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2022年2月 5日 (土)

【法律その他】 講話 民事裁判実務の要諦 裁判官と代理人弁護士の方々へ

 判例時報2502号から、橋本英史東京高裁判事による講話民事裁判実務の要諦という新連載が始まります。 

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(笠松山・観音堂)
「筆者は、現在裁判官任官39年目で、主に民事裁判を担当してきている」
「近時、原審の明渡しの対象となる1棟の建物の一部につき図面による特定を欠いていたり、裁判所の釈明義務に反しながら、原告の法律構成を主張自体失当とし、あるいは、紛争の実体の検討及び認定を顧みることなく、形の上だけで判断を整わせて、事件の早期処理をしたといわざるを得ないような判決書に接したりするなど、裁判官の審理及び裁判ないしその前提となる代理人弁護士の訴訟活動について疑問を抱くことが少なからずあった。」
「最初に、民事裁判実務において必須で、基本的な事項といえるが、誤解や過誤も見受けられるなど、注意を要する手続の基礎について論じる」
「訴訟物が複数の債権の場合の金員請求は、訴訟物ごとに請求金額を特定する必要がある」
「実務上、目的工事等を別とする2個以上の請負代金請求について右の特定を欠く事例が多く見られる」
「例えば、ハラスメント言動による人格権侵害と文書配布による名誉権侵害の慰謝料請求は、別個の訴訟物であるから、合計金額でなく各請求額の特定を要する。
 同様に、交通事故の不法行為に基づく物損と自賠法3条に基づく人損の請求は、弁護士費用を各1割相当額として振り分ける必要がある。
 このように複数の訴訟物を構成する不法行為(特に慰謝料請求)の場合に右の特定をしていない事例は多く見られる」

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(笠松山)
 「なお、対象土地の正しい呼称は、「(右の土地(登記特定事項記載)のうち)別紙図面表示のァ、イ、ウ、エ、アの各点を順次直線で結んだ線で囲まれた土地」である。ァの起点から途中のエまででなく、ァの終点に戻る必要がある。「各点を順次結んだ直線で囲まれた土地」という表現は、各点をどのように結ぶかが不明で、各点を結んでできた線も直線ではないため適切ではない。また、「別紙物件目録」の1に土地、2に建物の記載があるなどの場合の土地は、別紙物件目録1記載の土地ではなく、別紙物件目録記載1の土地と呼称する。これは、別紙物件目録1と同2がある場合にも適応できるためである。」
 「単に対象土地の地積測量を目的とする求積図では、前記いずれの特定の手法も採られず、対象土地の特定を欠くものが多くみられる。このため、土地家屋調査士への依頼の際、測量目的を明示した上、前記のような基点の設定及び図面上の表示及びこれによる各地点の特定の仕方(測量方法)を指示する必要がある」
 「1台の駐車場敷地の明渡しや妨害物撤去土地明渡しなど、対象土地の範囲が比較的狭い場合には、費用対効果の観点から、専門的な知識及び測量機器を要しない前記基点2からの距離の測量による特定を、代理人弁護士ないし右の具体的指示を受けた事務員や当事者本人においても、巻き尺を用いた測量によって行い、作図することが可能である。訴額算定のための面積の測量も、三斜法(三角形の求積の合計)により計算しうるから有益である」
 「謄写した刑事記録や医療記録を1つの番号で提出する例も見られる。しかし、これらは、物的に複数の文書の編綴体だり、枝番(又は個別の番号)を付する必要がある。医療記録で文書数が多く、各種文書(カルテ、看護記録、各種検査書等)が混在しており、文書の標題、作成者、作成日が、その文書の記載または文書の趣旨から明らかな場合に限り、枝番を付さずに下部に通し頁数を付して特定し、準備書面の引用に供することも許容される」
 弁護士の皆様。きちんと守れているでしょうか💦

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