中央経済社から、昨年出版された「契約解消の法律実務」です。今回は、継続的契約の解消について目を通しました。
継続的契約の解消類型については、多くの裁判例の傾向を踏まえると、つぎの3類型に整理が可能です。
① 期間の定めのある継続的契約における期間満了前の中途解約
⇒ 解約権の留保特約がない場合には、やむを得ない理由がない限り、中途解約は無効
⇒ 解約権の留保特約がある場合には、原則として、中途解約は有効。ただし、信義則違反・権利濫用に該当する場合は無効
② 期間の定めのある継続的契約における期間満了後の更新拒絶
⇒ 原則として、更新拒絶は有効。ただし、信義則違反・権利濫用に該当する場合は無効。
⇒ 更新拒絶の事前予告特約(いつまでに更新拒絶の意思が表示されない限り、同一条件で契約が更新されるものとするといった内容の特約)が存在するにもかかわらず、その条件を満たさない場合、更新拒絶は無効。その場合でも、やむを得ない事由がある場合には、更新拒絶が有効とされる余地もある。
③ 期間の定めのない継続的契約の解約申し入れ
⇒ 原則として、効力発生まで相当な猶予期間を設定しての解約申入れである限り有効
⇒ 例外として、①解約申入時に告知された効力発生までの猶予期間が不相当な場合は、客観的に相当な期間経過後に解約の効果が生じると解される。
②まれであるが、解約申入自体が猶予期間以外の点で、信義則違反・権利濫用として許されない場合もある。
(晩秋の伊予富士)
裁判例も、3類型毎に紹介されています。
①の類型 東京地判平成18年11月16日
⇒化粧品を販売し、美容部員を被供給者の店舗に派遣する契約について、「30日前の予告をもって契約を中途解約できる」特約に基づいて供給者が解約を申し入れ、美容部員の派遣を停止したところ、被供給者が損害賠償を求めた事案。
裁判所は、継続的契約においても中途解約条項の定めがある以上、正当事由がなくてもこれに基づく中途解約は認められるが、信義則に反しまたは権利濫用に該当する場合には無効となるとした。その上で、予告期間を定めながら、解約告知の翌日には一切の化粧品の供給や美容部員の派遣を停止した供給者の行為は債務不履行であるが、財政悪化により組織体制の変更が余儀なくされている大きな事情の変更がある中では権利濫用とまではいえず、中途解約は有効であると判断した。
②の類型 東京地判平成9年3月5日
⇒化粧品の売買契約について、一定期間継続して商品を供給し、被供給者に登録商標を使用させる契約で、自動更新条項(2年の期間満了後も異議がない限り存続)があり、契約締結時に双方とも長期の契約継続を考えていた等の事情から、被供給者による期間満了後の更新拒絶にはやむをえない正当な理由が必要とされた。
その上で、交渉過程で、供給者が被供給者に右翼との関係を示唆したり、マスコミに公開質問状を出す旨の発言をしたり、供給者の関与で右翼団体が街宣活動等の抗議を行ったり、また、契約締結1年後(初回更新前)には取引が実質的に停止し、その3ヶ月後には解約告知がされた等から、更新拒絶が有効と認められた。
③の類型 大阪地判平成17年9月16日
⇒食品業者とファーストフード店の間の肉まん供給契約について、被供給者からの解約申入の有効性が争われた事案。
裁判所は、資本投下が必要で継続を前提として締結された場合、契約解消には正当な事由が必要であるとした。本件では、肉まんの製造情報等が被供給者から供給者に開示され、月100万個の発注が約束されていたこと等から両者間で一定期間継続される前提であったと認定された。さらに、供給者が必要な品質の肉まんを製造できたのは、新工場での製造が必要になったことなどから契約締結後1年以上経過してのことであったが、この間、被供給者は催促せず、新工場での供給体制の報告を求める等、新工場での製造に承認を与えていたといえるため、肉まん製造供給の遅滞は正当な事由に当たらず、解約は無効とされた。
(伊予富士山頂直下の霧氷)
整理されているので理解がしやすいですね😅
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