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2024年7月12日 (金)

【行政】 路線の認定および道路区画の決定の手続を経ずに行われた道路用地の任意取得の適法性 昭和59年11月6日最高裁判決

 実務住民訴訟P174以下です。

 「違法な先行行為(原因行為)と財務会計行為との関係についての判例の流れ」について、複数の最高裁判例が紹介されていました。

 その中で、「道路の開設が道路法上の路線決定等の手続を経ずに行われた等の理由により違法であり、その違法な道路の開設を目的とする用地買収及び公金の支出もまた違法であるとして、旧4号代位請求により、住民が東京都の特別区長個人に対して損害賠償の請求をしたものがあります。

 最高裁第三小法廷は、昭和59年11月6日に、「特別区道の開設については、道路法により、路線の認定に関する区議会の議決、路線の設定、道路の区域の決定、道路の供用の開始という手続を経由すべきことが規定されているが、右手続は、道路法上の道路を成立させるための要件であるにとどまり、当該道路開設のためにその用地に対する権原を任意に取得するについての要件をなすものではないから、被上告人の前記土地買収が、本件計画道路に係る路の認定に関する世田谷区議会の議決、路線の認定及び盾路の区域の決定を経ずに行われたことをもつて、これを違法ということはできない。また、本件計画道路の開設が前記土地買収の動機目的をなすものではあつても、前記土地買収は、本件計画道路を開設する行為そのものとは区別され、それとは独立して、世田谷区に対し当該土地に係る権原を取得させ、その代金の支払債務を負担させるという効果を発生させるにとどまるものであるから、仮に本件計画道路を開設することに所論のような違法事由が存するとしても、そのことにより前記土地買収が違法となるものではない。したがつて、前記の土地買収及び公金支出をもつて違法な行為ということはできないと、判断しました。」

 実務住民訴訟P174によれば、「この判例は、路線認定等道路の開設は用地買収の動機目的にはなっていても、用地に対する権原を取得するための要件をなすものではないから、用地買収契約や代金の支払という財務会計行為の適否に関し路線認定等の適否は関係がない(先行行為と後行行為の関係にはない)というものです。すなわち、ここで問題とされている義務違反は、道路を開設するための行為という非財務会計行為に関するものであって、「財務会計法規上の義務」とは関係がないとしました。」 

20240629_0946152
(宮島・大鳥居)
 実務住民訴訟P183以下です。
 「イ 原因行為に存する違法事由と財務会計法規上の義務
  (ア)原因行為とは、財務会計行為の直接の原因ないし前提となる非財務会計行為であって、当非財務会計行為により具体的な財務会計行為が直接義務付けられる関係にあるものといいます。最高裁は、原因行為の意義を説示していませんが、判例を総合すると、このように解され、例えば、事業の許認可のようなものは、将来事業費の支出が想定されますが、直接支出を義務付けているものではなく、個別の支出に当たって逐一見直しの対象となるものではないため、原因行為には当たらず、住民訴訟の対象の枠外のものと考えられます。
  そして、このような原因行為に違法事由が存在しても、財務会計行為が違法となるのは、当該財務会計行為が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られるというのが最高裁の立場ですが、次に述べるようなものについては、一定の範囲で財務会計法規上の義務に影響を及ぼすとされています。
  ①財務会計行為者が原因行為である行政処分を行い、これにより具体的な財務会計行為をすることを直接義務付けられている場合(長の職員に対する分限免職処分とこれを原因とする長の退職手当の支給決定)
  この場合、財務会計行為(退職手当の支給決定)をするに当たって、それを義務付ける先行行為(分限免職処分)を見直す義務があり、原因行為に違法事由があり、これを取り消す等容易に是正することができるのに、是正しないで漫然と財務会計行為(退職金の支給決定)に及んだ場合でなければ、ぞの財務会計行為は財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえないとされています。
  他方、財務会計行為の原因行為とはいえない一般行政上の行為に存する違法事由は、財務会計行為の財務会計法規上の義務に影響しないとされています(道路法上の路線認定及び区域決定等の手続を経ずに行われた道路の開設を目的とする用地の買収や公金支出、事業の許認可の瑕疵と事業遂行のための公金の支出)。例えば、個々の支出等に際して、許認可等の手続の適否を逐一見直す義務があり、見直さなければ支出できないというものではないからです。」
 道路法上の路線認定及び区域決定等の手続を経ずに行われた道路の開設を目的とする用地の買収や公金の支出は、昭和59年11月6日最高裁判決ですが、当時の時の判例や判例タイムズの解説はその後の判例がおさえられていないために、実務住民訴訟の解説の方がわかりやすかったですね😅
 

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