判例タイムズNo1491号で紹介された最高裁令和3年7月5日判決です。
判決要旨は、会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は、同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合であっても、上記株式の価格につき会社との協議が整い又はその決定に係る裁判が確定するまでは、同法318条4項にいう「債権者」にあたる。
(ダムカレー)
本件は、被上告人が、上告人に対し、被上告人は本件株式の価格の支払請求権を有しており上告人の債権者に当たるなどと主張して、会社法318条4項に基づき、その株主総会議事録の閲覧及び謄写を求める事案である。
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所論は、被上告人は、上告人から会社法182条の5第5項に基づく支払いを受けているから、本件株式の価格が上記支払の額を下回らない限り、同法318条4項にいう債権者には当たらないとして、被上告人が上記債権者に当たるとした原審の判断には同項の解釈適用の誤りがある旨をいうものである。
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会社法318条4項は、株式会社の株主及び債権者は株主総会議事録の閲覧等を請求できる旨を定めている。
そして、同法182条の4第2項各号に掲げる株主(反対株主)は、株式併合により1株に満たない端株となる株式につき、同条1項に基づく買取請求をした場合、会社との間で法律上当然に売買契約が成立したのと同様の法律関係が生じることにより上記株式につき公正な価格の支払いを求めることができる権利を取得し(最高裁平成23年4月19日決定)、同法318条4項にいう債権者に当たることとなると解される。
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ところで、会社は、上記株式の価格の決定があるまでは、上記買取請求をした者に対し、自らが公正な価格と認める額を支払うことができる(同法182条の5第5項)。
もっとも、上記株式の価格は上記の者と会社との間の協議により又は裁判によって決定されるところ(同条1項、2項)、同法182条の4第1項の趣旨が、反対株式に株式併合により端数となる株式についての反対株主に株式併合により端株になる株式につき適切な対価の交付を確保することで上記株式についての反対株主の利益の保護をかかることにからすれば、上記裁判は、裁判所の合理的な裁量によってその価格を形成するものであると解される(最高裁平成23年4月19日決定)。そうすると、上記協議が調い又は上記裁判が確定するまでは、この価格は未形成というほかなく、上記の支払いによって上記価格の支払請求権が全て消滅したということはできない。
また、同法318条4項の趣旨は、株主及び債権者において、権利を適切に行使し、その利益を確保するために会社の業務ないし財産の状況等に関する情報を入手することを可能とし、もってその保護を図ることにあると解される。
そして、上記買取請求をした者は、会社から上記支払いを受けたとしても、少なくとも上記株式の価格につき上記協議が調い又は上記裁判が確定するまでは、株式併合により端数となる株式につき適切な対価の交付を確保するため会社の業務ないし財産の状況等を踏まえた合理的な検討を行う必要がある点においては上記支払い前と変わるところはなく、上記情報の入手の必要性は失われないというべきである。
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したがって、同法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者は、同法182条の5第5項に基づく支払いを受けた場合であっても、上記株式の価格につき会社との協議が調い又はその決定に係る裁判が確定するまでは、同法318条4項にいう債権者に当たるというべきである。
第1審は、債権者には当たらない、第2審は、債権者に当たるとして、見解がわかれていました。
う~ん。債権者に当たるのは当然のような気がしますが。。。。
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