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2022年6月11日 (土)

【行政】 怠る事実と監査請求期間の制限 

 「怠る事実と監査請求期間の制限」については、リーガル・プログレッシブ・シリーズ(LP)行政訴訟改訂版(青林書院)276頁から278頁が、わかりやすく解説されています。引用したいと思います。

 本書も、現役の裁判官が編著者になっております。編著者の西川知一郎判示は、執筆当時、大阪高裁判事で、それ以外の執筆者の方も、大阪地裁行政州中部に在籍された裁判官の方々です。 

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(笠松山)

 「怠る事実に係る監査請求には、監査請求期間の制限が及ばないのが原則である(いわゆる『真正怠る事実』である。)。
  
 しかし、地方公共団体において違法に財産の管理を怠る事実があるとして住民監査請求があった場合、当該監査請求が、当該地方公共団体の長その他の財務会計職員の特定の財務会計上の行為を違法であるとし、当該行為が違法、無効であることに基づいて発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実(いわゆる『不真正怠る事実』である。)と構成しているものであるときは、監査請求期間を制限した法の趣旨を没却しないように、当該監査請求については、当該怠る事実に係る請求権の発生原因たる当該行為のあった日を基準として監査請求期間の制限が及ぶ。」
 「ただし、実体法上の請求権の不行使をもって怠る事実と構成してされた住民監査請求において、監査委員が当該怠る事実の監査を遂げるためには、特定の財務会計上の行為の存否、内容等について検討しなければならないとしても、当該行為が財務会計法規に違反して違法であるか否かの判断をしなければならない関係にはない場合には、当該監査請求には監査請求期間の制限が及ばない。」
 「また、財務会計職員の行った財務会計上の行為の準備行為又は財務会計職員の補助職員の行った財務会計上の行為の補助行為が違法であることに基づいて発生する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象としてされた住民監査請求は、財務会計上の行為のあった日又は終わった日を基準として監査請求期間の制限が及ぶ。」

 「したがって、いわゆる談合事案において、談合業者が違法に工事代金をつり上げたことをもって不法行為と構成し、これによって発生した当該談合業者に対する損害賠償請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実として監査請求をしている限りにおいては、いわゆる真正怠る事実として監査請求期間の制限が及ばないことになる。
 これに対して、財務会計職員が、違法に高額な工事代金での請負契約を締結したことが地方財政法等に違反する違法行為であるとして、これによって発生した当該談合業者に対する不当利得返還請求権又は損害賠償請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実として監査請求をすれば、いわゆる不真正怠る事実として、当該請負契約の締結日(当該行為のあった日)を基準として監査請求期間の制限が及ぶこととなる。
 そのどちらを選択するかは監査請求人の自由意思に委ねられているといえよう。
 
 このように、監査請求をどのような構成のものと理解するかによって監査請求期間の制限の有無が変わるので、不明な場合は早期に釈明を求める訴訟運営が望まれる。」
 真正怠る事実なのか、不真正怠る事実なのかは、なかなか区別が難しいところがあるように感じますが、本書でも解説されているように、監査請求期間の制限の有無が変わりますので、注意が必要です。
 LPがわかりやすいですね。

 

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