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2023年10月10日 (火)

【労働・労災】 「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」とは?

 「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは、パワハラ指針2(5)によれば、社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものをいいます。

 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワハラには該当しません。
 この点が同じハラスメントでも、セクハラとは大きな違いがあります。
 セクハラは、業務上必要かつ相当な範囲の言動は凡そありませんが、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラではありませんので、グレーゾーンの部分が必然的に生じてきます。


 ○業務上明らかに必要性のない言動 ○業務の目的を大きく逸脱した言動 ○業務を遂行するための手段として不適当な言動 ○当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動が、これにあたります。


 この判断に当たっては、言動の目的、言動を受けた労働者の問題行動の有無、内容、程度を含む言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性等を、総合的に考慮することが適当です。

 以下は、最近出版されたハラスメント対応実務必携Q&AP29~の説明を参考したいと思います。 

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(伊予富士山頂から)
 「裁判例における総合判断の例として、医療法人財団健和会事件・東京地判H21.10.15」「では、事務職員が、何度も指導を受けながらも、パソコン操作ミスで住所の入力を間違え、健康診断書が受信者に届かなかった、健康診断の順路案内記載を消してしまった等のかなり初歩的なミスを繰り返していた事案において、医療現場における正確性を記するための指導・注意(同時期に入職した派遣社員と仕事内容の差が広がっている、事務職員として要求する水準に達していない等)については、これが厳しい物言いであっても、生命・健康を預かる職場の管理職が医療現場において当然になすべき業務上の指示の範囲内にとどまるとした点が注目されます。」
 「神戸市・代表者交通事業管理者事件・神戸地判令3・9・30」「で、本件暴行について、C係長が、いかに災害対応時の緊迫した状況下で、かつ両手が携帯電話及び手板で塞がっていたとしても、部下である職員に電話を取るよう指示するにあたって、足で職員の座っている椅子を蹴るというのは、職員にとって屈辱的な態様であるうえ、そのような方法で合図をする業務上の必要性は全くなく、合図に足を用いたこと自体不適切な行為であり、加えて椅子の背部を蹴るという危険な暴行に及んだことからすると、C係長の本件暴行は、優越的な関係を背景に、相手に対し身体的・精神的苦痛を与え、就業するうえで看過できない程度の支障が生じたと感じさせるものであったと認められ、パワーハラスメントに該当するとされています。」
 緊急事態下であっても、暴行が正当化されることは正当防衛のような場合でもなければ難しいということです。

 

 

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