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2025年7月17日 (木)

【労働・労災】 懲戒解雇に伴う退職金の全部または一部の支給

 懲戒解雇に伴う退職金の全部または一部の支給については、実務上相談が時折あります。

 この点について、我が国を代表する労働法学者の基本書にどのように書かれているのかを確認したいと思います。

 第1に、菅野P658以下は以下のとおり解説されています。

 「懲戒解雇に伴う退職金の全部または一部の不支給は、これを退職金規程などに明記して労働契約を規律することによって初めて行いうるものであり、またそのように明定すれば賃金全額払いの原則に違反するものではない。そして、退職金の功労報償的性格に照らせば、そのような規程を一般的に公序良俗違反となすことも適切ではない。

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  しかしながら、退職金の性格からは、退職金不支給規定を有効適用できるのは、労働者のそれまでの勤続の効を抹消(全額不支給の場合)ないし減殺(一部不支給の場合)してしまうほどの著しく信義に反する行為があった場合に限られると解するべきである。」

 第2に、水町P639以下は以下のとおり解説されています。

 「退職金減額・不支給条項をめぐって問題となるのは、同条項の合理性(就業規則規定としての有効性)およびその適用の当否である。

 裁判例等からすると、退職金の全額不支給が適法と認められるのは、退職金に功労報償的な性格が認められるという前提の下、当該決定(懲戒解雇等)に至った経緯、当該労働者の過去の勤務態度、同社における過去の割合的な支給事例等をも考慮しつつ、当該非違行為がその労働者の過去の功労をすべて抹消するほど重大なものであった場合に限定されるものといえよう」

 退職金を減額する場合には、どの程度減額されるべきかという問題になりますが、裁判例はばらつきがあるようです。

 ただ、小田急電鉄事件東京高判平成15年12月11日や、NTT東日本事件東京高判平成24年9月28日は、非違行為(痴漢行為)による懲戒解雇は有効としつつ、それまでの真面目な勤務態度、同社における過去の支給事例等を考慮して、退職金の3割の支払を命じております。 

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(大月山近くの展望台)

 

 

 

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