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2024年7月 5日 (金)

【行政】 4号請求住民訴訟における違法性の承継理論と判例法理の形成 No2

 昨日の続きです。

 「(4)原因行為が行政処分である場合において、当該処分に重大かつ明白な瑕疵はないが、これが違法にされたものであることから、当該職員が当該行政処分について職権取消権(自庁取消権)を行使すること等により、自らその違法を除去・是正する権限を有する場合には、当該職員は、当該違法な原因行為をそのままにして当該財務会計上の行為をしてはならないという財務会計法規上の義務があることから、これに違反してされた当該財務会計行為上の行為は違法となる。

 最高裁昭和60年9月12日判決は、収賄罪で逮捕された市職員を懲戒免職でなく分限免職にして退職手当を支給したことが地方自治法242条1項にいう違法な公金の支出に当たらない旨判示したが、その理由中において、「本件条例の下においては、分限免職処分がなされれば当然に所定額の退職手当が支給されることとなっており、本件分限免職処分は本件退職手当の支給の直接の原因をなすものというべきであるから、前者が違法であれば後者も当然に違法となるものと解するのが相当である」と判示しているところ、この点について、平成4年最高裁判所判例解説(略)は、上記判決の事案では、原因行為たる行政処分が違法なものであれば、長にはその自庁取消権があると解することに問題のない場合であると思われ、そうすれば、長が分限免職処分が違法であるのにこれを取り消さないで、これを前提とする財務会計上の行為に及んだという関係にあるときは、長は、財務会計上の行為をするに当たって職務上負担する義務に違反したものとして損害賠償責任を負うことになるものである、とし、上記判決の上記判示は、このような趣旨を表現したものであるとしている。」

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(宮島・藤い屋)
「(5)普通地方公共団体が、第三者との間で締結した先行の契約に基づく義務の履行として、後行の財務会計上の行為である契約を締結する場合であっても、次の(ア)又は(イ)のときには、後行の財務会計上の行為である契約の締結は違法となる。
 (ア)上記先行の契約を締結した普通地方公共団体の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり、先行の契約を無効としなければ地方自治法2条14項、地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる等により、上記先行の契約が私法上無効であるとき。
 (イ)上記先行の契約が私法上無効ではないものの、これが違法に締結されたものであって、当該普通地方公共団体がその取消権又は解除権を有している場合や、当該先行の契約が著しく合理性を欠きそのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し、かつ、客観的にみて当該普通地方公共団体が当該先行の契約を解消することができる特殊な事情がある場合であるにもかかわらず、当該普通地方公共団体の契約締結権者がこれらの事情を考慮することなく漫然と上記後行の契約を締結したとき。
 上記の判例法理は、普通地方公共団体が、土地開発公社との間で締結した土地の先行取得の委託契約に基づく義務の履行として、当該土地開発公社が取得した当該土地を買い取る売買契約を締結することが違法となるか否かが争われた最高裁平成20年1月18日判決において示されたものであるところ、その判決理由に徴すれば、上記判例法理は、後行の財務会計上の行為が契約の締結以外の支出負担行為、支出命令及び支出である場合にも適用されると考えられる。」
 「(6)原因行為である行政処分に重大かつ明白な瑕疵があり、そのために当該処分が無効である場合には、当該処分が普通地方公共団体の長から独立した権限を有する機関によってされたか否かを問わず、当該職員は、当該処分に基づいて当該財務会計上の行為をしてはならないという法的義務を負っていると解されるから、これに違反してされた当該財務会計上の行為は違法となる。
 これについては、最高裁の判例において明示されていないが、当然のこととして立論されているものと解して差し支えないように思われる。」
 「(7)支出負担行為と支出命令は公金を支出するために行われる一連の行為というべきものであるから、当該支出負担行為を先行の原因行為として、その義務の履行としてされた後行の財務会計上の行為である当該支出命令の違法を判断する場合にも、上記(5)の判例法理が適用される。
 これは、最高裁平成25年3月21日判決において示されているところである。
 違法性の承継に関連する最高裁判例によって示された判例法理は、以上のように要約することができるものと考えられる。」
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                            (宮島・藤い屋) 

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