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2024年6月10日 (月)

【医療事故】 賠償科学 No50

 田舎弁護士も所属している「日本賠償科学会」から、賠償科学No50が送られてきました。

 第76回から第78回までの研究会が収録されています😄

 第76回研究会・シンポジウムは、「医事紛争が当事者となった病院の運営・医師その他の医療スタッフに及ぼす影響」でした。

 第77回研究会・シンポジウムは、「院内事故調査と医療安全」でした。

 第78回研究会・シンポジウムは、「善きサマリア人法の多角的考察」でした。 

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(水が峠トンネル)
 原著論文「交通事故後の脊椎の後遺障害認定に残された諸問題」の「画像診断の限界について」では、田舎弁護士を含む交通事故事案を取り扱う弁護士にとって耳の痛いお話が載っていました。
 
 「横行する外傷性椎間板ヘルニアの問題であるが、本診断名は当該事故による外力がヘルニアを発生させ、神経組織の圧迫症状を惹起したことが明らかな場合に限られて下されるべきであり、誤って安易に診断名として記載されてはならない。
  つまり臨床上、椎間板ヘルニアとは単なる画像所見だけでなく、そのヘルニアによる神経根や脊髄の圧迫性の臨床症状(主として神経根性のしびれや放散痛、脊髄症性の四肢の運動麻痺)が存在してはじめて妥当性を持つ傷病名(=診断名)となる。したがって、画像の上の単なる無症候性の椎間板の後方膨隆所見が傷病名とならないことは自明の理である。
  当該事故による真正の外傷性椎間板ヘルニアとは、当該外力が画像上所見されたヘルニアを発生させた事故起因性が明らかな場合に限られなければならないことも他言は要しないであろう。
  その証明には、ヘルニアが受傷前には存在しないが受傷直後に認められるか、受傷直後から数週間以内に経時的に徐々に増大してきた経過が所見されるMRIが必要である。このようなエビデンスがなく、例えば頸部椎間板に接した椎体縁に骨棘があるのであれば、変形性脊椎症に伴う椎間板の後方膨隆を基盤として、当該外力が誘因となつて、頸部神経根症状、もしくは頸髄症状を発症したものとして、外傷性頸椎症性神経根症か、同脊髄症(または頚髄不全損傷)と診断されるのが正しい。外傷性椎間板ヘルニアと診断するには、このようにMRI上で経時的にヘルニアが発生、または増大した変化を確認することが必須といえる。
 安易に事故起因性を主張する内容の意見書は、患者に無益な被害者意識を助長し、治療上の予後を不良とすることは外科医の常識であるだけでなく、事実、社会的にもしばしば無用な混乱を招くことになる。」
  う~ん。確かにそのとおりではありますね😅

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