金融法務事情No2164号で紹介された最高裁令和2年12月22日判決です。
(笠松山付近の巣箱)
平成16年3月期以降、架空売上げの計上による粉飾決算を行う。平成19年8月、Yが、本件会社の主幹事会社として引受審査を開始した。平成21年11月、東証マザーズに上場。平成20年3月期、平成21年3月期の財務諸表には、会計士が無限定適正意見を記載した監査報告書が添付されていたが、97%が架空売上による虚偽のもの。平成22年5月、有価証券届出書の虚偽記載の事実を認める旨を公表し、6月に上場廃止。
判決要旨は以下のとおりです。
① 有価証券届出書の金融商品取引法193条の2第1項に規定する財務計算に関する書類に係る部分のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、または記載すべき重要な事項もしくは誤解を生じあせないために必要な重要な事実の記載が書けている場合に、当該有価証券の募集に係る発行者または売り出しに係る所有者と元引受契約を締結した金融商品取引業者または登録金融機関が、引受審査に際して、当該財務計算に関する書類につき監査証明を行った公認会計士または監査法人による監査の信頼性の基礎に重大な疑義を生じさせる情報に接していたときには、
当該金融商品取引業者等は、当該疑義の内容等に応じて、当該監査が信頼性の基礎を欠くものではないことにつき調査確認を行ったものでなければ、同法21条1項4号の損賠賠償責任につき、同条2項3号による免責を受けることはできない。
② 株式の上場にあたり提出された有価証券届出書のうち当該上場の最近事業年度およびその直前事業年度の財務諸表の売上高欄に虚偽記載があった場合に、次の(1)~(6)など判示の事情のもとにおいては、当該株式の発行者である会社等と元引受契約を締結した金融商品取引業者は、金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき、同条2項3号による免責を受けることはできない。
(1)上記金融商品取引業者は、上記会社の引受審査に際して、2回にわたり、上記会社の売り上げの大半が架空計上によるものであることを指摘する投書を受け取っていた
(2)上記各投書は、上記会社が売上高の粉飾の典型的兆候といえる複数の事象が継続してみられる状況にあったこととよく符合する内容のものであり、上記会社の売上高等について上記金融商品取引業者の把握している事実関係と合致する記載がされ、粉飾決算の手法等を具体的かつ詳細に指摘するものであった。
(3) 上記金融商品取引業者は、上記会社の主幹事会社としてその引受審査に当たってきたものであった。
(4) 上記金融商品取引業者は、1回目の投書の受取りの後、当該投書において上記粉飾決算を主導している旨指摘されていた上記会社の役員に対して直ちに当該投書の内容を伝え、その作成者と思われる者が上記会社の内部監査室長を務めていた者であったにもかかわらず、2回目の投書の受取りの後も、その者から事情を聴取するなどの調査確認を行わなかった
(5) 上記金融商品取引業者が上記財務諸表につき監査証明を行った公認会計士から聴取した監査手続は上記各投書の指摘する手法による粉飾決算の可能性に対応したものではなく、また、上記金融商品取引業者は、当該監査手続において証憑類の原本確認が行われたか否かすら具体的に確認しなかった
(6) 上記金融商品取引業者が引受審査において実施した調査は、上記会社の提案に従い選定された取引先の訪問調査および売り上げに関する証憑類の写しの相互に矛盾がないことの確認等に留まるものであった。
売り上げの97%が架空売上とは。。。
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