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2025年3月

2025年3月31日 (月)

【労働・労災】飲酒運転等を理由とする懲戒免職処分を受けて地方公共団体の職員を退職した者に対してされた大津市職員退職手当支給条例11条1項1号の規定による一般の退職手当の全部を支給しないこととする処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断に違法があるとされた事例 最高裁令和6年6月27日判決

 判例タイムズNp1529号に掲載されている最高裁令和6年6月27日判決です。

 高裁は、大津市敗訴だったので、最高裁で逆転勝訴となります。

 これにより、原告は、約1600万円の退職金を失いました。

 最高裁の判断は以下のとおりです。

 (1)本件規定は、懲戒免職処分を受けた退職者の一般の退職手当について、退職手当支給制限処分をするか否か、これをするとした場合にどの程度支給しないこととするかの判断を退職手当管理機関の裁量に委ねているものと解され、その判断は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に、違法となるものというべきである(最高裁令和4年(行ヒ)第274号同5年6月27日第三小法廷判決・民集77巻5号1049頁参照)。

 (2)前記事実関係等によれば、被上告人は、長時間にわたり相当量の飲酒をした直後、帰宅するために本件自動車を運転したものであって、2回の事故を起こしていることからも、上記の運転は、重大な危険を伴うものであったということができる。そして、被上告人は、本件自動車の運転を開始した直後に本件駐車場内で第1事故を起こしたにもかかわらず、何らの措置を講ずることもなく運転を続け、さらに、第2事故を起こしながら、そのまま本件自動車を運転して帰宅したというのであるから、本件非違行為の態様は悪質であって、物的損害が生ずるにとどまったことを考慮しても、非違の程度は重いといわざるを得ない

 また、被上告人は、本件非違行為の翌朝、臨場した警察官に対し、当初、第1事故の発生日時について虚偽の説明をしていたものであり、このような非違後の言動も、不誠実なものというべきである。

 さらに、被上告人は、本件非違行為の当時、管理職である課長の職にあったものであり、本件非違行為は、職務上行われたものではないとしても、上告人の公務の遂行に相応の支障を及ぼすとともに、上告人の公務に対する住民の信頼を大きく損なうものであることが明らかである。

 これらの事情に照らせば、本件各事故につき被害弁償が行われていることや、被上告人が27年余りにわたり懲戒処分歴なく勤続し、上告人の施策に貢献してきたこと等をしんしゃくしても、本件全部支給制限処分に係る市長の判断が、社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできない。

(3)以上によれば、本件全部支給制限処分が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断には、退職手当支給制限処分に係る退職手当管理機関の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきである。

 これに対しては、岡正晶裁判官の反対意見があります。退職手当金に給料の後払い的な性格や生活保障的な性格があることを強調したものです。

 相談を受ける弁護士の感覚とすれば、おそらく、岡裁判官の反対意見に近いのですが、この最高裁判決が出て以降は、退職手当を全額不支給にすることについて安心感を与えるものとなると思います。 

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(宇和島・穂積亭)

2025年3月30日 (日)

【弁護士考】士業DX白書2025発刊記念イベント 士業DX時代のキャリア戦略

 弁護士ドットコム主催の士業DX白書2025発刊記念イベント 士業DX時代のキャリア戦略を、WEBで参加しました。

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                         (フジ広見店の鬼ちゃん夫婦)

 DXやAI時代の士業の在り方を考える 法律・会計分野の7士業全体に着目されています。

 4士業の方々(40歳代くらい)の座談会から始まりました。

 老弁の田舎弁護士からすれば、服装や雰囲気が軽い感じで、今は士業はここまで変わっているんだなと感じました。

 AIは指数関数的(爆あがり)に伸びる。AIリサーチ系の進化は著しい。

 今のところ思ったよりも劇的に変化がないと思っている。AIに詳しい者は採用できない。学生を採用して育てるしかない。

 あらゆることができる 人間よりも賢く、安い。

 士業 人とのインターフェイスである。クオリティーは、内容ではなくて、インターフェイス。

 生成AIがあいている。軸を変えることで権威になれる。

 AIに出せない人間力を出す。

 AIは知識をカバーできる 人間は明るくていい人を採用。

 反対にアナログで伸びる士業がいる

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(フジ広見店・ふれあい花壇)

 確かに、chatGPDに下の質問すると、驚くべき説明が。。。

 弁護士はAIをどのように活用すべきか

 弁護士がAIを活用する方法は多岐にわたります。以下はその主な活用方法です:

 法的リサーチ
AIを使用して、過去の判例、法令、規制、学説などの法的文献を迅速に検索することができます。AIは大量のデータを解析し、関連性の高い情報を抽出することで、リサーチの効率を大幅に向上させます。

 契約書の作成・レビュー
AIは契約書や合意書の作成を支援し、契約条項に不備がないかを自動でチェックすることができます。また、契約書のレビューもAIに任せることで、時間を節約し、ヒューマンエラーを減少させることが可能です。

 リーガルドキュメントの分析
AIは裁判所提出書類や訴訟関連の書類を解析して、重要な情報やパターンを抽出することができます。これにより、ケースの戦略を立てるための意思決定をサポートします。

 予測分析
AIは過去の判例やケースに基づいて、裁判の結果や訴訟の結果を予測することができます。弁護士はこれを活用して、依頼人に対してリスクや可能性のある結果についてアドバイスを提供できます。

 コスト管理
AIは事務作業や管理業務を自動化し、コスト削減を実現できます。例えば、案件管理やタイムトラッキングのプロセスを効率化することが可能です。

 クライアント対応の効率化
チャットボットやAIによるFAQシステムを導入することで、クライアントとのコミュニケーションを効率的に行うことができます。簡単な質問に迅速に答えたり、初期の相談を自動で処理することが可能です。

 コンプライアンスとリスク管理
AIを活用して法的リスクやコンプライアンス違反を早期に検出することができます。特に企業法務において、法令順守をサポートするツールとして有効です。

このように、AIを活用することで、弁護士は効率的かつ正確な業務遂行が可能となり、クライアントへのサービスを向上させることができます。

なるほど😃

2025年3月29日 (土)

【金融・企業法務】 なぜから始めるIPO準備実務入門

 IPO関係の書籍は、新しいのが出版されると、できるだけ購読するようにしております😄

 地方でも、経営者において、IPOを考えている会社って、そこそこあるように思います。

 今回は、なぜから始めるIPO準備実務入門を購読しました。

 P17には、2023年のIPO企業についてのデータがあります。さすがに、プライムは、最小値の会社でも売上高は1000億円を超えていますが、スタンダートだと、売上高の中央値は71億円、グロースだと、25億円ですので、その位の売上高規模の会社であれば、地方でも決して少なくないと思います。

 本書は、IPO準備の基礎知識から始まり、第1章として会社を成長させ、株式上場を達成する計画の策定として、上場直後に大幅な予算の下方修正を行った事例をもとに、事業計画や予算統制の重要性について検討されており、第2章として健全な会社経営を行うための準備として、法令違反や不適切な関連当事者取引、反社会的勢力との関係を継続していたことが会社経営に重大な影響を与えた事例を取り上げてその重要性を検討されており、第3章として経営活動を適切かつ有効に行う経営管理体制の整備として、コーポレートガバナンス体制の不備や経営管理体制の不備により生じた不祥事事例を取り上げて、その重要性を検討されており、第4章として企業内容やリスク情報の開示体制の整備として、会計不祥事の事例を取り上げ、財務情報と記述情報(非財務情報)の開示の重要性について検討されています。 

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(楢原山)
 上場支援を専門とする会社の書籍で、まさに入門と題しているように、平易に説明がなされています。 

2025年3月28日 (金)

先日、息子(大4)と、雪の楢原山に登ってきました😄

 息子が帰省したので、無理矢理に誘って、四国100名山でもある楢原山(1041㍍)に登ってきました。

 水ヶ峠トンネル駐車場のところで、家内に送ってもらって、龍岡木地の林道を徒歩で歩き、木漏れ日の橋の登山道から登ります。

 山頂につきましたら、反対側の鈍川木地の方に向かって下り、鈍川の釣り堀近くで待っている家内と合流しました。

 水ヶ峠トンネル駐車場では、外国人の男性と地元の男性とお話をしました。地元の男性の方は常連さんっぽかったけれども、残念ながら、タイヤがパンクしてしまい、引き返していました。外国の男性の方は、私の方が勝手にスペイン人だと言っていましたが、楢原山が初めてということですが、スタスタ歩かれ、8合目辺りで再会しました。この方もベテランさんっぽかったです。

 山頂では、女性の方とお話をしましたが、この方も、田舎弁護士のルートと同じようでした。

 息子は、ここまでの大雪を余りみたくことがなく、はしゃいで、雪だるまを作ったり、雪玉を田舎弁護士に投げてきたりしていました。

 

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(雪だるま)
 嫁ちゃんランチは、本日は、おにぎりと、唐揚げ&玉子焼きでした。
 
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(嫁ちゃんランチ)
 帰りは、鈍川温泉の美賀登で、嫁ちゃんもまじえて、温泉と料理を楽しみました😄

2025年3月27日 (木)

【弁護士考】 えひめ結婚支援センター 応援企業・協賛企業・ボランティア推進員登録証交付式 の際に、個人情報保護のセミナーの講師を担当させていただきました。

 毎年、基本的には、1回、愛媛県の事業であるえひめ結婚支援センター(受託者・愛媛県法人会連合会)の応援企業・協賛企業・ボランティア推進員登録証交付式において出席して、個人情報保護のセミナーの講師を担当させていただいております。

 大塚岩男会長の挨拶から始まり、登録証及び認定証交付式が終わった後に、田舎弁護士の出番となります。

 田舎弁護士の個人情報保護のセミナーが終わった後は、皆さんお待ちかねの、Instagram活用セミナー 休憩をはさんだあとは、今年度の報告来年度の取組、結婚支援連携事業の取組があり、最後は、独身者から見た婚活という名のパネルディスカッションが開催されました。

 その後は、伊予鉄高島屋のレストランに場を移して、参加者の皆様と交流を重ねました。 

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(田舎弁護士)
 嫁ちゃんからは、田舎弁護士 上から目線のように見えるよ~とからかわれました😅
 あれ、すっかり爺さま👴になってしまったなあという印象です😵 
 講演希望の方は、田舎弁護士の事務所にまでどうぞ😄

2025年3月26日 (水)

【労働・労災】 月刊監査役3月号 副業・兼業をめぐる留意点

 月刊監査役No772号で掲載されている「人材の多様化における企業の労働管理の在り方と監査役等の留意点」です。

 複数ある就労時間をどのように把握し、時間外労働の規制とどのように調整するのかという論点です。

 この点、労働時間は、事業場・事業主を異にする場合も、労働時間規制の適用についてはこれを通算するとなっています(労働基準法38条1項、労働基準局長通達昭和23年5月14日基発769号)。

 そのため、例えば、労働者が事業主Aのところで所定労働時間は1日6時間、事業主Bのところで所定労働時間は1日4時間となっていた場合で、それぞれでは時間外労働が発生しないところ、通算すると1日2時間の時間外労働が発生することになり、割増賃金の支払義務はABのどちらに生じるかが問題となります。

 この点について、副業・兼業ガイドラインでは、所定労働時間については労働契約が締結された順番で、所定外労働時間についてはそれが実際に行われた順番で通算するという原則的な考え方を示しています。

 上記の例では、事業主Aの雇用契約が先に締結された場合、事業主Aでの労働は法定時間内のため、事業主Aには割増賃金の支払義務はなく、後に労働契約を締結した事業主Bに割増賃金の支払義務が発生することになります。

 また、「所定外労働時間については、それが実際に行われた順番で通算する」とは、例えば、労働者が事業主Aのところで所定労働時間は1日4時間だが、実際には6時間勤務し、事業主Bのところで所定労働時間は1日4時間で、所定労働時間どおりで勤務した場合、事業主Aの労働契約が先立ったとしても、所定外労働は実際に行われた順番で通算されるため、事業主Bは事業主Aの所定労働時間と通算して時間外労働は発生しておらず、実際に所定外労働時間を行った事業主Aに割増賃金の支払義務が発生します。

 なお、雇用ではなくて、個人事業主として業務委託を結ぶことで受け入れることも想定されますが、この場合でも昨年11月1日から施行されたフリーランス新法による規制を受けることになります。 

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(松山地裁宇和島支部)

 

2025年3月25日 (火)

【流通】 監査役等による業種別の「会計監査」のポイント 「小売業」

 月刊監査役No772にて連載中の解説です。

 P82以下は、監査役等の着眼点にふいて、解説しています。

 ①出店と退店 

  →会計監査人の監査計画において、店舗視察へどのように反映されているのかを検討する。

 ②資産除去債務

  →経営者及び会計監査人が考える合理性が妥当かどうかを検討する。

  →赤字の継続年数や累積金額等で撤退のためのガイドラインを内規として共有しておく。

 ③棚卸資産

  →棚卸時の配置図と現物確認が重要なため、会計監査人共々、現状の把握に務める。

 ④減損

  →期末の決算の段階で、減損の検討と整合するようにする。

 ⑤キャッシュレスとポイント

  →WEB店舗だけではく、ネット環境のセキュリティや安全姓にも配慮して、顧客情報の流出が発生しないように内部の統制が、外部からのサイバーセキュリティが確保されているか、情報部門と連携し、十分に把握する。 

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(宇和島の商店街)

2025年3月24日 (月)

【金融・企業法務】 ありがとう~ 銀行法務21・3月号

 長年定期購読をしてきました経済法令研究会の銀行法務21の3月号が届きました。今回号をもって定期購読は中止とします。代わって、3月からは、(公財)商事法務研究会に入会し、旬刊商事法務が届いております。

 田舎弁護士が開業した30年近く前は、顧問先である銀行からのご相談も毎月のようにあり、訴訟や保全も途切れることなく対応したものです。ここ数年前から大幅に減少し、現在では、知り合いの行員さんから時折電話でご相談がある程度です。

 他方で、会社法務等の仕事が急増しているため、銀行法務21の代わりに、旬刊商事法務に乗り換えたわけです😅

 銀行法務21は、1度だけですが、執筆もさせていただいたことがあります。

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                              (八幡浜で)

 目をとおしたものだけを紹介します。

 「法務時評」は、長谷川俊明弁護士による人権DDの観点からのカスハラ対応とサプライチェーンの強化です。2023年1月の改正企業内容等の開示に関する内閣府令等は、有価証券報告書等におけるサステナビリティ開示を義務付けており、カスハラ対策を、「サステナビリティに関する企業の取組」例として開示する企業が増えると予想されると書いております。

 座談会は、「経営者保証ガイドラインと廃業支援をめぐる諸論点」です。「弁護士側の経営者保証ガイドラインへの理解とのバランスが重要で、弁護士側に実務経験がなければないほど、経営者保証ガイドラインへの理解に手間がかかります」「弁護士側の理解が進むと、ガイドラインは結構手間がかかるという評判が弁護士の間で広まってしまい、対応に消極的な方が多くなりました」、「破産申立をすれば簡単なのに、わざわざ手間をかけてまでという考えが少なくなり」等の発言がみられました。田舎弁護士の地方では、経営者保証ガイドラインへの事案ってどのくらいあるのでしょうね。

 伊予銀行さんや、愛媛銀行さんなどは、データを公表されていますね。

 今月の解説は、クロスボーダー収納代行に関するリスクに応じたマネロン等金融犯罪対策です。海外の事業者との取引については収納代行行業者を利用することがありますが、真の送金人と真の受取人が不透明になる構造が問題視されています。

 金融取引法研究会は、誤振り込みと相殺です。1度だけ誤振り込みに遭遇したことがあります。考え方としては、振込依頼人と受取人との間の振り込みに係る原因関係の有無にかかわらず、受取人と銀行との関係では普通預金契約が成立し、受取人が預金債権を取得するとの判例の考え方や、銀行側で原因関係の有無を調査することが実務上困難である点を踏まえると、原則として相殺は可能との出発点に立つことになろう。もっとも、銀行側の相殺を正義公平の観点から認めなかった裁判例もある点を踏まえて、事案によっては、相殺を行うか否かの判断において、振込金額、債務者(振込先)の信用状況、振込依頼人の主張の確からしさといった事情も考慮する。

 倒産実務交流会は、主債務者の正常弁済中に、保証人破産の破産財団からする債権者への配当事案です。

 金融業界の課題を読み解く熱い金融対談は、あおぞら銀行の女性執行役員の方との座談会でした。

 カスタマーハラスメントの正しい理解と対策 ですが、東京都、北海道、桑名市においてもカスハラ禁止条例が成立したようです。

 あとは、金融商事実務判例をざっと見ました。

 長い間、お世話になりました。(●^o^●)

 

2025年3月23日 (日)

【建築・不動産】 建物所有者から定期建物賃貸賃貸借契約の媒介を委託された宅地建物取引業者が、事前の書面交付および説明をしなかったことについて、媒介契約上の債務不履行責任が認められた事例(東京地判令和6年1月29日)

 銀行法務21・3月増刊号「ダイジェスト金融商事重要判例(令和6年版)」で掲載された裁判例です。

 宅建業者が、定期建物賃貸借契約の媒介を委託されていたにもかかわらず、事前の書面交付および説明をしなかったことから、賃借人が法定更新を主張され、解決金として、850万円を、賃借人に支払って解決せざるを得なくなったので、そこから、保証金残金を控除した約776万円等を請求したというケースです。

 裁判所は、宅建業者に、媒介契約の善管注意義務及び業務上の一般的な注意義務違反があるとして、約776万円を認めました。

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                             (長浜駅で)

 このケースと類似の相談は、昨年は複数あり、しかも、同じ不動産業者でした。いずれ、このような法的紛争に発展してもおかしくないだろうと思います。

 また、賃貸人においても、お願いしている宅建業者に対しては、更新前にはきちんと事前の書面交付と説明を励行しているのか確認した方がいいでしょう。

2025年3月22日 (土)

【金融・企業法務】防衛特別法人税の創設

 令和7年度の税制改正大綱によれば、防衛特別法人税なるものが、現在国会で審議され、成立する予定になっているようです。

 全然知りませんでした。

 防衛特別法人税は、防衛費増額の財源の一部として、当分の間、法人税の4%相当の付加税として、令和8年4月1日以降に開始する事業年度以降に適用されるとのことです。

 GDP(国内総生産)の2%に防衛費を増額するためのもののようです。

 これまで、防衛費は、GDPの1%にとどめていたと思いますが、倍を目標にされています。

 これに対して、トランプ政権は、GDPの3%を求めておりますので、倍になっても、アメリカとの開きはかなりありそうです。

 話を戻します。

 税理士の先生のHPなどをみると、実行税率は、0.9%程度UPするようです。

 もっとも、中小企業に配慮して、法人税額から500万円は控除されるようですので、田舎弁護士の事務所のように小さな法人は関係なさそうですが、大きな会社であれば、3月31日までに改正税法が成立すれば、税効果会計の観点から、2025年3月期決算において繰延税金資産および繰延税金負債の計算に反映する必要があります。 

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(上灘のカフェ)

 先日、家内と上灘のカフェにでかけてきました。おしゃれな古民家で、食事も、おいしくいただけました。 

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(外観) 

 ルドリュロラン 378 というお店です。すてきな雑貨も売っていました🐼

2025年3月21日 (金)

【建築・不動産】 所有者不明土地管理命令申立て 備忘録

 民法264条の2第1項は、管理命令に係る土地の所在地を管轄する地方裁判所は、所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、または所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地または共有持分を対象として、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分(所有者不明土地管理命令)をすることができるとされました。

  所有者不明土地管理命令の請求権者は、利害関係人でなければなりません(なお、地方公共団体の長等は特別措置法で適切な管理のため特に必要と認める時は申立ては可能)。

 利害関係人とは、対象となる土地が適切に管理されていないために不利益を被るおそれがある隣接地所有者や、土地の共有者の一部が不特定または所在不明である場合の他の共有者、その土地を取得してより適切に管理しようとする公共事業実施者が例示として示されています。

  申立の際の添付資料としては、民事法研究会の書籍によれば、申立書副本、委任状、資格証明書、登記事項証明書、固定資産評価証明書、公図、経路図、現状調査報告書、所有者・共有者の探索等に関する報告書があげられています。

 申立てを行うと、①申立人が利害関係人に該当すること、②土地の所有者を知ることができずまたはその所在を知ることができないこと、③具体的な管理行為を行うために管理命令の必要があると認められることなどの要件について、審理確認し、審問期日を指定することになります。

 登記の嘱託ですが、管理命令の対象となる土地について、所有権に登記はされているものの、登記簿上の所有者が被相続人名義のままとなっている場合、管理命令の登記の前提として、選任された管理人において相続登記を行う必要がある※。裁判所書記官としては、管理人による相続登記の後に登記嘱託を行うことになる。

 所有者であると主張する者が、所有者不明土地等の所有権が自己に帰属することを証明した場合(所有者であると主張する者が、所有者不明土地管理人に対して所有者不明土地の所有権確認訴訟を提起し、勝訴判決を得た場合など)は、裁判所は、その者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければなrない。この場合、管理人は、その者に対して事務の経過および結果を報告し、所有者不明土地を引き渡すことになる。 

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(八幡浜駅で)
※所有権の登記名義人が死亡し、相続登記が未了である場合において、その相続人が所有者となった土地又は共有持分について所有者不明土地管理命令がされたときは、所有者不明土地管理命令の登記をするためには、その前提として、相続登記をする必要がある。この相続登記の申請は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分に係る相続人が登記申請人となり、所有者不明土地管理人がその代理人となって行うことになる。この場合には、裁判所に提出された戸籍関係書類の裁判所書記官の認証に係る謄本を相続を証する情報として取り扱うことができるものとする。また、裁判所書記官の作成に係る所有者不明土地管理人選任及び印鑑証明書又は所有者不明土地管理命令の裁判所謄本が代理人の権限を証する情報となる。

2025年3月20日 (木)

【金融・企業法務】退職慰労金の決定にかかる取締役会の裁量権 最判令和6年7月8日判決

 3月から、(公社)商事法務研究会に入会しました。商事法務研究会に入会した目的は、印象ですが、現在、仕事の70%程度くらいが、会社や団体の役員としての職務、また、企業や病院等の団体からの顧問業務に費やされているため、いわゆる企業法務をより深く勉強するためということにあります。

 商事法務研究会に入会しますと、旬刊商事法務が届きます。今回は、No2384号(3月5日号)が届きました。

 54頁程度の小冊子で、分量が厚くない分、読みやすさを感じます。

 さて、その中に、退職慰労金の決定にかかる取締役会の裁量権を論じた最判令和6年7月8日を検討した論文が掲載されていました。

 最判令和6年7月8日の判決要旨は以下のとおりでした。

 退任取締役の退職慰労金につき、退任時の報酬月額等により一義的に定まる額を基準とするが、退任取締役のうち在任中特に重大な損害を与えたものに対しこの基準額を減額することができること等を定める内規が存在する株式会社の株主総会において、取締役を退任する者の退職慰労金について、上記内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の決議がされた場合に、次の(1)~(4)など判示の事情の下では、上記会社の取締役会がした、上記の者に対し、同人の退職慰労金に係る基準額として算出した3億7720万円から減額した額である5700万円の退職慰労金を支給する旨の決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできない。

 (1)上記取締役会は、上記の者が、代表取締役在任中に、①長期間にわたって上記会社から社内規程所定の上限額を超過する額の宿泊費等を受領し、このことが発覚した後には、いったん負担した当該超過分に係る源泉徴収税相当額を上記会社に転嫁するとともに、社内規程に違反する宿泊費等の支給を実質的に永続化する目的で自らの報酬を増額したこと、②複数年度にわたり、交際費として従前の支出額を大幅に超過する額を上記会社に支出させるなどしたこと等を考慮して上記決議をした。

 (2)上記の者と利害関係のない弁護士等で構成された調査委員会による調査等の結果をとりまとめた調査報告書では、上記①の行為は特別背任罪に該当する疑いがあり、上記②の行為も正当化することができず、上記の者はこれらの行為により上記会社に多大な損害を与えたとの指摘がされた。

 (3)上記決議は上記調査報告書の内容を踏まえたものであったところ、上記調査委員会が調査等に当たって収集した情報に不足があったことはうかがわれない。

 (4)上記取締役会は、上記①の行為につき告訴をして退職慰労金を支給しないとする上記調査委員会から提示された案も検討したが、審議の結果、告訴をせずに退職慰労金を大幅に減額する旨の判断に至った。

 第1審、第2審ともに、退任取締役勝訴としているので、最高裁で、大逆転したわけです。

 在職中に問題のある行為をされていた代表取締役の方だったようですが、まあ、3億円はあきらめきれなかったのでしょうね

 

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(日浦・丸味) 

2025年3月19日 (水)

【労働・労災】フリーランス法が昨年11月~施行されています。

 第1法規から出版された「ケーススタディでわかる フリーランス・事業者間取引適正化等法の実務対応」です。

 フリーランス法の全体像ですが、フリーランスの募集から、契約の締結、契約の履行、契約終了の各段階において、取引の適正化を図る観点から、下請法同様の規制をするとともに、フリーランスの就業環境の整備を図る規定が定められています。

1 フリーランスの募集

 ●募集条項の的確表示(12条)

  →広告等によりフリーランスの募集情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならず、正確かつ最新の内容に保つ義務を負います。

2 契約の締結

 ●契約条件明示義務(3条)

  →フリーランスに業務委託をした場合、直ちに、契約条件を書面または電磁的方法で明示する義務を負います。この条文だけは、フリーランスを含む全ての発注者に適用されます。なお、補充事項がある場合にも、直ちに明示する義務を負います。

 ●禁止行為(買いたたきの禁止)(5条1項4号)

  →フリーランスに1か月以上継続する業務委託をする場合、通常相場に比べ低い報酬の額を不当に定めることは禁止されます。

 ●報酬の支払期日(4条)

  →フリーランスから給付を受領した日(または役務の提供を受けた日)から60日以内のできる限り短い期間内に報酬の支払期日を定めて支払う義務を負います。フリーランスへの委託が再委託の場合、一定の条件を満たせば、元委託支払日から30日以内に支払えば足ります。ただし、契約時に一定の事項の通知が必要です。

 20250309_143922                              (横峰寺)

3 契約の履行

 ●禁止行為(5条)

  →フリーランスに対し、1か月以上継続する業務委託をした場合、以下の行為が禁止されます。

   ①フリーランスに責任がないのに給付の受領を拒否すること

   ②フリーランスに責任がないのに報酬を減額すること

   ③フリーランスに責任がないのに返品を行うこと

   ④正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること

   ⑤自己のために金銭、役務その他の経済的利益を提供させること

   ⑥フリーランスに責任がないのに内容を変更させ、またはやり直しをさせること

 ●妊娠・出産・育児・介護配慮義務(13条)

  →6か月以上継続して業務を受託するフリーランスが、妊娠、出産、育児、介護と両立して業務を行えるよう、フリーランスの申出に応じて、必要な配慮をする義務を負います。なお、6か月に満たない業務を委託する場合にも努力義務が課せられています。

 ●ハラスメント対策義務(14条)

  →フリーランスに対するハラスメント行為について、フリーランスからの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な処置を講じる義務があります。

 4 契約の終了

 ●解除等の予告(16条)

  →6か月以上の継続的業務委託を中途解除・不更新とする場合、原則として、契約終了の30日前までにフリーランスに予告する義務を負います。また、契約満了までにフリーランスから契約終了の理由の開示を請求された場合には、原則として遅滞なく理由を開示する義務を負います。

 

2025年3月18日 (火)

【消費者法】偽ショッピングサイト、詐欺サイト

 最近、偽ショッピングサイト、詐欺サイトの話をよくききます。偽ショッピングサイト、詐欺サイトとは、インターネット等に係る詐欺を目的おしたWEBサイトを構築して、商品の注文・代金の振り込みを受けた上で、商品を発送しない又は偽物の商品を発送する等の手口をいいます。

 田舎弁護士も、随分昔に1回ひかかったことがありますが、一般的なネットモールに出品しているショップに注文したところ外国から粗悪品が送られていたことも経験したことがありますが、今回は、この話ではありません。

 消費者の立場からすれば、偽ショッピングサイトであることを見抜く必要があります。

 警察庁のHPでは、被害に遭わないためには、以下のようなことに注意するよう呼びかけています。

 ●URLの「https://~」やドメインに違和感はないか
 ●商品価格が極端に安くないか、割引率が大きくないか
 ●「本日限り」等と記載されるなど、購入を急がせていないか
 ●会社概要の内容についてインターネットで検索等を行い、企業名の盗用や虚偽の内容等が記載されていないか
 ●日本語が不自然でないか

 そして、万が一、被害に発生した場合には、以下のような対応を講じるよう呼びかけています。

 ●クレジットカード会社等に連絡する

 ●ID、PW等を変更する

 ●サイト情報や相手のやりとりの内容を保存する

 ●警察に通報相談する

 また、悪質ECサイトを発見しましたら、SIAに通報願います。

 そして、自社の偽ショッピングサイトを発見した場合には、まずは、顧客への注意喚起、警察への相談などを速やかに講じる必要があります。

 

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(横峰寺駐車場から)

 

 

 

2025年3月17日 (月)

【学校】幼稚園を運営していますが、近隣住民から、園庭で遊ぶ子どもの声がうるさいとの苦情が入るようになりました。園庭で自由に遊ぶことは子どもの発達のために大切ですし、実際のところ子どもを静かにさせることは容易ではありません。このような苦情にも対応する必要があるのでしょうか?

 昨年12月に出版された「学校運営の法務Q&A」での質問P298です。幼稚園だけではなくて、その他の学校、保育園、児童館等でも同様の苦情がよせられる可能性はあるところです。

 近隣住民が騒音対策を法的に求める紛争に発展した場合の、騒音が違法と評価されるについての裁判所の判断基準は、概ね以下のとおりです。

 ①侵害行為の態様、②侵害の程度、③被侵害利益の性質と内容、④施設の所在地の地域環境、⑤侵害行為の開始とその後の継続の経緯および状況、⑥その間にとられた被害の防止に関する措置の有無及び内容、効果等の諸般の事情を総合的に考察して、被害が「一般社会生活上受忍すべき程度のものを超えるものかどうか」によって、判断されています。

 騒音の大きさについては、環境基準や騒音防止法、自治体の条例の基準などを参照し、当該地域の環境騒音の程度、近隣住宅との距離や生活時間帯と騒音が大きくなる時間帯の関係などを勘案し、住民の被害が生活上の著しい支障となっているかを検討しています。

 なお、幼稚園等の側で対応できることもあります。特に住宅街を近接しているような場合は、周囲への影響を軽減するための方策を検討する必要があります。

 この点、保育園のケースで参考になる裁判例(大阪高裁平成29年7月18日判決)があります。 

 保育園の近隣に居住する控訴人が,園庭で遊ぶ園児の声などの騒音が受忍限度を超えているとして,保育園を経営する被控訴人に対し,慰謝料の支払と境界線上に防音設備の設置を求めた事案(原審:請求棄却)。控訴審は,保育園からの騒音が発生する時間帯は毎日約3時間に限定され,控訴人の居住地域は,もともと自動車騒音や電車騒音が連続的・継続的に存在し,同保育園からの騒音による騒音レベルの増加はさほど大きくないこと,同保育園の公益性・公共性は否定できず,保育園開設の経過・被害防止の措置など,被控訴人に不誠実な態度があったとも認められないことなどから,受忍限度を超え,違法な権利侵害等になるとは言えないとして,控訴を棄却した事例

 「騒音の音については、控訴人は,環境基準である55dBを超える騒音は原則として受忍限度を超えると主張するが,同基準は,行政施策を講じる上での目標値であって,人にとっての最大許容限度や受忍限度を定めたものとは異なるから,騒音による侵害の程度等を検討する際の評価基準の一つと考えることはできるが,これを超える騒音が,直ちに受忍限度を超える騒音になると評価すべきではない。」と判断しており、単純に音の大きさだけでは判断されていません。

 また、保育園の公益性の高い点についても、以下のとおり触れています。

「ア 本件で騒音による被害が問題となるのは,本件保育園において園児が園庭で遊ぶ際に発する声を中心とし,職員によるハンドマイク等による指示や注意を含む園庭における保育活動から生じる騒音である。
   園児が園庭で遊ぶ際に発する声等は,一般に,不規則かつ大幅に変動し衝撃性が高い上に高音であって,人の耳に感受され易いものであるが,その受け止め方については,これを気になる音として,不愉快,不快等と感じる者もあれば,さほど気にせず,むしろ健全な発育を感じてほほえましいと感じる者もいると考えられる。
 イ しかも,保育園は,一般的には,単なる営利目的の施設等とは異なり,公益性・公共性の高い社会福祉施設であり,工場の操業に伴う騒音,自動車騒音などと比べれば,侵害行為の態様に違いがあると指摘することが可能である。したがって,園児が園庭で自由に声を出して遊び,保育者の指導を受けて学ぶことは,その健全な発育に不可欠であるとの指摘もでき,その面からすれば,侵害行為の態様の反社会性は相当に低いといえる。
 ウ 本件保育園についても,この点が基本的に当てはまる。さらに,本件保育園は,神戸市における保育需要に対する不足を補うため,被控訴人が神戸市から要請を受けて設置・運営したという経緯があり,神戸市における児童福祉施策の向上に寄与してきたことも認められる。
 エ もっとも,騒音被害を受ける控訴人の立場からすれば,園児が発する騒音であれ,工場や自動車による騒音であれ,騒音レベルは同じであるとの指摘もあり得るし,本件保育園に通う園児を持たない控訴人を含む近隣住民にとっては,直接保育園開設の恩恵を享受していないから,保育園が一般的に有する公益性・公共性を殊更重視することに抵抗があろう。

 しかしながら,上記の指摘や抵抗を踏まえて考えても,受忍限度の程度を判断するに当たって,上記アないしウの事情が考慮要素となることは否定できない。

 なお、本書によれば、裁判例において、施設の公益性をどこまで勘案するかについては、一律に判断されているわけではなさそうです。 

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(春冷えの横峰寺) 

2025年3月16日 (日)

【金融・企業法務】 会社法上の「子会社」って!?

 「この場合には、子会社にあたるのですか? 子会社にあたると、どのような問題が生じますか?」等の相談を受けることがあります。

 子会社にあたるのかどうかについては判断するのは難しい場合があります。

 以下、田中亘教授の会社法P53から引用します。

 「会社が他の会社等の経営を支配している場合における当該他の会社等をいう(会社法2条3号、会則3条1項)。ここで会社等とは、会社、組合、その他これらの準じる事業体をいう。すなわち、2条1号の会社ではないものも、会社法にいう子会社となりうる」

 「会社が他の会社等の経営を支配している場合とは、当該他の会社等の財務および事業の方針の決定を支配している場合として、会則3条3項が規定する場合をいう。

 ①会社が他の会社等の議決権の50%超を自己の計算において所有する場合は、原則として、当該他の会社等は当該会社の子会社となる(会則3条3項1号)。

 ②①以外にも、会則3条3項2号または3号の要件を満たす場合は、子会社となる。」

 なかなか②の場合は、説明が難しいので、有名な法律事務所のHPでの説明を引用させていただきます。

 子会社に該当した場合には、①子会社は、原則として、親会社の株式を取得できませんし、②取得した場合には、相当の時期に処分しなければなりません。当然のことですが、③議決権もありません。 

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(湯波のお猿)
 ご相談があるのは、会則3条3項2号や3号の適用の有無ですねえ~
 高い買い物をした弥永コンメンタール会社法施行規則が役立ちます。

 

2025年3月15日 (土)

【学校】 地方大学再生 生き残る大学の条件

 地方大学再生 生き残る大学の条件を読みました😅

 P233以下のまとめには、以下のとおり説明されています。

 「大都市圏と地方圏では多少、違った動きが見られる可能性がある。地方都市の企業のなかには、新規採用に当たって、特定の職業高校や短大の卒業生の方が、信頼性が高いと判断するものもある。大都市圏と異なり、地方都市では地元大学へ進学した場合の投資対効果が見えやすい。地元の高校生たちに支持される学部構成、教育内容をもった大学や短大がある都市と、そのような大学が不在の都市では、高校生の進学率も変わってくるだろう。地域に大きな役割を果たす大学があるか否かによって、その都市の活力自体が左右されることになる。

 また人口減少は確実に予測できるが、大都市圏と地方など地域別の動向の予測は難しい。ただ、生産年齢人口を吸収し続けてきた大都市圏では、人口の高齢化が相当なスピードで進みつつある。医療介護の費用が財政を圧迫するようになり、地方税が上昇して住みにくくなる。一方の地方都市では、交通インフラや商業インフラなどが一通りそろい、高齢人口が都市部より早くに消えていくことから、財政的余裕も生まれ、若年層が地元に残る道を選ぶ、あるいは大都市圏の若年層が地方移住する傾向も進むかもしれない。その際に魅力的な大学があるか否かは、大きな意味を持つことになる。

 地方都市の私大の場合、現状と同様に地域社会に根を張っているか否かによって、存続可能性は決まってくる。良質な教育を施された卒業生たちが地域の官庁企業に就職するなど、地域社会の人々の目にみえるかたちで活躍する、あるいは都市に出ていって活躍する人材を送り出す、さらには国内外の大学の大学院などに進学して活躍する、などの成果を上げて、地域社会からの評価を得ることが求められる。

 また学部構成によっては大学院を開設し、地元の官庁や企業の人材のレカレント(学び直し)教育も含めて、地域で求められる高度な人材養成の役割を果たすこともありうる。」

 本書P224では、地方国立大学には気になる将来についても説明があります。

 「(20年代からの大学再編)国立大学については、旧帝大系などの有力大学が周辺の地方国立大学を法人傘下に統合し、学部・学科を選別しながら再編していく方向が基本となる。当面は、文系学部の縮小など、財界などの顔色を見ながらの再編が基本となろうが、中長期的には有力大学を中心として、学部学生数を減らし、海外留学生を含めた優秀な学生を対象とした大学院教育を拡充し、より高度な教育に重点が置かれることになる。その過程で、地方国立大の整理統廃合は進められるだろうが、戦前からの地場産業に直結するなど、地域にかかさせない大学は容易に整理されないはずだ」 

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(星ヶ森)
 

 

 

 

 

 

 

2025年3月14日 (金)

【金融・企業法務】 公益通報者保護法が改正される予定です😟

 公益通報者保護法が改正される予定です。

 第1に、事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上を図ります。

 従事者指定義務に違反する事業者(常時使用する労働者の数が300人超に限る)に対して、現行法の指導・助言、勧告権限に加えて、勧告に従わない場合の命令権及び命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)を新設します。

 上記事業者に対する現行法の報告徴収権限に加えて、立入検査権限を新設するとともに、報告懈怠・虚偽報告、検査拒否に対する刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)を新設します。

 現行法の体制整備義務の例示として、労働者等に対する事業者の公益通報対応体制の周知義務を明示します。

 

 第2に、公益通報者の範囲を拡大します

 公益通報者の範囲に、事業者と業務委託関係にあるフリーランス及び業務委託契約が終了して1年以内のフリーランスを追加し、公益通報を理由とする業務委託契約の解除その他不利益な取扱いを禁止します。

 第3に、公益通報を阻害する要因への対処です。

 事業者が、労働者等に対し、正当な理由がなく、公益通報をしない旨の合意をすることを求めること等によって公益通報を妨げる行為をすることを禁止し、これに違反してされた合意等の法律行為を無効とします。

 事業者が、正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為をすることを禁止します。

 第4に、公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化です

 通報後1年以内の解雇又は懲戒は、公益通報を理由としてされたものと推定します(民事訴訟上の立証責任転換)

 公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対して、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金刑、両罰)を新設します。また、法人に対する法定刑を3000万円以下の罰金とします

 公益通報を理由とする一般職の国家公務員等に不利益な取扱いを禁止し、これに違反して分限免職又は懲戒処分をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)を新設します。

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(星ヶ森)
 すごい内容の改正です😟 

2025年3月13日 (木)

【建築・不動産】 (仮登記に基づく本登記)甲所有の不動産について、乙のための所有権移転登記請求権の仮登記後に、甲から丙への所有権移転の登記がされている場合、当該仮登記に基づく本登記手続は、どのようにすればよいか?

 甲が、乙に不動産を売り渡して仮登記を設定した後に、甲が丙へ売り渡して本登記をした場合、甲は、当該仮登記に基づく本登記手続をするためには、どしたらいいだろうか?という質問です。

 これに対して、新訂判決による登記は、以下のとおりわかりやすく解説しております(P265以下)。

 「仮登記に基づく本登記の申請は、一般の申請手続と同様、仮登記権利者及び仮登記義務者が共同してするのが原則であり、仮登記義務者が本登記手続に協力しないときは、本登記手続をすべきことを命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む)を得て、登記権利者が単独で申請することができます(不動産登記法63条1項)。この場合、請求の趣旨及び判決の主文において、どの仮登記に基づき本登記手続を求めるものであるかを明示する必要があります。

 仮登記に基づく本登記をした場合には、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位によりますから(法106条)、所有権に関する仮登記に基づく本登記について、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができます(法109条1項)。

 その申請に当たっては、当該第三者が承諾したことを証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報(裁判書の正本等)の提供を要します。当該第三者の権利に関する登記は、登記官が当該申請に基づく本登記をする際に職権により抹消します(法109条2項)。

 法109条1項にいう「登記上の利害関係を有する第三者」とは、仮登記に基づく本登記がされた場合において、その不動産に関する権利を害されることが登記の形式上明らかな第三者をいうものと解されています。

 所有権に関する仮登記後にされた抵当権その他の制限物権の登記名義人、仮差押・仮処分・差押えの登記名義人などはもちろん、設問のように、所有権に関する仮登記後に所有権登記名義人から所有権移転の登記を経た第三者も、登記上の利害関係人に当たります。すなわち、所有権に関する仮登記後に第三者への所有権移転登記がされた場合の本登記義務者は、仮登記義務者である前の所有権登記名義人であって、現在の所有権登記名義人は、当該仮登記に基づく本登記をするについての登記上の利害関係人として、その承諾がなければ本登記の申請をすることができないということになります。」

 「所有権に関する仮登記後に数次の所有権移転の登記がされている場合、これらの数次の移転登記は全て職権抹消されることになりますが、本登記についての承諾は、現在の所有権登記名義人のみの承諾を得れば足りるとされています。」

 「なお、所有権の仮登記後に相続による所有権移転の登記がされている場合において、当該仮登記に基づく本登記をするときは、その登記義務者は、相続による所有権移転の登記名義人であり、当該相続登記は本登記に伴い、職権抹消されます」

 「仮登記権利者は、仮登記の効力として、これらの第三者に対し、仮登記に基づく本登記についての承諾を求めることができ、他方、当該第三者は、承諾義務を負うことになります。第三者が任意の承諾に応じない場合は、仮登記権利者は、その者に対して、当該仮登記に基づく本登記をするについて承諾すべき旨を請求する訴訟を提訴することができます。この承諾請求訴訟は、仮登記義務者に対する本登記手続請求の訴訟に併合提起しても、あるいは別訴によっても差しつかえありません。」

 「設問については、乙の仮登記の本登記手続について甲及び丙の協力が得られない場合には、乙は、甲に対し、その本登記手続を求める訴訟を、丙に対しては、当該本登記について承諾を求めるそれぞれ提起し、勝訴の各確定判決を得た上で、単独で仮登記に基づく本登記の申請をすることができます。同一の判決による場合には、当該判決書の正本が登記原因証明情報と承諾証明情報を兼ねることになります。

 登記って、私のような田舎弁護士にとっては、非常に難解なので、このような書籍があるはありがたいです(但し、いつ、役立つかわかりませんが) 

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(春冷えの楢原山)

 

 

2025年3月12日 (水)

【建築・不動産】 昔の抵当権の登記を消す方法⁉

 年に1、2回程、昔の抵当権等の登記が残ったままになっているので、なんとか消すことはできないかという相談を受けることがあります。

 消すためには、消すことについての正当な理由が必要です。

 大昔の抵当権等であれば、担保となった貸金は、既に返済済みであったり、消滅時効が成立していることが大半だと思います。

 貸金が消滅すれば、抵当権も消滅します。

 しかしながら、登記簿上の抵当権は抹消されるわけではありませんので、消すための作業が必要になります。

 第1は、当事者の合意による方法です。

 ただ、債権者が生存している場合であればともかく、死亡している場合には、相続人も複数であり、この方法は難しい場合が多いと思います。

 第2は、休眠担保法抹消の特例による方法です。

 ①債権者が行方不明であること、②弁済期から20年以上経過していること、③貸金の元本と利息を支払ったことを証明して、登記を消します。

 この方法は、専門家である司法書士の先生にお願いする必要があります。

 第3は、訴訟による方法で、弁護士が対応する分野となります。貸金について消滅時効に必要な期間が到来していれば、最終的には勝てる可能性が高い案件とはなりますが、前提として、債権者が個人であれば、相続人調査、法人であれば、解散や登記が残っていない等、非常に手間がかかる手続となります。

 もっとも、令和5年4月1日施行の改正不動産登記法により、担保権者が解散した法人である場合には登記抹消手続が簡略化されました。

 なお、債権者の立場からすれば、貸金などの債権の保全管理をしておかないと、せっかく、つけた抵当権が抹消されてしまうということです。

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(笠松山)

2025年3月11日 (火)

【離婚】 DV や ストーカーの書籍

 新しい書籍で、DVやストーカーについて解説されているものをネットで探してみました。

 DV関係の書籍はかなりの数が出ているのですが、ストーカーについては文献としては少ないです。

 その中で、立花書房から令和6年11月に出た「ストーカー規制法ハンドブック」は、警察庁の生活安全局長が執筆されたものであり、大変参考になります。

 また、令和7年1月に出版されたDV・ストーカー対策の法と実務(第2版)は、最近の改正までフォローされており、これも大いに参考になります。

 「つきまといや待ち伏せ、住居などに押し掛ける」行為については、通常は、ストーカー規制法を思いつきます。

 しかし、ストーカー行為は、ストーカー行為だけで規制されているわけではありません。

 ストーカー行為が常習的ではない場合には、軽犯罪法違反として、拘留や科料に処せられる可能性があります。

 また、恨みや妬み、悪意をもって、反復してストーカー行為をした場合には、迷惑防止条例違反として、懲役や罰金刑に処せられる可能性があります。

 愛媛県迷惑防止条例の「第12条 何人も、正当な理由がないのに、特定の者に対し、次に掲げる行為(ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第2条第1項に規定するつきまとい等を除き、第1号から第4号までに掲げる行為については、身体の安全、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してしてはならない。(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ち塞がり、住居等の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。

「第17条 第4条第1項(第4号を除く。)若しくは第2項第1号若しくは第12条の規定に違反した者又は第14条の規定による命令に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。2 常習として前項の違反行為をした者(第14条の規定による命令に違反した者を除く。)は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」

 そして、好意の感情やそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情をもって、反復してストーカー行為をした場合には、まさに、ストーカー規制法違反として、懲役や罰金刑に処せられる可能性があります。

 もちろん、行為態様によっては、住居侵入罪、強要罪、脅迫罪等に該当するようなこともあるだろうと思います。

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                             (危ない橋)

 ストーカー行為は、軽く考えると、ケースによっては、逮捕、報道されて、加害者ではありますが、その人の人生を大きく変えてしまうことも少なくありません。

 危ない橋は渡らないのが一番です。

2025年3月10日 (月)

【医療事故】 医療法務ハンドブック

 ここ数年、医療機関や介護施設の法律顧問やご相談を受けることが増えたために、日本評論社から出版された「医療法務ハンドブック」を購入しました。

 医療機関等の顧問先は、定期的にメール等でご相談を賜っていますので、本書はご相談の際の参考とさせていただいております。

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                              (世田山)

 医療機関が直面する様々な法的問題について、医療機関の経営者や事務局、弁護士など医療法務に関わる者が最低限押さえておくべき内容をコンパクトに解説しています。

 医療機関の設立・運営から組織変更、診療行為や情報管理の留意点、医療事故・介護事故への対応や患者トラブル・クレームへの対応、労務問題等々、日常業務において日々直面する法的なトピックや、解決が求められるテーマごとに項目を立て、具体的に想定される「ケース」を冒頭に記載するなど読者目線の構成でまとめた一冊です。

 参考にさせていただきます😇

2025年3月 9日 (日)

【IT関連】 ネット上の表現トラブルを被害者から受任する際と交渉する際の注意点を纏めて下さい。

 インターネット権利侵害 削除請求・発信者情報開示請求後の法的対応 Q&A (第2版)に掲載されている質問です。

 回答については、P330にて記載されています。

 「ネット上の表現トラブルでは、特に被害者の希望どおりの措置をとることが必ずしも本人のメリットにならないことが多々あります。

  様子見をすべきケース、特に悪質な投稿のみについて法的措置をとるべきケース、こちらから何らかの反論をして被害や中傷を抑えるなどの代替手段もあること、削除請求による炎上リスク、発信者情報開示請求が奏功しないリスク、特定後に賠償請求をしても弁護士費用分も回収できないリスクについては、特によく説明をして下さい」

 ネット上の表現トラブルにおいては、投稿の削除請求、コンテンツプロバイダーへの発信者情報開示請求、経由プロバイダーへの発信者情報開示請求、さらにケースによっては通信記録の保存(消去禁止)の仮処分など、種々の手続が伴います。

 発信者の氏名等特定情報を得るために、ここまでの作業が必要になります。

 そして、弁護士費用倒れというリスクは大きいといえます。 

 ネットで弁護士費用をみても、書き込み者を特定するだけまでに、100万円近くはかかりそうです。

 これほどの費用をかけても、特定できないということも可能性としては低くなさそうです😖

 特定できても、次は、賠償請求と進みますが、その金額は大きなものではなさそうです。

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(世田山方面)
 田舎弁護士の場合は、この種の相談については、基本的には、専門外ということで断っております😵

2025年3月 8日 (土)

【離婚】給料の差押えの取り下げについて

 家事事件における保全・執行・履行確保の実務(第2版)にて説明されているQ&Aです。

 今後はきちんと支払をするので、給料債権の差押えを取り下げて欲しいのですが、妻が応じてくれません。なにか方法はありますか?という質問についての解説が掲載されていました。

 回答としては、差押禁止債権範囲変更申立ての手続をして、債権差押命令のうち期限が到来していない定期金債権による差押えの部分につき、必要性が失われたとして取消を求める方法が考えられます。

 しかし、必要性が失われているかどうかについて、申立てに対する決定例では、たいへん厳格な判断がなされています。

 債務者の立場からすれば、勤務先である第三債務者に、差押額の計算や債権者(妻)の取立への対応などについて迷惑をかけている状態であるということですが、債権者(妻)からすれば、いったんは債務の履行を怠った債務者が仮に任意の履行を約束しても再び同じことが生じるのではないかと危惧するのも当然です。

 東京地裁平成25年10月9日判決は、将来分を含めた養育費全額相当額を預託した上で、今後はきちんと支払うということを誓約しているケースにおいては、その必要性が失われたとして、民事執行法153条1項による取消を認めました。

 この裁判例からすれば、相当厳格な判断がされているといえます。 

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(笠松山山頂)

2025年3月 7日 (金)

【学校】 中公新書 大学改革

 中公新書の大学改革を斜め読みしました。

 論者は、ドイツの「エクセレンス」という競争の仕組みを念頭に、日本でも「多元的な競争」とその結果の「分権的な選択と集中」が必要だとしております。

 以下、P193以下から一部引用したいと思います。

 「選択と集中」は大学関係者の間では総じて不要である。

 その理由は、それが基礎研究軽視の傾向を生み、日本の研究力を弱めたからである。

 しかし、現在の日本の置かれた財産状況を鑑みると、何らかの選択と集中は不可避である。

 問題は、選択と集中の実施方法である。

 政府が設定したカテゴリーに諸大学を割り振るという上から種別化は、大学にとって望ましいものではない

 各大学が自らの強みを把握し、自らの戦略にそった特化を行う。選択と集中は、大学間ではなくて、大学内部で進行すべきである。

 すなわち、学内で戦略的と位置付けられた専門分野へ資源配分を集中すべきである。

 このためには、個々の大学の経営的力量が問われる。大学が自律的に動くためには、自らの長短所を分析し、それに沿った戦略を立て、さらにその戦略を実行する能力が必要となる。加えて、学内でも分権的コンロトールによる活性化を目指すのなら、学部レベルでも経営人材が必要である。 

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(笠松山・観音堂)

2025年3月 6日 (木)

【学校】 限界の国立大学

 朝日新書から出版された「限界の国立大学」を読みました。

 新書でありながら、なかなかの分量で、通読するに苦労しました。

 同書の概要をまとめました。

 行財政改革の流れの中で、2004年に国立大学が法人化しました。いわゆる国立大学法人法の成立です。

 そして、教職員の人件費や研究費に使われる基盤的経費である運営交付金が年々減らされました。

 運営交付金は、2004年には1兆2415億円ありましたが、10年にわたり毎年1%減少され、2024年には1億784億円となっております。

 そのため、教職員の人件費、研究費、光熱費などの支払に充てられるべき資金が減少しました。

 さらに、研究費については、競争的資金から獲得する仕組みにしたため、若手を中心に非正規教員が増加するなど研究環境が悪化しました。

 競争的資金を得るためには、応募するための書類を準備しなければならず、研究目的、研究計画、研究結果がもたらす効果や経費の見込み額まで10頁以上の書類が必要なこともあります。

 また、2019年からは財務省主導の下で、運営交付金制度に傾斜配分枠をもうけたために、配分される金額の見通しも難しくなりました。

 そして、苦しんでいる中で追い打ちをかけたのが、電気代などの光熱費や物価の高騰です。人事院勧告を受けて増加する人件費の圧迫は、大学の経営をより一層危機にさらすことになります。

 解決策は、運営交付金の充実が必要ですが、財務省も首相官邸主導の有識者会議にも見向きもされておらず、究極の「選択と集中」とも言われる国際卓越研究大学制度が導入されました。

  いずれにせよ、運営交付金の減額により、大学は研究力を低下させるという結果につながっております。

 他方で、国立大学法人化により、メリットもあります。

 やはり、学生に対する教育の質が飛躍的に向上したということがあります。

 田舎弁護士のころの大学は、少なくとも田舎弁護士出身大学は、学生に対する教育環境は酷いものでした。学生も、大学4年間はレジャーランドと称して、勉学にいそしんでいる者は少数でした。

 また、国立大学法人化により経営という観点が入ったこともポイントだと思います。

 とはいえ、現状のままですと、いずれ、教育にも影響がでてくることになるのではないかと思います。

 地方の国立大学は、地域の知の拠点であり、その拠点を失うことは、「知の総和」を十分に実現することもできません。

 本書は国立大学の現状を知る上での読み応えのある書籍だと思います。

 20250301_124342                            (嫁ちゃんランチ)

 

2025年3月 5日 (水)

【金融・企業法務】 EY 監査役監査の基本がわかる本(第5版)

 EYから出ている、監査役監査の基本がわかる本(第5版)です。

 田舎弁護士は、現在、3社の監査役に就任し、仕事の過半が会社や団体の業務に費やされていますので、この種の法律書はできるだけ多く購入して勉強しております。

 本書は、10章から構成されています。

 第1章は、監査役とはと題して、機関設計、監査役制度の概要、監査役の役割と権限、義務、責任について、第2章は、監査役と監査役を取り巻く関係者として、取締役会、代表取締役、内部監査部門、会計監査人、監査役スタッフ、子会社の監査役、株主及び株主総会、第3章は、監査役による監査と題して、会計監査、業務監査、適法性・妥当性監査、三様監査について、第4章は、監査役の1年、第5章は、公認会計士による監査、第6章は、法令と規則、第7章は、不正企業不祥事、第8章は、内部統制、コーポレートガバナンス、第9章は上場、最終章は、経験者からの助言です。 

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(ガメラ岩)
 監査役ですが、中小企業の規模に留まる場合には、親族や税理士が名目的な監査役に就任している場合は多いように思います。
 ですが、会社法上、金融商品取引法上、監査役は、損害賠償責任を負うリスクがありますし、また、裁判例もあります。
 ガバナンスがしっかりした団体であれば、監査法人による会計監査や、公認会計士の社外役員、常任の監査役を設置したりして対応されているのですが、中小規模の場合はそこまで望むことも期待できず、前記のリスクはいつも気になるところです(下手をすると、ハッピーリタイアができなくなるので😵)。 
 

2025年3月 4日 (火)

【子ども】 面会交流の書籍

 最近、面会交流についての、ご相談やご依頼が増えております。

 そのため、知見を深めるために、いくつか書籍を購入しました。

 第1は、第2版裁判例からみた面会交流調停・審判の実務です。

 面会交流原則実施論に対する批判的な検討を加えた後、裁判例が分析されています。裁判例を広く知る上ではいいのですが、面会交流原則実施論の話が大半であるため、利用しづらいです。Amazonの評価も、3月2日時点では、1★です。

 第2は、面会交流実施要領から理解する面会交流の条件・条項です。

 これは、面会交流の条件や条項を作成する時には役立ちますが、全体的な理解を得られるものではありません。Amazonの評価は、4★です。

 第3は、裁判官の視点に見るその在り方 面会交流です。

 この書籍は、全体的な理解も得られるために、お勧めです。Amazonの評価は、3.8★です。田舎弁護士的には、この書籍が一番よかったように思います。

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(朝倉・水大師)

 

 

2025年3月 3日 (月)

【離婚】 離婚すると、共同親権になるの!?

 最近、共同親権についての問い合わせが増えています。来年5月までに施行が予定されていますが、条文以外のことはわかりません。

 日本加除出版から新制度まるわかり家族法改正ガイドブックが出版されましたので購読して、この点を調べてみました。

 結論からいえば、離婚しても、共同親権になることが必ずしも決まったわけではないということになります。

 まず、離婚等の際に、父母の双方を親権者と定める(共同親権)か、その一方を親権と定める(単独親権)かの判断基準については、以下のとおり、定めています。

 (ア)父母の一方の単独親権と定められなければならない場合

  次の各号のいずれかに該当するときその他の父母の双方の親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるとき

  ①父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき

  ②父母の一方が他方の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(暴力等)を受けるおそれの有無、父母の協議が調わない理由その他の事情を斟酌して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき

 (イ)上記の(ア)に該当しない場合、裁判所は、次の事情を考慮して、共同親権か単独親権かを判断する。

  裁判所は、父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならない。

  う~ん。これですと、改正民法は、離婚後の父母の親権について、共同親権を原則としているということはないと考えられますね。

  とはいえ、甚だ抽象的な基準なために、予想がしづらいですね😖

 

【法律その他】 ある投稿における匿名の人物が、原告と面識がある又は原告によって原告であると同定され、その者が特定少数であってもこれを流布するおそれがあるとして、原告の名誉を毀損するものとされた事例 東京地裁令和6年7月18日判決

 判例時報NO2613号で掲載された東京地裁令和6年7月18日判決(控訴)です。

 この事案は、空手道場を経営する原告が、同じく空手道場を経営する被告に対して、フェイスブックへの投稿が、原告の名誉権及び名誉感情を侵害するとともに、原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を流布する行為に当たるとして、民法709条及び不正競争法4条に基づき、損害賠償の支払いを求めた事案です。

 本件での主たる争点は、原告に関する同定可能性の有無でした。 

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(朝倉・野田古墳)
 裁判所は、前記争点の判断基準について、ある投稿における匿名の人物が原告であると同定できるか否かについては、原告と面識がある又は原告に関する知識を有する者の普通の注意と読み方とを基準として判断すべきであり、前記人物が原告であると固定されて前記投稿の内容が前記人物の社会的評価を低下させる場合には、前記にいう者が不特定若しくは多数であるとき又は特定少数であってもこれを流布するおそれがあるときは、原告の名誉を毀損するものと認めるのが相当であると判断しました。
 
 そして、これを本件についてみると、
 本件投稿1、2、4及び5には、原告の氏名の記載はなく、単に空手道場の「道場主」である旨の記載があるにとどまっているが、
 本件投稿1において被告が引用した元投稿には「道場主」とはF(元投稿の投稿者)が過去に所属していた道場の道場主である旨の記載があることを踏まえ、原告と面識がある又は原告がFの所属していた道場の道場主であるという知識を有する者の普通の注意と読み方を基準とすれば、当該知識を手がかりにして、本件投稿1、2、4及び5における道場主は原告をいうものであると十分に同定することができる
 本件各投稿の閲覧者には、原告と面識がある又は原告がFの所属していた道場の道場主であるという知識を有する者が多数存在したものと認められ、仮に前記の者が特定少数であったとしても、本件各投稿の内容が特定の道場の信用性や安全性に疑義を呈するものであることを考慮すれば、前記の者が本件各投稿の内容を空手関係者に流布するおそれがあることを認めることができ、したがって、本件投稿1、2、4及び5については、名誉を毀損する内容を含むものである以上、原告に対する名誉毀損が成立すると判断しました。
 「鬼畜道場主」、「鬼畜の所業」が問題とされたようです。
 但し、弁護士費用を含んで、28万円です。
 費用対効果にはみあいませんが、原則としては、お金の問題ではなかったのでしょう。

2025年3月 2日 (日)

【倒産】 丸住製紙 再生法 申請 (>_<)

 愛媛の誰でも知っている四国中央市にある名門企業丸住製紙が負債590億円を抱えて東京地裁に民事再生法の申請を行いました。

 丸住製紙は、ピーク時の2008年には、約743億円の売上を誇っていたものの、2023年は、約458億円まで減少し、5年間の最終損益も、▲52億円、▲60億円、8億円、▲117億円、▲150億円と、大きな不振に陥っております。

 1年位前に、ダイヤモンドで、井川意高元大王製紙会長が、丸住製紙の苦境についてのインタビーがされていたようですので、地元では、かなり前から同社の経済的苦境については取り沙汰されていたのではないかと思います。

 新聞用紙や出版用紙など、徐々に時代から取り残されつつある、洋紙製造が主力であるため、業態の変更等も検討されるべきだったのですが、その検討がかなり遅れてしまっていたようです。

 時代に取り残された名門企業という印象を抱かせる今回の申請ですが、田舎弁護士にとっても他人事ではありません。

 「地方のマチ弁」という業態も、その需要は年々低迷していくでしょう。

 生き残るためには従来の弁護士像を超えた「新しいこと」を考えなくてはならない時代になっております。

 もっとも、スタッフや家賃の支払がないという小さな規模の「地方のマチ弁」であれば、支出がおさえられるために、生き残っていくことは十分に可能だとは思いますが、子どもに家業としてそれを嗣がせるようなものには至りませんね。

 食べてはいけるので、カントリーライフが好きな人であればいいとは思います(ただ、浪費に走ってしまうと、老後は鉄柵のある別荘で過ごすことになります😵)

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(休憩・嫁ちゃん🍫)
 田舎弁護士の場合、子どもたちも愛媛に帰ってくることはないでしょうから、支出は抑制して、老後は、嫁ちやんとぼちぼちやっていけるようしたいと思います。

【交通事故】 赤い本 下巻 講演録編 を斜め読みしました😅

 日弁連交通事故相談センター東京支部から、民事交通事故訴訟損害賠償額算定額算定基準下巻(講演録編)2025が届きました。弁護士必携の書として、また、「赤い本」として、超有名な書籍です。

 今回の講演については、

 ① インプラント治療に関する費用

 ② 高齢被害者に後遺障害が残存した場合における将来介護費の認定について

 ③ 兼業家事従事者の休業損害について

 ④ 駐車場内における事故の過失相殺(別冊判例タイムズ38号を踏まえて)

 でした。

 また、東海の方から、電動キックボード事故における過失割合の検討についての講演も収録されていました。

 付録は、訴状の書式ですが、益々充実されています。

 

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(フジ宇和島南店)
 もっとも、ここ1,2年前から、交通事故事案も、大半が、示談で解決するばかりで、提訴までというのは、かなり少なくなりました。

2025年3月 1日 (土)

【行政】 生活保護減額 松山地裁 違法認定

 本日の愛媛新聞で、昨日、2013年に厚労省が生活保護基準額を引き下げたのは違法だとして、松山市の受給者30人が減額処分取消を求めた行政訴訟の判決が言い渡され、受給者勝訴となりました。

 2013年ころはデフレ傾向にあったために、食費や光熱水費に充てる生活扶助基準額を3年間で最大10%引き下げたことに端を発しています。

 裁判所は、デフレ調整の幅について、総務省の消費者物価指数と異なる算定方式が採用されたことで物価下落率がより大きく評価され、国が影響や合理性を具体的に検証していない疑いがあること、受給世帯の消費構造について、高所得者を含む一般的な家計調査に基づき支出比率が決められ、教育娯楽費が実態より課題に評価されたこと等を理由に、改定についての厚労相の判断過程や手続には過誤、欠落があると判断しました。

 全国では、現在31件が係争中で、第1審判決30件のうち、原告勝訴は19件にのぼるようです。 

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(楢原山)
 提訴から第1審判決の言い渡しまでに10年を超えており、30人中12人の方が亡くなられています。生活保護という憲法25条の生存権にかかわる事案ですので、もっと短い期間で審理できなかったのかとも思います。
 ただ、他方で、生活保護費の不正受給という社会問題もあります。しかし、この問題と今回の訴訟とは場面が全く異にしているのですが、ヤフー記事の口コミなどを見ると大変残念なものも少なくありません。
 生活保護は、人間として生きるための最後のセーフティーネットなので、人間である以上、田舎弁護士にとっても他人事ではありません。
 政府においても、基準を改定するのであれば、最低限、多くの裁判所から判断過程や手続に過誤、欠落がある等のように恥ずかしい指摘を受けることのないよう、細心の注意を払って対応していただきたいものです。

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