東京労働大学講座「労働契約1(基本原則、労働契約上の権利義務、採用)」というテーマで、講師は原昌登成蹊大学法学部教授です。
(宇和島の商店街)
一 労働契約上の権利義務
1 労働契約の基本原則と契約内容の決定
※労働と賃金の支払いの合意で成立 労契法6条
※話し合って決定するだけではなく、就業規則、労働協約 労基法によつて契約の修正
※労基法の強行的・直律的効力 労基法13条
※労働契約を解釈するときの流れ
合意の内容を書面や口頭のやり取りなどを手かがりに明らかにしていく
合意の内容が明らかではない場合 職場における労使慣行を探る
合意も労使慣行も明らかではない場合 任意法規(民法91条) → これも不明のときは信義則(補充的解釈)
2 労働契約上の権利義務の内容と特徴
※働く義務(労務提供の義務)
職務専念義務 就労請求権は基本的には認められない。
債務の本旨に従った履行が必要 受領拒否(仕事をさせずに)、賃金の支払いを免れる
病気の場合 正社員の場合は、労働者が配置される現実的可能性がある他の義務について労務を履行でき、かつ、その履行を申出ているのであれば、債務の本旨に従った履行の提供がある(片山組事件 最高裁平成10年4月9日判決)→休職
※賃金支払義務
※付随する権利義務(実務的にはとても需要)
配慮義務、誠実義務を当然に負う(信義則)
※使用者の配慮義務
安全配慮義務 労契法5条(確認の意味)
職場環境配慮義務
※労働者の誠実義務
秘密保持義務(不正競争防止法、在職中だけでなく退職後にも及ぶ)、競業避止義務(※退職後の競業避止特約)
※人事権
※権利濫用法理 (労契法3条5項、民法1条3項) 数多くの場面で用いられる
※労働者の損害賠償責任 故意 重い過失 信義則が損害額のうち一定割合に制限(茨城石炭商事件最高裁昭和51年7月8日判決)
二 採用
1 労働者の募集 (職業安定法)
2 採用
※採用の自由 例外 性別を理由とした採用拒否(男女雇用機会均等法5条) 採用時の年齢制限(労働施策総合推進法9条)
障害者の雇用の促進 法定雇用率制度
※調査の自由
※採用拒否の救済
3 採用内定 始期付・解約権留保付労働契約の成立 大日本印刷事件 最高裁昭和54年7月20日判決
内定の取消 予約のキャンセルの問題などではなく、労働契約の解約(解雇)の問題
権利の濫用に当たる場合には無効となる
内定取消し事由
内定者側による内定辞退 辞職の事由
内々定の区別 ←実態に即して判断 採用を確信させる言動、他社への就職活動を妨げる拘束 法的には内定と解釈されうる
内定期間中の法律関係 →内定者の義務
4 試用
解約権留保付の労働契約
解雇権濫用の問題
試用目的で有期契約を用いる →制限するというのが判例の立場
5 労働条件明示義務
労基法15条 書面の交付 24年4月1日追加改正
三 労働者・使用者の概念
1 基本的な考え方
労働者性 働き方の実態で判断 フリーランス
2 労基法・労契法上の労働者
使用される者で、賃金を支払われる者
※使用性
①業務遂行に関する具体的な指揮監督がある
②仕事の依頼等への諾否の事由がない
③勤務時間・勤務場所の拘束がある
④他人による代替可能性が低い
3 労組法上の労働者
賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者 ←定義が労基法労契法と大きく異なる 「概念の相対性」
※労組法の方が労働者の範囲が広い
労働組合ときちんと交渉するということに尽きる(責任が労基法等と比べて重たくない)
※判断基準
①事業組織への組み入れ
②契約内容の一方的定型的決定
③報酬の労務対価性
4 使用者
※労働契約法上の使用者
※労基法上の使用者 上級の管理職等も含みうる広い概念 行為者罰 両罰規定
※労組法上の使用者
(今回のポイント)
① 労働契約に基づき、様々な権利義務が労働者使用者生ずる
② 採用内定によって内定者と会社等に労働契約が成立する
③ 労働者に当たるか否かの判断は、働き方の実態に基づいて判断される
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