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2024年5月

2024年5月31日 (金)

【相続】 法定相続人でない2名への遺贈について分割割合が明示されていなくても、均等に包括遺贈する意思があったものと解された事例 東京地判平成29年3月23日

 平成26年9月7日、Aが、自筆証書遺言書を作成しました。「遺言者Aは、遺言者が所有する財産の2分の1をB(親)及びY(姉)に相続させる。また、残る2分の1を長男と長女(X1とX2)に相続させる。」

 平成26年9月12日に、Aが死亡しました。なんと、Xらは、Yを相手として、本件遺言が無効であることの確認を求めて提訴しました。

 判決の要旨は、以下のとおりです。

1 Aは、日常生活の中で姉であるYを一定程度頼りにしていた。Aは、Xらの再会を望んでいたが、Xらへの経済的援助には積極的ではなく(X1の学費はBが援助し、X2は奨学金で賄った)、Xらは医師及び薬剤師であり、特段心配すべき状況にはなかった。

2 Xらに2分の1を相続させるとする部分は、同順位の法定相続人について特段の意思表示をしなかった以上、等分(各4分の1)の割合で相続させる意思である。

3 Y及びBに2分の1を相続させるとの部分は、Y及びBは法定相続人ではないから、割合的包括遺贈をする意思を示したと解されるところ、その割合について明記しなかった以上は等分と解される。すなわち、各4分の1の割合で包括遺贈する意思を表示したものと解される。 

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(東陽町・小料理早和)
 ものすごく微妙な判断のような気がします。。。

 

2024年5月30日 (木)

【金融・企業法務】 銀行法務21 5月号

 銀行法務21・5月号が届きました。銀行法務も、田舎弁護士が銀行の顧問弁護士に就任したことに伴い、定期購読を開始したものです。そのため、20年近く購読を継続していると思います。 20240518_193828

                             (東陽町・小料理早和)

 銀行法務21・5月号では、以下のような解説が掲載されていました。

 まずは、法務時評として、地域金融を担う者としてというタイトルで、トモニの社長が投稿されていました。地域において、中核企業となっている企業を応援できるのは、地域に根ざした金融機関ということで、その例をいくつかご紹介されていました。

 次は、TOPICとして、知っておきたい取引先企業の価格転嫁へのアプローチサポートです。①発注・受注企業の関係性と価格転嫁交渉における留意点、②ケースで学ぶ下請け企業における価格転嫁交渉支援です。

 今月の解説①は、フリーランス新法への実務対応とフリーランス人材有効活用のポイント、解説②は、2024年融資・管理実務現場の勘所でした。解説②の解説者であれば倒産法を取り扱う弁護士であれば持っている「担保不動産の任意売却マニュアル」を執筆された黒木正人氏です。

 東海地区判例研究Reportは、別除権の被担保債権について破産管財人が行った債務の承認は、破産管財人の職務上想定されうるものであり、被担保債権の消滅時効を中断する効力を有するかという最高裁令和5年2月1日決定を元に解説されたものです。

 金融業界の課題を読み解く熱い!!金融対談第41回は、映画監督をする銀行員でした。近県の銀行員ですので、興味を持って読みましたが、こんな熱い女性がいるんだなと思いました。いずれ、どこかの会社の社外取締役に就任されそうな位、あふれるパワーを感じました😅

 中小企業における事業承継の実務第12回は、税務・会計デューデリジェンスの実務です。

 生成AIの可能性と法的論点は、最近では珍しくなくなってきましたね😟

 なお、金融商事実務判例紹介の中で、下請代金遅延等防止法4条1項3号に違反する合意について私法上の効力が認められた事例(東京地判令和4年12月23日)が紹介されていました。

 

2024年5月29日 (水)

【金融・企業法務】 月刊監査役5月号

 10年以上前から、月刊監査役については定期購読しております。とりわけ、東証プライム市場に上場している会社の監査役であれば、知っていなければならない標準的な動静についていち早く情報を入手することができるからです。

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(東陽町・小料理早和)
 羅針盤では、「株主としての建設的な対話」を目指してというタイトルの解説が掲載されていました。IR(Investor Relations)を正しく理解し、情報開示と株主との対話を強化することが、企業価値向上の礎を築くことになると力説されています。
 また、「企業における人的資本経営の在り方」についての解説が掲載されていました。人的資本経営とは、人材という無形の資本を投資によって資産化し、資産化した人材をレバレッジして利益を生み出す、そして、人的資本ROIなどを指標にして経営することを指すようですが、日本企業では、松下幸之助氏が唱えたと言われているようです。
 「責任あるAI」に関するルール形成の動向とリスク管理の在り方についての解説が掲載されていました。EUのAI法を中心に責任あるAIに関するルール経営の動向や影響を整理するとともに、日本企業のリスク管理の在り方や監査役等の役割に落とし込んで議論がされています。
 ESGと取締役の義務ー企業の社会的責任と会社法の交錯として、野田博中央大学法学部教授の解説が掲載されていました。この解説では、ESG要素への考慮に関する取締役の義務について、「してもよいか否か」、「どこまでできるか」という面と、「しなければならない」という面それぞれについて、近時の注目すべき学説上の提案を採り上げて、考察が加えられています。
 Net相談では、株主総会、会計監査についての、いくつかの質問と回答が採り上げられていました。
 田舎弁護士の事務所においては、主たる業務が、15年前は、債務整理+過払い金、10年前は、交通事故、5年前は、企業法務というように変遷をしております。
 企業法務の場合には、当日、遅くても、翌日には正確な回答(しかもわかりやすい)が求められていますので、日々勉強しておかなればなりません。
 先日も、顧問先の銀行の担当者から、「合併公告の件ですが、計算書類の公告が掲載されていなかっただけど、理由がわかりますか?」という電話がかかってきました。これに対しては、「特例有限会社じゃないですか? 特例有限会社であれば、計算書類の公告はしないのでその旨の記載が施行規則で定められていますよ。」と即答できました。NEt相談室なので、知見を増やしていると、このような形で即答もでき、ご担当者からの信頼を得ることもできます😅

2024年5月28日 (火)

【刑事】 少し前に裁判所の盗撮事件がありましたね😵

 少し前に、裁判所の職員が裁判所内の女子トイレに約半年程度の間小型カメラを設置して女性の下着等を盗撮したという報道がありました。

 刑事処分としては、罰金80万円の略式命令を受けており、また、勤務先の裁判所からは、停職6ヶ月の懲戒処分にされています。

 このような盗撮ですが、田舎弁護士が認識する範囲では、各都道府県の迷惑防止条例違反の容疑で調べられることが多いように思います。

(卑わいな行為の禁止)
第4条 何人も、公共の場所にいる者又は公共の乗物に乗つている者に対し、その性的羞恥心を著しく害し、又はその者に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接身体に触れること。
(2) 衣服等で覆われている下着又は身体(以下「下着等」という。)を見ること。
(3) 前号に掲げる行為をしようとして下着等をのぞき込み、又は下着等が見える位置に鏡等を差し出し、若しくは置くこと。
(4) 衣服等で覆われている下着等の映像を記録する目的で、写真機その他の撮影する機能を有する機器(以下「写真機等」という。)を置き、又は向けること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服等の全部又は一部を着けない状態でいるような場所において当該状態でいる者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 当該状態でいる者の姿態を見ること
(2) 当該状態でいる者の姿態の映像を記録する目的で写真機等を置き、又は向けること
3 何人も、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所にいる者に対し、第1項に規定する方法で、同項第4号に掲げる行為をしてはならない。

(罰則)
第16条 第4条第1項第4号、第2項第2号又は第3項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2 常習として前項の違反行為をした者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

 愛媛県条例も、令和2年6月1日から、厳罰化にむけて、改正条例が施行されています(以前は、通常犯は6月以下の懲役でしたが、1年以下の懲役に変更、常習犯は1年以下の懲役でしたが、2年以下の懲役に変更されています。また、住居等私的空間も含め、人が通常衣類等の全部又は一部を着けないでいる場所における盗撮行為等も禁止されています。)

 また、迷惑防止条例は未遂を罰する規定がありませんが、改正された迷惑防止条例ですと、「カメラを向ける行為」があれば条例違反になるため、撮影しなくても処罰されることが増えると思います。さらにいえば、「カメラを向ける行為」がなくても、盗撮の目的で建造物に侵入すれば、建造物侵入罪(3年以下の懲役又は10万円以下の罰金)は既遂となります。

 なお、盗撮の対象者が18歳未満の児童であった場合は、児童ポルノ法の製造罪(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)に抵触することにもなります。

 さらに、昨年から施行されている性的姿態等撮影罪については、迷惑防止条例よりもさらに厳罰化(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)されています。

「性的姿態等」は、①人の性的な部位(性器、肛門、これらの周辺部、殿部、胸部)、②人が身に着けている下着のうち、現に「1」の部位を直接もしくは間接に覆っている部分、③わいせつな行為または性交等がされている間における人の姿態が該当します。

 例えば、女子トイレに侵入して仕切り板の上からカメラで個室内にいる女性を盗撮した行為は該当します。

 性的姿態等撮影罪は、未遂も罰せられます。例えば、女子トイレの個室に侵入し盗撮目的で小型カメラを設置した行為は、未遂罪に該当します。

 盗撮といっても、年々、対象の拡大、処分の厳罰化が進んでいるようです。

 また、勤務先においても、厳しい処分が多いように思います。

 2024年6月25日付北海道新聞によれば、女性を複数回盗撮したとして、男性3等陸曹(31歳)を停職11ヶ月の懲戒処分にしております。

 2024年6月25日付のテレビ山梨によれば、複数人を盗撮して逮捕罰金刑を受けた3等陸曹(24歳)を停職9ヶ月の懲戒処分にしております。

 2024年6月24日付の産経新聞によれば、勤務する小学校で女子児童の着替えを盗撮して罰金50万円の略式命令を受けた男性教諭(25歳)を懲戒免職処分にしております。また、同新聞によれば、10代女性の性的な姿を撮影した県立高校の男性事務長(52歳)(不起訴)を停職12ヶ月としております。

 2024年6月17日付の産経新聞によれば、1年ほど前から女子中学生のスカートの中を盗撮した市役所の男性(27歳)が懲戒免職にしております。

 この種の傾向がある方は、その傾向をおさえるよう努力しないと、被害者を大きく傷つけることになるばかりか、本人も一生を台無しにすることにもなります。 

【交通事故】 加害者側弁護士、損保社員、事故担当者のための交通事故損害賠償入門

 ぎょうせいから、令和5年12月に出版された、加害者側弁護士、損保社員、事故担当者のための交通事故損害賠償入門です。

 被害者側、加害者側を問わず、交通事故を取り扱う弁護士とすれば、一読をお勧めしたい書籍です。

 損保の実務が分かりやすいと思います。

 下回り示談、労災保険と自賠責保険の後遺障害認定の相違点、工学鑑定の意味、前事故で通院中の事故の場合の処理、人身傷害補償保険金の先行払いなどは参考になろうかと思います。 

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(東陽町・小料理早和)
 田舎弁護士も、数年前は、加害者側弁護士でしたが、現在は、もっぱら、被害者側のみから交通事故事案は依頼を受けております。たまに、対人賠償に入っていない交通事故の、加害者側を対応することはあります😅
 損保から指図をされることはないというのは、仕事がやりやすいです。基本的には、民事弁護については、専門家である弁護士の意見を尊重していただける依頼人の方以外の方からは、ストレスをためないためにも、ご依頼を受けておりませんので😟
 
 鵜飼いの師匠である嫁ちゃんからは、怒られていますが、まあ健康のためには仕方が無いように思います😅

2024年5月27日 (月)

【交通事故】 改訂版交通事故事件の実務 裁判官の視点 新日本法規

 新日本法規から、令和5年11月に、改訂版交通事故事件の実務ー裁判官の視点という書籍が出版されました。

 自賠法3条から、責任能力、共同不法行為、そして、交通事故民事賠償に関する損害論、最後に、自動車保険や手続論にまで及んでいる好著です。

 著者の大島眞一弁護士は、先日、専修大学で開催された日本交通法学会においてもご講演を担当されていました。 

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(交通法学会会場)
 交通事故を取り扱う弁護士にとっては、全体的に鳥瞰しており、かつ、ある程度掘り下げて解説されているため、使い勝手がとてもよいと感じました。

2024年5月26日 (日)

【交通事故】 日本交通法学会定期総会

 5月18日に、東京神保町の専修大学にて、日本交通法学会定期総会が開催されましたので、田舎弁護士も午後から参加しました。

 まず、大島眞一関西学院大学教授から、「逸失利益算定の現在と課題ー実務からの問題提起」と題して、年少女子の逸失利益、67歳を終期としている就労可能年齢、年少障害者の逸失利益、後遺障害等級表、死亡慰謝料・生活費控除率の基準等について、ご見解を解説されていました。

 なお、昭和49年7月19日最高裁判決の、原審である東京高裁は、7歳の女子が昭和40年に交通事故で死亡した事案につき、「事故当時の統計によれば、女子の平均初婚年齢は25歳、全企業の女子労働者の平均年齢は28.1歳、平均勤続年数は3.9年であるから、被害者は25歳に達すると当時に結婚し離職する。」という理由で、25歳以降の逸失利益を認めませんでした。

 虎子もびっくりするような裁判例です😵

 次は、若林三奈龍谷大学教授の、年少者・若年者の逸失利益算定ですが、理論的な解説が多くて、田舎弁護士は、😖でした。

 吉村良一立命館大学名誉教授は、障害を持つ年少者の逸失利益について講演されました。

 最後は、社会情勢の変化を踏まえた主婦休損についての考察として、溝口優岡山地裁判事が解説されました。完全共働き世帯や一人親世帯、成人のみの世帯についての新しい考察をされています。

 そういえば、田舎弁護士も、完全共働き世帯の男性の方の主婦休損を訴訟で請求したことがあり、裁判所も、和解でしたが、概ね当方の主張を認めていただけました。

 家事や育児は、ほぼご夫婦で分担されているという事案で、男性が交通事故で怪我にあわれたというものでした。

 20240518_123350                           (学会・レジュメ)

 田舎弁護士は、以前は、このような学会や研究会は、かなりの数のものに入会していましたが、現在では、数を減らしています。

 今思えば、若くて、エネルギッシュだったのでしょうね😅 

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(専修大学)
 専修大学は、過去1回だけ訪ねたことがあります。田舎弁護士が、司法浪人だった30年以上前のことになりますが、司法試験予備校の模試を受験するために訪ねました。
 古い校舎は多分昔のままですが、周辺には綺麗な校舎もあり、かなりの部分が立て直されているのではないかなと思いました。

2024年5月25日 (土)

【弁護士考】弁護士に危険な誘い、「名義貸して」報酬約束…ロマンス詐欺

 5月16日の読売新聞オンラインです。

 「別の業者と提携し、弁護士法違反に問われた東京弁護士会所属の●●被告(82)の刑事裁判でも、業者側の手口が明らかになっている。
 大阪地裁であった8日の初公判で、●●被告は自営業・●●被告(42)(起訴済み)らに被害者対応させていたことを認め、「(業者側から)『被害救済にも仕事にもなる』と勧められ、信用していた」などと語った。
 検察側は冒頭陳述で、被害者から相談を受ける事務員に対し、●●被告が「依頼者から被害金回収の可能性を聞かれた場合、大げさに8割とか言っちゃっていい」と指示していたと指摘。●●被告は事務員の面接や業務指導をしていなかったのに、報酬として毎月30万~50万円を受け取っていたとした。」 

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(伊予富士山頂から)
 過払い金等を含む地裁わ号事件の減少に加えて、弁護士の数が増えたことに伴い、マチ弁業務のみを取り扱う法律事務所は、年々経営状況が厳しくなっているように感じます。
 特に、独立したばかりの弁護士、高齢の弁護士、1度懲戒処分を受けた弁護士は、仕事が少ないために、悪徳業者に狙われることが少なくないように感じます。
 このような事務所のHPはかなり立派なところが多いように思います😵
 弁護士が、被害者や依頼人から、さらにお金を騙し取るようなことが最近目にすることが増えました。
 地方でも、マチ弁業務のみですとじり貧ですので、仕事については、余裕のある時に、他の核を作っておく必要があります。
 これから弁護士を目指そうとする若い方には、弁護士というのは単なる資格の1つにすぎず、これのみでは十分な生計を立てることができあにというリスクがあるということを認識する必要があろうかと思います。
 田舎弁護士の事務所に所属していた弁護士も、お一人は、豊富な職歴に加えて弁理士資格を取得しその後は国税審判所の審判官の経験も経て、弁護士業務をされています。もうお一人については、医師免許を取得されました。
 他の核の内容についてはひとそれぞれですが、生計につながる核を作っておく必要があります。

2024年5月24日 (金)

【労働・労災】 有期契約労働者と無期契約労働者との間で、扶養手当、リフレッシュ休暇、年次有給休暇の半日単位取得、特別休暇に関して相違があったことが、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例 令和5年3月16日津地裁判決(控訴)

 判例時報No2586号で掲載された津地裁令和5年3月16日判決です。

 解説が参考になると思いますので、少し引用します。

 「労契法20条は、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件の相違が不合理なものであってはならない旨を定めているところ、同条違反の判断枠組みについて、判例は、有期契約労働者と無期契約労働者との間の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)、当該職務の内容及びその配置の変更の範囲その他の事情を指摘した上で、その判断においては各賃金項目等の個別の趣旨を考慮すべきとしており、本判決はこれを踏襲した」

 「本判決は、原告らと、原告らが比較対象にすべきとする正社員との間で、職務の内容や配置の変更の範囲には大きな違いがあるとした一方、その他の事情として、ア原告らは期間の定めのある労働契約ではあるものの、その契約は反復更新されることが前提となっていること、イ原告らと被告の間で本件訴訟に至るまでに労使交渉がされ、原告らの待遇が一部改善されてきたことを重要なものとしました」

 「その上で、本判決は、各賃金広告等の趣旨を個別的に考慮して次のように判断している」

 「①通勤手当については、その趣旨(公共交通機関を利用できず自家用車等で通勤する者に対しての費用のてん補)からすれば、原告らにも支給すべきとも考えられるが、異国における代替手段があったことをその他の事情として考慮して不合理であるとはしなかった。」

 「②扶養手当及び③リフレッシュ休暇については、その趣旨(②につき、継続的な雇用の確保、③につき、長期間の勤続年数に達した者に対する報償)からすれば、被告との労働契約が反復更新されることを前提としていた原告らにおいても妥当するものとして、その相違は不合理なものとした。」

 「④賞与及び基本給については、原告らと正社員との職務の内容及びその配置の変更の範囲の違いが大きく、それを反映した賃金項目であったことから不合理でないとした。」

 「⑤年次有給休暇の半日単位の取得及び⑦特別休暇については、その趣旨(⑤につき、柔軟な取得による年次有給休暇の活用、⑦につき、特別な事情における準備又は対応期間の確保)からすれば、職務の内容及びその配置の変更の範囲に関係がないものであるから、その相違が不合理であると認めた」

 「⑥年次有給休暇日数につては、結論としてその付与日数の相違が不合理であるとはしなかった」

 「⑧福利厚生については、別組織によるものであり、被告が直接の権限を有していないものとして、労契法20条の問題として捉えなかった」

 

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(UFOライン)
 1つ1つ各賃金項目を丁寧に検討されています😅

2024年5月23日 (木)

【弁護士考】 非上場株式を買い取るスキーム

 最近、非上場株式を買い取るスキームが構築されつつあるようでして、ネットで検索したところ、企業法務を専門に取り扱っている高名な法律事務所もこのスキームの支援を積極的にされていることを知って少し驚いております。

 そもそも、非上場株式にも、公開会社と非公開会社の2つの株式があります。

 非公開会社の場合は、株主が第三者に株式を譲渡を希望する場合に、会社に承認を求めるわけですが、会社が承認しない場合には、会社が当該株式を買い取らざるを得なくなり、しかも、代金は裁判所が査定するわけなので、その意味では、少数株主であっても、比較的容易に換金化できることになるでしょう。

 他方、非公開会社で会社が譲渡を承認する場合、または、公開会社の場合には、適正な価格で換金化できる補償はありません。

 この種のスキームを取り扱っている業者の書籍を購入しましたが、このような場合についての妙案はないようです。

 このような場合において、ある書籍では、「私たちはその場合、株主の権限を行使し、会社の現状を把握します。経営者に公私混同や、経営者の資産管理会社などに経費流用のような私腹を肥やす行為があれば厳しく追及します。場合によっては株主代表訴訟を提起し、役員が会社に与えた損害を個人で賠償するよう行動します」と説明されています。

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(UFOライン)
 ただ、このようなことをしても、少数株主は最終的には議案を通す力はないために、会社が徹底抗戦すれば、株式はお金に変わりません。😅
 業としてのスキームとしては、やはり、制約の多い弁護士は扱いづらいですね。個別具体的な事案毎に、対応をご相談させていただくというのが今のところの帰結です。

2024年5月22日 (水)

【労働・労災】免許取得の費用を巡る労使のトラブル コンドル馬込交通事件

 免許取得の費用を巡る労使のトラブルについては、東亜交通事件以外にも、コンドル馬込交通事件についての東京地裁平成20年6月4日判決ががよく引用されています。 

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(東黒森山頂)
 タクシー運転手として被控訴人X社に雇用された控訴人Yが、普通第2種免許取得のための研修を受講し免許取得直後に退社したという事案において、「研修費用(19万9500円)をX社が立て替えて支払い、正規従業員として選任後に出勤率80%以上で2年間勤務すれば返還義務を免責すると定めた本件研修費用返還条項」の有効性を巡って争われました。
 裁判所は、
 第2種免許の取得は業務に従事するうえで不可欠であり、そのための研修は会社の業務と具体的関連性を有するが、同免許は個人に付与され、X社を退職しても利用できるという個人的な利益があることからすると、免許の取得費用は本来的には免許取得希望者個人が負担すべきものであり、本件研修費用返還条項によって返還すべき費用が20万円に満たないことからすると、費用免責のための就労期間が2年であったことが、タクシー乗務員の自由意思を不当に拘束し労働関係の継続を強要するものであるとはいいがたく、本件研修費用返還条項は、労基法16条に反するものではないとして、X社のYに対する研修費用返還請求を認めました。
 この論点については、ネットで検索するといくつかアドバイスが記載されたものがでてきます。
 例えば、「大阪地裁判決(東亜交通事件)から考えれば、まず貸付金制度について詳細な説明をし、従業員の同意を得て署名押印をとっておくことが重要だ。また、資格取得は業務命令ではなく、本人の自由意思であることを文書などで明確にしておく必要がある。さらに、会社負担を支給の名目にすると返還が難しくなるので、補助する形にしておうべきだろう」とか、
 「ドライバーに大型免許取得費用を貸し付けたうえで、例えば免許取得後、2年間貴社において大型ドライバーとして就労したら返済義務を免除するという形にすれば労働基準法16条違反の問題が生じづらくなるんです。」とか
 がありました。
 田舎弁護士的には、業務を行うに際して必要不可欠であれば、無条件で会社が負担したのでいいように思います。😅
 それでも、返還を求めたいのであれば、相応の対応をとっておくべきでしょう。

2024年5月21日 (火)

【労働・労災】免許取得の費用を巡る労使のトラブル 東亜交通事件 大阪高裁平成22年4月22日判決

 運送会社を中心に、免許取得の費用を巡る労使のトラブルについての相談は、散見されます。

 東亜交通事件もこの論点が問題となりました。

 タクシー会社Y社が、入社を希望したXら2名に対し、2種免許取得のための教習費等を800日の乗務完了を返還義務免除の条件として貸し付けたと主張し、上記乗務未完のまま退社した同人らにその返還を求めたというケースです。 

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(東黒森)
 裁判所は以下のとおり判断しました。
 まず、本件教習費等のうち、教習費及び就職支度金については、
 
 Xらがみた新聞広告や看板の記載はこれらの金員が賃金であるとの誤解を招きかねないものであり、Y社は社内教習のときまでに、Xらに実際の労働条件が上記記載とは異なることを明確に説明していないから、労働条件明示義務(労基法15条1項)を尽くしていないといわざるを得ない
 さらに、これらが給与支給明細書上は手当欄に記載され必然的に諸々の控除の対象となっていることからすれば、教習費および就職支度金は賃金的性格を有するものであるとされ、就職後4ヶ月以上経過後に徴求した自動車教習所明細書の記載をもって、これが貸付金であると主張することは信義則上も許されない
 他方、本件教習費等のうち、教習所の授業料及び交通費については、
 教習受講はXらの自由意思に委ねられ、Y社の指揮監督下にもないから業務といえず、また2種免許取得は固有の資格としてXらの利益になることであるから、本来Xらが負担すべき費用であって、もともと賃金的性格を有するものとはいえず、これらの費用についてはY社が消費貸借の対象とすることも許されると判断しました。
 いずれにせよ、前提は、借用書等があることが必要なようです。借用書がなければ、そもそも貸付なのかどうかというところから争われることになるでしょうね。
 

2024年5月20日 (月)

【流通】 5月16日に開催されました株式会社フジの定時株主総会に社外監査役として参加いたしました。

 5月16日午前10時から、ホテルグランヴィア広島において開催されました株式会社フジの第57回定時株主総会に社外監査役として参加しました。

 第57期の事業報告書、計算計算書、会計監査人及び監査役会の監査報告のほか、剰余金の処分、取締役及び監査役の選任の件が議案となりました。

 第57期の営業収益は約8010億円、営業利益は約151億円、経常利益は約173億円となりました。

 第58期については、営業収益は8100億円、営業利益は155億円、経常利益は177億円を予定しております。

 さて、株式会社フジは、2月までは本社機能が松山であったため、これまでは、松山にあるフジの本部ビルにて、株主総会が開催されていました。3月から、本社機能が広島に変わったことに伴い、フジとしてははじめて広島で株主総会を開催するに至りました。 

 会場になったホテルグランヴィア広島は、JR広島駅直結の交通の便がよいところで、また、ホテルの内外装ともとても綺麗な印象を受けました。 

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(UFOライン)
 多忙の中、また、遠方から、多くの株主様にお集まりいただき、さらに、貴重なご意見を多数賜り、この地元において、フジに対する期待が大きいということも伝わってきました。同社の社外監査役を務めている田舎弁護士も、このような場には馴れている方ですが、株主様のとても熱気が伝わってくるようで、とても緊張しました😅
 
 閑話休題 田舎弁護士も、今年で57歳になります。フジも、誕生して、57年になります。同級生というところでしょうか。また、田舎弁護士のご先祖様も広島です。フジも、元は広島の会社で、57年前に愛媛に出店した会社になります。田舎弁護士と大きなところで共通するところがありますね😇
 今後とも、株式会社フジに対してご支援賜りますよう宜しくお願い申し上げます😄

 

2024年5月19日 (日)

【弁護士考】 弁護士会の各種委員会

 愛媛弁護士会から、令和6年度(4月)定時総会議題と資料が送付されてきました。

 愛媛弁護士会の定時総会に出席しなくなって、もう10年位は経過しているかもしれません。昔と異なり、新司法試験制度に変更されてから、愛媛でも登録される弁護士の数が増えて、お顔どころか、お名前すらわからないという「浦島太郎」となっているからです。

 それはさておき、令和6年度の田舎弁護士が所属する委員会について公表されていました。

 まずは、司法修習委員会です。偶に支部研修で修習生を短期間預かることがありますが、以前に不愉快な思いをしたため、長期の預かりは現在は遠慮しております。もっとも、サマクラ等を契機に面識のある司法修習生が松山修習になったためにその方達が田舎弁護士の事務所に遊びにこらえることはあります。

 財務委員会、民事介入暴力対策委員会、犯罪被害者支援委員会、紛議調停委員会については、大変申し訳ありませんが、名ばかりの委員であり、ほとんど出席したことはありません。

 住宅紛争審査会運営委員会の運営委員及び処理委員は、積極的に活動しております。また、日弁連特別委員会である住宅紛争処理機関検討委員会も、長年勤めております。

 また、日弁連交通事故相談センター愛媛県支部役員・支部委員会についても所属はしておりますが、相談については担当したことはありません。年間60件近く相談があるようですが、示談等が成立したことはありません。

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                           (木の香温泉・朝食)

 個人的な印象ですが、所属する会員の数に比べて、委員会の数が多いように思います。弁護士は多忙ですから、そのうち、1つか2つ位しか活動できないのではないかと思います。

 なお、2年前には、愛媛弁護会今治支部長に就任し、積極的な活動をしてまいりました。正直、大半の支部会員は無関心ですので、興味を持っていただくために、少々刺激的な「支部長だより」等を発行し、支部会員に毎度FAXしてきました。

 弁護士会の委員会の数はやはり多いように思いますので、もっとシンプルな組織作りがいいのではないかなと思います。

 田舎弁護士自身、どのような委員会に所属しているのか、すぐにわかりません😅 (それは、認知機能が衰えているからってですか!?) 

2024年5月18日 (土)

【交通事故】 医師と損保のための分かりやすい交通事故外傷ガイドQ&A整形外科編

 今年の3月に、保険毎日新聞社から出版された「医師と損保のための分かりやすい交通事故外傷ガイドQ&A整形外科編」です。

 総論として、骨折の一般的な解説、各論としては、①上肢の外傷、②下肢の外傷、③体幹の外傷、④脊椎の損傷毎にわけて解説されています。

 著者の医師は、損害保険料率算出機構に関与されている方のようです。

 交通事故事案のご相談は多いので、弁護士も医学的な知見については、損保の担当者レベルは習熟しておく必要があります。

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                            (レクザムホールから)

 交通賠償の人損部分については、医学的な知見も必要なことも多くて、この種の書籍はおおいに助かります。

2024年5月17日 (金)

【建築・不動産】 Q&Aわかりやすい賃貸住宅の原状回復ガイドラインの解説と判断例

 大成出版から、今年の3月に出版された「Q&Aわかりやすい賃貸住宅の原状回復ガイドラインの解説と判断例」(第3版)です。

 6章から構成されています。①はじめに ②ガイドラインに見る契約時におけるトラブル防止のポイント、③ガイドラインに見る契約終了に伴う原状回復義務の考え方、④契約終了における部位ごとの原状回復の考え方、⑤その他、⑥原状回復をめぐるトラブルとガイドラインに関する参考資料です。

 20240510_122356                            (高松城・月見櫓)

 この種の相談は、ご依頼事件にまで発展することはありませんが、たまに、相談事案としては受けたまりますので、相談を受ける以上、ガイドラインはおさえておく必要はあります😄

2024年5月16日 (木)

【金融・企業法務】 会社法計算書類作成ハンドブック 第18版

 中央経済社から今年の3月に出版された「会社法計算書類作成ハンドブック」第18版です。

 著者は、トーマツです。

 7章で構成されています。

 ①2024年3月期決算に向けた近時の開示トピックス、②会社法決算の概要(計算関係書類等の概要と決算スケジュール)、③計算関係書類、④剰余金の配当関係、⑤事業報告、⑥株主総会招集通知、⑦株主総会決議事項の個別記載事項です。

 2007年から版を重ねているものです。

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                           (高松城・月見櫓)

 但し、ごく一部しか読んでおりませんが、P684では、取締役または監査役の解任が記載されています。監査役についても、株主総会の普通決議で解任することができると記載されていますが、現在では特別決議になっております。また、裁判所による解任請求についても、説明が、取締役のみに限定されており、監査役に言及されておらず、読み手に誤解が生じるような記載となっております。

 残念です😵

2024年5月15日 (水)

木の香温泉に泊まりました 😄

 伊予富士方面の登山の際には、木の香温泉を定宿にしております😄 スタッフの方から、顔と名前で覚えられています😇 

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(木の香温泉)
 朝食及び夕食のプランです。夕食を一部ご紹介しますね。
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 なかなか豪勢な料理ですよ😇
 なお、木の香温泉ですが、大変残念なお知らせがあります。
 5月27日をもって、一旦、休業するとのことです(>_<)
 田舎弁護士は、コロナ以降、毎年7,8回宿泊しております。しばらくの間、この方面での山登りのベースキャンプがなくなり、ショックです (>_<)

2024年5月14日 (火)

自念子ノ頭に縦走しました😄

 最後には、自念子ノ頭(じねんごのかしら)です。標高は、1701㍍です。自念子峠からの登山道は明瞭ですが、西黒森からの登山道は完全に笹に覆われております。わずかに踏み跡がありますので、笹こぎされて登られる方もいるかもしれませんね。

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                             (自念子ノ頭)

 山頂では、360度に近いパノラマを楽しむことができます。望遠カメラで、石鎚山を大きく撮られることができます。

 20240511_1401342                              (石鎚山)

 自念子ノ頭では、UFOラインとのコントラストを眺めることができます。

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                             (UFOライン)

 次の写真は、もう少し下ったところで撮影ました。

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 最後は、UFOラインから自念子ノ頭方面を撮影したものです。

 20240511_1444532                          (UFOラインと自念子ノ頭)

 もちろん、UFOラインの大部分は、嫁ちゃん号(自転車)で異動しました。 

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(嫁ちゃん号)               

2024年5月13日 (月)

東黒森に縦走しました😄

 伊予富士の後は、東黒森に縦走しました。東黒森の標高は、1735㍍です。登山道は、東西いずれも、笹に覆われている部分があります。但し、現時点では、足下がわからなくなる程度ではありません。

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                             (東黒森登山道)

 山頂は、伊予富士の山頂よりは広いです。360度のパノラマも楽しめます。

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                             (東黒森山頂)

 田舎弁護士の前に、数人のパーティの方がいました。そのうち1名が、携帯電話で話をされていました。緊急の電話のようでした😟

 20240511_1241482                             (伊予富士方面)

 石鎚山方面もいいですよ。自念子ノ頭も中央付近にみえます。

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 東黒森の後は、自念子ノ頭にむかいます😄

2024年5月12日 (日)

 伊予富士に登りました

 4月中旬にUFOラインの閉鎖がとけたことに伴い、高知県と愛媛県の県境にある伊予富士に登ってきました。

 まずは、登山口にあるUFOラインの起点です。 

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(UFOライン)
 伊予富士は、標高1756㍍、日本300名山の1つです。山頂は広くはありませんが、360度のパノラマを満喫できます。
 
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(伊予富士山頂)
 次の写真が、伊予富士から、寒風山方面を撮影したものです。
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(寒風山方面)
 次の写真が、伊予富士から、石鎚山方面を撮影したものです。
 
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(石鎚山方面)
 次の写真が、石鎚山を望遠カメラで捉えたものです。
 
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(石鎚山)
 伊予富士山頂では、嫁ちゃんランチをいただきました。劇辛キーマカレーでした。
 
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(嫁ちゃんランチ)
 天候は、快晴でしたが、風は強かったです。風が強かったためか、余り暑さは感じませんでした😄
 

 

2024年5月10日 (金)

【弁護士研修】 人事労務基礎セミナーを受講しました(●^o^●)

 本日、四国生産性本部主催の、人事労務基礎セミナーを、高松のレクザムホールで受講いたしました。

 講師の先生は、高田崇一社会保険労務士です。

 人事労務分野は、法改正等が頻繁に生じるために、それを踏まえた学習がなかなかできません。

 今回は、採用から退職までの様々なシーンでかかわる人事労務の基礎をわかりやすく学ぶことができました。 

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(案内板)
 6章に分けての解説がなされました。
 まずは、採用・労働契約・人事異動です。「労働条件通知書」も、田舎弁護士が知っていたものとずいぶん量が増えております。
 定年退職後の嘱託社員については、必要な場合は第二種計画認定申請書の提出を検討した方がいいですが、このような知識はもっていませんでしたね。

 労働時間・休日・休暇についても、変形労働時間制、みなし労働時間制、フレックスタイム制については、混乱していたところですが、この講義で整理ができました。それと、今年の4月1日から改正された専門業務型裁量労働制も、十分な理解ができました。

 退職、解雇、定年は、田舎弁護士でもよく取り扱う労使問題ですね。解雇予告除外認定ですが、認定結果がでるのが30日後なので、本来の意味では?らしいですが、懲戒解雇が可能かどうかの行政見解を得る意味では使えそうです。

 賃金も、よく取り扱いますね。割増率って、整理できておりますかね。率が異なるので正確に覚えておく必要がありますね。 

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(レクザムホール)
 健康管理については、仕事の上で、あまり取り扱うことがなく、苦手意識のあるところだったので、助かりました。
 

2024年5月 8日 (水)

【弁護士考】地方の弁護士は生き残れることができるか⁉

 田舎弁護士が弁護士登録したころは、相手方の代理人弁護士は、この地域の弁護士か、せいぜい、隣の県庁所在地の市に事務所のある弁護士が大半でした。

 しかしながら、ここ数年、県外、しかも、東京や大阪の弁護士を相手にすることが増えました。

 また、時折、他の弁護士にご相談やご依頼をされている案件のセカンドオピニオンについての問い合わせを受けることがありますが、やはり、県外の弁護士が対応されているのがほとんどです。

 県外の弁護士にご相談やご依頼をされるきっかけを尋ねたところ、ネットで探したとか、ラインで相談ができたということが多くを占めていました。

 WEBを利用した相談や、裁判所自体もDX化が年々進み、裁判所が弁護士事務所から遠方でも、受任しやすい環境が整いつつあります。

 他方で、いわゆる地裁民事事件の数は、田舎弁護士が弁護士登録したころと比べると、3分の1くらいになっているのではないでしょうか。

 一方で、弁護士の数は、そのころと比べて、数倍増えています。

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(塔の丸登山道から)
 このような激変した環境の変化に耐えられるような法律事務所作りを行わなければ、地方の弁護士は生き残ることはできないと思っております。
 地元密着と言っても、掛け声だけではどうしようもありません。弁護士を利用したい地方の方々のニーズを分析して、それを事務所の存在意義とマッチングしていく必要があります。とはいえ、ブーカの時代の下で、なかなか難しい作業です。
 しまなみ法律事務所が存在することによって、この地元に、どのような形で、「新しいつながり」を作っていくのかを、考えてみる必要があります。
 田舎弁護士が法律事務所をこの地域で開業して30年近くを経過しました。
 地元自治体、銀行、造船、タオル、商社、病院、介護施設、運輸等、地域に密着した団体や企業の法律顧問も引き受けております。
 しまなみ法律事務所をとりまくステークホルダーの皆様に対して、新しいリーガルサービスの提供はできないのかを考えていきたいと思います。
 とはいえ、弁護士1名という零細な事務所であり、また、田舎弁護士は複数の団体・会社等の役員に就任しているために弁護士業以外の仕事が現在かなりの割合を占めてしまっているため、事務所を不在にすることが増えており、新規の方々へのリーガルサービスの提供ができていない状態です。
 今年から、しまなみ法律事務所においても、サマークラークを実施することにしました。
 若い方々の新鮮な考えを参考にしたいと思います(●^o^●)
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(剣山・西島駅)

2024年5月 7日 (火)

【流通】 量販店による複数の納入業者に対する各種の不利益行為につき、優越的地位の濫用が成立し、1つの違反行為を構成すると判断された事例

 判例時報2585号の判例評論で紹介された東京高裁令和3年3月3日判決です。

 事実は以下のとおりまとめられています。

 「本件原告であるラルズは北海道の区域において複数の名称で店舗を運営し、平成24年2月29日時点で64店舗、15万㎡の総面積を有する小売事業者である。ラルズの総売上高は平成24年2月期に約1182億円で北海道第3位、食料品の売上高は平成23年2月期に約1021億円、北海道第2位である。」

 「本件では、ラルズが、新装開店又は改装開店に際し食料品、日用雑貨品、衣料品等の製造業者又は卸売業者である納入業者88社のうち、①新装開店又は改装開店に際し納入業者53社に対し納入業者の納入商品以外の商品を含む店舗の商品陳列、補充、撤去等の作業を行わせるため、あらかじめ納入業者との間で条件につき合意することなく、通常必要な費用のほとんど全てを負担せず納入業者の従業員等を派遣させていた行為、②オープンセールに際して納入業者54社に対し、創業祭と称するセールに際し86社に対し、それぞれ協賛金の名目で、あらかじめ算出根拠、使途等について明確に説明することなく、納入業者の販売促進効果等の利益を勘案せずに金銭を提供していた行為、③紳士服特別販売会と称するセールにおけるスーツ等の販売に際して、仕入れ担当者から納入業者18社に対して、購入すべき数量を示して購入を要請するなどしてスーツ等を購入させていた行為が問題となった。」

 公正取引委員会は、独占禁止法に違反するとして、排除措置命令、及び約12億8000万円の課徴金納付命令を行いました。

 ラルズは、これを不服として、東京高裁に審決取消訴訟を提起しました。

 東京高裁も、ラルズの行為は独占禁止法に違反とするとして、請求を棄却しております。

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(笠松山の花)

2024年5月 6日 (月)

【交通事故】 裁判例と自賠責認定にみる「神経症状の等級評価」

 新日本法規から、令和6年4月に出版された「裁判例と自賠責認定にみる神経症状の等級評価」です。

 編者の一人に、交通賠償の第一人者である高野真人弁護士がいらっしゃいます。

 田舎弁護士が取り扱う交通事故事案においても、いわゆる神経症状事案がほぼ9割を占めるような状態です。 

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(笠松山)
 本書は、事例インデックスという形をとっております。①頸部捻挫等による頸部・上肢等の症状及び腰部捻挫等による腰部・下肢等の症状、②肩・胸部・上肢や腰部・下肢の抹消神経損傷による症状、③上肢・下肢の骨折・靭帯損傷後に残った症状、④脊髄損傷が問題となった事例、⑤CRPS・RSDが問題となった事例、⑥頭部外傷事例ごとに、12級、14級の判断のわかれめなどを紹介されています。
 地方の弁護士でも取り扱うケースが多くて、しかも、あの高野真人先生の編集ですので、間違いなしでしょう(●^o^●)

2024年5月 4日 (土)

【行政】 前市長に対して、約2億3800万円の支払いを命じた裁判例 ( ;∀;)

 判例時報2584号で掲載された広島高裁令和5年1月11日判決です。

 事案は、次のとおりです。

 本件は、A市が、木質バイオマス関連事業を実施するため、国から国庫補助金の交付を受け、同事業の実施主体であるB1社に対し、同国庫補助金を原資とするAの補助金を交付したことについて、Aの住民であるXらが、当時の市長である補助参加人(前市長)が、故意又は過失により地方自治法232条の2に反して違法に補助金の交付決定を行ったことなどによって、2億3806万円余(Aが国に返還した国庫補助金相当額)の損害を被ったにもかかわらず、前市長に対して不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っている旨を主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、Y(Aの執行機関である市長)に対して、前市長に対する前記損害賠償請求権を行使するよう求めた住民訴訟(4号請求)です。

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(八王子城址・元8マルシェ案内板)
 1 住民が、市が国庫補助金を原資とする補助金を事業者に違法に交付したことによって損害を被ったにもかかわらず、当時の市長に対し損害賠償請求権の行使を違法に怠っている旨を主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、市長を被告として、当時の市長に対する損害賠償請求権を行使するよう求める住民訴訟について、市は、当該事業者から補助金の返還を受けることのないまま当該国庫補助金を国に返還すべき義務が生じ、当該損害を補填する財産を欠くことが確実となった時点において、初めて当該損害に係る当時の市長に対する損害賠償請求権を行使することができるので、国が当該国庫補助金の返還を命じた日を基準として、同法242条2項の規定を適用すべきものと判断しました。
 
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(太鼓祭り)
 2 市の補助金の交付決定当時、当該補助金を受ける事業実施主体の事業(原料の調達、成果物の販売及び自己資金の調達)の実現可能性が低かった等の事情の下では、当該補助金を交付することとした当時の市長の判断は、社会通念上著しく妥当性を欠き、その裁量を逸脱したものと認められるから、補助金の交付は、公益上の必要性を欠き、地方自治法232条の2に反すると判断しました。
 この事案ですが、市自身も、補助金適正化法違反と詐欺罪で刑事告訴して、対象企業の関係者が実刑判決が言い渡されているというかなりお粗末な事案だったようです。

2024年5月 3日 (金)

【金融・企業法務】 取締役の違法行為差止仮処分をめぐる諸問題

 判タNo1518号で掲載された「取締役の違法行為差止仮処分をめぐる諸問題」です。田舎弁護士は、まだこのような仮処分に対応したことはありません。

第1 取締役の違法行為差止仮処分命令の申立ての利用場面

   →取締役の違法行為仮処分命令申立ては、どのような場面で利用され、どのような申立ての趣旨により行われるか。

 1 取締役の違法行為差止仮処分命令の申立ての利用場面

 2 申立ての趣旨について

第2 当事者

   →取締役の違法行為差止仮処分命令の申立ての当事者は、誰か。

 1 債権者

 2 債務者

第3 被保全権利

   →取締役の違法行為差止仮処分命令の申立ての被保全権利は、何か。

第4 取締役の違法行為差止請求の要件(1)

   →会社法360条1項にいう「株式会社の目的の範囲外の行為その他法令もしくは定款に違反する行為」とは何か

 1 「株主会社の目的の範囲外の行為」の意義

 2 「その他法令若しくは定款に違反する行為」の意義

 3 違法行為の範囲

 4 会社法385条等における解釈

第5 取締役の違法行為差止請求の要件(2)

   →会社法360条1項にいう「株式会社の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合」とは、どのような場合であるか。

 1 「・・・行為をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合」の意義

 2 取締役が違法行為を完了した場合について

 3 会社法385条等における解釈について

第6 取締役の違法行為差止請求の要件(3)

   →会社法360条1項にいう「当該行為によって当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるとき」とは、どのようなときであるか。

 1 「当該行為によって当該株主会社に著しい損害が生じるおそれ」の意義

 2 会社法385条等における解釈について

第7 取締役の違法行為差止請求の要件(4)

   →会社法360条3項による読み替え後の同条1項にいう「当該行為によって当該株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるとき」とは、どのようなときであるか。

 1 「当該行為によって当該株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれ」の意義

 2 会社法422条における解釈について

第8 保全の必要性

   →取締役の違法行為差止仮処分に関する保全の必要性は、どのような場合に認められるか。

第9 管轄

   →取締役の違法行為差止仮処分命令の申立ての管轄裁判所は、どこか

第10 差止請求の方法

   →取締役の違法行為差止仮処分命令の申立てに当たり、どのような点に留意すべきか

第11 審理

   →取締役の違法行為差止仮処分命令の申立てを審理するに当たり、どのような点に留意すべきであるか。

 1 手続について

 2 審理について

第12 仮処分命令の担保

   →取締役の違法行為差止仮処分命令における担保の額は、どのように定めるか。

第13 取締役の違法行為差止仮処分の効力(1)

   →取締役の違法行為差止仮処分の効力亜h、どのようなものか

第14 取締役の違法行為差止仮処分の効力(2)

   →取締役が、取締役の違法行為差止仮処分で禁止された行為を行った場合、当該行為の衡量はどうなるか。

第15 第16 第17 取締役の違法行為差止の具体的問題(1)乃至(3)

 

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(八王子城址・詰めの城)
  わかりやすく整理されているように思いました(●^o^●)

2024年5月 2日 (木)

【倒産】 東京地裁倒産部における近時の面積に関する判断の実情

 判例タイムズNo1518号に掲載された「東京地裁倒産部における近時の免責に関する判断の実情」です。令和5年度で、東京地裁において、免責不許可事由となった案件は、0.32%ですので、余程のことがなければ、免責不許可ということにはならないということがわかります。

 現金800万円を知人女性に贈与した事案、現金110万円を申立直前に引き出して浪費し且つ虚偽の説明等をした事案、手続開始後163万円を引き出して虚偽説明をした事案、140万円の偏波弁済をした事案、破産手続開始2年前に800万円を費消した事案、携帯料金約460万円を費消し虚偽説明をした事案、正当な理由なく債権者集会期日に欠席した事案、虚偽の債権者名簿を提出した事案、不正な手段によって管財人の職務を妨害した事案など、多様性に富んでいます。 

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(福山ニューキャッスルホテル)
 破産する以上、誠実な破産申し立てをしないと、免責不許可となって、あとで痛い目にあいます。当職の経験でも、2件ほど、免責不許可となった事案の相談を受けたことがあります。誠実な破産申し立てについては、代理人弁護士がきちんとサポートしていくべきだと思います。管財人に就任した際に、とても残念なことですが、公的な扶助を受けた破産申し立てについては、ごく一部の弁護士ですが、サポートが十分でないケースを目にすることがあります。受任された以上、報酬の多寡を問わず、誠実に事務を処理されるべきだと思います。

2024年5月 1日 (水)

【子ども】 せっかく、公正証書を作成したのに、養育費が支払われない場合にどうすればいいの⁉

 公証人役場で離婚の際に養育費の取り決めをされるケースは、弁護士をしていれば、日常的な業務でよく遭遇します。

 養育費を取り決める際に、公正証書を作成する最大の目的は、義務者である相手方が養育費を支払わなくなった場合に、給料等を差し押さえて(直接強制)、養育費を回収するということにあります。

 ご相談者から依頼を受けて、給料の差押えや、預貯金の差押えというのは、一般的な業務の1つといえます。

 しかしながら、公正証書や裁判所で作成された調停調書等の債務名義をもっていても、相手方が支払わず、しかも、差し押さえたとしても、空振りに終わるということも、決して少なくありません。

 しかも、仮に調停や審判書で養育費を取り決めしたとしても、将来分については、消滅時効は、10年ではなくて、5年ですので注意が必要です(★これ、多分、田舎弁護士レベルの弁護士10人いれば5人は、10年と回答すると思います。弁護過誤になりそうです。)。

 債務名義をもっているにもかかかわらず、相手方の財産状況がわからず、相手方の財産を差し押さえることができないという場合には、どのように対応したらいいのかが問題となります。

 第1は、財産開示の申立てです。

 公正証書の場合でも、令和2年4月1日から、財産開示制度が利用できるようになりました。

 ただ、この制度を利用するためには、一度強制執行に失敗しているか、知れている債務者の財産に強制執行をしても完全な弁済を得られないことを要件としております。

 そして、財産開示命令が出ても、相手方が隠さずに申告しているかどうかは債権者側にはわからないこと等から、田舎弁護士の場合は、財産開示申立ては、10回以上行いましたが、この制度によって、債権回収ができたということは過去ありません。

 財産開示制度以外の、情報取得手続としては、3つあります。

 1つめが、預貯金・振替社債等の情報開示の申立てです。

 これは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所、この普通裁判籍がわからないときは各金融機関の本店の所在地を管轄する地方裁判所ということになります。

 ただし、この制度を利用すると、債務者に対して情報の提供がされた旨の通知がされるために、それ以前に差し押さえる必要があります。

 2つめが、不動産に係る情報開示の申立て、3つめが、給与に係る情報開示の申立て、ですが、いずれも、先行して財産開示手続が実施されていることが要件となっております。

 以上の制度を前提にすると、きちんとした会社等に勤めている相手方であれば、強制執行により養育費を回収できる可能性はありますが、田舎弁護士も度々経験しますが、点々として勤務先がわからないような方の場合には、養育費の回収は至難の業としかいいようがありません。 

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(弓削)
 養育費を受け取れない家庭への公的支援については、「養育費・紺品費用事後対応」(令和3年7月)では、①国による養育費立替払い制度は、検討はされているようですが、実現まではいっていないようです。②自治体独自のものとしては、大阪市、港区では、民間会社が養育費保証サービスについて保証料の助成を行っているようです。③明石市では、あの有名市長の下では、1か月分に限り最大5万円を市が立て替えて支払うこと、明石市にて相手方に支払い催促がされるという制度があったようです。
 なお、現在、家族法制の見直しの1つとして法定養育費が国会で審議されているところですが、これがとおれば、先取特権の効果として、担保権実行としての債権差押えが可能ということになります。もっとも、金額は、審判で定められる金額よりは低額になろうと思います。
 最近では、国や自治体でも頑張っているとは思いますが、それでも、養育費は踏み倒す不届き者がいます。
 支払えるのに支払わない、支払う能力があるにに支払わない不届き者は、最終的には、財産開示制度と同様に刑事罰をもって対処すべきだと田舎弁護士は思います。

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