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2025年4月20日 (日)

【子ども】 間接交流を認めた原審判を取り消し、試行的面会交流の実施を積極的に検討し、その結果をも踏まえて直接交流の可否等を検討させるべく、事件を原審に差し戻した事例 東京高裁令和5年11月30日決定

 判例時報No2617号で掲載された決定例です。

「3 検討
  (1)前記認定事実によれば、

 ①未成年者は、保育園に入園当初は、表情が硬く、集団生活に戸惑う様子が見られたこと

 ②家裁調査官による家庭訪問調査においても、未成年者は、初対面の家裁調査官に対して人見知りをして、短時間の滞在では十分に慣れることが難しく、母である相手方から離れようとしない様子が認められたこと、

 ③未成年者は、日常的に夜中に泣いて目を覚まし、一度も目を覚まさずに寝ていることの方が少ない状況であり、相手方は、精神的にも体力的にも余裕があるとは言えないこと、

 ④抗告人は、相手方の非難に強く反発して感情的になり、声が大きくなることがあったため、相手方の抗告人に対する不信感は根強いこと、

 ⑤抗告人は、未成年者が出生してから未成年者に接触した期間は短く、別居後、抗告人と未成年者の交流は行われていないことなどが認められる。

 これらの事情に鑑みると、未成年者は慣れない相手に対して不安を感じやすいといった特徴がうかがわれ、未成年者の負担を最小限に留めつつ面会交流を実施するためには、相手方の協力を得ながら、未成年者が抗告人に徐々に慣れるようにする手順を踏むことが必要であると考えられる。そうであるとすれば、相手方が、こうした手順を踏まないまま、抗告人と未成年者との直接の面会交流に協力することにつき、消極的な態度を示していることについては、一定程度理解できるところである。

 (2)しかしながら、父親が未成年者の成長を知ることは、父親にとって重要であるばかりでなく、未成年者にとっても、父親が自分に関心を示してくれていることを実感させることは、未成年者の健全な成長につながるというべきである。そして、抗告人は、第三者機関を利用して未成年者と直接の面会交流を行うことを希望し、既に第三者機関に相談し、当該第三者機関より支援が可能である旨の回答を得ているほか、第三者機関から面会交流を行うための具体的なルールに関する説明を受けていることが認められ、抗告人と未成年者が第三者機関を利用して直接の面会交流をする際、必要となる相手方の協力は、一定程度限定されたものになると考えられる。

 また、未成年者には、人見知りの傾向があり、新規の刺激から影響を受け易いといった傾向があるが、未成年者が令和3年7月以降現在に至るまで保育園に通園していることに照らせば、上記の傾向は、周囲の配慮により克服でき、あるいは成長に伴い自然と収まるものと考えられる。

 さらに、前記認定事実及び一件記録によれば、相手方は、抗告人に家事や育児に関する配慮が足りないと不満を持ち、抗告人も、相手方の非難に反発して感情的になり、声が大きくなることがあったことが認められるものの、抗告人が相手方に対し、直接の暴力に及んだとか、合理的な理由のない暴言ないし継続的ないし支配的な精神的暴力があったと認めることはできない。

 そうすると、相手方には、抗告人と未成年者が第三者機関を利用して直接の面会交流をすることに協力することが直ちに困難であると断じるに足りるだけの客観的かつ具体的な事情があると認めることはできない。仮に、直接の面会交流を実施することにより相手方の負担が主観的には増すとしても、相手方には監護補助者がいることをも考慮すれば、直接の面会交流の実施により、未成年者の福祉を害する程度にまで相手方の監護力が低下すると認めることはできない。

 (3)したがって、抗告人と未成年者の直接の面会交流については、前記(1)のような事情があることは認められるものの、前記(2)のとおり、これが直ちに困難であると断じるに足りるだけの客観的かつ具体的な事情があるとはいえないというべきであって、未成年者の年齢及び特性等に照らせば、なお、未成年者において、相手方と離れて抗告人と直接の面会交流を行うことができるかどうかについて、子の福祉の観点から、慎重に検討判断する必要があるというべきである。

 そうすると、本件においては、抗告人と未成年者との試行的面会交流の実施を積極的に検討し、その結果をも踏まえて、直接の面会交流の可否や、直接又は間接の面会交流の具体的方法、頻度、内容等を検討して定める必要があるというべきである。

 (4)よって、原審判は前記(2)の事情を適切に考慮していない点において取消しを免れない上、本件については、特に前記(3)に関して審理を尽くす必要があるので、原審判を取り消して、本件をさいたま家庭裁判所に差し戻すのが相当である。」

 もう一度、直接の交流が本当に難しいのか、難しい場合には、間接交流はどのように定めればいいのか、検討しなさいとされた決定でした。

 昔は、直接の交流って、当然でしょう的な雰囲気がありましたが、今はかなり様子が変わってきていますね。

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                              (永納山)

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