【労働・労災】 専門業務型裁量労働制
最近、裁量労働制を導入するところが増えております。田舎弁護士の業種である弁護士を採用する場合も同様です。
菅野労働法を読みながら考えたいと思います。
裁量労働制は、専門業務型であれ、企業業務型であれ、法所定の業務について労使協定でみなし労働時間数を定めた場合には、当該業務を遂行する労働者については、実際の労働時間数に関わりなく協定で定める時間数労働したものと「みなす」ことができる制度です
菅野労働法は、ただしとして、「裁量労働のみなし制においても、休憩、休日、時間外・休日労働、深夜業の法規制は依然として及ぶ。したがって、みなし労働時間数が法定労働時間を超える場合には、超えた同時間数分については三六協定の締結・届出と割増賃金の支払が必要である。また、深夜時間帯において労働が行われた場合には、その時間帯については割増賃金の支払が必要となると解説されています。
HRNews 弁護士が解説 大学教員の裁量労働制において、裁量労働制の留意点として、小國隆輔弁護士が、概ね以下のとおり解説されています。
完全週休2日制の大学で、大学の教員については、実労働時間にかかわらず、1日8時間労働とみなすという裁量労働制を導入した場合、本来、休日である土曜日に、3時間だけでも働いた場合には、裁量労働制のもとでは、土曜日の労働時間は8時間とみなされる関係上、この週の労働時間は、8時間×6日=48時間となり、週40時間の法定労働時間を超えるので、土曜日の労働に対しては、8時間分の割増賃金の支払が必要になってしまう。また、深夜(午後10時~翌日午前5時)の時間帯に労働をした場合には、深夜労働の割増賃金が発生する。裁量労働制を導入する際には、土日曜日を対象外にする、週2日の休日を確実に確保する、深夜労働をさせない、休日出勤の事前承認制を徹底して、予想外の人件費増加を招かないようにしたい。
また、小國弁護士は、大学教員に専門業務型裁量労働制を適用するに際して、教授、准教授、助教、助手、講師について、厚労省通達では、教授、准教授、講師は、学校教育法に規定する大学の教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る)に、助教・助手は、人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務に該当するという解釈が示されているので、それに基づいて運用されていることが一般的だと説明されています。
他方、厚労省通達では、主として研究に従事するものに限るの解釈につき、講義等の授業の業務に従事する場合に、その時間がおおむね5割に満たない程度をいうとされており、実務的には、おおむね5割は比較的緩やかに解されていること、他方、人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務については、9割程度は研究業務に従事することが必要であるところ、助教については判断が微妙なので、教授等と同様に「大学の教授研究の業務」に該当すると考える余地があることを指摘されています。
また、平成31年4月1日施行の働き方改革法の適応により、原則として、全労働時間の状況を把握する義務が課せられた(労衛法66条の8の3)ところ、裁量労働制を適用される大学教員も、タイムカードやICカード等で、実労働時間を把握して記録しなければならなくなりました。そのため、小國弁護士は、特に、土曜日日曜日に大学へ来て兼業副業の作業をする場合などには、時間外休日労働にならないよう、兼業副業のために研究室等に滞在することを明確にさせることに加えて、タイムカードの打刻をしないよう、ルールを決めておくべきと指摘しています。
なお、専門業務型裁量労働制の要件は、労使協定、就業規則の整備は当然ですが、制度の適用に際して本人の同意を得ることや、また、同意の撤回も可能となっておりますので、少々ハードルが高いところがあります。
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