昨今の慰謝料の水準等を確認するために、平田厚教授の類型別慰謝料算定の実務Ⅰ及びⅡを購入しました。
(兼六園)
昨今、元検事正の方が部下に対する強制性交等の罪で起訴されたことがマスコミ等で大きく報道されているところです。第2回公判期日では、自白から否認に転じたわけですが、同意があったと思っていたという抗弁です。立場や状況などからすればかなり苦しい言い訳のようにしか思えません。
報道の際に、被害者の方が1000万円を受け取っていたというお話も出ていました。
田舎弁護士のころは、この種の慰謝料は、相場は300万円位と教わったことがありました。
早速、類型別慰謝料算定の実務で調べてみました。
2008年1月1日以降の裁判例において、強姦罪・強制性交等罪の被告人等に対して慰謝料を請求したものは、18件が参考になると思われる。
ただし、強姦等で有罪判決を受けている裁判例だけではなく、強姦・強制性交等の事実が認定されている裁判例もとりあげるとして、30万円が1件、150万円が1件、300万円が6件、350万円が3件、400万円が1件、500万円が4件、700万円が1件、806万円が1件となっています。
強姦・強制性交等の慰謝料額を決定する要素としては、行為態様の悪質性などを基本としつつ、既遂であったのか未遂であったのか、致傷の結果を伴っているかどうかなどが重要な要素としてあげられよう。なお、強姦と呼ばれた時代には、慰謝料の基準額は300万円であったと思われる。しかし、強制性交等に改正された時代になって慰謝料の基準額は、500万円に上昇しつつあるようにも思える。
平田先生の解説からすれば、従来は300万円程度、今は、500万円と考える例も増えているということでしょう。
話は戻りますが、1000万円は返金したということですので、被害回復が図られていない事案であるといえますので、有罪と認定された場合には、相当長期間の実刑が予想されます。審理が長期化すれば被害者の方の精神的な負担は非常に大きなものがありますので、裁判所における迅速な審理を願っております。
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