【金融・企業法務】金融法務事情No２１７５号

　書籍が積ん読状態でなかなか読む時間がありません。年末に駆けて仕事が一段落しましたので、１冊１冊ずつ片付けていきたいと思います。　

（岩子島・西岩岳）

　田舎弁護士的には、〇金融判例に学ぶ営業店OJT自筆証書遺言における日付の記載についての、最高裁令和３年１月１８日付判決の解説、〇SOGIハラ等が興味深く読めました。

　SOGIハラって、初めてききましたね。性的指向や性自認に対するハラスメントのことを指すようです。厚労省が公表している「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針」（平成１８年厚労省告示第６１５号）や「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」（令和２年厚労省告示第５号）においては、被害者の性的指向や性自認にかかわらず、当該者に対するセクハラやパワハラが上記の各指針の対象になっていることが明記されています。

　具体的には、SOGIに起因する①差別的な言動、②暴力や無視等のいじめ、③本人が望まない性別での生活や仕事の強要、④本人の許可無くSOGIについてアウンティングすること等を指しています。①は、「あいつはホモだから気をつけた方がいい」という発言が該当します。②は、気持ち悪いからと無視することです。③は、性自認が男性であるのに女性用制服の着用を一方的に義務付けたり、強制的に女性用トイレを使用させたりとすることです。

　③の事例は、裁判になったものとして、経産省トイレ事件は、田舎弁護士もきいたことがあります。また、性自認が女性である従業員が精神障害を発症したのは上司から他の社員の面前で彼と呼ばれたり、女としてみられないと言った屈辱的発言をされたということで労災申請をしている事案があるようです。

　次に、〇判例速報です。東京地裁令和３年５月１３日判決は、有価証券報告書等に虚偽記載があったことを理由に株主が会社に提起する損害賠償請求において、総平均法の考え方を援用して損害賠償請求の対象となる株式を特定すべきであるとされた事例です。

　う～ん。田舎弁護士が一般的に取り扱うような事案ではないため、難解なため、何回も読まないと理解しづらいです💦