銀行法務21・9月号の金融商事実務判例紹介で掲載された最高裁判決です。ええええええ💦です。
(笠松山・山頂)
Xの経理担当従業員は、平成19年2月から平成28年7月までの間、多数回にわたりX名義の当座預金口座から自己名義の預金口座に送金し合計悪2憶3500万円程を横領した。本件従業員は、かかる送金を会計帳簿に計上しなかつたため、本件口座につき、会計帳簿上の残高と実際の残高との間に相違が生じていた。本件従業員は、横領の発覚を防ぐため、本件口座の残高証明書を偽造するなどしていた。
Yは、平成19年5月期から平成24年5月期までの各期の監査において、本件従業員から提出された残高証明書の偽造に気づかず、これと会計帳簿とを照合し、前記計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認するなどした。その上で、Yは、前記各期の監査報告において、前記計算書類等がXの財産および損益の状況をすべての重要な点において適正に表示している旨の意見を表明した。
Xは、Yが任務を怠ったことにより横領の発覚が遅れて損害が生じたと主張して、Yに対し、会社法423条1項に基づく損害賠償請求訴訟を提訴したが、第2審は、請求を棄却したため、Xが上告した事案です。
会計限定監査役ですよね。。。請求棄却でいいような気がしますが、ところが、最高裁は違った判断を示しました。
最高裁の判旨です。
計算書類等が各事業年度に係る会計帳簿に基づき作成されるものであり、会計帳簿は取締役等の責任の下で正確に作成されるべきものであるとはいえ、監査役は、会計帳簿の内容が正確であることを当然の前提として計算書類等の監査を行ってよいものではない。
監査役は、会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでなくとも、計算書類等が会社の財産及び損益の状況を全て重要な点において適正に表示しているかどうかを確認するため、会計帳簿の作成状況等につき取締役等に報告を求め、又はその基礎資料を確かめるなどすべき場合があるというべきである。
そして、会計限定監査役にも、取締役等に対して会計に関する報告を求め、会社の財産の状況等を調査する権限が与えられていることなどに照らせば、以上のことは会計限定監査役についても異なるものではない。
そうすると、会計限定監査役は、計算書類等の監査を行うに当たり、会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかではない場合であつても、計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認さえすれば、常にその任務を尽くしたといえるものではない。
これでは怖くて会計限定監査役はお引き受けすることはできません。おそらくは、顧問の税理士や弁護士で、お引き受けになられている方も少なくないのではないかと思います。
ただ、不思議なのは、会社の関与税理士もなぜ気づかなかったのかということです。
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