免許取得の費用を巡る労使のトラブルについては、東亜交通事件以外にも、コンドル馬込交通事件についての東京地裁平成20年6月4日判決ががよく引用されています。
(東黒森山頂)
タクシー運転手として被控訴人X社に雇用された控訴人Yが、普通第2種免許取得のための研修を受講し免許取得直後に退社したという事案において、「研修費用(19万9500円)をX社が立て替えて支払い、正規従業員として選任後に出勤率80%以上で2年間勤務すれば返還義務を免責すると定めた本件研修費用返還条項」の有効性を巡って争われました。
裁判所は、
第2種免許の取得は業務に従事するうえで不可欠であり、そのための研修は会社の業務と具体的関連性を有するが、同免許は個人に付与され、X社を退職しても利用できるという個人的な利益があることからすると、免許の取得費用は本来的には免許取得希望者個人が負担すべきものであり、本件研修費用返還条項によって返還すべき費用が20万円に満たないことからすると、費用免責のための就労期間が2年であったことが、タクシー乗務員の自由意思を不当に拘束し労働関係の継続を強要するものであるとはいいがたく、本件研修費用返還条項は、労基法16条に反するものではないとして、X社のYに対する研修費用返還請求を認めました。
この論点については、ネットで検索するといくつかアドバイスが記載されたものがでてきます。
例えば、「大阪地裁判決(東亜交通事件)から考えれば、まず貸付金制度について詳細な説明をし、従業員の同意を得て署名押印をとっておくことが重要だ。また、資格取得は業務命令ではなく、本人の自由意思であることを文書などで明確にしておく必要がある。さらに、会社負担を支給の名目にすると返還が難しくなるので、補助する形にしておうべきだろう」とか、
「ドライバーに大型免許取得費用を貸し付けたうえで、例えば免許取得後、2年間貴社において大型ドライバーとして就労したら返済義務を免除するという形にすれば労働基準法16条違反の問題が生じづらくなるんです。」とか
がありました。
田舎弁護士的には、業務を行うに際して必要不可欠であれば、無条件で会社が負担したのでいいように思います。😅
それでも、返還を求めたいのであれば、相応の対応をとっておくべきでしょう。
最近のコメント