判例時報No2487号で紹介された最高裁令和2年11月27日判決です。
事案は、公認会計士協会から上場会社監査事務所名簿への登録を認めない旨の決定を受けた公認会計士らに、
その実施した監査手続が当該監査において識別すべきリスクに個別に対応したものであったか否か等の点を十分に検討することなく当該決定の前提となる監査の基準不適合の事実はないとして当該決定の開示の差止を認めた原審の判断に違法があるとされた事例です。
(高縄寺)
品質管理レビュー制度は、会員外の学識経験者を含む委員らで構成される委員会が、監査事務所の行う監査の品質管理状況が「品質管理の基準」に適合するものであるか否か等を品質管理システムの整備状況及び運用状況の観点から事後的にレビューして確かめ、当該監査事務所に対してその結果を通知し、必要に応じて改善を勧告するというものです。
この制度は平成11年に導入された日本公認会計士協会の自主規制制度であるが、その公平性等の向上を図る観点から、金融庁におかれる公認会計士・監査審査会による審査等が行われています。
また、上場会社監査事務所登録制度は、前記委員会の上場会社監査事務所部会において、上場会社監査事務所名簿、準登録事務所名簿及び上場会社監査事務所名簿等抹消リストを備え、上場会社と新たに監査契約を締結した監査事務所は上場会社監査事務所名簿への登録申請を行わなければならないことになっています。
本件委員会は、前記登録申請をした監査事務所を準登録事務所名簿に登録した上で、当該監査事務所に対して品質管理レビューを実施することとされており、その結果、「品質管理の基準が求める個々の監査業務における品質管理の手続を実施していない事実」が見受けられた場合には、「限定事項付き結論」を表明し、さらに、当該限定事項が前記監査事務所の表明した監査意見の妥当性に重大な疑念を生じさせるものである場合などには、前記登録を認めない決定をすることができるとされています。
前記決定がされた場合には、当該監査事務所は、準登録事務所名簿への登録が抹消された上、上場会社監査事務所名簿等抹消リストに登録されることとなるところ、我が国の各金融取引所の有価証券上場規程等の定めるところにより、当該監査事務所は上場会社又は新規上場会社の監査人となることができなくなるとされています。
この制度は、社会的影響の大きい上場会社の監査への信頼を確保するために平成19年に導入されたものです。
上場会社の監査を取り扱っている会計事務所にとっては、死刑判決にも等しいものですね💦
最近のコメント