【離婚】使途不明金等がある場合!?
昔から、他方当事者が、本来夫婦の共有財産であるべき財産を隠匿していると強く主張され、そのため、調停や訴訟が長期化するというのは、町弁にとってはよく目にする光景といえます。
財産分与対象財産の判断基準としては、大阪高裁部総括判事であった松本哲泓弁護士の離婚と財産分与裁判実務における判断基準と考慮要素においても、明確に説明がされています。
① 婚姻中に取得した財産であること
② 特有財産でないこと
③ 基準時に存在する財産であること
どの基準も実務上問題となりますが、困るのは、③基準時に存在する財産であることが不明な場合です。
この点について、名古屋地裁判事である武藤裕一裁判官等が執筆された離婚事件における家庭裁判所の判断基準と弁護士の留意点P227以下には以下のとおり解説されています。
「当事者から、他方当事者の貯蓄額が思いのほか少ないことや、預貯金の取引履歴における頻回の出金を捉えて、使途不明金ないし浪費があるから分与財産対象財産に持ち戻すべきであるなどといった主張がされることがあります。
しかし、財産分与の対象は、基準時において現在存在した夫婦共有財産ですから、その使途いかんにかかわらず、既に費消されて基準時に存在しない財産を分与対象財産と認めることはできず、上記のような主張が受け容れられる余地はありません」
従って、③ 基準時に存在する財産であることが主張立証でなければ、裁判所からも相手にしてもらえません。
↓ もっとも、
もっとも、他方の当事者が財産を隠匿していることが疑われる場合には、基準時に財産があることについての主張立証を尽くすことになります。
基準時に財産があるということであれば、当然、夫婦の共有財産であれば、財産分与の対象となります。
そのために、裁判所の調査嘱託の申立ての利用を検討することになりますが、この申立てが認められるためには、他方当事者名義の財産が嘱託先に存在することの蓋然性を疎明する必要があり、この疎明のないものは探索的な申立てとして却下されてしまいます。
かなり厳格に運用されています。
また、調査事項として認められるのは、原則として、基準時現在の残高であり、別居直前の多額の払い戻しなど財産隠しを疑わせる具体的事情が疎明された場合を除き、取引履歴の調査については必要性がないと考えられています。
義務者の財産の存在については権利者に証明責任があると考えられているために、よほどのことがない限り、隠し財産の立証に成功したためしがありません。
東京家裁の教科書的な書籍である人事訴訟の審理の実情においても、「婚姻期間中に給与が取得されているから、それが蓄積されているはずであるなどとして、その2分の1相当額の支払を求めるなどという主張が散見されるが、このような場合において、資産の存在が立証されることはほとんどないといってよい」とまで書かれています。
当職の20年を超える経験の中でも、明確に覚えているのは、1件だけです。この事案は、相手方と相手方代理人弁護士との打ち合わせ不足が大きな原因だったと思いますが、数件の定期預金がでてきたので、依頼人からは感謝されました(事件が終わって10年位経過しますが、時折、野菜や果物を持って下さっています😅)。
隠し財産については、長い間の婚姻期間中の給料の蓄積ではなく、別居直前に通帳から大きな金額が出金されて、義務者がその説明ができないような場合であれば、主張立証に成功したといえるでしょう。













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