって設定することができる(しないこともできる)。
なお、裁判所に審判における遺産分割の場合において、配偶者居住権の取得につき反対する相続人がいる場合には、要件が加重されています。
(3) 遺産をめぐる法律関係において、財産的価値を有する権利として計算される
(4) 賃借権に似た面もあるが、賃料支払義務はなく、配偶者が死亡すると消滅する
(5) 対第三者対抗要件として、登記が必要である。
配偶者居住権の簡易な評価方法の計算式も紹介されています。
一戸建て(築10年、木造、固定資産税評価額は建物1000万円、土地4000万円)を対象として存続期間15年の配偶者居住権を設定した場合
② 建物の配偶者居住権付小宇検の価額
=0円(法定耐用年数を超過するので)※築10年で、15年後に期間満了したときは築25年になっていて、そのときには法定耐用年数(22年)を超過しているので、建物の将来価額は0円。従って、それを現在価値に引き直した配偶者居住権付所有権も現在価値は0円。
③ 敷地の配偶者居住権付所有権の価額
=4000万円×0.642(存続期間15年、年利3%のライプニッツ係数)=2568万円
① 配偶者居住権の価額
=(1000万円+4000万円)-(0円+2568万円)=2432万円
もっとも、今のところ、この制度のご相談を受けたことはほとんどありませんね😅
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