【金融・企業法務】 抵当不動産の賃借人は、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前に賃貸人との間でした、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と前記の差押えがされた後の期間に対応する賃料債権とを直ちに対当額で相殺する旨の合意の効力を抵当権者に対抗することができるか。
判例時報2599号で紹介された最高裁令和5年11月27日判決です。
本件は、建物の根抵当権者であり、物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえたXが、賃借人であるYに対し、当該賃料債権のうち未払分の支払を求めた事案です。
Yは、前記の差押えに先立ち、賃貸人との間で、期限の利益を放棄した賃料債務に係る債権ととYの賃貸人に対する債権(根抵当権設定前に取得した債権と同登記後に取得した債権がある)とを直ちに対当額で相殺する旨の合意をしていたことから、Yが本件相殺合意の効力をXに対抗できるか否かが争われました。
原判決の大阪高裁は、期限の利益が放棄された賃料債務に係る債権を受動債権とする相殺の効力が否定される理由はなく、その後に抵当権者が当該債権を差押えたとしても、差押えの効力は生じないところ、このことは相殺合意であっても同様であるから、Yは、Xに対し、本件相殺合意の効力を対抗することができると判断して、Xの請求を棄却しました。
ところが、最高裁は、相殺合意を抵当権者に対抗するすることはできないとして、Xの請求を認めました。
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