【建築・不動産】 サンドエロジョーン現象にまつわる案件 横浜地裁平成15年9月12日判決
サンドエロージョン現象とは、耳慣れない言葉です。
サンドエロージョン現象とは、水道管から漏水した水が水圧とともに付近の土砂と混ざり合い、近接した部材(ガス管)の一点に集中的に当たることにより、研磨し、損傷させることで、最終的に穴を開けてしまう現象です。
大分市上下水道局のパンフレットはわかりやすいです😄
(龍岡木地登山口)
ネットで検索すると、横浜市水道局と東京ガスさんの紛争ケースが散見されます。
まず、ガス会社が市に対し、市が管理する水道管が老朽化により漏水し、そのためガス管が破損されてガス供給が停止し損害を被ったとして、国賠請求が認容された事例です。
争点は、3つありましたが、主なものとしては、①本件給水管は、国賠法2条1項の「公の営造物」にあたるか、②本件事故と相当因果関係のある損害です。
横浜市は、「本件給水管は、公の営造物であるというためには,国又は公共団体が直接に公の目的に供している物であることが必要であるところ,そもそも給水管は,その使用者又は所有者である水需要者に水を供給するための水道管であり,もっぱら水需要者自身の用に供されるものであること,被告においては,横浜市水道条例17条により,給水装置の使用者又は所有者が,給水装置から水道水が漏水しないように管理する義務を課せられており,管理義務を怠ったために生じた損害の賠償は使用者又は所有者の責任とされていること等からすると,給水装置である給水管は公の目的に供される物ではない上,その管理義務はその使用者又は所有者にあり,被告は法律上も事実上も管理していないのであるから,給水管は公の営造物とはいえない。」として、争いました。
これに対して、裁判所は、以下のとおり判断し、横浜市の主張を認めませんでした。
「 ア 被告が横浜市内の各家庭へ水を供給するために配水管を設置してこれを管理しており,配水管が市民に水を供給するという公の目的を有する公の営造物であることは当事者間に争いがないが,私人所有の給水管であっても,その設置場所及び瑕疵の部位から見て被告が事実上管理しており配水管と一体をなすと認められる部分については,配水管の延長部分として配水管と同様にこれを管理する義務を負うものと解するのが相当である。
本件給水管の破裂部は,本件給水管所有者の所有する土地から見ると幅員6メートルの車道を挟んだ反対側の歩道下に埋設されている部分に存するところ,一般に給水管の使用者あるいは所有者が公道下の給水管を管理することは非常に困難であり,また恒常的かつ積極的に管理する意思も有しないのが通常である。
これに対し,被告が,道路内の漏水についての連絡先は水道局のみであり,また給水管の使用者又は所有者に公道下の給水管についてまで維持管理を要求するものではないとの広報活動を行っていること,昭和52年度から道路内の漏水については原則として無料で修理していること,被告自身,平成7年発生の事故において,私人所有の給水管であっても,公道下に埋設されている場合は,事実上被告が管理する水道管であることを認めていること,本件事故後撤去した本件給水管を持ち帰り,いったん管理下に置いたが,本件給水管はその後所在不明となったことからすれば,被告には本件給水管の所有者が水需要者であることの認識が乏しいといわざるを得ないことに照らせば,被告には公道下の給水管を事実上管理する意思がうかがわれ,また,被告は,その管理する配管台帳図の検索により給水管の所在位置の概略と埋設時期を把握することができ,公道の掘削についても私人と同程度に困難であるとは到底いえず,公道下の給水管について事実上管理することが可能であることからすれば,公道下の給水管については被告が事実上管理するものというべきであり,かつ本件給水管の破裂箇所が水道施設である配水管の結合部から15センチメートル程度しか離れておらず,本件給水管の所有者である私人所有土地との距離と比較して相対的に極めて近接しているといえることからすれば,本件給水管の破裂部に対しては,本件配水管に対すると同様の注意を払わない限り,本件配水管そのものに対する十分な管理をしたことにはならないというべきであり,上記破裂部は,本件配水管の管理義務の範囲内に含まれると解するのが相当である。
イ(ア) これに対し,被告は,横浜市水道条例17条において,給水管の使用者又は所有者は,水道水が漏水することのないよう充分な注意をもって給水管を管理しなければならないこと,その管理を怠ったために生じた損害の賠償は,使用者又は所有者の責任とすること,給水管に異常があり,修繕を必要とするときは,その修繕に要する費用は原則として使用者又は所有者の負担とすることが規定されているから,そもそも給水管は公の営造物には当たらないと主張する。しかし,前記のとおり,被告が公道下の給水管についてまで私人に恒常的かつ積極的な管理を要求しているとは考えにくく,公道下の給水管の修繕に要する費用については被告が原則として負担しているのが現状である。
(イ) また,被告は,本件給水管の設置者であり当初の所有者である長銀不動産が,本件給水管を新設するにあたり,十分に管理することを誓約したのであるから,本件給水管は,公の営造物には当たらないと主張する。しかし,その誓約の内容は,本件給水管について被告に無断で止水栓を開栓し盗水したり,器具類を破損したりすることのないよう十分に管理することを内容とするものであって,一般的な管理まで誓約したものとは認められない。
ウ 以上より,本件事故は,公の営造物である配水管と同様に被告が管理義務を負う給水管部分が老朽化により破裂したことを原因とするものであるから,この給水管の管理の瑕疵は,公の営造物である配水管の管理の瑕疵と同一と評価することが相当である。
よって,被告は本件事故により生じた損害を賠償する責任がある。」
この横浜地裁判決は、東京高裁に控訴されて、結論については、第1審判決が維持されましたが、その理由に大きく変わりました。東京高裁判決の解説については、明日いたします。
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